クライマックスまで激熱!
最高に刺激的で皮肉なアンチヒーロードラマ「THE BOYS」のシーズン3を見終えたので、感想をば。
ザ・ボーイズは、こんな物語
スーパーヒーローが実在するアメリカが舞台。
多くのヒーローは巨大企業に所属し、スポンサー契約をしたり、自警団の様な事をして活躍している。
テレビではヒーローが様々な番組で活躍を伝えられ、映画も作られ、賞賛されているのが当たり前の日常。
ある日、主人公のヒューイが、ヒーローのAトレイン(フラッシュのパロディキャラ)の不注意から、能力の高速移動時の接触事故によって、彼女を爆散させられる形で轢き殺される。
ヒーローの所属企業やヒーロー達の事故への対応に不信感を持ったヒューイの前に、ブッチャーと言う謎の男が現れ、ヒーローの裏に隠された真実をヒューイに伝え、ザ・ボーイズと言う反ヒーロー地下組織へと勧誘される事となる。
復讐の為にザ・ボーイズに入ったヒューイは、フレンチ―、M.M.ら能力を持たないがヒーローを狙う一般人と共に、ヒーロー界のトップであるヴォ―ト社に所属するセブンと呼ばれる7人のヒーローを倒そうと試行錯誤する事となる。
セブンは、
- ホームランダー(スーパーマンのパロディ)
- クイーン・メイヴ(ワンダーウーマンのパロディ)
- ディープ(アクアマンのパロディ)
- Aトレイン(フラッシュのパロディ)
- トランスルーセント(ファンタスティック・フォーのインヴィジブル・ウーマンのパロディ)
- ブラック・ノワール(恐らくデッドプールのパロディ)
の6人に加え、新人のスターライトを加えた7人で、スターライト以外の6人にはそれぞれ後ろ暗い秘密があった。
ザ・ボーイズは、最初にトランスルーセントを倒す事に成功し、謎の再生能力者キミコとスターライトを仲間に加え、Aトレインとディープも追い詰める。
戦いの中、ブッチャーの目的がホームランダーに妻をレイプして殺された事と判明するが、ホームランダーは自身の過去と向き合い暴走が加速、仲間でも気に食わなければ手にかけるようになる。
そして、ホームランダーがブッチャーの妻に息子を生ませた事を、ブッチャーに見せつけてシーズン1は最悪のまま終わる。
シーズン2では、ストームフロント(X‐MENのストームのパロディキャラ)を新たなセブンとして敵に加え、指名手配されたザ・ボーイズは更に過酷な状況へと追いやられる。
ブッチャーは妻を取り戻そうと動き、ホームランダーは息子との関係に悩む。
どうにかヴォ―ト社の力を切り崩そうとザ・ボーイズが情報を集め、作戦を決行する中で、予想外の事態が次々と起きていく。
ヴォ―トの経営者エドガーの暗躍、落ちこぼれたディープとAトレインの悲哀、ストームフロントの秘密、等々盛りだくさんだ。
最後にブッチャーが妻を取り戻そうとするが、ストームフロントに邪魔をされ、ブッチャーの妻とホームランダーの息子ライアンが母親を救おうとするが、力が暴走する事でストームフロントを倒す事に成功する物の、巻き添えを食らったブッチャーの妻は瀕死の重傷を負う。
ブッチャーは妻の最期の言葉を胸に刻み、ホームランダーからライアンを守る事を誓い、ホームランダーを手に入れた情報で脅し黙らせ、シーズン2は幕を閉じる。
シーズン3は、こんな感じ
シーズン2でホームランダーを倒せなかった物の、弱みを握って痛み分けに持ち込んだザ・ボーイズは指名手配からも解放されて平和な時間を過ごしていた。
だが、ブッチャーは妻とホームランダーの息子ライアンをホームランダーの手から守り切る為にはホームランダーを殺さなければならないと密かに動き、ホームランダーもライアンを取り戻そうとチャンスを伺っていた。
ホームランダー打倒に賛同したクイーン・メイヴはブッチャーと協力し、1日だけ超能力者になれる薬を手に入れるが、ホームランダー戦の決定打に欠けていた。
そんな時、ホームランダーを倒せる武器の存在を知り、ザ・ボーイズは死んだと思われていた伝説のヒーローであるソルジャー・ボーイ(キャプテン・アメリカのパロディキャラ)と出会う。
ソルジャー・ボーイは自身の中にある核エネルギーを操れる上に、更には能力者の能力を消し去る能力まで持っていた。
目的の為にソルジャー・ボーイを仲間にしようとするブッチャー。
だが、能力者になれる危険な薬の使用への不信感や、ソルジャー・ボーイに家族を殺された過去がある事でM.M.が離反、更に事故からキミコをソルジャー・ボーイに傷つけられた事でキミコとフレンチ―も離反してしまう。
ヒューイを心配するスターライトも賛同出来ずにザ・ボーイズを抜け、ザ・ボーイズが二分されてしまう事態に。
一方でソルジャー・ボーイは、かつて所属していた伝説のヒーローチームであるペイバックに裏切られて、それから施設で実験体に長年されていたので、ペイバック殺しを手伝う事を条件にホームランダー抹殺をブッチャーと約束する。
