一般的な情報を知識の状態で認識してみよう
世の中、様々な情報が溢れている。
それらを、一定の切り口でグループ化した物や、業界のルールになっている物等は、平均値や常識と捉えられる事も多い。
そういう「当たり前」とは、一種の共通認識になっている事が多く、それを上手に扱う事は、創作を含む色々な場面で役に立つ。
今回は、そんな「一般的な情報」を数字化や言語化する事で、どの様に利用するのかを解説する。
数字化した情報の力
人を数字化して説明して見よう。
日本人の頭身は、平均で約7頭身らしい。
つまり、日本人で7頭身以上ある人は、スタイルが良く見え、以下の人は頭が大きく見える事になる。
一方で、日本人から見た外国人の頭身は、平均すると8頭身程度あると言う。
やはり、同じように8頭身以上あるとスタイルが良く見え、以下の人は頭が大きく見えるわけだ。
これは、「何頭身」と言う数字化した情報を知っている事で、認識しうる情報となる。
赤ちゃんは、3頭身程度なので、デフォルメしたキャラクターは自然と可愛らしく見える。
漫画やアニメのキャラクターになると、頭が大きめにデザインされていると5~6頭身が平均的となったりする。
つまり、リアルな絵を描くのと、デフォルメが効いた絵を描くのでは、バランスが違ってくる。
これらは、どれも当たり前だ。
だが、情報を数字化する事で、数字として管理出来る様になるか、フィーリングや個別の情報で管理していくかでは、情報管理の難易度が変わって来る。
数字の情報を組み合わせて使う効果
民家にいる人の絵を描く事になったとしよう。
その際、何の情報も無い場合は、想像で描くしかない。
資料を見ながら描く場合は、資料の通りに観察して描く必要がある。
一方で、数字化した情報を持っていると、情報を組み合わせて描く事も出来る様になる。
例えば、日本人の成人男性の平均身長は約170cm、成人女性の平均身長は約160cmある。
日本人平均は約165cmとしよう。
一般的な民家の天井の高さは220cmだ。
つまり、頭頂部から天井まで55cm空間がある事になる。
220を55で割ると?
答えは、4だ。
55に3をかけると?
答えは165になる。
つまり、天井から床までの高さを4等分して、4分の3の地点に頭が来る事が分かるだろう。
頭身も分かっているのだから、人の高さをデフォルメされているなら5、6等分、リアルなら7等分すれば、頭の大きさも分かる。
足の長さは?
足は、モデル体型だと股下が身長の半分近くまで来る。
身長165cmなら、モデル体型なら80cm強だ。
だが、平均値になると、マイナス10cmぐらい引かれるのが悲しい現実だ。
つまり、股下70cm強と言った所だ。
足よりも、頭を含めた胴体の方が少し長い事が分かっていると、その様にバランスを取れる筈だ。
足先は、平均サイズが24cm、最大幅が10cm、足甲高が6cm程度となる。
足首の場所が分かった。
膝の場所は、足を股下から爪先まで見た時に、真中ぐらいに来る。
太ももの大腿骨が40cm程度あって、人体で最も大きな骨なのだが、股関節に繋がっている為股下よりも上から始まっているのは、少し考えれば分かるだろう。
大腿骨よりも脛の骨の方が細く短いが、足首から先があるので、膝が真ん中ぐらいに来るわけだ。
まあ、これは、正座をすれば足を綺麗に折りたためる構造を考えれば、数字の情報を知らなくても分かる所でもある。
身長の中の、頭と足に挟まれた部分には、胴体がある。
胴体は、ザックリ言うと肋骨、脊椎、骨盤で構成されていて、内臓を守る肋骨と下から支える骨盤、それらを頭まで繋ぐ脊椎をイメージすれば良い。
顎先から鎖骨まで、首の平均した長さは10cmも無いと言う。
身長165cmを7で割ると、約23.5cmと日本人の平均に近い数字となる。
股下70cmと、頭23.5cm、首10cmを身長の165cmから引くと、61.5cmが胴体となる。
肋骨と胸骨の下に来るみぞおち上部を触ると分かる肋骨の感触、肋骨下部の胸骨下角の角度はおよそ70~90度ある。
肋骨と骨盤の間の空間にくびれが出来て、くびれの下にヘソが来る。
肋骨と骨盤の間があいているほど、くびれが出来やすく、男女でも違ってくる。
腰回り、つまりウエストサイズは、年齢によっても違うが、男性が平均で85cm程度、女性が平均で70cm程度。
