ログラインは、こうして掴み取れぃえっ‼
ログラインは、
- 誰が
- 葛藤や皮肉を感じる
- どういう状況で
- 何をする
と言う視点で見れば、判別出来る。
だが、である。
誰が、は分かる。
主人公だ。
葛藤や皮肉を感じる、どういう状況で、何をするか?
は?
と言う人は、結構いるだろう。
主人公が向き合う問題とか、問題解決行動の”一個一個具体的な物は分かるが、一つに絞れない”なんて状況は、きっと珍しくない。
そこで、今回は、そこを掴む為の考え方を、簡単に説明する。
平均化せよ!
平均化の意味は分かるだろうか?
平均値を出して、その状態にする事だ。
では、平均化の仕方は分かるだろうか?
小学校の算数で習う筈だ。
平均化したい物を全部足して、任意の数で割れば良い。
例えば、大勢で食事に行って割り勘をする場面を想像して欲しい。
10人で1000円の料理を18皿頼んだら、単純計算で合計が18000円になり、それを10で割れば平均値は1800円になり、割り勘するなら平均額を出し合って支払いをする事になる。
これと同じ事を、ログラインを掴んだり、主人公の行動を考える時には、する必要がある。
行動の平均化
では、数字ではなく行動を平均化するには、どうすれば良いか。
まずは、ログラインを導き出したい作品を見よう。
そうしないと、割り勘をする所で言う、一皿の価格が分からない。
作品を見ると、主人公は、恐らく色々な行動を取るだろう。
その際、ログラインを見つける為に特に注目するべきは、3幕構成で言う2幕の前半、起承転結なら承、と言ったストーリーパラダイムの試練の時だ。
その時に、主人公は問題解決行動を確実に取っている。
いや、確実と言うのは言い過ぎだ。
エンタメ寄りの、パラダイムがしっかりしているヒット作では、ほぼ確実に取っていると言う方が正確だろう。
スパイファミリーで行動の平均化を掴む!
では、キャッチ―さを優先し、2022年5月現在、絶賛アニメーションが放映されている「スパイファミリー」で、行動の平均化を考えてみよう。
アニメ版で話を進めさせてもらう。
1話冒頭、主人公の黄昏は、国家の為にスパイと言う任務に従事している。
これが主人公の日常だ。
すぐに次のミッションの指令が下され、黄昏は任務遂行の為に、都合が良い家族が必要になる。
5分時点で、黄昏は孤児院を訪れ、任務の為にアーニャを引き取る。
10分時点で、スパイの黄昏と、実はエスパーなアーニャの、秘密を抱えた二人による勘違いを織り交ぜたコメディタッチな交流が繰り広げられる。
この時点で、秘密を抱えたスパイの主人公が、秘密を守りながら任務の為の行動をする作品だと理解出来る。
15分時点で、黄昏とアーニャは、すれ違ってしまい、アーニャの悪戯によって不穏な空気が作品を覆う。
アーニャの自爆で絶望的な状況に置かれるが、黄昏がアーニャの救出に向かう。
その中で黄昏は、どうして自身がスパイと言う仕事をしているのか思い出させられる。
黄昏の活躍によって危機は去り、黄昏とアーニャの絆が強まる。
二人の絆の力によって学校の一次試験をアーニャは合格するが、二次試験には母親が必要だと分かる所で1話は終わる。
1話時点で、スパイと言う秘密を抱えた主人公が、エスパー少女と偽の家族を形作り、絆を深めながらスパイとしての任務を成功させようとする物語だと分かる。
ログラインにすると、
- 国最高のスパイである主人公が、
- 独身なのに任務の為に家族が必要になってしまい、
- 任務の為に作った家族に任務を秘密にしながら、
- 家族を守りつつ任務を達成する為に奮闘する話。
みたいな感じだろう。
2話目では、冒頭8分で殺し屋のヨルが、世間の目をくらませるパートナーを求めている事が描かれる。
嫁探しに難儀している黄昏は、嫁候補を探す中で、仕立て屋でヨルと出会う。
アーニャの機転で二人は自分の任務の為に手を組む事に。
黄昏は別件の任務をこなしつつ、ヨルとの約束を守り、ヨルとの絆を強める。
天然なヨルに助けられ、協力してピンチを乗り越える中、二人はお互いの任務の為に結婚する。
2話目の行動を見ても、1話だけを見て掴んだログラインは、大きく変化していないだろう。
つまり、基本のログラインが優れているので、ログライン通りに物語が進んでいると言える。
スパイファミリーの優れている点は、母役のヨルが、黄昏こと父役のロイドと違う状況ながら、似たログラインが当てはまる様に予め設定され、娘役のアーニャもロイドの任務に協力する事で似たログラインに当てはまる状況にスマートに変化し、結果的にフォージャー家と言うファミリーと言う主体のログラインで見ても、ログラインが一貫した状態にある事だ。
- 国最高の殺し屋であるヨルが、
- 独身なのに任務の為に家族が必要になってしまい、
- 任務の為に作った家族に任務を秘密にしながら、
- 家族を守りつつ任務を達成する為に奮闘する話。
- 国最高のエスパーであるアーニャが、
- 独身なのに任務の為に家族が必要になってしまったロイドと共にいる為に、
- 任務の為に作った家族や任務の事を、知っているのを秘密にしながら、
- 家族を守りつつ任務を達成する為に奮闘する話。
- 国最高に特別な偽物家族が、
- それぞれの任務の為に家族が必要で、
- 任務の為に作った家族に、それぞれの任務を秘密にしながら、
- 家族を守りつつ任務を達成する為に奮闘する話。
どうだろう?
スパイファミリーが、非常にまとまりがある美しい構造の作品と言う事は、分かったのでは無いだろうか?
終わりに
ログラインを掴む為の方法の説明でした。
言い方や切り口を変えて、今後もこういう記事は時々書いてくだろう。
思わぬ切り口で理解が深まるとか、急に腑に落ちる事が、色々なアプローチをすれば、僅かでも増えるかもしれないしね。
行動の平均化さえ出来れば、エンタメ系の作品なら、慣れでログラインを掴めるようになるはずです。
行動の属性や描写が散らかっているタイプの作品の場合は、問題を解決しようとしている行動からパターンを読み取って、共通点と目的を割り出せば、ログライン向けの行動の平均化が出来ます。
また、主人公だけとかメイン一人の登場人物に注目する事でも、掴みやすくなります。
ログラインに悩む創作者の参考になれば嬉しい限りです。