結局、ブッチャー、クイーン・メイヴ、ソルジャー・ボーイの3人でホームランダーを倒しに行くが、ホームランダーがライアンに対して父親としての在り方を示す事でライアンがホームランダーの手に落ちてしまう。
更に、ソルジャー・ボーイがホームランダーの父親でライアンの祖父である事からソルジャー・ボーイが裏切るかに思えたが、ソルジャー・ボーイはライアン共々ホームランダーを殺そうとする。
ライアンを傷つけられた事でブッチャーがホームランダーと一時休戦し、共にライアンを守る為に戦うかに見えたが、混戦の中でクイーン・メイヴとホームランダーが、全員集合したザ・ボーイズとソルジャー・ボーイが戦う事となり、ソルジャー・ボーイの無力化に成功する。
だがライアンは、守ろうと遠ざけるブッチャーよりも、自分を求めるホームランダーを選んでしまい、ザ・ボーイズの作戦は失敗に終わる。
その後、失脚したエドガーの娘ニューマンがホームランダーと取引をして副大統領候補になり、ディープとAトレインは、セブンに復帰した物のそれぞれ自分の選択の間違いを悔やみながらも身動きがとれなくなっていくのを感じる。
シーズン3の見所は、やっぱりブッチャー
何といっても、ブッチャーが最初から最後まで最高に良い。
結局、残り寿命が激減してまでして、脳味噌を耳から垂らしながら戦ったのに得られた物は殆ど無い様な状態だが、ザ・ボーイズが一つになった事は良かったし、確実に敵が減っている点では成果はある。
シーズン3では、ソルジャー・ボーイの再封印も成功し、ホームランダーの手駒は実質的に悪魔に魂を売った様な状態のディープとAトレインと言う二人ぐらいの物でセブンは残り3人となった。
ライアンを奪われた点では相当痛手なシーズンだが、ライアンを守る為にブッチャーとホームランダーが一瞬手を組むシーンは、3シーズントータルの中でも屈指の盛り上がりを見せる名シーンだろう。
亡き妻の為に命をかけ続けるブッチャーだが、今回は精神攻撃によってヒューイの事も相当大事に思っている事が分かりヒューイを守ろうと動く所も、すっごい良かった。
フレンチーとキミコは癒し枠
なんだかんだで超有能なフレンチ―とキミコのコンビは、今シーズンも最高にキュートでいかしていた。
お互いを大事にし合う二人の姿は延々と尊いし、妄想でミュージカルやったりとお茶目な中身なのも可愛い。
シーズン3内で、何度も命の危機に陥った二人だが、お互いをかばい合いながら乗り越えていく姿は見ていてヒヤヒヤする物の、本当に幸せになって欲しいし、幸せな二人の時間は出来るだけ長く続いて欲しいと本気で思える。
過激な下ネタも笑える
シーズン1でトランスルーセントを倒す為に、外からの攻撃に強かった為に尻の穴に爆薬を入れて内部から吹き飛ばしたのは、結構な衝撃だった。
シーズン3では、尿道にアントマンのパロディキャラが入って誤って巨大化して人の下半身が爆散したり、キミコがディルドーで暗殺仕事をしたり、ヒーローガズムと言うヒーロー主催の超能力者が集まる乱交パーティが描かれ、そこに潜入する事になったりと、シーズン2で登場したラブ・ソーセージがまさかの再登場をするとか、とにかく悪ふざけみたいな設定やネタが満載で、下品なのだが笑える。
当然、一緒に見る人は選ぶ。
魅力的なクソ野郎達
本作は、クソ野郎率が非常に高いが、それでもとても魅力的なのが素晴らしく良い。
ホームランダーなんて、自己中で、良いかっこしいで、短気で、小物で、殺人鬼で、マザコンで、レイプ魔で、権力と人気大好きで、と言う悪の煮凝りみたいな存在なのに、クソ野郎なりの理屈や不幸がしっかり描かれ、人として好きにならずとも悪のキャラクターとしてとても魅力に溢れている。
ディープやAトレインもクソ野郎だが、被害者としてコメディリリーフとして面白く、ホームランダーのパワハラに耐える姿や不幸な目に遭って落ちていく姿は見ものだ。
ブッチャーもクソ野郎だが、仲間や妻とライアンの為に必要悪を演じる意味では正義の味方を貫いている姿勢はカッコいい。
ソルジャー・ボーイもクソ野郎だが、マッチョで暴力的で差別的な強い男像を体現した様な存在で、俳優のジェンセン・アクレスのルックスと演技によって性格の悪いキャプテン・アメリカとしてレベルの高い仕上がりとなっている。
誰も彼も、近くにいて欲しいタイプでは無いし、友達にもなれないだろうが、物語の登場人物として大きな魅力があった。
終わりに
長くて1年半の寿命となってしまったブッチャーは、ライアンをホームランダーの手から救う事が出来るのか。
アメリカを操ろうと目論むニューマン(エドガーの娘で、人の頭部を破裂させる能力者)とヴォ―ト社の野望をザ・ボーイズは止められるのか。
シーズン4が確定しているが、とても楽しみだ。
下品で、暴力的だが、最高に刺激的でメッセージ性が高いドラマなので、未視聴で興味を持った人には強くおススメしたい。