人類が向き合うべき弱さ
「イジメ」は、有史以前より人類を蝕んできた物だ。
今回は、イジメが、どうして起きて、どうすれば対処出来て、どうすれば無くせるかを解説していく。
創作だけでなく、実際の役に立っても幸いだ。
「イジメ」と言うオブラート
イジメなんて言葉で表すと、まるで軽い事の様に聞こえて良くないが、わかりやすくイジメと呼ぶ事を、予め断っておく。
その正体は、他人への「攻撃」や「排斥」である。
イジメは、主に学校や職場等で使われる言葉だ。
一方で家庭では同じ行為を、ドメスティックバイオレンスや、育児放棄などと呼び、イジメは家庭外の事として扱われるが、似たような物だ。
もっと具体的に見てみよう。
攻撃行動
加害を加えるのが「攻撃」だ。
加害は、物理的、精神的、所有物に対しても適応される。
- 傷害:刑法204条
- 暴力:刑法208条
- 脅迫:刑法222条
- 強要:刑法223条
- 名誉棄損:刑法230条
- 侮辱:刑法231条
- 窃盗:刑法235条
- 恐喝:刑法249条
- 器物損壊:刑法261条
等が、主な物だ。
攻撃行動を受けたら、基本的に訴えれば刑法に照らし合わせて刑事罰を与える事が出来る。
排斥行動
コミュニティから「排除」するのが排斥だ。
- 無視
- 陰口
- 仲間外れ
- 村八部:民事的違法行為
これらの多くは、見て貰えば分かるが、明確に犯罪となる物が殆どだ。
オブラートを剥がせば、イジメは、ただの犯罪だ。
犯罪を犯せば、罰せられるリスクがある事を、加害者は、まず理解した方が良い。
イジメの起きるメカニズム
ここからは、もう少し踏み込んでいく。
イジメが起きるのには、いくつかの原因がある。
それを理解しよう。
マイナス感情を持つ加害者の動機
イジメ加害者がイジメ被害者の事を嫌う理由があり、イジメが発生するタイプのイジメだ。
- 何らかの理由があって嫌い(喧嘩した、被害を受けた)
- 態度が気に食わない(反抗的、生意気、等)
- 価値観が合わない(対立思想)
- イライラさせられた(加害者が勝手に精神的苦痛を受けた)
- 大義ある制裁(「こうあるべき」から外れた)
等のマイナス感情の発露によって、攻撃か排斥活動が開始される。
このタイプのイジメを行う人は、特に「イジメられる側にも原因がある」と言う傾向にある。
プラス感情を持つ加害者の動機
これは、イジメ加害者が快感を感じる為に行うタイプのイジメだ。
- 攻撃してもやり返してこない(サンドバック)
- 反応が面白い(イジリ)
- 困っている姿が面白い、心地良い(嫌がらせ)
等のプラス感情の発露を一度経験した事で、快感状態を再現する為にイジメが繰り返される。
芸人の行うイジリは、基本的には加害行動であり、イジられた被害者側が「おいしい」と感じて反応を返してくれないと、簡単にイジメになってしまう。
ボケとツッコミの様に、双方の関係が出来ていて初めて出来るのがイジリと言える。
関係が出来ていない状態で、イジられ役を押し付けての即興でのイジリは、ノリが良い相手が「おいしい」反応を返せなければ、すぐに事故る。
陰湿な嫌がらせの類は、困っている反応を見る事でストレス解消を行う場合が多い。
動機がないとイジメは起きない
主に加害者は、上記のどちらか、あるいは両方の理由を持ってイジメを行う動機を得る。
だが、加害者の動機が整っただけでは、イジメは開始されない。
動機を持って行動に移すまでには、葛藤を取り除いてやる必要があるからだ。
つまり、加害者と被害者の間にある葛藤が弱い状態になると、イジメがようやく開始されるわけだ。
葛藤を乗り越えないと、動機があってもイジメは行動に移される事は無い。
動機が葛藤を乗り越える被害者要因
まず、断っておくが、イジメの被害者は悪く無い。
被害者は被害者だ。
だが、加害者が言う「イジメの原因」に関わる要因を持っている事は、ほぼ間違いない。
善悪としては悪くは無いが、狙われる要因は、間違いなく被害者に存在している。
問題は、それが、どうにか出来る事なのか、どうしようもない事なのか。
あるいは、被害者が気に掛ける事なのかと言う話である。
基本は「変」
イジメの原因は、変である事だ。
変だからイジメられる。
この「変」とは、そのコミュニティが支配する環境下で、普通じゃないと言う事だ。
