昔話を分解
馴染み深かったり、断片的には知っているであろう昔話。
既に著作権が切れていたり、著者の好意で公開されている作品を使わせてもらって、学ぼうと言う試みである。
現代のエンタメでそのまま使えないが当時はこれで良かった、なんて部分も含めて気付きがあるのでは無いだろうか?
今回のテーマは「かちかち山」だ。
それでは、見て行こう。
かちかち山
引用:青空文庫
https://www.aozora.gr.jp/#main
著者:楠山正雄
プロローグ、日常の時
一
むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがありました。
切欠の時
おじいさんがいつも畑《はたけ》に出て働《はたら》いていますと、裏《うら》の山から一ぴきの古《ふる》だぬきが出てきて、おじいさんがせっかく丹精《たんせい》をしてこしらえた畑《はたけ》のものを荒《あ》らした上に、どんどん石《いし》ころや土《つち》くれをおじいさんのうしろから投《な》げつけました。
おじいさんがおこって追《お》っかけますと、すばやく逃《に》げて行ってしまいます。
しばらくするとまたやって来《き》て、あいかわらずいたずらをしました。
悩みの時、決意の時
おじいさんも困《こま》りきって、わなをかけておきますと、ある日、たぬきはとうとうそのわなにかかりました。
試練の時
おじいさんは躍《おど》り上《あ》がって喜《よろこ》びました。
「ああいい気味《きみ》だ。とうとうつかまえてやった。」
こう言《い》って、たぬきの四《よ》つ足《あし》をしばって、うちへかついで帰《かえ》りました。
そして天井《てんじょう》のはりにぶら下《さ》げて、おばあさんに、
「逃《に》がさないように番《ばん》をして、晩《ばん》にわたしが帰《かえ》るまでにたぬき汁《じる》をこしらえておいておくれ。」
と言《い》いのこして、また畑《はたけ》へ出ていきました。
たぬきがしばられてぶら下《さ》げられている下で、おばあさんは臼《うす》を出《だ》して、とんとん麦《むぎ》をついていました。
危機の時
そのうち、
「ああくたびれた。」
とおばあさんは言《い》って、汗《あせ》をふきました。
するとそのときまで、おとなしくぶら下《さ》がっていたたぬきが、上から声《こえ》をかけました。
「もしもし、おばあさん、くたびれたら少《すこ》しお手伝《てつだ》いをいたしましょう。その代《か》わりこの縄《なわ》をといて下《くだ》さい。」
「どうしてどうして、お前《まえ》なんぞに手伝《てつだ》ってもらえるものか。縄《なわ》をといてやったら、手伝《てつだ》うどころか、すぐ逃《に》げて行《い》ってしまうだろう。」
「いいえ、もうこうしてつかまったのですもの、今《いま》さら逃《に》げるものですか。まあ、ためしに下《お》ろしてごらんなさい。」
あんまりしつっこく、殊勝《しゅしょう》らしくたのむものですから、おばあさんもうかうか、たぬきの言うことをほんとうにして、縄《なわ》をといて下《お》ろしてやりました。
するとたぬきは、
「やれやれ。」
としばられた手足《てあし》をさすりました。
そして、
「どれ、わたしがついてあげましょう。」
と言《い》いながら、おばあさんのきねを取《と》り上《あ》げて、麦《むぎ》をつくふりをして、いきなりおばあさんの脳天《のうてん》からきねを打《う》ち下《お》ろしますと、「きゃっ。」という間《ま》もなく、おばあさんは目をまわして、倒《たお》れて死《し》んでしまいました。
絶望の時
たぬきはさっそくおばあさんをお料理《りょうり》して、たぬき汁《じる》の代《か》わりにばばあ汁《じる》をこしらえて、自分《じぶん》はおばあさんに化《ば》けて、すました顔《かお》をして炉《ろ》の前《まえ》に座《すわ》って、おじいさんの帰《かえ》りを待《ま》ちうけていました。
夕方《ゆうがた》になって、なんにも知《し》らないおじいさんは、
