独特なテイストの作品
ネットフリックス配信ドラマ「ウィンクス・サーガ:運命 シーズン2」を見終えたので感想を。
個人的に合わなかったし、色々ツッコミどころが凄い。
と言うか、シーズン3決まってるらしいけど、ファンの人的に、この作品ってどうなの?
ウィンクス・サーガとは?
本作は、元々はイタリアで放映されている7歳ぐらいの女児向けテレビアニメ作品をベースに、実写化とティーン向けにセッティングされた、少し変わった作品である。

原作設定も一部引き継いでいる物の、大半は実写オリジナルとなっている為に、本作だけ見て全く問題無い作りだ。
肝心の内容は、結構問題だらけだ。
シーズン1あらすじ
ブルームは、自分がアメリカに住む普通の人間だと思っていた。
ある日、感情が高ぶった事で魔法を暴走させ、火事を起こしてしまう。
母親に大火傷を負わせてしまったブルームは、魔法を学べるアルフィアと言う寄宿学校の校長に声をかけられ、入学する事となる。
アルフィアは、通う生徒の半分が妖精で、魔法を学び、半分がスペシャリストと呼ばれる戦士養成プログラムを受ける、アザーワールド(魔法世界)の学校だ。
ファーストワールド(地球)出身の生徒が通うのは珍しい事らしい。
ウィンクス寮で、属性バラバラの癖強いルームメイトに囲まれながらの新しい生活が始まるかと思いきや。
長年姿を見せなかった古の怪物バーンド・ワンが現れ、殺人事件が起きてしまう。
危機的状況に陥ったアルフィアを、仲間達と共にブルームは守る事が出来るのか?
シーズン1ネタバレ
出自を気にするブルームは、仲間達との交流を通して、自身がドラゴンフレイムと言う最強格の竜の火の妖精にして、チェンジリングと言う子供を入れ替える被害者である事を知る事となる。
そして、両親と血が繋がっていなかった事実に苦しむ。
ブルームを学校に呼び寄せたダウリング校長は、実はブルームの事を知っていて、密かに見守っていた事が分かる。
同じ頃、生徒として入学し校内で暗躍するビアトリクスは、バーンド・ワンを操り騒ぎを起こしながら、前アルフィア校長にして、かつて軍の指揮官でもあったロザリンドの復活を画策していた事が分かる。
紆余曲折の末、ブルームはバーンド・ワンとの戦いで力が覚醒し、バーンド・ワンを退ける。
しかし、それらは復活したロザリンドによって16年前から仕組まれていた計画である事が明かされ、ダウリング校長がロザリンドによって始末され、ロザリンドが新校長に就任する。
シーズン2あらすじ
行方不明と言う事になったダウリングの後を継いだロザリンドによってアルフィアが支配され、アルフィアだけでなくソラリア(アザーワールドにある7つの国の一つ)を含め、過激派のブラッド・ウィッチ(アザーワールド内で邪悪な魔法を使うとされる人々)との戦いに備え始める流れとなる。
そんな時、再びアルフィアで事件が起き、スクレイパーと言う巨大なヒルの様な怪物が発生し、生徒を襲い始める。
仲間達と共にブルームは事件を解決する事が出来るのか?