つまり、悪い意味で特徴が目立ってしまう事で、文化的価値観としては「変」ではなくとも、コミュニティ内の価値観で「変」と捉えられ、イジメのターゲットになってしまうわけだ。
対処可能な被害者要因
もし「変」の原因となっている、被害者要因を劇的に解消出来れば、イジメはピタリと止まる。
例えば、太っている事が原因で目を付けられたのなら、痩せれば良い(簡単では無いが)。
だが、痩せたぐらいだとイジメは止まらない。
痩せマッチョや、ゴリマッチョになれば、確実に肥満が原因でのイジメは止まるだろう。
殴られっぱなしでサンドバックにされているなら、必ず過度な反撃をすれば、以後サンドバックにはされないだろう(別のイジメにシフトする可能性はあるが)。
ただ反撃するだけでなく、加害者を防衛で病院送りにしたり、絶対に勝ち目がないぐらい明らかに強くなれば、もう殴ってくる事は無くなる(やり過ぎは、別の事件になってしまう事はあり得る)。
劇的に解消する事で対処出来るイジメ要因は、イジメの原因の中では比較的対処し易い要因だ。
もちろん、実際の対処は決して簡単では無いし、多くの場合は時間がかかる。
マイナスの「変」を消したり、プラスになるまで変化させるのは、大変な事だ。
何より、イジメ加害者の為に対処行動を取る手間がかかるし、劇的でないと解決するとは限らないので、そこには注意が必要だ。
中途半端な対処では、葛藤を復活させる事は難しい。
対処不能な被害者要因
それを「変」と言われても、どうしようもない事は本当にどうしようもない。
例えば、すぐに手を入れられない身体の特徴を原因にイジメが起きる事があるが、仮に手術等で改善できるとしても、実際すぐには、どうしようもない事の方が圧倒的に多い。
家の貧乏をネタにされたり、反対に金持ちを理由に目を付けられても、すぐにどうこう出来る物では無い。
価値観のミスマッチがあったとしても、すぐに性格を変える事は、中々難しい。
- 人種
- 美醜
- 体臭
- 病気
- 障害
- 性格
- どもり
- 癖
- 貧富
等の、すぐに変えられない、あるいは変える事が出来ない物が要因で起きるイジメは、非常に厄介だ。
イジメられる要因は持っているが、要因へ対処しようがないのだから、お手上げの場合の方が多い。
つまり、葛藤を乗り越えさせてしまうだけの被害者要因への対処が出来ない場合は、別の対処が必要となる。
加害者の葛藤を高めさせる対処
どうすれば、葛藤を高める事が出来るのか?
被害者要因への対処
既に少し上記したが、被害者要因が対処可能なら、劇的に改善して対処する事で葛藤を強くする事が出来る。
殴られっぱなしなら、強くなって反撃すれば良い。
悪口を言われたら、手痛い言葉で言い返せば、もう言ってこない様にする事も出来るかもしれない。
ただ、攻撃に対して攻撃を返す場合、より強い攻撃にシフトしたり、排斥にシフトする事があるし、排斥されている状態だと意味が無い事も多い。
だが、イジメ被害者がコミュニティ内で浮いて「変」と思われているポイントが明確で、それを簡単に取り除けるのであれば、真っ先に対処したい事でもある。
イジメ被害者に加害者的な要因がある場合は、加害行動を止めたり、謝罪をする事でイジメを止める事に繋がる事も多い。
例えば、嘘をつくからイジメられる場合は、嘘をつかない様に気を付けるだけで時間はかかるがイジメの要因は減るわけだ。
知らずに、あるいは無意識に加害行動を取っている事でイジメ被害者になる事は、結構ある。
環境を変える対処
イジメにおいて逃げるのは、時に大正解と言える。
そのイジメが発生しているコミュニティに問題があるのなら、さっさと別の場所に移ろう。
環境を変えた被害者を、追って来てまでイジメようとする人は、相当レアだ。
そこまでのイジメに対するモチベーションは、中々持てない。
被害者が引っ越したり、転校、転職をすれば、イジメ加害者側からすると、コミュニティの居心地は以前よりも良くなったり、勝負に勝った様な気持ちになる場合が多いからだ。
コミュニティを変える事で、イジメ発生環境とは別の環境になる為、やり直しが容易なのも良い方向に働く。
ただ、自分の生活環境を変える事は、それはそれでストレスになるので、わかっていても選びづらい方法ではある。