「晩《ばん》はたぬき汁《じる》が食《た》べられるな。」
と思《おも》って、一人《ひとり》でにこにこしながら、急《いそ》いでうちへ帰《かえ》って来《き》ました。
するとたぬきのおばあさんはさも待《ま》ちかねたというように、
「おや、おじいさん、おかいんなさい。さっきからたぬき汁《じる》をこしらえて待《ま》っていましたよ。」
と言《い》いました。
「おやおや、そうか。それはありがたいな。」
と言《い》いながら、すぐにお膳《ぜん》の前《まえ》に座《すわ》りました。
そして、たぬきのおばあさんのお給仕《きゅうじ》で、
「これはおいしい、おいしい。」
と言《い》って、舌《した》つづみをうって、ばばあ汁《じる》のおかわりをして、夢中《むちゅう》になって食《た》べていました。
それを見《み》てたぬきのおばあさんは、思《おも》わず、
「ふふん。」
と笑《わら》うひょうしにたぬきの正体《しょうたい》を現《あらわ》しました。
「ばばあくったじじい、
流《なが》しの下の骨《ほね》を見《み》ろ。」
とたぬきは言《い》いながら、大きなしっぽを出《だ》して、裏口《うらぐち》からついと逃《に》げていきました。
おじいさんはびっくりして、がっかり腰《こし》をぬかしてしまいました。
そして流《なが》しの下のおばあさんの骨《ほね》をかかえて、おいおい泣《な》いていました。
契機の時
すると、
「おじいさん、おじいさん、どうしたのです。」
と言《い》って、これも裏《うら》の山にいる白《しろ》うさぎが入《はい》って来《き》ました。
「ああ、うさぎさんか。よく来《き》ておくれだ。まあ聞《き》いておくれ。ひどい目にあったよ。」
とおじいさんは言《い》って、これこれこういうわけだとすっかり話《はなし》をしました。
うさぎはたいそう気《き》の毒《どく》がって、
「まあ、それはとんだことでしたね。けれどかたきはわたしがきっととって上《あ》げますから、安心《あんしん》していらっしゃい。」
とたのもしそうに言《い》いました。
おじいさんはうれし涙《なみだ》をこぼしながら、
「ああ、どうか頼《たの》みますよ。ほんとうにわたしはくやしくってたまらない。」
と言《い》いました。
「大丈夫《だいじょうぶ》。あしたはさっそくたぬきを誘《さそ》い出《だ》して、ひどい目に合《あ》わしてやります。しばらく待《ま》っていらっしゃい。」
とうさぎは言《い》って、帰《かえ》っていきました。
解決の時(たぬき目線:切欠の時)
二
さてたぬきはおじいさんのうちを逃《に》げ出《だ》してから、何《なん》だかこわいものですから、どこへも出ずに穴《あな》にばかり引《ひ》っ込《こ》んでいました。
するとある日、うさぎはかまを腰《こし》にさして、わざとたぬきのかくれている穴《あな》のそばへ行《い》って、かまを出《だ》してしきりにしばを刈《か》っていました。
そしてしばを刈《か》りながら、袋《ふくろ》へ入《い》れて持《も》って来《き》たかち栗《ぐり》を出《だ》して、ばりばり食《た》べました。
するとたぬきはその音《おと》を聞《き》きつけて、穴《あな》の中からのそのそはい出《だ》してきました。
「うさぎさん、うさぎさん。何《なに》をうまそうに食《た》べているのだね。」
「栗《くり》の実《み》さ。」
「少《すこ》しわたしにくれないか。」
「上《あ》げるから、このしばを半分《はんぶん》向《む》こうの山までしょっていっておくれ。」
解決の時(たぬき目線:悩みの時、決意の時)
たぬきは栗《くり》がほしいものですから、しかたなしにしばを背負《せお》って、先《さき》に立《た》って歩《ある》き出《だ》しました。
解決の時(たぬき目線:試練の時)
向《む》こうの山まで行くと、たぬきはふり返《かえ》って、
「うさぎさん、うさぎさん。かち栗《ぐり》をくれないか。」
「ああ、上《あ》げるよ、もう一つ向《む》こうの山まで行ったら。」
