良く出来た物語は冒頭からラストを予想出来るという話

実は最初から終わりが決まっていた?

冒頭とクライマックスやラストのシーンが対になっている演出がある作品を見る事は多いと思う。

意外と意識していないと「あれって冒頭シーンの再現なんだ」と、遅れて気付く事も多いかも知れない。

とにかく、良く出来た多くの物語は、冒頭とラスト付近が対になっている事が非常に多い。

今回は、その理由と、それを利用すればラストを予想出来るという話をしていく。

なんで冒頭とラストを対にするのん?

冒頭シーンとラストシーンを似せて作るのには、オシャレ以外に理由がある。

起承転結や三幕構成と呼ばれる、物語の構造論を聞いた事があるだろうか?

まあ、詳しくなくとも聞いた事ぐらいはある筈だ。

物語と言う物は、

  1. 日常で始まり
  2. 非日常を描き
  3. 日常に戻る

と言う構成で描くのが基本となる。

これだけだと、まだよく分からないかもしれない。

なので、もう少し詳しく説明する。

  1. 日常で始まり
  2. 非日常を描き
  3. 日常に戻る

と言う中身には、物語の基本が主人公による問題解決行動を描くと言う要素が、実は含まれる。

見えてないだけで、常に組み込まれているわけだ。

つまり、少し詳しく書くと、

  1. 日常で始まり、問題と遭遇するが解決が出来ず
  2. 非日常の中で、問題解決が出来る様になる成長を描き
  3. 問題解決が出来る様になったら問題を解決して、日常に戻る

と言う事になる。

で、なぜ冒頭とラストが対になる様に描かれるかと言うと、冒頭で解決が出来なかった問題と似た、より大きな問題の本質とも言うべき問題と向き合って、それを解決する事で主人公のビフォーアフターを分かりやすく描く為。

と言うのが一つ。

もう一つは、一つの問題と向き合う場合、末端の小さな問題と、中心の大きな問題が、似た形やマトリョシカの様な入れ子構造になっているのが基本なので、最初の問題と最後の問題が似ている事は必然な為。

そして、もう一つ、問題を抱えていた日常と、問題を解消した日常を比較する事で、より良くなった日常を描写する為。

これら3つの主な理由で、冒頭とラストのシーンは、対として描くのが良いとされる。

なので、良く出来た物語は、冒頭のシーンを見て、途中の流れを理解していると、ラストの対となる流れをある程度予測出来るという話になるわけだ。

冒頭から予想しうるラストは構造的に美しい

ここから、名作を例に冒頭とラストの対の構造美を例に示す。

ラストを比較する為、完全にネタバレになるので気になる人は注意。

提示した対となる類似点以外にも、様々な要素が対となり、比較対象として機能しているので、比較する視点で一度見て見ると良いだろう。

うしおととら(1990)

  • 冒頭:とらを500年の封印から解き放つうしお、うしおを食べようとするとら、二人で争いながらも妖怪を退治して人々を守る。
  • 結末:仲間と共に二人も協力して白面を退治して人々を守る、うしおに対して「もう…喰ったさ。ハラァ…いっぱいだ」と言うとら、とらを2000年の呪縛から解き放ったうしお。

鬼滅の刃(2016)

  • 冒頭:鬼と戦う力の無い主人公、鬼と化した妹を殺そうとする義勇、鬼にされた妹を救おうとする主人公、人に戻す薬を求めて旅に出る。
  • 結末:鬼を倒す主人公、鬼と化した兄を救おうとする鬼殺隊の仲間達、鬼にされた主人公を救おうとする妹、薬と絆の力によって人に戻る。

チェンソーマン(2019)

  • 冒頭:ヤクザに飼われている主人公、ゾンビの悪魔の手下となったヤクザによって殺されるが、絆で結ばれた悪魔の犠牲で生き返り、犠牲になった悪魔の力でゾンビの悪魔を倒す。
  • 結末:公安に飼われている主人公、日本を支配する支配の悪魔に殺されかけるが、絆で結ばれた悪魔の犠牲で復活し、犠牲になった悪魔の力で支配の悪魔を倒す。

鋼の錬金術師(2002)

  • 冒頭:ホムンクルスの手下の暗躍、神の使いを称する敵との対決、身体を取り戻したい兄弟。
  • 結末:ホムンクルスの親玉の暗躍、神を称する敵との対決、身体を取り戻す兄弟。

未完の作品も、ある程度は予想出来る

ここからは、未完の作品の予想となる。

対の状態に自由度がある為、予想で導き出せる結末は一つではないので、悪しからず。

あくまでも、素直に対の状態やスケールを変えた例だ。

ベルセルク(1990)

  • 冒頭:ゴッド・ハンドの使徒に支配された町、赤子(主人公が生み出した存在)と向き合わず、周りを巻き込んで使徒を殺し、旅を続ける。
  • 結末予想:ゴッド・ハンドを作った存在に支配された世界、息子と一体となったグリフィス(主人公が生み出した存在)と向き合い、周りと協力して神に落とし前を付けさせ、旅が終わる。

僕のヒーローアカデミア(2014)

  • 冒頭:ドブのヴィランに取り込まれそうになるデクをオールマイトが助け、逃げてしまったドブのヴィランに取り込まれたカッちゃんをデクが助けようとし、最後はオールマイトがドブのヴィランを倒し、デクがオールマイトに後継者として認められる。
  • 結末予想:オールフォーワンに取り込まれそうになる弔をデクが助け、オールフォーワンに取り込まれたデクを仲間達が助けようとし、最後はワンフォーオールでオールフォーワンを倒し、デクがオールマイトの後継者となる。

記事執筆時(2022年3月8日)で未完状態の作品を例にしたが、実際どうなるかは分からない。

ただ、これだけでも想像が膨らみ、一定の構造的美しさを感じないだろうか?

終わりに

別に、完全な対の状態になっていないとしても、それが作品の質を大きく下げると言う訳では無い。

あくまでも、ビフォーアフターを分かりやすくする意味が構造論的には大きく、その対比が揃っていると、結果的に気付いた人が「美しい」とか「上手い」と感じるぐらいの事である。

今回出した例は、有名漫画作品ばかりだが、この構造は映画でも小説でも、物語が一区切りする作品であれば何にでも当てはまる。

一見全然違い、比較し辛い見た目でも、実は対比構造を持っている作品も沢山ある。

物語を作る時、もしも、あなたが冒頭とラストのシーンを対にする意識をした事が無いとか、重要視していないなら、おススメのテクニックなので騙されたと思って試してみて欲しい。

この記事が、創作の質向上やアイディアの足しになれば幸いである。

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