だが、イジメで消耗するよりは、一か八か環境リセマラをするのは、有効な手段だと覚えておこう。
強者に取り入る対処
いわゆるコバンザメ戦法は、とても有効な手段だ。
イジメが発生しているコミュニティ内の、イジメ加害者よりも上位の存在に守ってもらえれば、イジメ加害者からするとリスクが高まり葛藤が生まれる事になる。
ここで勘違いしてはいけないのは、先生や上司に言えば良いと言う単純な話じゃない場合が多いと言う事だ。
あくまでも、そのコミュニティ内で強い存在に頼る必要がある。
この方法は、イジメ加害者が最上位だと、当然だが使えないし、上位の存在が友好的でない場合も使う事が出来ない。
環境内で味方になってくれそうなイジメに加担していない上位存在を探そう。
無ければ、別の対処を考えないとならない。
強者を捏造する対処
これは、リスキーな対処法だが、一応紹介しておく。
実態は無いが、友人や家族が「怖い人」と言う脅しを使う人は、詐欺師に多い。
仲の良い知り合いが警察の偉い人とか、兄が不良とか、親が暴力関係のお仕事とか、そう言うやつだ。
嘘がバレると、イジメは加速する。
だが、バレない様に細心の注意を払った嘘なら、短い期間なら低コストで身を守る盾に使える。
もしかしたらリスクがあるのかもしれないとイジメ加害者に思わせる事で、葛藤を高める事が期待できるわけだ。
強者が実際に使えないとしても、存在が実在している場合は、本当に強い。
そこまで仲が良くないとか、頼りたくない相手でも、関係性以外は嘘をつかずに盾に出来る。
問題は、関係に本当に頼らないといけない状況に追い込まれた時に、自分の首を絞める事になる事だ。
基本は、おススメ出来ない。
コミュニティ外の上位存在に頼る対処
警察を始めとした、何らかの、イジメ発生コミュニティ外の存在に相談しよう。
相談する際は、必ず証拠が必要となる。
相談だけなら証拠が無くても出来るが、行動に移してもらうには、客観的な事実を証明しないと、赤の他人は動くに動けない。
証拠とは、イジメの記録だ。
録音や録画があると、確実だ。
攻撃の証拠は、比較的簡単に集める事が出来る。
攻撃には痕跡が残るからだ。
排斥の場合は、味方をしてくれる証言者がいると、心強い。
客観的な事実を証言してくれる存在がいないと、イジメの事実を立証する事が難しい時もある。
どちらにしても、証拠を押さえて、コミュニティ外の、起きているイジメを悪と判断できて、問題解決に取り組める存在に頼るのは、強力な手だ。
親、教育委員会、警察、マスコミ、SNS、外部にSOSを出しさえすれば、イジメ加害者は一気に窮地に立たされることになる。
一つに頼ってダメでも、より外のコミュニティに、より上位のコミュニティに対して相談を持ち掛け続けよう。
かならず力になってくれるコミュニティ外の存在は、存在している。
イジメを無くすには?
イジメをこの世から永遠に無くすのは、現実的に考えて難しいだろう。
もしも、完全に無くすならディストピアの様に感情抑制剤とかインプラントとか、手術が必要になる。
イジメと呼ばれる様々な行動自体は、野生動物さえ行う事がある自然な物で、イジメを行う人は、ある意味で本能的なわけだ。
頭の中の低能モンキーが暴走しているから、良くないと分かっていても気持ちが良いから・気持ちがスッとするからと言う理由で、違法行為や卑怯な行動に手が出てしまうわけだ。
もし、現在や過去に、イジメに遭った事がある人は、その事を認識しよう。
すると、イジメを行う人の事をコミュニティ外の人は、本能が暴走している精神が子供の犯罪者として見ていて、被害者は悪く無いと考えている事が見えてくる。
それだけで、イジメられている事実の、別の側面が見えてくる筈だ。
イジメの現場では、イジメ加害者が環境を支配している様に見えて、とてもじゃないが対処できない様に思えるだろう。
現場を知る当事者なら、当然だ。
でも、その状況は、一歩コミュニティ外に出て客観的に見ると、ボス猿が小さな群れの中で威張っているだけに過ぎない。
一歩引いて状況を見るだけで、気持ちが楽になるだろう。
つまりだ。
イジメを無くすには、本能が暴走出来ない不自然な状態にするか、自然の中でイジメが起きない状況を再現する必要がある。
注意点
一応断っておくけど、環境内でその事実を指摘しても、イジメが過激化するだけの事が多い。
