いかに間違い、いかに正すか
ボケとは「違う」あるいは「違うが正しい」情報を提示する技術。
ツッコミとは「間違いを正す」技術。
その辺を、軽く整理、説明する。
基本ボケ
主に言葉でとぼけた事を言う。
- 牛丼屋で客が「え~と、じゃあ、ダブチとポテトとコーラを」
基本ツッコミ
間違いに対して正解を叩きつける。
- 牛丼屋で客が「え~と、じゃあ、ダブチとポテトとコーラを」
- 店員「マックかよ!」
冷静ボケ
TPOにそぐわない場面で、冷静に触れなくて良い情報に触れる。
- 牛丼屋で客が「え~と、じゃあ、ダブチとポテトとコーラを」
- 店員「申し訳ありませんが取り扱いがございません。メンタルお強いですね」
とか、
- 「火事だ! まだ建物の中にペットのミニブタが!」
- 「なんかほんのり焼き肉の良い匂いしてるけど、助けに行かせてください!」
冷静ツッコミ
間違いに対して淡々と正解を提示。
- 牛丼屋で客が「え~と、じゃあ、ダブチとポテトとコーラを」
- 店員「それはマック」
ボケ殺し
ボケの勢いを正論で遮る。
- 牛丼屋で客が「え~と、じゃあ、ダブチとポテトとコーラを」
- 店員「申し訳ございません。当店では取り扱いがございません」
重ねボケ
ボケている内容にボケを重ねる。
- 牛丼屋で客が「え~と、じゃあ、ダブチとポテトとコーラを」
- 店員「店内でお召し上がりですか?」
- 客「テイクアウトで」
勘違いボケ
ボケている内容を勘違いし、別の意味に捉えて対応するが噛み合ってしまう状態のボケ。
すれ違いコントで認知されている物。
- A「最近さ、パン作ってるんだけど」
- B「パンツ食ってるんだ(こいつなら、ありえる)。食えるの?」
- A「そりゃ食えるよ。結構上手いんだよ(作るの)」
- B「へ~美味いんだ。食ったこと無いし、知らない世界だわ」
- A「いやいや、お前も絶対あるって。食った事は。変な嘘つくなよ。そんな遠い世界じゃないって。俺の周りみんな食った事あるから」
- B「マジで?」
ボケツッコミ
ボケに一度乗っかり、途中でツッコム。
- 牛丼屋で客が「え~と、じゃあ、ダブチとポテトとコーラを」
- 店員「店内でお召し上がりですか? って、ここ牛丼屋ですから!」
間違った解決法提示ボケ
ボケて起きる問題に対して、間違った方法での解決を強要する。
- 歯医者「エア麻酔なので死ぬほど痛いです」
- 患者「えあ!?」
- 歯医者「もし、痛かったら」
- 患者「痛っ!」
- 歯医者「我慢で乗り切ってください」
- 患者「やっ、やめっ!?」
あるあるツッコミ
身近な相似性のある物で例えるツッコミ。
少しマニアックな物で例えると大喜利的な凄味が出てくる事も。
- 嫌々期の子供かよ!
あるあるボケ
身近な失敗をするボケ。
あり得ない場面の方が面白くなる。
- 真面目なカーチェイス中に、操作を誤って窓ガラスの洗浄とか
キャラボケ
ステレオタイプのキャラクターを演じて、キャラクターが持つ滑稽さでボケる。
キャラ濃いめなオタク、生意気な子供、活舌の悪い店員、物真似されやすい先生、何らかの身近な変人を演じる事で、笑いを誘う。
- 店員「しゃっせー」「しゃっしたー」「あじゅじゅじゅじゅしたー」
モノボケ
物を使って、特定の人、物、行動や現象を連想させるボケ。
- ダンベル2つを顔の横にやって「卑弥呼」とか
顔ボケ
顔芸、変顔。
その顔をしないであろう場面で、しないであろう人がやるほど破壊力が上がる。
- 屈強な戦士が宿敵と対峙した時に「とぅくん」とトキメクとか
- 本気の変顔が出来るイケメンや美女は、人気の出る重要な要素だったりする
物真似ボケ
物真似をして特定のモノを連想させるボケ。
動物の物真似とか、細かすぎる形態模写とか。
パクリボケ
パクリと分かる形で、他人の鉄板ネタを自分の物の様にやるボケ。
分からない様にパクると、後で笑えない事態になる。
下ネタボケ
TPOとして、下ネタがマッチする場面の方が遥かに少ないので、情報のミスマッチを起こしやすく、許される場面なら面白くしやすい。
一方で、上品を好む層には嫌われるし、しっかりボケとして機能しないと、ただ下品だったり隠語やら淫語を言うだけになってしまう事も多い。
表現するにも幅は広く、恥ずかしい性癖暴露もあれば、子供でも分かる様な直球ネタもある。
- 生徒A「先生! バナナはおやつに入りますか!」
- 先生「入るよ!」
- 生徒B「おしりには?」
- 先生「入るよ!」
- 生徒達「……え?」
シャイツッコミ
恥ずかしいボケに対して、恥ずかしさを感じにくい言葉に変換してツッコム等。
ツッコむ人が恥ずかしがっている点と、言葉選びで面白さを狙っていく。
あるがままツッコミ
見たままをツッコム。
仮に正解の情報が分からなくても、そのまま言うだけなので間違った情報が場に存在するなら使用出来るし、間違っていないが意外な情報に対しても使える。
- 飼い主に抱き着くペットを見て「大好きかよ!」とか
あるかのようなボケ
無い物を、さも、あるようなていで話を進めていくボケ。
- A「成人式でさ、成人免許貰うじゃん」
- B「え?」
- A「3回違反して免許没収されちゃってさ。今、また仮成人からやり直しなんだけど」
ボケないボケ
どう考えてもボケないといけない場面を、あえてスルーするボケ。
スカシとも。
- ってそこでボケないんかい!