服のサイズでは、男性のMサイズの場合、肩幅45cm、身幅52cm、袖丈22cm、着丈66cm程度となる。
女性のブラジャーサイズだと、Mサイズはトップバストが79~87cm、アンダーバストが70~75cm程度となる。
人は、身長と両手を広げた長さが同じぐらいと言われている。
手の大きさは、長さが約18.5cm程度で、身長の11%(約9分の1)程度。
手先から肘までで、身長の4分の1、つまり165cmの場合は、41cm程度。
肩幅45cm、肘から先が41cmを2セットと言う事は、二の腕は片方で19cm程度と言う事になる。
手首から肘は、41cm引く18.5cmで、22.5cmと、二の腕よりは少し長い。
腕は、41cm足す19cmで全長60cmと、胴体とかなり近いサイズになるが、腕を下げると肩の間接可動分下がるので、肘から下は、股下程度に手首が来て、その先に手があり、手の平は太ももに触れている筈だ。
つまり、股下付近に手首が来ると言う事は、19cm足す22.5cmで腕が41.5cmあるので、肩の分だけ腕の生え際が下がっている事になる。
肘は、肋骨のある部分まで、つまり胴体の半分程度に来る。
ここまで並べた数字は、どれもバラバラの平均値やら、およその数字だ。
なので、数字や比率通りに描いても、平均値に近い絵が描けるだけで、魅力的にならないかもしれない。
それでも、何も知らなかった時よりも、数字を意識した分だけ、整った絵を描けそうでは無いだろうか?
常識を言語化すると、気付ける事
人体の間接には、種類がある。
- 球関節
- 車軸関節
- 蝶番間接
- 楕円間接
- 鞍関節
- 平面関節
等、主にこの6種類だ。
解剖学を調べていくと、更に細かく具体的な情報がすぐに調べられるが、大きく分けて6種類の関節が人にあると分かっているだけでも、かなり変わって来る。
間接には、可動域があり、可動域外に曲がると、関節が壊れた様に見える。
つまり、絵を描く時なら、自然なポーズは関節の可動範囲内に限られる。
格闘技をするなら、関節の可動範囲外に曲げようとするのは、関節破壊技となる。
これは、関節を知っていればいるほど、意識して扱えるようになる。
一通りの関節を把握できると、関節の振る舞いが分かる様になる。
すると、人体で言えば、関節が無いとか、可動が少ない部分を同時に理解した事になる。
そうすると、人体の絵を描く時に、非可動部分だけを先に描き、可動部分を後で乗せていく事でバランスを取りやすくなるなんてテクニックも使える様になる。
頭蓋骨は、顎以外は動かない。
肋骨は左右12本の骨と胸骨と背骨で、一つの卵型のブロックとして簡略化して当たりを付けられるのも、細かい骨の集合体である肋骨の一本一本や背骨がグネグネと動かない事が分かっているから出来る事だ。
骨盤も動かない。
頭蓋骨、肋骨、骨盤は、背骨を軸にしてくっ付いているが、背骨部分でねじったり曲げる事が出来る。
さっき、腕や足の比率を覚えたなら、腕や足の比率と、関節の可動範囲を意識すると、様々なポーズを取らせる事が出来ると思う。
これらは、関節は動く、非関節は動かないと言う当り前を言語化し、それを利用したから出来る事で、情報を知識にした活用の一例だ。
お絵かき一つとっても、ただ資料を見て真似て描いたりするだけよりも、そういう知識を知っている事で、より深く理解して描く事で、絵に対する視点も変わって来るだろう。
だから、一定以上のレベルでリアリティのある絵を描こうとすると、人体解剖学といったモチーフの構造に目を向ける様になるわけだね。
骨や筋肉を全て具体的に理解してしまえば、人体で描けない部分が無くなると言う事だ。
終わりに
今回は、「一般的な情報」を知識として知っていると、かなり便利と言う話を解説して見た。
情報を一定の切り口(数字とか、関節とか、自然現象とか)で揃えると、データとなり、それらは組み合わせて知識として活用する事が出来る。
説明では、人の絵の描き方で説明したが、あらゆる事に適応出来るテクニックだ。
伊能忠敬は、自分の一歩の歩幅を69cmとして、日本地図を作る計測器の一つとしたり、工夫次第で何に何が使えるかは未知数と言える。
こんな考え方があるよって感じだが、何かの参考になれば幸いだ。
一般的な物や、業界の常識とか、共通規格に関しては、知っていると思わぬところで役立つことが多いので、気に留めておくと良いかもしれない。