強制的な「一斉」が実現するだけで解決する問題への考察

せぇのっ!

せーのっ!

せ~のっ!

いっせいのせ!

いっせいので!

一緒に、同時に!

一斉の……斉……で……

たったこれだけなのに、これが出来ない。

これが出来るだけで解決する問題が、世の中には沢山ある。

今回は、そんな話。

やる気のないマラソン大会同時ゴール裏切り現象

事前に約束して、同時に同じ事をする。

たったこれだけの事が、多くの場面で失敗する。

これは、約束を破る事で、破った方が有利に働く状況で起きる。

やる気のないマラソン大会の同時ゴールは、裏切る事で僅かに良い順位が手に入る上に、その事で責められる事が無く、失う物が無い。

仮に裏切って同時にゴールしなかったらグループをハブられたり、ボッコボコに殴られる事が分かっていたら、そんな裏切りは出来ない。

約束をしている人達がマラソン大会に対して真面目で無い事で、裏切りに対しての罪が軽く、僅かな順位の差も大して価値はない。

それよりも、裏切りによって慌てたり、競い合ってくる状況が面白く、裏切りに対して得しかない。

この同時ゴール裏切り現象は、微笑ましい事例だ。

問題は、これとベクトルや規模が違う事で、同じく裏切る方が得をする状況がある事で、様々な問題が解決しない事にある。

軍、銃、核……

世の中に存在する武器は、新しく生み出されたら不可逆性を持ってしまう。

核も、軍も、銃も、無い方が世界は平和だと誰もが分かっている。

だが、これらは、一斉に捨てたり、壊したり、解体したり、そう言った事が不可能な事によって、一度生まれれば強い不可逆性を持ち、世の中に一度概念が広がれば無くす事が難しくなる。

生まれた段階で不可逆性を持ち始めるが、世間に認知される前に秘密裏に闇に葬る事が出来れば、次に生まれるまでの間は一時的に封印出来る。

世間に認知されれば、それは余程の技術的ギャップが無い限りは、必ず真似をして作る事が出来る。

世界の誰かに認知されたら、もう手遅れなのだ。

だから、軍隊と言う戦闘を専門とする役割が農耕によって生まれたら、どの集団も軍隊を持つ様になったし、火薬で弾を打ち出す砲が生まれれば、それは世界中に広がったし、銃社会から銃を取り除くのは難しいし、原子力爆弾が発明されれば、それを握り続ける方が有利だと世界中が認識し、自衛の為に核の傘に入ったり、核開発を行う国は後を絶たない。

個別の行動は、失う物の代替品の用意か、強制力で実現出来る

一斉に行動するのは、そのままでは難しい。

約束を守らない事で得をする状況をどうにかしないと、必ず約束を破る人が出るし、約束を守ろうと言う人も不安で約束を信じられず、行動に移せない。

そこで、一斉に行動が出来ない事で起きる問題は、個別に対応する事で問題を整理する事が出来る。

例えば、核問題なら、核を持つ同盟国に守って貰うと言う判断がある。

自国で核を持たず、信頼のできる核所有国に守って貰う事で、核を手放す事が出来る。

この状況のメリットは、一点に問題を集中させる事で、少ない意思決定者の行動によって問題を解決出来る可能性が上がると言う点だ。

世界に200国程度国がある中で、現状は9国が核保有国で、他に開発や秘密裏の所持をしている国が幾つかある。

200の国が全て核武装したら、核を完全に封印したり破棄するには、200の同意が無いと不可能で、200の中の何%の国が嘘をつくか、全く読めない。

現状の実質的核保有国の10数国の場合は、その中で同意が得られれば理論的には良い(同意してくれない国があるかぎり不可能だが)。

だが、これが対立する2国程度にまで意思決定者がまとまれば、そこで同意が得られれば、少ない数の意思決定で意見をまとめられる事になる。

しかし、これは最後に残る2国の指導者や権力者が、信用出来る人物でないと、延々と対立が続く事になる欠点がある。

結局、不可逆性は強力で、問題の集約は出来ても、危険物が生まれる前の状態に戻す事は、実質的に出来ない。

そこで、個別の説得よりも強力な手段が、強制力だ。

強制力は、約束を破る事に対して、絶対的で容赦が無い損する状況を約束し、約束を強制的に守らせる状況を形成する事で実現出来る。

例えば世界にルールとして「銃を所持していたら死ぬ」と言う逆らえないルールが出来たら、銃を隠れてでも所持しようとするだろうか?

