自分に向かない気持ち悪いは、面白い!
気持ち悪い事は、あまり良い印象が無いかも知れない。
実際、気持ち悪い思いは、出来ればしたく無い物だ。
だが、他人が気持ち悪がっている姿とは、なんと面白い事か。
そう「気持ち悪い」は、当事者で害が無ければ、面白いのだ。
なので、今回は「気持ち悪い」をあえて作る方法を解説する。
これを読めば、気持ち悪いを使いこなせる様になる。
仮に、現実で自分や他人の気持ち悪さで困っているなら、その問題を解決する事も可能だ。
気持ち悪いマスターになろう!
気持ち悪いの正体
まず、最初に核心から。
気持ち悪いの正体とは「危険信号」だ。
そして、それが起きる多くの原因が「距離感の狂い」にある。
距離感がバグっているから、気持ち悪くなる。
近ければ近いほどに気持ち悪さは増す。
反対に、遠ければ気持ち悪さは減っていく。
距離感の取り方が下手だったり、相手と価値観が違う事で「気持ち悪い」とか「きっしょ」とか、そう言う事を言ったり言われたりが発生しやすくなるわけだ。
重要なのは、最適な距離感であり、あなたが「気持ち悪い」を作りたいなら、距離感をいかにバグらせるか、そして「危険信号」を相手の中で鳴り響かせるか、それらに心を砕く必要がある。
まあ、どうやって「ヤバイ事を、馴れ馴れしくするか」と言う話だ。
その際、気持ち悪さには色々な種類がある。
ここからは、それを見て見よう。
色々な気持ち悪い
1:触覚/物理的な感触の気持ち悪い
物理的に近いと、大抵のものは何でも気持ち悪く感じる。
逆に、目に入れても痛くないとか口に含めるレベルの物は、気持ち悪くするのが多少難しいとも言える。
それでも、目薬を目以外に入れれば気持ち悪いし、食べ物を口以外に入れれば気持ち悪くなる。
スライムは遠くで見ている分には気持ち悪さは少ないだろうが、手で遊ぶだけでも気持ち悪さは増し、鼻や口に入ったりしたら相当気持ち悪い。
物理的距離が近ければ近いほどに気持ち悪くなり、近くても平気な物でも適当な場所以外では気持ち悪くなる。
2:嗅覚/臭いの気持ち悪い
臭いの気持ち悪いは、悪臭を頼りに危険物から身を守る為に機能する。
不快に感じる刺激臭がするものは、その物に害が無くても、その区分の物には危険物があったりする。
例えば、発酵食品は臭いがきつく、苦手な人も他の食品に比べて多いが、あれは発酵が本質的には腐敗と同じで、腐った物は危険と感じる為である。
体臭が強い事を時に気持ち悪いと感じるのも、フェロモンや不潔さなど、何らかの危険信号が距離をおく事を警告している。
3:視覚/見た目の気持ち悪い
見た目を気持ち悪くするには、通常の状態では、あり得ない状態にしてやればいい。
あり得ない状態は、異常な状態であり、異常な存在は危険に見え、気持ち悪く感じる。
また、異常な状態にされた物も、危険を感じさせ気持ち悪く感じる。
気持ち悪く感じる人物の絵は、パーツのバランスや大きさ長さ等が大きく狂い、人が人と認識出来るラインのギリギリを攻める。
怪我や内臓を気持ち悪く感じるのは、それらが通常は見えていてはいけない物が見えている危険な状態だからこその気持ち悪さで、生物が本質的に避けたい状態は気持ち悪くなる。
4:聴覚/音の気持ち悪い
音の気持ち悪さは、それが何を連想させるかが重要となる。
排泄音を聞くと大抵の人は気持ち悪いと感じるし、他人の咀嚼音や啜る音を聞くのも気持ちが悪い。
モスキート音も、蚊の接近を連想させるからこそ、気持ち悪い。
5:味覚/味や食感の気持ち悪い
味や歯触りで脳が食べ物だと認識しない場合、それが食べられるとしても気持ち悪く感じる。
苦味や酸味は適量なら味のバリエーションだが、基本的にはどちらも量を食べるのに適さない物の持つ味に多かったりする。
個人的な話になるが私は、
- キャベツの芯
- 柑橘類の種
の味と噛み心地が、絶望的に気持ち悪く感じ、こればかりは何をしても耐えられない。
