「きっかけ」で感動する物語の作り方

「きっかけ」に全てを注ぐ創作法

パラダイムにおける「切欠の時」の出来に全てを込める。

そんな創作手法を紹介する。

これだけだと一本の長編映画を作るのは、難しい。

だが、しかし

  • CM
  • 読み切り漫画
  • 短編小説
  • ショートフィルム

等の、短い作品を作るつもりなら、今回の創作法は、滅茶苦茶役立つ筈だ。

むしろ、その場合は、この手法の方が適切な事さえある。

パラダイムのセットを、全て使おうとすると、要素を詰め込む必要があって、短編だと忙しいか淡白か、処理を上手にするのがとんでもなく難しくなる。

そこで、今回の手法を使うと、丁度良くなる。

使うのは、最低「プロローグ」。

長くても「日常の時」「切欠の時」だけだ。

たったこれだけのアクト(パラダイムの区切り、パート)でも、面白い作品を作る事が出来る。

では、いってみよう。

ポイントは、続きを見たいと思わせる終わり

「切欠の時」とは、物語内で物事が動き出す切欠の出来事が起きるパートだ。

つまり「切欠の時」で終わると言う事は、これから物語が面白くなりそうな所で終わると言う事である。

この、やっと物事が動き出した「これから、どうなっちゃうの!」と言う感情は、長編作品の冒頭部分に当たる。

だが、この冒頭部分最高の盛り上がりを、クライマックスに持ってくる事で、この手法の作品は成立する。

既に様々な事が起きた後の「日常の時」

作品を短くしたいなら「切欠の時」に起きる事を自然にする出来事は、既に起きた後として「日常の時」を描くのが良い。

例で、Twitterで話題になり有名になったリモートフィルムコンテストグランプリ作品「viewers:1」では、2分20秒の作品ながら、非常に良く出来ている。

作品が始まると、唐突に主人公の日常が描き出される。

この時、既に世界はロボットによって崩壊していて、生き帯びた主人公が生存者がいる事を信じて放浪しながらの配信生活をしているのが描写される。

日常が壊れる「切欠の時」

「viewers:1」では、100秒ほどで、生活資源の枯渇・孤独・配信環境の限界等によって、主人公の日常が壊れ始め、クライマックスでは、ある出来事によって日常が完全に壊れる事になる。

この時、「切欠の時」は「日常の時」を見ているからこそ、来るべくしてきた事が分かり、見ている人はこれから物語が動き始めるタイミングで終わる作品に対して先が気になると言う感想を持つ事になる。

「プロローグ」オンリー

「切欠の時」と「プロローグ」は、非常に似ている。

「プロローグ」で描かれる「これからどうなる」と、「切欠の時」の「これからどうなる」は、同じ効果を持っている。

違いは、「プロローグ」の「これからどうなる」と言うシーンで使われる要素は、本編では過去の事で、主人公と関係はあるが、当事者ではない事もある。

一方で、「切欠の時」の「これからどうなる」と言うシーンで使われる要素は、本編中であり、主人公が当事者でないと物語が動き出さない為、現在の主人公である必要がある。

つまり「プロローグ」のみで描く場合は、登場人物は主人公にこだわる必要は無く、過去や未来にする事も出来て、自由度があると言える。

短編ホラー漫画の傑作「不安の種」シリーズは、オムニバス形式に近いので、決まった主人公が存在せず、不安にさせる「きっかけ」を描く「プロローグ」や「切欠の時」までの作品が、ものすごい数掲載されている。

