【簡単】どうやって物語の構造を掴むのかを解説【構造のルール】

ポイントに注目すると、よく分かる物語の構造

スクリプトドクターをしていると、時々聞かれる「どうして物語の構造が分かるの?」みたいな質問。

長年の経験と言いたい所だけど、実は「ある点」に注目しているだけだったりします。

今回は、そんな話。

ポイントを掴めば、誰でも物語の構造が見えてきます。

過不足のチェックや、構成を考える時に役立つ知識となります。

切欠の時

一番分かりやすいのは「切欠」だ。

主人公を始めとしたキャラクターが、何かしらの問題やチャンスと遭遇する事で、以降の行動に変化が起きる可能性があるなら、そのシーンは切欠を描いたシーンとなる。

  • 運命の出会いをする
  • 頼み事をされる
  • 手紙が来る
  • 力を手に入れる
  • 依頼を受ける
  • 突然の不幸に見舞われる

等々、これらは全て「切欠」を描いている。

変化の兆しがあるなら、そのシーンは切欠を描いたシーンで間違いない。

危機の時

次に分かりやすいのは「危機」だ。

主人公を始めとしたキャラクターが、何かしらの攻撃や妨害を受ける事で、何かを失う危機に瀕する可能性があるなら、そのシーンは危機を描いたシーンとなる。

  • 秘密を暴露される
  • 襲われる
  • 事故に遭う
  • 事件に遭遇する
  • 災害に巻き込まれる

等々、他にも無数にあるが、これらは「危機」を描いている。

パラダイムの順番は、あくまでも基本セット

基本に従えば「切欠の時」が来るであろうタイミングで「危機の時」が来ても物語は成立させられる。

危機の時が、切欠の時の機能を持てば良いからだ。

例えば「僕のヒーローアカデミア」では、ヴィランに襲われる「危機の時」が、主人公と師匠の切欠として機能している。

組み合わせにルールは存在するが、基本セットのまま使う必要は無いのが、パラダイムの少しややこしい所だろう。

悩み絶望は、ケースバイケース

切欠の時の後には、自動的に悩みの時が来る。

危機の時の後には、自動的に絶望の時が来る。

だが、これらが来ないパターンも、場合によっては存在する。

例えば、切欠の時に、主人公が遭遇する切欠が、悩む余地を持たない物だったり、主人公が性格的に悩まない場合、悩みの時は極端に短いか、無い時さえある。

つまり、大抵は悩みの時が切欠の時の後に自動的に存在するが、場合によっては無い事もあり得ると言う事だ。

同じように、絶望の時は、危機の時の後に自動的に来る物だが、悩みの時と同じように、極端に短いとか、存在しない事も十分あり得る。

ただ、これは無くても良いのではなく、無い状況もあり得るが、無いなら無いなりの描写が必要と言う事である。

切欠の時や危機の時の後に、悩みも絶望も発生しないのは、物語として大きな起伏が無い状態か、あるいは主人公の感情が表現として死んでいたり、サイコパス気質に見える危険性を持っている。

共感出来るキャラクターを描く場合は、切欠があれば悩み、大きな危機に見舞われ、何かを失えば絶望するのが普通の反応だ。

決意契機は、他者由来

切欠があり、悩み、決意する。

危機に見舞われ、絶望するが、契機によって再び立ち上がる。

いずれにしても、ポイントとなるのは「決断」である。

で、この決断は、主人公が自分の意思だけで決めると、物語としては面白みに欠ける事になる。

面白い物語の場合、主人公に決断を促すのは、いつだって主人公以外の誰かである。

なので「決断」と共に、主人公が誰のおかげで決意を固めたり、契機の気付きを得たのかも合わせて見ると、探しやすくなる。

試練解決の見分け方

人によっては、どちらも似た様に見えるだろう。

だが、試練と解決には、見分けるポイントがある。

まず、試練の時は、基本的に問題解決に向けて「必要な物を集める」「必要な場所に移動する」等の動きをする。

「必要な物や場所」を目指す行動が、試練に立ち向かうと言う事だ。

テストの良い点を取ろうとするのも、必要な合格点を目指すと言う事で、試練はどれも、その様な考え方である。

一方で、解決の時は、問題解決に向けて「手持ちの残った物やあり物を使う」動きをする。

つまり、問題と向き合う際「クリアに必要な物や場所」が明確で、それを得る為の行動なら「試練」であり、「クリアに必要な物や場所」を新たに集めている場合ではない状態で問題に立ち向かう場合は「解決」と言える。