どっちも害は無いし、キャベツに関しては食べられる事も頭では分かるが、幼少期にインプットされたのか脳が食べ物の噛み心地だと未だに認識せず、噛んでしまう度に気持ち悪さに心の中で泣いている。
6:平衡感覚/三半規管による気持ち悪い
目の動きと景色の動きが一致しないと、人は乗物酔いを起こす。
乗物に乗っていると起きやすい現象だが、視点移動が激しいゲームをやっていても起きる事がある。
7:幻覚/脳がダイレクトに感じる気持ち悪い
アルコール、ニコチン、市販薬、処方薬、あるいは非合法な薬も含め、脳に作用する薬は悪酔いすると気持ち悪くなる。
アップでもダウンでも、トリップ出来ればハッピーだ。
だが、バッドトリップすれば最悪だし、オーバードーズすれば死の危険さえある。
非合法薬はフィクションでは人気なモチーフだが、現実では逮捕される可能性まであって、どこまでもリスキーだ。
合法的に脳に作用する物でも、何にでも致死量が存在するので、使用量は適量に保たないと破滅が待っている。
バッドトリップ以外に、脳が何らかの異常状態になる事で幻覚や幻聴に悩まされる事もある。
気持ち悪さを感じる大元の器官が狂って、気持ち悪さをダイレクトに感じるだけに、作用を抑える薬や処置が無いと逃れようがないし、完璧に直すのは難しい。
8:行動/アクションの気持ち悪い
行動の気持ち悪いは、近しい関係性で無いと許されない行動を、距離感がバグった状態で仕掛けてくる事で起きる。
セクハラ、痴漢を想像すれば、シックリくるだろう。
これらは、セクシャリティな行動は本来、そう言う関係が許される恋人等の間柄でしか気持ち悪くならない行動なのに、心の距離が離れているままに行動だけ先行する事で気持ち悪くなる典型だ。
これは、なにも性的な行動だけでない。
キスをする、手をつなぐ、頭を撫でる、髪をすく、そう言った仲が良い相手にしか許さない行動は、双方が許す距離感に無い状態でやれば「気持ち悪い」となる。
また、接触が無くても後述するモチーフをイメージさせる動きをする事で気持ち悪くする事も出来る。
電車の中で暴れたり叫んでいる人を見たら気持ち悪く感じるのは、それが異常であり危険信号を感じている事と、密室空間で逃げ場が限られている状況ゆえに強烈に気持ち悪く感じる。
9:反応/リアクションの気持ち悪い
行動と同じく、反応でも距離感がバグった返しが出来れば、いくらでも気持ち悪さを作れる。
ちなみに、挙動不審な反応は、距離感ではなく異常を示した反応故の、気持ち悪さだ。
10:言葉/言語的な気持ち悪い
気持ち悪い事を言いたいなら、心の距離が相当近く無いと許されない事を、心の距離が近くもなんともない相手に対して使うと気持ち悪くなれる。
心の距離が近い相手であれば、相手の持つモラル的に許されない、どうやっても距離を縮められない話題をふれば気持ち悪く出来る。
例えば、おじさん構文が気持ち悪いのは
〇〇チャン、オッハー❗😚今日のお弁当が美味しくて、一緒に〇〇チャンのことも、食べちゃいたいナ〜😍💕(笑)✋ナンチャッテ😃💗
お疲れ様〜(^o^)🎵今日はどんな一日だっタ😘❗❓僕は、すごく心配だよ(^▽^;)😱💦😰そんなときは、美味しいもの食べて、元気出さなきゃだネ😆❗
Wikipedia引用
おじさんのクセに顔文字使ってるからとか以上に、「お前とそんなやり取りできる距離感の人間なんか、この世にいねぇよ」と、多くの人がどうしようもなく感じるから、多くの人が見て気持ちが悪く感じる。
完全に距離感がバグった文章だからこそ、当事者以外は見ていて面白い。
11:モチーフ/イメージによる生理的な気持ち悪い
トラウマや刷り込みによって、悪い物とインプットされた物を、人は気持ち悪く感じる。
例えば、虫だ。
遠くにいる分には全く気持ち悪く感じないが、ゴキブリが部屋の中にいたら?
結構距離があっても気持ち悪く感じるだろう。
ラーメンにハエや、縮れ毛が入っていたら?
部屋にウンコが落ちていたら?