「きっかけ」に全てを注ぐ事で、得られる効果

「きっかけ」によってもたらされる「日常の崩壊」は、物語において大きなインパクトを持つ。

例えば、漫画「鬼滅の刃」では、家族が鬼に殺され、妹が鬼に変わってしまった場面が該当する。

「鬼滅の刃」では、プロローグにも、同シーンが使われ、重要シーンである事が分かるだろう。

平和な日常が壊れる瞬間は、感情を大きく揺さぶる。

同時に、非日常で何がどうなるのかを、読者は嫌でも気になってしまう。

この「フック」の強さは、物語を扱う作品では、かなり重要かつ、強ければ有益だ。

「きっかけ」のみで作る利点

この利点は、意外と大きい。

なんと、このサイトで何度も言ってきた「問題解決行動」を、一切考えなくても良いのだ。

もっと言うと「どんでん返し」も要らないから、複雑な「伏線」も要らない。

起きるピンチやトラブル、あるいはチャンスと言った「非日常になる切欠」の「事件」だけオチで起きる様にすれば、事件に巻き込まれる事になる主人公だけ作れば良い。

ただ、分かる通り、それだけで創作すると長編を作る事は出来ない。

「鬼滅の刃」で、主人公の妹が鬼になった所で話が終わったら「この先どうなるの」とは思うだろうが、そこで止まってしまう。

この手法には、向いている物語のジャンルがある。

感情優先のジャンル

今回紹介する手法は、感情を揺さぶる機能に特化した作品に、とにかく向いている。

感情優先のジャンル作品とは、

  • 恐怖(ホラー)
  • 不安(ホラー)
  • 笑い(ギャグ、コメディ)
  • 切なさ(恋愛、友情、絆)
  • 性的興奮(エロ)
  • 欲望解放(犯罪)

等と言った感情を揺さぶる事を目的に作られた作品で、ぶっちゃけて言って「この先」を考えず(もしくは、作らないと決めて)作る方が、楽に作れるまである。

例えば、ホラーの「きっかけ」で、物凄い恐ろしい怪現象やバケモノと遭遇した人を描いたとして、どうやって逃げ切るか、どうやれば倒せるか、どうやってその犠牲者の情報が後に主人公に届くか、なんて細かい事を考えず、恐ろしい状況に翻弄され、成すすべなく酷い目に遭いそうなシチュエーションだけを考えた方が、投げっぱなしだが怖い作品を作る事も出来る。

ホラーとして作品として成り立たせるには、一種の解決策や、敵の弱点等が無いと、戦いにさえならない。

だが、その場の感情優先で、「きっかけ」のみに全てを込めるなら、投げっぱなしが許されるので、前も後も考えずにホラーだけを詰め込める。

エロや犯罪描写に振り切る場合も、ストーリーラインを最後まで考えてしまうと、恋人の幸せになるオチとか、どうすれば罪を償えるかも触れる必要が出て来てしまう。

しかし、「きっかけ」全振りなら、どんな後ろめたい事も、悪い事も、酷い事も、前も後も考えずに登場人物に行わせる事が出来る。

それが表現として良い事かどうかは、別の話だし、表現者各人の裁量次第だ。

ただ、手法としてこういう側面があり、それによってでしか描きづらいテーマやモチーフが存在すると言う事実がある事は、認識しておいて損はない。

「きっかけ」全振りで作品を描く上でのワンポイント

物凄く都合が良いか、物凄く都合が悪い。

つまり「きっかけ」に全てを注いで作品を作る場合は、その「きっかけ」は、出来るだけ極端にしよう。

描くテーマで、どうすれば感情が最大限に気持ちが良い状態になるのかを考えて、極端にしよう。

  • ホラーなら、あり得ない存在に、どんな風に狙われるのが、最も怖く、良いだろうか?
  • エロなら、そんな状況や提案、シチュエーションが良いだろう?
  • 復讐をテーマにするなら、復讐する相手に対して、どんなおぞましい報復を加えると主人公に共感する人はスッキリするだろうか?

と言った具合だ。

終わりに

パラダイムも、3幕構成も、起承転結も、今回の手法を使うなら一旦忘れよう。

大事なのは、「最高に都合が良いor悪い『きっかけ』」を考え、主人公を非日常に叩き落とす事だ。

長編ストーリー作品を作りたいなら、この手法に頼り過ぎるのは、時に毒になるだろう。

きっかけを中心に考えて、尖らせすぎた設定が長編に向いているとは限らないからだ。

だが、長編にこだわらないのなら、今回紹介する手法は、かなり役立つ筈だし、長編を考える上でも「きっかけ」は、とても重要な要素なので、得る物も大きい筈だ。

じゃ、またね。

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