  • 問題解決に必要な物を求めるか
  • 問題解決に手持ちの物だけで対処するか

このポイントを理解していると、この辺の構造も簡単に見つけやすくなる筈だ。

プロローグは、日常以前の前提情報

プロローグは、主人公の日常を描くパートでは無い。

プロローグは、主人公の日常の前提や、これから起きる事件の断片を描くパートだ。

決まって、物語の一番最初にあるが、どこからどこまでがプロローグかを見分けるには、主人公の日常が含まれていない前置き部分がプロローグだと理解しよう。

日常は、プロローグと切欠の間にある

日常の時は、プロローグの後に大抵来る。

そして、切欠の時によって、非日常に侵食されて終わりを迎える。

日常パートは、基本的には物語の一区切りの最初の方に来るもので、途中に挟み込まれる事は、ほぼ無い。

だが、中には切欠の時や悩みの時を利用して日常を描き出すパターンもあるので、その場合は、両方の機能を持ったシーンだと理解すると良いだろう。

エピローグは、新しい日常

エピローグは、プロローグと対の様になっているが、完全に対と言う訳では無い。

問題が解決したことによって変化した新たな日常を描くのがエピローグであり、メインで描くべきは新しい日常なので、日常の時の方が、実は対として近い事さえある。

いずれにしても、物語の一番最後に来るパートなので、探す時は、とりあえず最後がエピローグだろうと当たりをつけるのも良い。

パラダイムの接続ルール

パラダイムのパート毎の見分け方を学んだ事で、機能を持ったシーンは、簡単に見分けられるようになった(なる下地を獲得した)筈だ。

パラダイムの詳しい説明は、この動画が参考になるだろう。

ここからは更に、ちょっと深堀して、シーンの繋がりのルールを説明する。

この様な、基本形だけでなく、繋がりは他にもあり得る。

それが分かって来ると、基本セット以外のパラダイムの構成でも、自分でも物語の良し悪しが、ある程度判断できるようになるだろう。

  • プロローグ:前振りなので、「日常」の前に無いと機能しない。
  • 日常の時:主人公の日常の描写だが、「切欠」&「悩み」「危機」&「絶望」で兼・代用可能。大抵は「プロローグ」の後に来て、「切欠」の前にある。
  • 切欠の時(起):物事の切欠との遭遇を描く。後には「悩み」「決意」が高確率で来るが、「危機」に接続する事も出来る。
  • 悩みの時(承):切欠への反応を描く。前は「切欠」で固定。後は高確率で「決意」。「切欠」や「危機」に接続する事も出来る。
  • 決意の時(転):悩みを乗り越えた決意を描く。前は「悩み」が基本だが、場合によっては「切欠」の時も。後は「危機」にできない事は無いが、大抵は決意した「試練」に挑む。
  • 試練の時(結):決意した試練に挑むので、前は「決意」で固定。後は「危機」か「切欠」のどちらかが来る。
  • 危機の時(起):前は「試練」。後には「絶望」「契機」が高悪率で来る。「切欠」に接続する事も出来る。
  • 絶望の時(承):前は「危機」で固定。高確率で後は「契機」。「切欠」や「危機」に接続する事も出来る。
  • 契機の時(転):前は「絶望」が基本だが、場合によっては「危機」の時も。後ろは「解決」でほぼ固定だが、「切欠」に繋ぐ事も出来なくはない。
  • 解決の時(結):前は「契機」で固定。綺麗に終われば後ろは「エピローグ」が来るが、綺麗に終わらないなら「日常」「切欠」等に接続も可能。
  • エピローグ:非日常を通して変化した日常の描写なので、「日常」と「非日常(切欠から解決まで)」描写が事前に無いと機能しない。なので「解決」の後に来る。

と、こんなのが基本の基本の接続ルールがある。

他にも、起承転結を消化せずに重ね過ぎると冗長になる傾向がある(切欠→悩み→切欠→悩み→切欠→悩み→とか)等、細かなルールが存在するが、パラダイムの基本形は、これらルールを守った無駄のない連結によるワンセットで構成されている。

つまり、ワンセットでない組み合わせは、いくらでもあると言う事だ。

なので、

  • プロローグ→切欠→悩み→危機→契機→切欠→悩み→決意→試練→

みたいなパラダイムは、一部が変則的だが、ルールに則っている為、条件を整えれば十分成立しうる。

この場合、「切欠→悩み→」の最初に日常の役割を与えれば、冗長さも無い。

だが、

  • 決意→絶望→解決→プロローグ→切欠→切欠→契機→切欠→解決→

みたいなパラダイムは、どんなに条件を整えようとしても、そのまま成立させるのは難しい。

繋がる相性が悪かったり、繋がりようが無い構成になっているから、物語として誰が見ても違和感がある事になる。

と言うか、条件を整える内に、間を埋める最適なシーンを作る事になり、結果的に接続ルール通りの構造に収束してしまう。

役割を持ったシーンによって、前後で接続しやすい機能を持ったシーンが違う為、無理をしても、中にはどうやっても繋がらない場合があると言う訳だ。

更に、起承転結を重ねない為に、結に当たる「試練」か「解決」に当たるパートを入れた場所で消化するには、短く成立させるなら出来事を小さくするか大味にする等の工夫が必要になり、その内容改変は創作者が望まない物語に変化していく事の方が遥かに多い。

すると、最適な起承転結の結にあたる「試練」か「解決」の場所に来るように構成した方が、結果的に良くなり、内容を詰め込み過ぎれば、また冗長になるので、バランスを取って情報を全体に散らして再配置する様な工夫も時に必要となる事がある。

これが、慣れないと「わけわからん! くっそめんどくせーーーーーー!」と、人によっては発狂するパズルの始まりとなる事もある。

そうなると、パズルを無理に我流で解くよりも、ある程度規範的なパラダイムに沿った形にしてしまった方が、直し自体は楽になると言う現象が発生するわけだ。

終わりに

パラダイムのパート毎の見分け方と、基本的な繋がり方が分かれば、後は短い名作を分析するなりすれば理解は一気に深まるだろう。

また、面白く無いと感じる作品を分析すると、どのパートが足りていないとか、余分だとか、機能していないとかも、慣れれば分かる様になる筈だ。

基本的な手法の一つの解説だったが、創作の参考や足しになれば嬉しい限りだ。

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