しかたがないので、またたぬきはずんずん先《さき》に立《た》って歩《ある》いていきました。
やがてもう一つ向《む》こうの山まで行くと、たぬきはふり返《かえ》って、
「うさぎさん、うさぎさん。かち栗《ぐり》をくれないか。」
「ああ、上《あ》げるけれど、ついでにもう一つ向《む》こうの山まで行っておくれ。こんどはきっと上《あ》げるから。」
しかたがないので、たぬきはまた先《さき》に立《た》って、こんどは何《なん》でも早《はや》く向《む》こうの山まで行きつこうと思《おも》って、うしろもふり向《む》かずにせっせと歩《ある》いていきました。
解決の時(たぬき目線:危機の時)
うさぎはそのひまに、ふところから火打《ひう》ち石《いし》を出《だ》して、「かちかち。」と火をきりました。
たぬきはへんに思《おも》って、
「うさぎさん、うさぎさん、かちかちいうのは何《なん》だろう。」
「この山はかちかち山だからさ。」
「ああ、そうか。」
と言《い》って、たぬきはまた歩《ある》き出《だ》しました。
そのうちにうさぎのつけた火が、たぬきの背中《せなか》のしばにうつって、ぼうぼう燃《も》え出《だ》しました。
たぬきはまたへんに思《おも》って、
「うさぎさん、うさぎさん、ぼうぼういうのは何《なん》だろう。」
「向《む》こうの山はぼうぼう山だからさ。」
「ああ、そうか。」
とたぬきが言《い》ううちに、もう火はずんずん背中《せなか》に燃《も》えひろがってしまいました。
たぬきは、
「あつい、あつい、助《たす》けてくれ。」
とさけびながら、夢中《むちゅう》でかけ出《だ》しますと、山風《やまかぜ》がうしろからどっと吹《ふ》きつけて、よけい火が大きくなりました。
たぬきはひいひい泣《な》き声《ごえ》を上《あ》げて、苦《くる》しがって、ころげまわって、やっとのことで燃《も》えるしばをふり落《お》として、穴《あな》の中にかけ込《こ》みました。
うさぎはわざと大きな声《こえ》で、
「やあ、たいへん。火事《かじ》だ。火事《かじ》だ。」
と言《い》いながら帰《かえ》っていきました。
解決の時(たぬき目線:危機の時)
三
そのあくる日、うさぎはおみその中に唐《とう》がらしをすり込《こ》んでこうやくをこしらえて、それを持《も》ってたぬきのところへお見舞《みま》いにやって来《き》ました。
たぬきは背中中《せなかじゅう》大《おお》やけどをして、うんうんうなりながら、まっくらな穴《あな》の中にころがっていました。
「たぬきさん、たぬきさん。ほんとうにきのうはひどい目にあったねえ。」
「ああ、ほんとうにひどい目にあったよ。この大《おお》やけどはどうしたらなおるだろう。」
「うん、それでね、あんまり気《き》の毒《どく》だから、わたしがやけどにいちばん利《き》くこうやくをこしらえて持《も》って来《き》たのだよ。」
「そうかい。それはありがたいな。さっそくぬってもらおう。」
こういってたぬきが火ぶくれになって、赤肌《あかはだ》にただれている背中《せなか》を出《だ》しますと、うさぎはその上に唐《とう》がらしみそをところかまわずこてこてぬりつけました。
すると背中《せなか》はまた火がついたようにあつくなって、
「いたい、いたい。」
と言《い》いながら、たぬきは穴《あな》の中をころげまわっていました。
うさぎはその様子《ようす》を見《み》てにこにこしながら、
「なあにたぬきさん、ぴりぴりするのははじめのうちだけだよ。じきになおるから、少《すこ》しの間《あいだ》がまんおし。」
と言《い》って帰《かえ》っていきました。
解決の時(たぬき目線:危機の時)
四
それから四、五|日《にち》たちました。
ある日うさぎは、
「たぬきのやつどうしたろう。こんどはひとつ海《うみ》に連《つ》れ出《だ》して、ひどい目にあわせてやろう。」
と独《ひと》り言《ごと》を言《い》っているところへ、ひょっこりたぬきがたずねて来《き》ました。
「おやおや、たぬきさん、もうやけどはなおったかい。」
