0を1にするのが一番大変って話
やあやあ。
日々創作している人も、そうでない人も、この記事に目が留まったと言う事は、それぞれ苦労しているみたいだね。
今回は、創作者サイドの「そもそも」の話を、少ししようと思った次第だ。
『始める』事は『終わらせる』事の次に心のエネルギーを消費する。
一番大変と言っても良い。
創作したくても出来ない人の何割かは、きっとこの『始める』事が苦手なのでは無いだろうか?
そこで『始める』が下手な人向けに、どうすれば良いのかを、いくつか紹介していく。
お役に立てば嬉しい限りだし、気軽に興味本位で見て行って欲しいな。
1.あらゆる『始める』事に完璧を求めない
計画、タイミング、環境、完成度、とにかく完璧を求めると動き出せない。
始める為に一番最初に捨てる物は「完璧主義」だ。
最適なタイミングを窺えば、延々と窺う事が出来るし、そのタイミングが来るのは、ずっと先だ。
失敗しない完璧な計画とは、実行されない計画であり、計画は失敗の可能性が常にあって正常と言える。
創作者として完璧は目指すべきもの、なのかも知れないが、完璧には、簡単には至れない。
もし、完璧に至れるなら、その創作物は「既存の物」か「完璧のレベルが低い物」のいずれかだ。
創作とは、全く新しい物を作り出す事だ。
全く新しい物を作る上で、人為的に完璧に至れる事は、まず無い。
いつか、死ぬまでに到達したい……と言う目標でなら目指しても良い。
この記事を読んでいるタイミングで目指すべきじゃないのは明白だ。
2.『始める』事を特別な事にしない
始める事は、最もエネルギーを使う、大変な事だ。
だが、それは、特別な事だと思っているから起きる現象だ。
日常を捨て、非日常の「創作空間」に移動するから、肉体的にも精神的にも、トリガーを引く事が大変になる。
創作も、創作を始める事も「特別でない日常」にして、ハードルを下げる事は、有効な手段だ。
日常で、歯磨きをしたり、トイレに行くように、創作をすればいい。
もし出来ないなら、試しにトイレに紙とペンを置いてみよう。
人間誰だって、トイレに長居する事がある筈だ。
その時、スマホでなく、紙に書く習慣をつけて日常に創作を溶け込ませよう。
もちろん、スマホで書いても良いが、きっとここを読んでいる人の中にはゲームをしたりネットを見てしまう誘惑に弱い人もいる筈だ。
また、自分が一番長くいて楽な場所に創作環境を作るのも、非常に良い方法だ。
ベッドの上で寝っ転がってパソコンでカタカタ執筆したって、全然構わない。
そうしている人は創作者に限らず、かなり多い。
3.『始める』やる気スイッチを入れられる場所を作る
『始める』事を特別にしないのと、これは両立する。
机の前、パソコンの前、トイレ、ベッドの上、事務所、職場、工房、どこでも良い。
その場に行くと『始める』スイッチが入る自分だけの聖域を作ろう。
これの有る無しで『始める』事のハードルの高さは、かなり変わる。
自分ルールを決め、その場所に行ったら、日常的に『始める』習慣をつけよう。
4.初めは無計画で始めても良い
計画を立ててから動こうとする人がいる。
でも、動き始めに限っては、無計画に突っ走る事も大事だ。
計画が無い事を理由に動けないのでは、なおさらだ。
まず、計画とは目的や目標が定まっていて、初めて立案できる物だ。
計画を立ててから動くのは、既に目的や目標が定まっている場合に限られる。
しかし、創作出来ない人にとって、その目的や目標は、驚くほど曖昧な事が多い。
曖昧な目的や目標だと、計画の立てようがない。
例えば「完成させる」と言う目標だとして、そもそも始められない人からすると、やらなければならない事と考えなければいけない計画の詳細が、あまりにも多すぎて何も見えない。
だが、まず「手を動かして方向性を探る」事で、出来た創作物の種を見て「これをちゃんと形にしたい」と言う願望が芽生える事がある。
そうなれば、その種を育てる為に計画を立てる事が出来て、それは「完成させる」と言う曖昧な目標よりも、遥かに具体的で考えやすく、実感を伴う。
5.『始める』条件付けをする
好きな音楽、好きな映画、漫画、小説、アニメ、ドラマ、舞台、絵、フィギュア、何でも良い。
自分の中の創作欲を刺激する物を持っていると、それをトリガーに創作欲に火が付いて動き出せる人がいる。
特定の物でなくても良い。
自然と、面白い作品を見た後は、もろに影響を受けた作品を作りたくなったりするものだ。
その感覚を大事にし、自分で「やる気スイッチ」を押せるようにしておく事で『始める』事が容易になる。
6.あらゆる『始める』ハードルを下げる努力をする
この、ハードル下げを怠っていると、始める事のハードルは一向に下がって行かない。
他で怠ける為に、ハードル下げには全力を出すべきだ。
上記した、全てを日常的に行う事で、ハードルは大きく下げられ、終いには無くなる。
ハードル下げの努力を怠って『始める』のが苦手と言っているのは、あまりにもあまりにあんまりだ。
7.創作欲センサーを過敏にする
好きなモチーフ、好きなテーマ、好みのストーリー、きっと、好きな物を大事に、特別にしている人がいると思う。
それは良い。
特別枠があっても、構わない。
でも、その特別枠内の物に触れて、センサーが反応した時だけ創作欲が湧くなら、多くのチャンスを逃しているかもしれない。
そのセンサーのメモリをいじって、感度を3000倍ぐらいにしてしまえば、ちょっとした事で「これは創作に使えるかも」とか「創作したい」とか、感じる事が出来る。
感度が鈍感だと、自分の中の好きとか、性癖に深く深く刺さらないと、影響を受けたり、行動のトリガーに使えない。
特別枠の周囲にある物からで構わないから、準特別枠を作って、徐々に広げて、感度を上げて行こう。
前よりも世界が、少し面白く見える筈だ。
8.恥を捨てる
創作に慣れていない人は、恥ずかしがり屋な人が多い。
と言うか、創作者だって恥ずかしがり屋は多いが、みんな我慢している。
恥をかくのは、当たり前だ。
上記した様に、完璧な物は出来ない。
至らない部分は、嫌でも目に付く。
また、自分の性癖や、隠した趣味、中二的センス、拙い技術、等々、赤面してしまう事は大いに発生する可能性がある。
でも、それを「さらけ出す」事が、自己表現的な部分であり、創作の重要なファクターだ。
更に言うと、格好つけたいかも知れないが、意識して格好つける程、格好がつかないのが世の常だ。
下手に格好つけると、逆に格好悪くなる事さえある。
それは、もっと恥ずかしい。
恥ずかしいかもしれないが、創作は、そういう物だ。
格好つけずに行動あるのみだ。
自分の正直な想いや好きなモノへの衝動を現実世界にさらけ出す事を恐れたら、その時点で『始める』事は永遠に出来ない。
恥ずかしいと感じるなら、自分が恥ずかしがり屋か、正常な創作者だと考えよう。
もし、恥ずかしく無いなら、鈍感なら構わない。
だが、格好つけているなら、その姿勢は改めた方が良い場合もある事は、気に留めておこう。
上手く行っているなら良いが、もし何か上手く行っていない場合は、変に恰好付けている事で、何かが上手く回っていないなんて事もある。
ああ、あと、恥を捨てると、発表のハードルも下がるので一石二鳥だ。
それに恥ずかしくたって、ペンネーム使えば良いじゃん。
9.自分の『始める』様式を決める
もし、何から始めて良いのか分からない場合は、自分の中で始める様式を一度定めるのが良い。
技術的、手法的に手の付け所が分からないなら、人に聞いたり、ハウツー本を実践してみよう。
とにかく『始める』為の、第一歩を踏み出せない事には、上記した全てを実践しようも無い。
原稿用紙にいきなり書き始めるでも、タイトルを決めるでも、どういう物を作るかコンセプトを決めるでも、自分の中で「よーいスタート」の号令を表す「何か」を作る事で、少なくとも一歩目は踏み出せる。
踏み出せれば、後は前に進んで行くだけだ。
10.始めた先にある具体的なやり方を一度なぞる
創作したいとは思っているけど、実は一度も最後まで完成させた事が無いなら、きっと途中に苦手とか分からないプロセスがある筈だ。
それは、創作速度を鈍らせるし『始める』事への大きなハードルになる。
それを乗り越えるには、一度実際に練習で経験してしまう事が、最も簡単かつ手っ取り早い。
気合を入れた自作では、その段階まで行くのは、きっと大変だし、こだわりがあればあるほどに出来ない。
その為に、気軽く経験だけ出来る練習を行うのが、きっと良い。
もし出来るなら、そのパートだけ反復練習すれば、苦手意識も薄らいでいくだろう。
これも、ハードルを下げる一環だ。
11.失敗を恐れない
「完璧主義」や「恥を捨てる」と一部重複する内容だが、創作の失敗は負けでは無い事を認識しよう。
経験値を積む意味でも、失敗には大きな意味がある。
失敗したとしても、その問題を乗り越える事が創作技術や作品を向上させる事に繋がるのは、間違いない。
大半の日本人は遺伝的にも失敗を恐れやすいらしいが、創作で失敗しても死ぬわけでは無いので、恐れる必要は無い。
一度使ったモチーフやテーマは、失敗したとしても、もう一度使えば良いし、成功するまで、何度でもチャレンジする事に、何も問題は無い。
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