【レビュー】10パーセントの力で描く はじめてのジェスチャードローイング【書評】

見た目より印象を捉えて描く!

10パーセントの力で描く はじめてのジェスチャードローイング

砂糖 ふくろう (著), 平谷 早苗 (編集)

話題の「ジェスチャードローイング」をはじめてみませんか?

「描くことのハードルをぐんぐん下げる」と大反響
砂糖ふくろう氏による「はじめてのジェスチャードローイング」講座が、1冊の本になりました。

ジェスチャードローイングのよいところ
-楽しく続けられる
-人の全身が無理なく描けるようになる
-描いた人体が生命感を持ち始める
-ラフを短時間で描けるようになる
-いつでも、どこでも描けるようになる

モデルの写真とともにDEMOや作例も豊富に掲載。
具体的な描き方、考え方、手順もわかります。

はじめて人物の全身にチャレンジする方にも
好きだったはずの絵を描くことがちょっと嫌になってきてしまった方にも
お勧めの1冊です!

著者について

砂糖ふくろう:京都芸術大学 客員教授。オンライン・オフラインで数多くの講座に登壇。学生からプロからまで広い層にジェスチャードローイングを教える。
出身校は、茨城工業高等専門学校。総務事務、工場勤務、IT 関連の営業、アンティーク家具の倉庫管理などたくさんの職業を経て、2010 年からイラストレーター兼漫画家として独立。2010 年、本格的に絵を描き始める。

  • 出版社 ‏ : ‎ ボーンデジタル
  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/9/23
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 大型本 ‏ : ‎ 168ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4862465366
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4862465368

ジェスチャードローイング講座の入り口

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目次は、実際は更に細かく章内が分かれているが大きく見ると

  • プロローグ……7
  • パート1:ジェスチャードローイングとは?……15
  • その1:ジェスチャードローイングを続けると、どんな効果があるの?……17
  • その2:ジェスチャードローイングをすると、何ができるようになるの?……35
  • その3:ジェスチャードローイングって、どう描くの?……44
  • パート2:実践!丸と線で描く……63
  • 簡略化してとらえる……64
  • 「名詞を描く」から、「動詞を描く」へ……78
  • CSIで印象を描く……87
  • パート3:実践!球と円柱で描く……101
  • 丸を球に……102
  • 球体で頭を楽に描く……107
  • 脚の関節……123
  • まとめ……128
  • おわりに&ドローイング例……129

と言った感じになっている。

その中で本書は「10%の力」=「トイレでカレンダーにラクガキするぐらいの力」で、ジェスチャードローイングを身に着ける為のハウツーが丁寧に記されている。

ジェスチャードローイングとは?

本書でジェスチャードローイングとは「アクション・感情を描きとめるアイディアスケッチ」と、定義している。

ルールに縛られて具象的な、解剖学やパースや重心と言った、理論的で客観的な冷たい技術は、絵を構造面を支えている。

一方で情熱や感情やインスピレーションと言った抽象的な、感情的で主観的で熱さがある想いこそ、絵の魅力を支える。

だが、多くの人は、主観的な想いを絵に込めたいのに、客観的な理論を勉強して、客観的な絵の描き方を上達させるが、そこに肝心の”主観を載せる事を忘れる”時がある。

そこで本書では、主観を絵にする方法をジェスチャードローイングとして客観化し、それを伝授する物となっている。

ジェスチャードローイングとは、描画者の主観世界を絵に落とし込む、そんなアプローチのドローイングと言える。

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【good】自転車に乗る様に日常的に描けるように

ジェスチャードローイングを習得する上で、とにかく数を描く事が推奨されているのだが、本書の教えは、絵を描く事に気楽さや高いモチベーションが無い人にも、非常に優しい。

あらゆる方向から、単純化、簡単化、練習の継続可能性のアップを図り、無理なく「トイレでカレンダーにラクガキするぐらいの力」で練習を続け、早ければ数ヶ月、遅くても数年で、継続さえしていればジェスチャードローイングと言う手法での画力向上を後押ししてくれている。

また、筆者の失敗談や、一皮剥けた体験談、どんな練習をしたか、練習量はどの程度だったか、そう言った事を細かに開示してくれているので、そう言う意味でも良い刺激と目標となってくれるだろう。

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【good】適格で絞った上達に繋がるポイント

本書では、ジェスチャードローイングを描く時に守るべきルールを課し、それによって本書に従えば上達のルートに乗れる様に誘導してくれている。

それが、

3つの縛り、

  • 短時間で描く
  • 詳細を追わない
  • 全身を描き切る

3つの大切

  • ラフでOK
  • ワンストロークを大切に
  • 失敗上等

そして、LoA(ラインオブアクション)やCSI(線の基本形3種)、球と円柱等と言った、上記を実現するのに役立つ骨子となる考え方だ。

最初から最後まで、徹底して10%の力だけで継続的に、やろうと思えば誰でも出来る技術と練習法に絞った教えは、広く網羅的に最後まで教え切るタイプの内容ではなく、確実に絵を描ける入口に辿り着ける様に案内する様なスタンスと言える。

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【good】気遣い上手

ジェスチャードローイングの入り口として、本書は非常に分かりやすく、良書だ。

それを後押ししているのが、著者による気遣いの嵐である。

謝辞、目次、説明、あらゆる所で読む人をしっかり想定しているのは勿論だが、少数派へのフォローが多く入る。

この気遣いの鬼とも言える姿勢が、初心者に向けたジェスチャードローイングの解説と上手く噛み合い、説明の切り口がどれも、優しく、分かりやすく、それでも分からなそうな人にも伝わる様に、更に、仮にダメだった人も気持ち良く本を閉じられる様に書かれている。

帯に「日本が元気に明るくなる一冊!」とあったが、その点では偽りなく、技術的な噛み砕き方だけでなく、心遣いまで優しい本と言える。

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本としての評価は?

定価2860円、本来2600円。

作者によるイラストやジェスチャードローイング図が、ほぼ全頁に展開。

そのリファレンス(資料)も、非常に量も種類も豊富。

良い意味でおどけた内容での、どこまでも優しい168ページ。

でも、中身自体は非常に確かな物で、ジェスチャードローイングを学びたい、絵を描く事を気軽で楽しい物に変えたいなら、納得の内容だ。

価値を分かってない状態の中身のパッと見では価格が高いと感じる人もいるかもしれない。

だが、価値を分かった状態で見れば、値段相応から、安いとさえ感じられる良書と言えるだろう。

「ロン・ハズバンドが教えるクイックスケッチ」や「リズムとフォース 躍動感あるドローイングの描き方 (フォースドローイング) 」等と同系統の内容だが、本書の方が後発かつ初心者向けに噛み砕かれている為、それらの書籍内の説明でハウツーを掴み切れなかった人でも、別の切り口の説明で腑に落ちる助けになる所もあるかもしれない。

このレビューが本書を購入する検討材料や参考になれば幸いです。

本書発行元リンク:株式会社ボーンデジタル

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