「ああ、お陰《かげ》でたいぶよくなったよ。」
「それはいいな。じゃあまたどこかへ出かけようか。」
「いやもう、山はこりごりだ。」
「それなら山はよして、こんどは海《うみ》へ行こうじゃないか、海《うみ》はおさかながとれるよ。」
「なるほど、海《うみ》はおもしろそうだね。」
そこでうさぎとたぬきは連《つ》れだって海《うみ》へ出かけました。
うさぎが木の舟《ふね》をこしらえますと、たぬきはうらやましがって、まねをして土の舟《ふね》をこしらえました。
舟《ふね》ができ上《あ》がると、うさぎは木の舟《ふね》に乗《の》りました。
たぬきは土《つち》の舟に乗《の》りました。
べつべつに舟《ふね》をこいで沖《おき》へ出ますと、
「いいお天気《てんき》だねえ。」
「いいけしきだねえ。」
とてんでんに言《い》いながら、めずらしそうに海《うみ》をながめていましたが、うさぎは、
「ここらにはまだおさかなはいないよ。もっと沖《おき》の方《ほう》までこいで行こう。
さあ、どっちが早《はや》いか競争《きょうそう》しよう。」
と言《い》いました。
たぬきは、
「よし、よし、それはおもしろかろう。」
と言《い》いました。
そこで一、二、三とかけ声《ごえ》をして、こぎ出《だ》しました。
うさぎはかんかん舟《ふな》ばたをたたいて、
「どうだ、木の舟《ふね》は軽《かる》くって速《はや》かろう。」
と言《い》いました。
するとたぬきも負《ま》けない気《き》になって、舟《ふな》ばたをこんこんたたいて、
「なあに、土《つち》の舟《ふね》は重《おも》くって丈夫《じょうぶ》だ。」
と言《い》いました。
解決の時(たぬき目線:絶望の時)
そのうちにだんだん水がしみて土《つち》の舟《ふね》は崩《くず》れ出《だ》しました。
「やあ、たいへん。舟《ふね》がこわれてきた。」
とたぬきがびっくりして、大《おお》さわぎをはじめました。
「ああ、沈《しず》む、沈《しず》む、助《たす》けてくれ。」
うさぎはたぬきのあわてる様子《ようす》をおもしろそうにながめながら、
「ざまを見《み》ろ。おばあさんをだまして殺《ころ》して、おじいさんにばばあ汁《じる》を食《く》わせたむくいだ。」
と言《い》いますと、たぬきはもうそんなことはしないから助《たす》けてくれと言《い》って、うさぎをおがみました。
そのうちどんどん舟《ふね》は崩《くず》れて、あっぷあっぷいうまもなく、たぬきはとうとう沈《しず》んでしまいました。
おしまい
解説
1章:老夫婦VSたぬき編
悪戯たぬきをたぬき鍋にして食べようとしたが、思いも寄らぬ反撃を受けるのが、1章の内容だ。
そもそも、悪戯に対して命で償わせると言う、現代的な感覚から言うとカジュアルな命のやり取りが行われている設定が少し怖い。
まあ、農民からすると畑を破壊されるのは命に係わるので、たぬきは無自覚に老夫婦の生命を危機に陥れていると言えなくもない。
同時に、たぬきが言葉が通じながらも、あくまでも害獣として扱われているので、そもそも対等では無いのもポイントだろう。
おばあさんがたぬきに殺され、ばばあ汁にされ、おじいさんに食べさせられるくだりは、当たり前の様に進行しているが、完全にタブーに踏み込んでいる。
この一線を越えた事で、たぬきは凄惨な復讐の対象となるわけだ。
古典復讐モノ的なポジションの作品ながら、復讐パートの完成度は流石に高い。
ただ、特に伏線も前振りも無く、うさぎが復讐を買って出る流れだけは、唐突なのは否めない。
現代風にするなら、老夫婦に恩義を感じる描写をプロローグか日常の時にでも入れておくと、自然と狂った復讐鬼に出来るだろう。
2章:たぬきを陥れるうさぎ編
主人公が老夫婦から、たぬきにバトンタッチする2章以降は、たぬきに対して行われるうさぎの計画が描かれていく。
まず、たぬきに対して友好的に近づき、唯一の友人になる所から始めるあたりが、嫌らしすぎて黒幕として怖い。
