【なろう系】「追放モノ」の設定の考え方について

追放モノの条件

「小説家になろう」を中心としたweb小説を中心に、大量に作られた事で一大ジャンルとなっている「追放モノ」。

概要としては、

  • 主人公の有能さに気付かない人々の手で
  • コミュニティを追放された主人公が
  • 別のコミュニティで有能さを発揮して認められ
  • 追放した側は主人公を追放した事で破滅する

と言う基本の型に、およそ当てはまる。

この「追放モノ」だが、型があるので、穴埋め方式で新作が大量に作られているが、穴埋めをする事で大きな矛盾を孕んだ作品も大量発生している。

今回は、そんな「追放モノ」を矛盾させず、気持ち良く読める様にする設定のコツを説明する。

そもそもを整えていく考え方

有能な主人公は、そもそも、どうして追放されるのか。

それは同時に、そもそも、どうして有能さに気付かなかったのか。

そこを考える事で、矛盾は一気に減る。

無能を追い出す設定

無能を追い出すと言うのは、もしかしたら一見自然に見えるかもしれない。

だが、実は、少しだけ難しい設定だったりする。

想像して欲しい。

学校でも、会社でも、家族でも良い。

無能なだけで、追い出すだろうか?

追い出されるニートよりも、引きこもっているニートの方が多いだろう。

追い出すより、放置する方が楽だ。

どんなに無能でも、追い出すよりも「雑用しろ」とか「何もするな」と言う扱いの方が、遥かに多い。

つまり、無能を追い出すまで行くには、その”理由が別に必要”で無能だから追い出すと言うのは非常に成立し辛いのだ。

無能を追い出すには、無能以外の理由の、最後の一押しを考えよう。

例えば、コミュニティ内に主人公を置いておけないと考えられる理由の一つは、主人公の信用を無くすことだ。

  • 敵との内通を疑われる。
  • 犯罪を疑われる。
  • 不貞を疑われる。

等々、他には、決定権を持つ存在を感情的にする事がある。

言ってしまえば、超嫌な奴だったり、バカと言う事だ。

  • 一緒にいたくないぐらい主人公が嫌い。
  • 頭が悪すぎて主人公を追い出す事で起きるマイナスが分からない。

これらの理由があると、追放する理由付けとなる。

追放決定者は、どこまでバカで許されるのか?

バカであればバカであるほど良いと考える人もいるが、そんな事は無い。

それは、設定を考えるのを面倒がる創作者の怠慢となる事が殆どだ。

これは、そもそもが成り立たなくなる臨界点が必ずあるからだ。

バカは、それを成り立たせる為に追加の設定が必要になる事が多い。

そもそも、

  • どうして、そんなにバカなのに、どうやって、その立場になれたのか?

これが成り立たないと、ガバガバな世界観に思われてしまう。

例えば、

  • 親が有力者
  • 身体能力だけは高い

等の、ポジションを獲得した根拠が必要になる。

だが、これだけだと、どうしてそんなバカと分かっているのに、決定権を持っているのかと言う疑問がわいてくる。

勇者とか、ハイレベルな冒険者と言う設定だとして、そんなバカに重要な任務を任せるかと言う話だ。

普通の感覚なら、バカに任せるなら、バカに任せる理由が存在する必要がある。

バカが決定権を持つ状況は、現実でも往々に起きうる。

  • どうして、こんな人が?

と思う事は、良くあるだろう。

政治家、上司、先輩、先生、立場に不相応なバカな人が、場を混乱させるのは世の常だ。

しかし、それは世継ぎだっただけであったり、年功序列とか、そう言う能力とは関係ない決定によってバカがトップに君臨する場合に起きる事だ。

一方で、本当に重要な任務は、能力を事前に査定される。

本質的なバカが無謀にチャレンジする事はあっても、任務に挑むのは基本的に、客観的な根拠を持って素質を示した、テストをクリアした人が挑む物だ。

つまり、ヤバいぐらいバカな登場人物が、重要な任務に就く事は、リアリティに欠ける事になる。

もしも、その設定を成り立たせるなら、更に、その上の決定権を持つ人もバカにするか、バカな追放決定者が上手に周囲を騙してポジションを獲得したと言う設定が必要になる。

そうしないと、どんどんバカを成り立たせるために周囲がバカになって、不自然な世界が広がって行ってしまう。

そうなると、

  • どうして、そんなバカと共に、今まで有能な主人公が行動していたのか?