どれも、気持ち悪く感じる筈だ。
この様に、生理的な気持ち悪さは、気持ち悪いと感じる射程距離とも呼べるレンジが長い。
他の気持ち悪いよりも、より身を守る意味が強い為だ。
危険、汚いと言ったリスクから身を守る為には、生理的な気持ち悪さを感じる存在からは、予め距離を取っていた方が生きる上で有利だからだろう。
12:ロジック/整合性の気持ち悪い
矛盾したり、間違っている物に気付くと、人は気持ち悪くなる。
気付けなければ感じない気持ち悪さだが、一度気付いてしまえば訂正や指摘をせずにはいられない程の不快感がある。
間違っている事が分かっている事を放置するのは、本質的に危険だからだろう。
余談:気持ち良いと気持ち悪いは、紙一重
実は、これらは紙一重でもある。
ASMRなら小気味良い咀嚼音と感じて快感を感じる人もいるし、愛する人からのキスやボディタッチには興奮するだろう。
そう考えて見ても、やはり重要なのは距離感だ。
要は、自分や好意的な人の咀嚼音と捉えて快感を感じるか、どうでもいい他人の咀嚼音と感じるかでASMRは天国にも地獄にもなるし、他も同じだ。
実践の図式
キャラクターが「ぐへへ」とか言っても、別に対して気持ち悪くならない。
虫が登場しても、そこまでじゃない。
大事なのは、気持ち悪い思いをする(読者にとって安全地帯な状態での)他人と言うキャラクターを準備し、そいつを気持ち悪い目に遭わせる事だ。
つまり「ぐへへ」とナチュラルに言うキャラクターと、共感出来るキャラクターが遭遇して、急接近する事で気持ち悪くなるし、虫も無視を気持ち悪がる共感出来るキャラクターが急接近する事で気持ち悪くなる。
そこで、ようやく読者・視聴者は安全地帯から「気持ち悪がってる。自分だったら絶対無理。面白い」となる。
ちなみに、現実でイジメと言う犯罪行為が行われる際、イジメっ子が自分では絶対にしたく無い事を弱者に強要するのは、このエンタメを自分で作っている側面がある。
なので、イジメっ子は逆に考えると、その行為を自分では絶対にしたく無い筈だ。
ハムラビ法典では無いが、イジメを行った人を懲らしめるのには、同じ図式で同じ目に遭うのは相当効く事が多い。
ちなみにちなみに、プリコネのキャルがペコリーヌに虫を食わされて虐待されるのが笑ってられるのは、ペコリーヌが虫を美味いと思って御馳走している100%善意からの迷惑行為かつ、キャルがペコリーヌの事を理解した上で結果的に受け入れているのが分かるから見ていられる。
ペコリーヌが自分は食べないのにキャルに虫を食べさせていたら「やばいですね」とは、いつもの様に言ってられない。
急に、イジメになってしまうからだ。
このキャル虐の図式は、気持ち悪いの上手な使い方の好例だ。
上記した現実のイジメでも、イジメっ子の立場の人が「この虫喰って見ろよ!」と言いながら迫ってくる時に、イジメっ子自身が手本と言わんばかりに率先してモリモリバリバリ食べていたら、気持ち悪いし、迷惑だが、それまでのイジメとは図式が変わってしまう。
インディ・ジョーンズでゲテモノ料理を振る舞われて卒倒するヒロインの様な、受け入れがたい文化の違いに戸惑う、他人から見ると面白い状況となるだろう。
終わりに
距離感をバグらせ、相手の危険信号をバンバン鳴らせれば、気持ち悪いがいくらでも作れる。
それは、当事者以外には、どうしようもなく面白く見えるものだ。
ただし、当事者でなくても、生理的な部分で気持ち悪さを感じられる人からすると、面白さよりも気持ち悪さが勝ってしまう事もある。
ゴキブリが嫌いな人は、動画や写真、あるいは絵でさえ見ると気持ち悪く感じる事もあるし、セクハラの被害者はコメディ作品の中の笑いの為の嘘のセクハラでさえ気持ち悪く感じて不愉快になる事だってある。
しかし、あえて気持ち悪いを受け入れたり、気持ち悪くなる事で、面白いを作る人もいる。
配信のクソマロや内容がヤバいスパチャ(投げ銭コメント)は、距離感がバグってて配信視聴者からすると他人事で面白く、それを許容する配信者の配信は、面白い気持ち悪いが溢れて独特な面白さを持つし、あえて限界オタク化する事でコンテンツや人に対して気持ちの悪いムーブをする事で自ら汚れ役になって面白いを作る人もいる。
どちらも、気持ち悪いを上手に許容し、害がない様に使いこなしているからこそ、現実かつ当事者なのに面白いを維持できる。
気持ち悪い事は、本来は危険な事だ。
だが、だからこそ使いこなせば、強力な武器になる。
人は自分以外に向けられた危険に、引き寄せられる性質がある。
ゲテモノを食べるのはイヤだが、人の食べさせたり、食べている姿を見ているのは面白く感じるのも、同じ事。
マイケル・ベイ映画が爆薬が多いほどヒットするのと、同じ事だ。
危険なほど刺激的で、安全な危険はエンタメには必要不可欠なのだ。
だから、気持ち悪いと言う危険物を、エンタメや創作の中でこそ使いこなす事が重要なわけである。
この記事が、気持ち悪くて面白い物を生み出す一助にでもなれば幸いである。