その後、行き当たりばったりな計画だが、たぬきがうさぎに対して全幅の信頼を寄せている事で、計画はトントン拍子で進んで行く。
背中を焼き、火傷に劇薬を塗り、たぬきが馬鹿な事を利用して海に誘い出して自滅に追い込み、老夫婦に害を与えた報いだと言って笑いながら沈んでいく姿を確認している。
いや、どう考えてもうさぎさん、黒すぎるだろ。
老夫婦との関係が見えないせいで、事件被害者の前に突然現れて「代わりに復讐代行しまっせ」と請け負い、嬉々としてたぬきを地獄に叩き落していく姿は、サイコパスっぽくさえある。
完全に、いじめても殺しても文句を言われない対象を、うさぎは探していただろって状態だ。
まあ、昔話のゆるめのガバ設定なので、そこを突っ込んでも意味はないのだが。
物語の終わりが、たぬき目線での絶望の時で終わっているあたりも、救いが無い。
たぬき目線で見ると
たぬきは、ばばあ汁をおじいさんに食べさせる一線を超えてしまった事実は変わらないし、その点で復讐完了のカタルシスは、読者にあるだろう。
でも、たぬきは、うさぎを唯一の友人として信頼し、信用し、栗を貰えると思って薪を運ぶことを手伝い、傷に良いと言われた薬を我慢して耐え、うさぎの真似をしたくて自分も船を作っていて、たぬきは明らかにうさぎの事が友人として好きじゃないとしない行動を取り続けているのだ。
そのたぬきからしたら親友が、実は昔酷い事をした相手の所縁のある相手で、そもそも復讐の為に近づいてきていたと言うのだから、どこまでも切ない。
たぬきは、唯一の友人と出会うには、ばばあ汁を作っておじいさんに食べさせるしか無かったとも見れる。
冒頭、悪戯をしていたたぬきは、きっと孤独だったのだ。
孤独ゆえに、構って欲しくて悪戯をした結果、バカだから事件を起こしてしまった。
逃げれば、それで済んだし、すり替わったままおじいさんと生活する事も出来ただろう。
しかし、その事件があったからこそ、うさぎとの思い出の日々が後にあり、たぬきは衰弱していっていても精神的には満たされた日々を送っていた筈だ。
その満たされた短い時間を得る為に、バカなたぬきにとっては、事件を起こす以外の方法は無かった事を考えると、たぬきは加害者でこそあるが、実はバカなだけで、ただやり方が分からずに幸せを求めていただけだったと分かる。
もし、悪戯以外でおじいさんの気を引けたら、たぬきはこんな目に遭わなかっただろうし、事件もそもそも起こしていなかった。
最初の一個目のボタンを掛け違えたからこそ、悲劇のドミノが倒れ初め、たぬきは唯一の友人だと思っていた相手に嘲笑われながら、自分の作った泥船で海へと沈み、死ぬ事となった。
かちかち山をベースに、別の物語にするには?
見ての通り、そのままだと、かちかち山は「復讐劇」だ。
冒頭の、復讐する動機付けと、本編が始まる2章からの復讐計画が進行していくパートが大きく分けるとあって、復讐劇を描く上で参考になるだろう。
非しかない復讐相手の加害者と、非のない(あるいは少ない)被害者を登場させ、復讐が正当化される事件を描く。
その後、事の重大さに気付いていない加害者に対して、被害者サイドが綿密な計画を立て破滅へと導いていく。
復讐劇以外だと悪役令嬢系の「タイムリープモノ」とか、どうだろう。
たぬき目線だと、最初のボタンの掛け違いとなる出来事が分かっているのだ。
おじいさんに悪戯をすると、殺されそうになる。
おばあさんを殺せば、復讐される。
うさぎはヤバい。
海の底に沈んだ後で、タイムリープが起きて事件が起きる前の状態に戻る。
すると、自分が起こす事件は起きない様に出来るし、危険は回避できる。
前のターンでは敵だった老夫婦とは、人に化けて良い関係を作れるかもしれないし、うさぎとは本当の友情を築けるかもしれない。
終わりに
いずれにしても、昔話は比較的短く、シンプルだからこそ、学びも反面教師もハッキリしている。
創作の参考になれば幸いだし、昔話としても見返してみて面白かったのではないだろうか?