「自然と不自然」の使い分けが大事と言う話

自然と不自然の重要性

創作する上で自然や不自然な表現は、基本的かつ、かなり大事な要素となる。

今回は、その事を話して行こうと思う。

自然と不自然の効果

登場人物の絵が、全員「指が6本や4本」で描かれた漫画があるとしよう。

デフォルメでは無くだ。

きっと、少し気になるのでは無いだろうか?

それは「指が5本」である事が、人なら自然だからだ。

この様に、自然である事は登場する物から受ける印象を「基準値」にする効果があり、同時に不自然である事は受ける印象を「異常値」にする効果がある。

これは、物語の設定なら「自然(基準値)」は、意識せずに受け入れて欲しい設定であり、「不自然(異常値)」は、意識してから受け入れて欲しい設定と言える。

意識をするか、しないかの違いはあるが、どちらにしても創作する以上は、その表現は見る人に受け入れて貰わない事には始まらない。

だから、さっきの「指の本数」の様な表現の場合、意識しないで受け入れて欲しい場合は5本で表現する必要があるし、意識して受け入れて欲しい設定なら5本以外にする余地がある。

その場合、意識して異常値を受け入れるには、必ずその「理由」がセットになる。

そこまで出来て、ようやく自然と不自然を、上手に使いこなせる事が出来る。

不自然の根拠の提示

これが出来ずに、不自然を描くと違和感だけが残る事になる。

例えば、さっきの指の本数ならば、

  • デフォルメしたデザイン
  • 生まれつき
  • 遺伝的性質
  • 実は人じゃない

等の根拠が提示されれば、指が何本だろうと見る者は受け入れる事が出来る。

根拠の提示によって、不自然である事が自然な状態になるからだ。

ファンタジー世界の道具問題

ファンタジー作品で、ツルのある眼鏡が登場する作品がある。

実際の歴史だと、1730年頃のイギリスで考案されるまでは、眼鏡にツルは基本的に無かった。

多くのファンタジー世界の科学技術のレベルを考えると、鼻眼鏡、虫眼鏡、片眼鏡、あたりを使っている方がリアリティがあるわけだ。

要するに、18世紀に開発される眼鏡が13世紀程度の技術力しかない設定の世界に存在するのは不自然と言う現象が起きるわけである。

ただ、眼鏡なら、その違和感は比較的少ない。

現在の形に近い眼鏡が18世紀に発明された事を知識として知っている人は、恐らくそこまで多く無く、レンズ自体は紀元前から存在していたので材料と工夫さえあれば眼鏡を作る事が可能に思えるからだ。

では、眼鏡ではなく機関車の場合は、どうだろうか?

機関車の発明は1802年のイギリスである。

ファンタジー世界に機関車が登場すると、眼鏡の比でなく不自然であり、違和感が生まれる。

まず、石炭採掘作業を自動化する為のベルトコンベアや蒸気機関の発明に類する出来事がファンタジー世界で起きないと、蒸気機関車に類する乗り物の発明に説明がつかない。

更に、危険なモンスターが存在する設定は、線路の敷設を邪魔する事が多く、それを実現した設定が無いと違和感が残る。

線路が繋ぐ町も、わざわざ線路で繋ぐ価値や理由が無い場合は、線路の存在に違和感が出てしまう。

こういった設定のハードルがある為、多くのファンタジー作品では機関車が登場しない事の方が多い。

無知であるほど自然に縛られない

これらは、設定の違和感に気付ける知識があるからこそ、不自然だと感じてしまう。

なので、無知であるほどに、自然や不自然に縛られずに、自由に作品を楽しむ事が出来ると言う側面もある。

下手に専門知識があると、思わぬ設定で違和感が気になってしまうと言う事が起きうるわけだ。

例えば、「熱膨張」と言う現象を利用した工夫を凝らした作戦は、何となく「熱膨張」と言う現象を知っている程度なら、文字列から連想出来れば無理がある不自然な現象が起きても、気にならない人は相当数いるだろう。

だが、知識として正確な「熱膨張」を知っていると、同じ描写でも「熱膨張を勘違いしている」とか「熱膨張を知らない」と考えがよぎってしまい、集中して作品を楽しむ事が出来ないなんて事も起きる。

無知を切り捨てる表現

不自然を気にしないで扱う事で、無知な人だけが楽しめる作品がある一方で、その逆に無知である人を切り捨てて不自然な描写に気付けない人には、意味が分からない表現も存在する。

スタジオジブリの高畑功監督が好んだ手法で、劇中に「自然な形で違和感を設置する」事で、違和感に気付けた人だけが意味が分かるようにすると言う物だ。

「不自然な形で違和感を設置してしまう」作品の正反対にある非常に上品な表現なのだが、これは気付けない大半の人が振り落とされるのは、言うまでも無い。

どう描くべきか

作品を描く上で、避けられないが注目を集めたくない要素は、自然に描くべきだ。

主人公が人間なら、自然な人間の範囲内で描写する事が望ましいだろう。

自然を違和感無く描ければ、その設定は苦も無く受け入れられ、作品を楽しむのに大いに役立つ

注目を集めないといけない設定は、不自然に、特徴を持って描くべきだ。

主人公が宇宙人なら、その場にいる事が異常な事として描写すれば、スポットライトが当たる。

不自然で注目を集めてから、その納得出来る根拠が示されれば、その設定は歓迎を持って受け入れられ、作品を象徴する重要な要素として機能するだろう。

不自然な設定を自然に出すと、嫌でも注目を集めてしまう

その反対に、自然な形で不自然な設定を出すと、気付ける人が限られてしまう

これらの原則を理解して、使い分ける事で自然と不自然は最適な形で表現する事が出来る。

意識して使いこなせると、それまで出来ていなかった場合は作品のレベルがグンと上がるだろう。

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