と言ったツッコミでボケを際立たせる事で見る人にスルーさせない。
イジリボケ
イジられる側がかまわれたり舞台にあげられる事を良しとしていないと、ただのイジメになる。
イジるのは、至らなさ、見た目の劣等、ダメさ等、あるがままの間違いをボケとして機能させる手法。
ハゲ、不細工、低身長、肥満、毛深さ、性格の悪さ、恥ずかしい行動、と言った他人の物をボケに使うので、ボケに使わせてくれる人との信頼関係が出来ていないと、ただただ空気が悪くなる。
自虐ボケ
自分や、関係が出来ている仲間をイジる手法。
自分達のダメさを笑いに昇華するので、誰も傷付かず、フォローもしやすい。
メタボケ
状況を客観的に、作り物として見られている事を利用するボケ。
セリフを取る、セリフをとばす、セリフをずらす、小物とかセットを利用する、等々。
劇中劇を演じる演者と言う劇を見ていく感じ。
逆ギレボケ
ツッコミに対して、ボケが不満を口にするボケ。
- ちょっとまって、今のは強すぎ!
誇張ボケ
数字やスケールの大小とか規模を誇張するボケ。
- 部活の会議初回で「第135回、円卓会議を執り行う」的なノリとか
誇張ツッコミ
間違いに対して、誇張した表現を添えて正しい行動を促すツッコみ。
- そんな大声出したら死人が目を覚ますぞ(=静かにしろ)
間
意味のある魔は、ボケにもツッコミにもなる。
- A「まさか、こんなに早く気付かれたとは!」
- B 間
- A「気付いてたんだよな?」
かぶせ、天丼
前半で使ったボケを後半でも使うとか、繰り返すテクニック。
振り無視ボケ
振りに対して流れを無視したボケ。
- 店員「ご注文は?」
- 客「昼食におすすめなのは?」
- 店員「ビーフカレーが人気です。他に、ランチのAセットがおススメです」
- 客「へ~美味そうじゃん。じゃあ、クリームソーダで」
アクションボケ
間違った動きをするボケ。
状況と反対のアクションを取るだけで面白くなる事も多い。
- 子供「あ、一番星!」
- 大人「中指でさすのやめようか」
ダジャレボケ
似た音、韻を踏んだ物で間違い、ボケていくスタイル。
大喜利的。
- A「お酢のにおいって、鼻にツンと来るけど、そそるよね」
- B「確かに、更衣室とか臭いけど、つい嗅ぎたく……」
- A「それは、オスメスのオス。こっちのは酸っぱい方のお酢」
ノンストップボケ
ツッコミの影響を受けず、構わずボケ続けるスタイル。
時事ネタ
最近話題になっている事をネタにする事で、連想させやすくするテクニック。
極度の不謹慎ネタは使いにくく、やると批判されるわ、笑えないわで酷い目に遭う。
ウィル・スミスのビンタ事件は、即ネットミームとなっていた。
TPOのミスマッチボケ
冠婚葬祭で笑うとか、真面目な場面で最悪の行動を取るボケ。
ツッコミ役とか周囲の理解が無いと、ただただマナー違反として終わる事もある。
笑ってはいけないシリーズとかは、ふざけた空間なのに笑ってはいけないと言うルールを設けてやっている点で画期的だった。
失敗しちゃいけない場面での失敗
真面目な失敗出来ないシーンで噛むと、ニュースでも面白くなったり。
わざと失敗とか、失敗が許されるシーンでの失敗は、面白くならないただの失敗となる。
チェンソーマンのコベニちゃんのハンバーガー屋の話とか、凄い。
例えツッコミ
ボケに対して、簡潔な例えでツッコム。
これも大喜利的で、音以外の共通項を見つけて提示する必要がある。
- 自分から聞いといて興味薄っ! 貧乏な家のカルピスぐらい薄いよ!
- お前のメンタル、みずほ銀行ぐらい不安定だな。
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