一点突破で作り込む事に潜む「罠」
人は、得意な事をしていたい。
と言うか、苦手な事は自然と避けてしまう。
しかし、創作において苦手なパートを避けていると、どうしても偏った作品が出来上がってしまったり、作品自体が完成しないなんて事が起きる。
今回は、その事を話す。
よそを見ると、分かる事
別業界で比較すると、多少、この作り方の特殊性に気付くと思う。
パーツ単位で作っていくのは、
- 絵を一部から超描き込んで行って、全体を同じクオリティで維持し続ける様な
- 家やプラモデルを端から順に、完全に完成させて作っていく様な
- 布地をパーツ毎に都度作って、狂いなく服を完成させる様な
- 冒頭部分から順に、気が向くままに物語を完成させていく様な
そう言う作り方になる。
分かって貰えただろうか?
出来ないとは言わない。
- 絵で、一部から描き込み始めてそのまま全体のクオリティバランスを維持しながら描ききる達人は、確かにいる。
- 家の壁を書き割りのように完成させてから内装を作って、最後の方で反対側の壁を作り、下部分が全部出来てから屋根を作る人も、いないとは言い切れない。
- プラモデルのパーツを全て外してから、足先から順に頭に向かって迷わずに作れる人もいるかもしれない。
- 感覚で採寸したり、縫っていく事で起きるズレや布地の伸び縮みに至るまで完璧に計算して、ドレスやスーツをモデルに着せながら作る怪物がいるかもしれない。
- 物語をプロローグから順に、冒頭部分を作り込み、事件が起きて、試練を乗り越えて、どんでん返しがあってと作って行った結果、名作が生まれる事だってある。
だが、これらの手法は一律に「難易度が高い」と言う事も、分かって貰えた筈だ。
一点突破、一点特化の作り方は、高いレベルに見える成果物がすぐに出来る分だけ、面白さが確かにある。
割とすぐに「パーツだけ完成する」のだ。
だが、失敗率は、見ての通り、かなり高い。
素人がやって、やり切れる事の方が少ない。
これが物語作品なら、行き詰まる事にも、そりゃあなる。
それなりの経験者がやって、今までの経験値で補って、ようやく出来るぐらいだろう。
それだけ難しい事を”あえて”やっている自覚が無いのなら、上級者以外の人にこの手法は、おススメ出来ない。
でも、連載とかって、どうやってるの?
連載作は、最後まで完成していない状態で、頭から順次完成させて作品を世に出していく手法だ。
パーツ単位で完成させて作っているじゃないか、と思っただろう。
実際、パーツ単位で作って行っている連載作も、あるだろう。
だが、上記した様に難易度が高いのは、変わらない。
しかし、難易度を下げる事は出来る。
どうやるか?
連載作品の多くは、最後が決まっている状態で作られているから、予定を決めて作る事が出来ている。
つまり、完成図だけは、しっかりと用意していると言うわけだ。
ちなみに、グランドフィナーレまで出来ている必要は無い。
一区切りする箇所まで予め出来ていれば、そこまでは予定を決めて作れる。
その、一区切りを何度も行う事で、連載作品は終わりが先に延び、作品は長くなっていく。
最後を決める。
完成図を見ながら作る。
たったこれだけの事で、創作の難易度は劇的に下がる。
ここからは、蛇足だ。
その先に進んだ事は何度ある?
人によっては、ドキリとする質問だ。
- プロットばかり考えてしまう。
- 落書きから脱出できない。
- 下書きまでなら上手い。
- 設計図ばかり作ってる。
- 計画書だけは上手い。
- 冒頭部分ばかり書いている。
- キャラの立ち絵を描くのが好き。
- キャラ設定ばかり凝ってしまう。
- 世界観設定を練ってからじゃないと進めない。
etc.etc.
創作するに当たって、結果的に大したクオリティアップに繋がっていないのに、最も多くの時間を割いているパートが、人それぞれある筈だ。
それが、恐らく得意な、あるいは好きなパートだろう。
それは、構わない。
だが、目を向けるべきは、その「次のパート」だ。
そこに、恐らくあなたのボトルネックがある。
苦手なパートと言う奴だ。
苦手を克服するには?
そのボトルネックは、あなたは「億劫」とか「面倒」とか「難しい」と言ったイメージがある筈だ。
一つは、苦手な事にチャレンジする事。
何度かやってみると、コツが掴めて、きっと自分なりには出来る様になる。
センスがあれば、我流でも良い。
一度、全ての工程を最後までやってみれば、得意不得意も、初期センスの有無も、何となくわかるだろう。
もし、そうしても苦手なら、出来れば、上手い人に教わるのが良い。
そう、そのパートが「得意」な人も、世の中には確かにいるのだ。
だから、得意な人に助けを求めるのは、一つ手である。
教えて貰う事で、素早い習得が見込めるが、もっと早い手もある。
世の中、凄い技術を持っていても、それ以外が苦手な人は沢山いる。
得意で好きなパートだけをやっていたいなら、苦手をアウトソースする事も出来ると言う事だ。
何でも一人で出来る必要は無い。
そりゃあ、出来れば恰好良いし、理想的だろう。
だが同時に、人が支え合う事も自然な事だ。
チームを組んで苦手を補い合ったり、必要ならば雇ったり、そう言う事だ。
たったこれだけで、苦手から解放される事は、良くある。
問題は、どこで出会うかだ。
こればかりは、有史以来人類が悩んでいる大きな問題の一つだろう。
人同士の最適なマッチングは、今なお難しい。
だが、これだけは言えるのは、自分から行動した方が早く見つかる事だ。
その時は、相手に提供出来る得意と、欲しい得意が見えていないと、マッチングのしようがない。
それだけは気を付けよう。
追記
「たいあっぷ」と言う小説&イラスト投稿サイトが最近(2021年2月25日)出来たらしい。
https://tieupnovels.com/creator
まだサービスリリース直後で、読者向けよりクリエイター向けのサイトみたいだが、小説家とイラストレーターのマッチングを行うサイトの様だ。
こう言うサービスを利用して見るのも、良いのではないだろうか?