シーズン2ネタバレ
徹底した秘密主義のロザリンドによって、ロザリンド以外の全員が疑心暗鬼の中で話が進む。
ロザリンドが敵か味方かもわからないまま、みながロザリンドを怪しんでいた所で、ロザリンドが今回もブラッド・ウィッチと戦う為に準備をしていて周囲に勘違いされていた事が分かってくる。
ロザリンドは、一貫して対ブラッド・ウィッチの為に動いていて、その為に邪魔な者は敵でも味方でも排除していた。
あまりにも怪し過ぎたロザリンドと戦う為に、協力する形で仲間となったセバスチャンこそがブラッド・ウィッチと分かり、セバスチャンはロザリンドが滅ぼしたアスター・デルと言う村にいた殺された家族や仲間を生き返らせる為に魔法を求めて暗躍していた事が判明していく。
ブルームはロザリンドが敵か仲間か分からないままだったが、ロザリンドがダウリングを殺した事を知りロザリンドを殺してしまい、懲役20年の刑期を言い渡されるが、脱獄する。
セバスチャン達は仲間を生き返らせる為(闇の王国から何か凄いのを呼ぶ為?)に闇の王国とのポータルを繋げるが、邪魔をしにきたビアトリクスを殺してしまい、ビアトリクスの敵討ちにブルーム達はセバスチャンを殺す。
セバスチャンが開いたままにしたポータルが危険だと言ってブルームは闇の世界に一人で行き、ポータルを閉じ、そこで実の母親と再会を果たす。
全体的に、キャラクターの処理が雑い
ブルームと同じく、自分の出生を気にしていたらしき、影の主人公的に暗躍し続けていたビアトリクス。
シーズン1では、少なくともロザリンドの命令で動いていたのが分かるが、シーズン2だとセバスチャンに協力する振りをして情報を引き出しつつ、唐突に邪魔をして殺されて、みんなの敵討ちの山車にされてと、退場。
そんなビアトリクスを操っていたロザリンドも、ブラッド・ウィッチを殺す為なら邪魔者は全員排除する姿勢でいたら、ブルームに焼き殺されて退場。
ブルームがロザリンドを焼き殺す原因となったダウリングは、計画の邪魔だとばかりにロザリンドに殺され、精神体を残しこそしていたが、あっけなく退場。
ロザリンドの手足となって暗躍していたビアトリクスの師匠で親代わりのアンドレアスも、実の息子であるスカイに、育ての親であるシルヴァとアンドレアスの過去を彷彿とさせるようで全然違うシチュエーションで操られた末にスカイに殺され退場。
とにかく、どのキャラクターも変な歯切れの悪さを持ったまま舞台から退場していく。
多少は好みの問題もあるが、かなりのマイナス点に感じた。
ずっと気になる16年前の事件
シーズン1時点では、明かされるのだろうと言うメインの謎の一つ、16年前のアスター・デルのブラッド・ウィッチ虐殺事件。
ロザリンドがダウリング達を騙して虐殺した事で、ダウリングがロザリンドを16年間も幽閉し、シルヴァがアンドレアスに殺されかける事態となっている。
なのに、ロザリンドが秘密にして騙して皆を動かす理由が劇中で弱く、その時点で16年と言う結構長い時間を、くっだらない行き違いで幽閉されていた疑惑が延々と残る。
ブラッド・ウィッチって、結局なんで駆除対象なの?
これよ。
ダウリングも、ブラッド・ウィッチならしょうがないみたいな態度だった。
しかし、登場するブラッド・ウィッチは、特に独自に悪い事をしようと言う感じでは無い。
色々と劇中では、まあ、やっているんだけど、世代とか相手的に、やり返している様に見えてしまう。
16年前の事件も、1000年前に封印されたドラゴンフレイムの妖精(ブルーム)を見つけだし、何かをしようとしていたのを阻止された、っぽい事が触れられているが、肝心の悪行や禁忌を破る行為が、実際に描写されておらず、劇中で事件を起こしたのも基本はロザリンドへの抵抗であり、復讐であり、仲間を生き返らせる為であり、と目的が色々あるが、ブラッド・ウィッチの動機は非常に分かりやすい。
ブラッド・ウィッチが過去に何をしたから「ブラッド・ウィッチ殺すべし! 慈悲は無い!」な状態なのかがハッキリとは分からず、もやもや。
あくまでも、テロリスト的な事なのかな?
かたき討ちの為なら殺しはOK?
劇中で、ブルームはダウリングの敵討ちにロザリンドを殺して懲役20年を喰らい、ロザリンドと同じ様に幽閉されかける。
その後、仲間達によって脱獄し、何となく有耶無耶にされた状態でセバスチャンに協力し始め、セバスチャンがビアトリクスを殺した事でセバスチャンを仲間達と殺害し、と、ティーン向け作品で、異世界とは言え法治国家の学校を舞台にしているのに、敵だけでなく主人公サイドまでカジュアルに殺しては、有耶無耶のまま話が進む。
この辺の処理が、すっごく気持ち悪く、ロザリンドの秘密主義設定と同じぐらい、喉に刺さった魚の小骨みたいに引っかかる。
不愉快な大人達
登場人物が、子供から見た世界の大人と、嫌なリアリティのある子供達で構成されていて、キャラクターとして愛する事が出来る様な属性の登場人物が、かなり少ない。
シーズン1では、ダウリング校長、シルