中二病とは?
中二病とは、いわゆる中学二年生ぐらいの年齢で一定の人が発症する、奇妙な行動や態度を誘発する物。
その内容は、一般的に何かしらの「背伸び」に帰結する物で、それらは肉体と精神の成長に伴う思春期特有の不安定さから感じる「劣等感」や「優越感」に対して、バランスを維持する為の自己防衛として行われる。
例えば、典型例代表として、
劣等感を避ける行動では、
- やれば出来る筈と、謎の自信に溢れる。なお、大抵出来るまでは出来ない事が多い。
- 都合の良い部分だけ一人前の扱いを求める。個室やプライベートの要求等。
- 主観的に見て物事を正当化し、自分の至らなさが原因でも周囲のせいにして腐る。
等が有名で他に、
優越感を求める行動で、
- 背伸びして、コーヒーを我慢して飲む。酒、タバコも同様。
- 背伸びして、洋楽を聴き始める。インディーズやサブカルチャーも同様。
- 流行った物を「流行る前から知っていた」と振る舞う。
- 少し俯瞰した視点で物事が見れるようになると、世界が分かった風に振る舞う。歴史や政治の批判をしがち。
- ルールを守らない事をカッコいいと勘違いし、反社会的な事をしてみる。
- オカルトやスピリチュアル、妄想に手軽な特殊性を求め、電波や不思議、邪気眼キャラ等を演じてみる。
等がある。
その過程で、やれば出来ると言う自信から漫画や小説を書き始め、優越感を求めて設定モリモリにした結果、多くの中二病ノートや黒歴史ノートが生まれたり、嫌な事があって腐った結果うっぷんを晴らす為にリアルデスノートが爆誕したりするわけだ。
中二病設定とは?
中二設定とは、大きく分けて2種類ある。
- 中二病罹患者が生み出しそうな痛い設定
- 中二病罹患者を生み出すカッコいい設定
である。
これらは、似て非なる物だ。
では、この差は、何によって生み出されるのだろうか?
そこで登場するのが、再びの「背伸び」である。
要は、設定としてどれだけストレッチしているかで、痛くなるかカッコよくなるかが分かれてくる。
設定のストレッチ度
では、実際に考えてみよう。
例えば、みんな大好き、中二病設定の武器を考えよう。
- 鉄の剣
とかだと、全然中二病感が無いのが分かる。
設定の実態が伴わない、背伸びをさせると例えば、
- 伝説の剣
とかになる。
この時点では、まだ痛いかカッコいいかの判断が出来ない。
ここからが分かれ道で、設定に実態を持たせられると格好良くなるし、それに失敗したり疎かにすると、急に痛くなる。
実態を持たせる手軽な方法は、実在の歴史や伝説、神話から借りる事だ。
例えば、
- 伝説の剣、エクスカリバー。アーサー王伝説に登場するアーサー王の使用した剣。
とかは、中二心をくすぐる設定だが、実在の物だけに痛さは相当少ない。
一方で、
- 伝説の剣、ゴッドイーター。かつて神を殺したとされる大剣。
とかになると、一気に胡散臭さが出てきて、程よい痛みを感じ始めるだろう。
なるべく、カッコいい響きかつ、強そうで、極端な意味、攻撃的、あるいは凶暴な単語を入れられると、痛い方の中二感が増していく。
エターナル、インフィニティ、ブレイカー、ブレイブ、アサルト、ラスト、ファイナル、バレット、レジェンド、エンシェント、フレイム、ブリザード、タイム、無、絶、等々……
実態と内容が伴わないと見た人が感じる程に、ストレッチ度は高まっていく。
要は、タバコを大人が吸っても、酒を大人が飲んでも、誰もそれを背伸びと思わないのと一緒だ。
実態を伴わせる戦略と、あえて大きくする戦略
ただただ実態と設定が大きく乖離していると、過去に中二病を罹患していた人でも、いあ、だからこそかもしれないが、全身がムズムズして痒くなる等の症状が現れかねない。
それを楽しむのもおつだが、設定を純粋にカッコいいと思って欲しい作者としては、辛い所だ。
そこで、ムズムズではなく「かっけーーー!!!」と見る人がなる様にするには、どうすればいいかを解説する。
紹介する手法は2つ。
実態を伴わせるのと、要素を狙って強める手法だ。
実態を伴わせるには?
まず、実態を伴わせるには、設定を背伸びに見えない範囲まで削るか、背伸びに合わせて設定を作り込む必要がある。
削るとは、例えば伝説の剣で浮いてしまっているなら、名刀にランクダウンとか、素材によって凄む、前の使用者で凄む、等の実態を与えれば良い。
設定だけで中身がなく、書割かハリボテの様な状態だから、それでイキると見ていて痛いのだ。
中身を与えられる設定を追加するのは、かなり有効な手段だ。
伝説の剣のままでも、その伝説の設定がしっかりあるか無いかでは、雲泥の差が出てくる。
要素を狙って強めるには?
中二設定を狙って強めるには、とりあえずバックグラウンド(過去や歴史)には手を出さないで、それ以外に注目する事だ。
例えば、大きい、軽い、等は素材や製法、機能に由来する物で、由来や歴史の設定を練るよりも痛くなりにくい。
また、それらに伴う機能を極端にして、その理由付けをするのもありだ。
- 極限まで薄く造られた刃は何でも切り裂く。
- かするだけでも毒が汚染し、患部から相手を腐らせる。
みたいな設定は、理由付けをするだけで中二心をくすぐり、高機能になれば凄いとなる。
ただし、理由付けが疎かだと、痛みが出てくる。
- 当たれば死ぬ。
よりは、
- 当たれば、死神の加護の効果によって確実に対象を死に至らしめる。
の方が良い。
そして、
- 相手に致命傷を負わせる。
- 相手は死ぬ。
- 相手はチリとなる。
- 相手の存在は全ての次元から消え、いなかった物とされる。
だったら、より効果が強い方が中二心に響く。
おわりに
例に出したのは武器だが、キャラでも同じ事だ。
例えば、コードギアスで主人公は
- 天才
- 特殊能力持ち
- 国を追われた王子
- 等々……
と設定モリモリで、中二心をくすぐるし、カッコいい。
これらの設定が受け入れられたのは、国を追われた王子設定まで綿密に描かれる事で実態があり「背伸び」を設定から感じない実態が伴ったキャラクターとして描く事に成功している為だ。
この記事が、中二病設定を考えるのに何かしらの形で貢献し、世の人々の中二心を狂わせる設定を練るのに役立てば幸いである。