と言う、別の設定が更に必要になる。

主人公は、基本的に有能さを持っていて、そのおかげでコミュニティが成功してきたと言う設定の筈だ。

勇者パーティなら、実は主人公の存在があったから今まで無事に冒険をしてきた筈である。

そんな有能な主人公が、どうして恐ろしいほどのバカに、今まで従ってきたのかの設定が無いと、関係性が成り立たなくなる。

この設定を誤ると、主人公は能力を持っているが、やっぱりバカとなってしまう。

登場人物全員をバカにしていくと、今度は、この世界がそもそもどうやって成り立っているのかに疑問がわいてくる。

バカばかりの世界が成り立つには、世界自体もバカにするしか無い。

そうなると、バカを描きたかったのか、追放モノを描きたかったのか、いつか分からなくなる様な事になりかねない。

有能を無能と勘違いする設定

有能な主人公が、無能と勘違いされて追放されると言う事は、そもそも「どこで勘違いが起きたのか」を考える必要がある。

  • どうして、今まで主人公のおかげで成功してこられたのか?
  • どうして、成功の理由が主人公以外にあると、全員が勘違いしているのか?

この設定がしっかり成り立たないと、おかしな事になる。

主人公の有能さは、主人公も、周囲の人も、気付いていない状態じゃないと勘違いが起きない。

直接的で明らかな便利さや、有能さは、勘違いを起こしづらい。

例えば、主人公が圧倒的に強かったら、普通に有能となってしまう。

なので、多くの作品で、戦闘以外に特化した才能を主人公が持っている設定が採用されている。

縁の下の力持ちだから、活躍が見えづらくて勘違いが起きたと言う設定が基本と言うわけだ。

主人公の才能が、縁の下の力持ちスキルの中で桁違いのトップクラスと言う設定が基本で、主人公にしか出来ない事がある場合は、割と少ない。

例えば、「異次元の収納ボックス」的なスキルが主人公オンリーの能力の場合、普通に考えて便利なのでいるだけで重宝される事になる。

ハッキリ言って、追放はあり得ない。

だが、同じスキルが「誰でも持っている」場合は、レアリティが下がり、替えが効く様になる。

しかし、同じに見えていたスキルが、主人公の物だけ「時間を止める」等の効果がある場合、分かりにくい効果だが、その恩恵は計り知れない。

生物を入れられるなら成長も老化も止められるし、食べ物なら腐らせずに保存出来るし、怪我人を入れられれば回復可能な準備が整うまで現状維持が出来るので、瀕死でも猛毒でも怖くない。

しかし、主人公が抜けて見るまでは、その効果が分かりにくくもあるし、そういう使い方をする機会が無ければ気付く事も無い。

前線では直接役に立たないが、間接的に貢献していた機能が失われれば、かなり困った事になるのは目に見える。

日常や仕事の中で、急に無くなると困る物を想像して見よう。

氷が代替品になるとしても、冷蔵庫が無くなると困るだろう。

焚火が代替品になるとしても、エアコンやヒーターが無いと、どうだろうか?

ノートと電卓が代替品になるとしても、今更パソコンを奪われたら仕事にならない人は多いだろう。

これに加え、先に考えた「追い出す根拠」が合わさる事で、コミュニティにとってマイナスな存在と勘違いされる事で、主人公はようやく追い出される。

別の場所で成功する主人公

主人公の有能さの肝は、分かったはずだ。

あとは、その有能さに気付くきっかけと、新しく所属するコミュニティを設定すれば良い。

主人公を失って破滅に向かっていく元仲間達

一方で、主人公の特異性を失った事で、多くの新しい仕事が増え、代替品での穴埋めも上手く行かない追放した側も、ここまで設定が出来ていれば、考えやすいのでは無いだろうか?

その際、ここで破滅するのだから、こちら側を予め嫌な奴に描くのが、なろう界隈ではお約束だ。

バカで嫌な奴が、相応の報いを受ける方が、カタルシスはあるだろうし、描きやすいだろう。

だが、それはバカで嫌な奴と言う前提での話だ。

例えば、追い出した経緯自体が勘違いや冤罪の場合は、仲間の大半には罪は無い。

悪いのは、一部の企てた者だ。

そうなると、そもそもの間違いを正す様な展開にも十分出来る。

そもそも、主人公に罪を着せた犯人がいれば、そいつの狙いを探るなんて展開だって出来るわけだ。

終わりに

「追放モノ」の考え方を、解説して見た。

無能を追い出す設定は、主人公に非が無いなら、追い出す側に理由付け、動機付けが必要になる。

そこまで設定できている作品は、きっと読んでいても、すんなりと読めるだろう。

初っ端で遭遇する矛盾と言う、気になる引っ掛かりが少ないからだ。

反対に、設定が雑な作品だと「そもそも成り立つ?」と言うツッコミをされる事も少なくないだろう。

どちらにしても丁寧な設定の良作や名作が増える事を切に願う次第です。

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