所持したら死ぬのだから、死んでも良い人以外は持たず、約束を破ったら死ぬしかない。

これで、銃社会は一瞬で崩壊するし、世界で銃の意味が変わり、捨てるしかない。

この強制力は、どこまで人為的に強制力を持たせるかと、約束破りがリスクしかない状況にするかがポイントとなる。

魔法でも無い限りは、人の約束破りに対する違反行動を自動的に裁く事が出来ない以上は、違反を見つけ次第、洒落にならない損が降りかかる様にしなければならない。

これは、約束を破って得られる物を相殺し、それよりも大きすぎる代償が設定される事で実現される。

例えば「銃の所持が判明次第、弁明の余地なく所持者の一族全員処刑」と言うルールならば、それが事実と実感を得れば、銃を隠れてまで持とうと言う人はいないだろう。

だが、そんな極端な事が難しい事にも理由がある。

強制力を持たせるには、約束を守れるだけの力を持っている必要があるからだ。

強制力には反発が起きる物

まず、何かを禁止する場合、それが無くなれば世界が平和になりそうだとしても、そこには大きな反発が生まれる。

例えば、銃を無くそうとすると、芸術品として、趣味として、産業として、文化として、権利として、等々の、真っ当な反発が起きる。

強制力を行使する場合、そう言った個別の反発に対して、本来の目的に抜け道を用意せずに、対処するか、無視する必要が出てくる。

武器の武器としてでない側面での所持を一定条件で認めるか、「うるせぇ!」と突っぱねて、全部一括で許さないかだ。

強制力には大きな力が必要

もう一つは、反発する人よりも大きな力を持っていないと、その物を封じる事が難しいと言う事だ。

例えば、銃でも、核でも、強制的に放棄させるには、放棄を拒否する人が禁止物を使って実力行使してきた時に負けがあり得ない実力差が無いと、反発を許す事になる。

数でも質でも、速攻完封出来る力が無いと、反発者は必ず出てくる。

強制力が、強い力を実態として持つには、勝負にならない力の差と、容赦ないルール遂行が必要だ。

強制力は正しい人以外が持つと危険

強制力は、ルールを守らせるには手っ取り早い。

だが、強制力は、ルールが正しく、遂行する人も正しい事が前提だ。

正しくない人が強制力を持ったり、悪用すると、対処が極めて難しくなる。

例えば、法律を把握し正義感溢れた警察官が犯罪に立ち向かうなら、市民の強い味方となるだろう。

だが、職権等の特権を乱用し私欲にまみれた警察官が市民を点数稼ぎに取り締まれば、市民はすぐには抵抗のしようがない。

結局、一斉の約束と同じで、約束を守り守らせる人が正常に機能しないと、約束は守られない。

では、一斉の約束が守られる事で解決する問題を解決するには、どうすれば良いのか。

どうすれば、人は善意を持って正しく機能しやすくなるだろう?

信頼出来る人

絶対に裏切らない、信頼出来る人とは、どんな相手だろうか。

要は、約束する相手が相互に、その状態にあれば、人の数が多かろうとも一斉の約束が果たされる可能性が高まる状態が形成出来る関係。

その条件を満たせなくて困っているわけだが、その条件を人は、どうやって満たそうとして来ただろうか?

多くの人がその拠り所に選んだのは、愛だ。

約束した相手と相互で愛しあっていれば、そこでは約束は守られる。

約束を破って愛を裏切る事が、得よりも大きなマイナスになるし、何なら自己犠牲的に与えたくなる事もある。

愛は強力なパワーを持っているが、広く誰にでも当てはめる事が難しい。

愛とは、良い特別扱いであり、全員に同じだけ向ける事が難しい性質がある。

誰かに愛を注ぐと、誰かへの愛は必ず目減りする。

愛は、決して万能ではない。

宗教

宗教は、上位存在と、守るべき約束を定める事で、長年人類をまとめてきた。

今も強力な力を持つが、愛と同じく、万能ではない。

宗教を一つにする事が出来ない以上、国と同じ様にグループでの対立を消しきる事は難しい。

共通の問題

共通の問題に立ち向かう場合、人は協力する。

仲間状態の人に裏切られると立場が危うくなる為、その状態では仲間に対して裏切り行為を取りにくくなる。

例えば、宇宙人が一方的に攻めてきて交渉の余地が無かったら?