イジメ被害者は、そのコミュニティ内では、その時点では最も弱い立場であり、発言権さえ無い場合が多いからだ。
その事実を指摘する事が出来るのは、イジメを行っている中心人物よりも外で、上位の存在である必要がある。
例えば、学校のクラスなら、クラス内のイジメをクラス内で解決するのは難しいが、学校内で実態ある権威を持つ上級生が介入するだけで止める事は十分出来る。
担任の先生よりも、尊敬を集めるリーダー格の生徒の方が発言権が実は大きいなんて事は、良くある事だ。
職場なら、上司や先輩にイジメられていたら、より力のある上司に相談すると、それで解決する場合があるが、やはり異動やクビ等の実行力が上位の存在にある為だ。
実行力のあるイジメへの罰
イジメは、コミュニティ外部に出さないと罪として問われない事が多い。
罪として問われないからこそ、イジメを行動に移す葛藤が起き辛い。
つまり、コミュニティが、葛藤を小さくする原因を作っているわけだ。
イジメが行われたら、イジメ加害者が確実に厳罰を受けるコミュニティでは、イジメを行動に移すリスクが固まり、葛藤が生まれる。
人を殴ったら、法で撃ち殺される様な環境では、サンドバックイジメは起き得ない。
命の危険が無くとも、イジメを行った事が進学や就職に響くとしたら、イジメは人生のリスクと化す。
現在の日本は、イジメに対して本当に実行力のある罰が、実は、かなり少ない。
警察が対処しないとか、和解する様に言ってくるとか、金で解決とか、コミュニティ外に出したとしても、イジメによって怪我人や死者が出ていないと、罰が下されない事が、ままあるのだ。
もし、コミュニティのイジメを無くしたいなら、コミュニティ内を縛る実行力のある罰を作ると良い。
イジメる事をリスクにするのは、かなり効果的だ。
コミュニティ支配者の姿勢の伝播
環境を支配するルールは、文化や法律もあるが、実は、所属するコミュニティの支配者の姿勢が非常に重要となる。
実態の伴う支配の中では、その支配姿勢に従うしかないからだ。
上位存在である支配者が嘘つきなら、下位存在である被支配者達も平気で嘘をつく様になる。
支配者がイジメを行う場合は、その環境内ではイジメが蔓延する。
この基本原則を利用して、支配者がイジメを許さない人なら、そのコミュニティではイジメは起きない。
起きる火種があるとしても、支配者の推奨しない事を行うのには葛藤が生まれ、リスクを想起し、行動に移しづらくなる。
有能なリーダーは、環境を変える力を持っていて、それはイジメを無くすのにも役立つ。
これは、逆説的に言えば、イジメが発生している環境の支配者は、イジメを容認しているか、イジメっ子自身と言う事だ。
非人間化の脱却
イジメを行動に移す場合、加害者は被害者の事を対等な人間として見ていない事が多い。
例えば、自分よりバカとか、弱いとか、何かが劣っている、等を根拠として下の人間と考えている事は珍しくない。
加害者より下の人間とは、対等な人間では無いと言う事であり、だからイジメをしても問題ないと考えているわけだ。
この非人間化と言う下等生物扱いを、脱却させる事が出来れば、葛藤が発生する為、イジメにブレーキがかかる事が期待できる。
どう気付かせるかがポイントだが、様々な方法がある。
対等な人間である事を気付く為には、相手が何らかの切り口で同等な存在だと、本心から納得しないとならない。
イジメを行う様な状態の場合、相手の劣っている部分に目が行っている。
つまり、劣っている所以外に目を向けさせ、なおかつ見直させる事が必要となる。
そこまでしないと、見下していた相手を対等に見る様な状態には、中々直せない。
この状況は、イジメ加害者になる素養がある側が、窮地に陥った際に被害者の素養がある側が助ける事等で成立させる事が出来たりする。
下に見ていた相手に助けられた事を認める事で、相手が上の部分があると認めざるを得ない上に、助けられた事実によって敵対する事に葛藤が生まれると言うわけだ。
イジメ加害者を助けるなんて、と思うかもしれないし、実際、助けずに破滅して貰った方が胸がスッとするだろう。
そんな都合の良い状況も、中々自然には起き辛いので、難しい方法である。
没個性化の脱却
非人間化は、自分より下の存在と相手を思う事で起きるが、没個性化は、自身の人生に重要でない、その他化によって起きる。
重要では無い、その他の人間だから、何をしても良い。
ゲームの雑魚敵キャラや、遠い場所で災害や戦争の被害に遭っている他人ぐらいに思っているから、どうでも良いわけだ。
その、どうでも良い状態を脱却出来れば、没個性化を止め、葛藤が発生する事で、やはりイジメにブレーキがかかる。
これは、相手がモブではなく、名前があり、人生がある事を認識させる事が第一段階だ。
それだけで、モブではなく、個人として認識してしまう事で、葛藤が生まれる様になる。
もう一歩、踏み込めるなら、共感させる事が重要となる。
モブではなく、どうでも良い個人でもなく、自分と同じ部分がある個人だと思わせるのだ。
思い入れのある共通点が多いほど、イジメを行動に移すまでのハードルは上がっていく。
終わりに
「イジメ」と言う、デリケートなテーマを説明させて貰った。
網羅的とまでは行かないが、基本は分かったはずだ。
だが、何か実際の対処の役に立てば幸いだ。
あなたが加害者なら、それはすぐにやめるべきだ。
一歩コミュニティ外に、あなたのイジメの事実が露呈すれば、人生に大きな影を落とす。
あなたが被害者なら、どう対処すれば良いか分かっただろう。
実は、あなたは、非常に優位な立場にある。
証拠を掴めば、コミュニティ外に出された加害者は、もうあなたの言う事を聞くしかないとも言えるわけだ(脅迫は犯罪ですけどね)。
あなたが傍観者なら、被害者と加害者、どちらの味方かによって行動は変わるだろう。
加害者の味方なら、イジメのリスクを伝えないと破滅が待っている。
被害者の味方なら、どうすれば良いのか被害者以上に見えている筈なので、助けてあげよう。
余談
少し前のニュースで、韓国で過去のイジメを時間差で告発するのがブームになっている事を報道していて、「へぇ~」と思った。
内容としては、ある程度成功したスポーツ選手やタレントが、成功してからイジメの過去を告発されて、悪を成敗する形で積み上げてきた成功に泥を塗る運動が起きていると言う事らしい。
やり方や上品下品は置いて起き、社会的に「イジメ自体がリスク」と言う風に持っていくのは、理に適っていると感じた。
イジメ自体がリスクになれば、教育の中で「イジメる事は、今は気持ちいいかもしれないが、あなたの将来に影を落とす」と言う事を分かりやすく教えられる。
何よりも、イジメに対して社会が「実行力のある罰」を肯定しているのだから、イジメは被害者にも加害者にも害しかない状態だ。
なら、イジメを行うのは、本当のバカだけになる。
日本でも、何らかの「イジメ自体がリスク」と言う状態を作れれば、イジメは減ると思うのだが、どうだろう。
余談2
海外(カナダとかフィンランドあたりだったかな?)のイジメ教育は、日本より進んでいる事は知っているだろうか?
イジメの事を授業で話し合うだけでなく、ゲームやレクリエーションを行う事で、
- イジメる側
- イジメられる側
- イジメを傍観する側
それぞれを仮想で体感させ、その上で客観的に(コミュニティ外から)見て、イジメがどう見えるのかを幼い内から教育する事で、授業を受けた全員がその仮想体験を下地に、イジメが発生しても話し合いを行う余地が生まれたり、どう行動するのが正しいのかを分かる様にすると言った物だったり、まあ、色々ある。
私が実際に学校に通っていたのは、もうずいぶん昔の事なので、今の日本のイジメ教育がどんな状態かは正確には分からないが、イジメ加害者がイジメがリスクであると同時に外部から見るとバカで滑稽だと認識出来る前提を整えるのは、大切だと思う次第だ。
イジメは、誰でも「してしまう可能性がある」物だ。
一部のバカな人がやる、犯罪の様な物と考える人もいるかもしれないが、環境が整ってしまうとイジメは誰でも起こしうる事なのだ。
もちろん、イジメ加害者が全面的に悪いのは変わらないが、イジメが悪く、何よりも格好悪い事だと自覚があると、それもまた葛藤となりブレーキとなる。
虫を「虫けら」と認識する子供は簡単に虫を殺せるが、虫を「人間と同じ生き物」と認識した子供は虫を殺す事に躊躇を覚える確率が高まる。
教育は、環境に被害者要因がいくらあろうとも、それは個性であってイジメて良い理由にならない事を認識させる助けになる。