人類同士の核戦争の危険性は、大幅に下がるだろう。

共通の敵を設定するのは、そう言う意味で役にたつ。

だが、人同士で争う場合は、東西で割れる様に、解決が難しい問題に発展してしまう。

そう言う意味では、コロナは共通の問題としては人類に強く機能していたが、コロナ自体の被害が大き過ぎたと言える。

被害が出るからこそ一つになったが、被害が出るのは嫌な物だ。

信用も信頼も出来ない人と約束を守る状況

代替品の用意も、強制力の行使も、一長一短。

人を信じる事は、かなり難しい。

ならば、相手が狂人とか、やばい方のサイコパスだとしても、約束が守られる様な状態を目指す方が、もしかしたら楽なのでは無いだろうか?

相手が自己中を極め、信じるに値しない人だとしても、一斉の約束が守られる状況は、どうすれば作れるだろうか?

自己中な人が約束を守るのは、約束を守る事に、約束を破る以上の得が約束されている状況は、外せない。

損得を乗り越えて、快感に走る状況を外す必要もあるかも知れない。

得はしないし、損しかないが、相手が嫌がり苦しむ姿を見たくて「てへぺろ」と言う選択を封じないと、信じるのは怖いかも知れない。

むしろ、高い確率で、約束を守った方が面白い、絶対に気持ち良いと言う状況を作らないと、実現は難しそうだ。

そんな状況、どうやって作れば良いだろうか?

約束を守った方が面白い状況

面白い方を人は選んでしまう。

例えば、マラソンで同着になると、嫌いな人が困る状況だったら?

性格が悪い人も良い人も、一斉の約束を守ってしまうだろう。

共通の敵を作るでも、協力するでも無く、得をするでも損をするでもなく、約束を守ったら面白い状況は、約束を守るに足る理由となりえる。

状況を狙って作るでも、利用出来る状況を見つけるでも良い。

約束を守った方が面白い状況は、相手が信じるに足るかの切り口を変えさせ、この状況なら信じられると言う行動に導く事が出来る。

銃社会で銃を無くすなら、銃を無くした方が面白いと誰もが考える状況を作った方が、自主的にみんな動きやすい。

問題は、どんな状況設定が、より多くの人を面白いと思わせられるかだ。

終わりに

「一斉」にみんなが約束を守って行動出来れば、すぐに解決する問題についての簡単な考察でした。

世の中、かなり多いです。

どの切り口で約束を守らせたり、状況を変えるべきかは、状況次第でしょう。

ですが「いっせいのせ」で全員が約束を守れれば即解決する問題なのに、延々と解決出来ないでいると言う事実が、人は科学が発達しインターネットで繋がり、どんなに進歩しても、実は昔から大して変わっていないのかもしれないと、面白くも切ないです。

結局、人が嘘を平気でつき、他人を自分の利益他の為に攻撃出来る生き物である以上は「いっせいのせ」で解決できる筈なのに、まるで解決出来ない問題は、延々とついて回るのかもしれません。

あるいは、AIが発達して神として世界を最適な形で管理する様になったり、地球人よりも遥かに高度な文明を持った宇宙人が管理する様になれば、あっさり解決するのかもしれません。

余談

世の中の不可逆性を考えて、UMAや宇宙人の円盤と言った物が、オカルトとして消費されて隠匿され続けているとしたら、それらが実現する場合に一般公開されて変化した世界とか想像すると面白いですよね。

逆に、世の中にある「いっせいのせ」で解決する問題は、実はオカルトや疑似科学だったと言える状況に持って行ける物であれば、無かった事に出来るのかもしれません。

一旦脚光を浴びたのに、ケチが付いたりして消えてしまった物の中には、本物が混ざっているかもと考えると、妄想が膨らみます。

ただ、モチーフとしては面白くて良いですが、陰謀論とかオカルトを事実みたいに扱うのは大変危険です。

1回のみ
毎月
毎年

一度だけ寄付する

毎月寄付する

毎年寄付する

金額を選択

¥500
¥1,500
¥10,000
¥500
¥1,500
¥10,000
¥500
¥1,500
¥10,000

またはカスタム金額を入力

¥

寄付していただきありがとうございます。

寄付していただきありがとうございます。

寄付していただきありがとうございます。

寄付月単位で寄付する年単位で寄付する
スポンサーリンク

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください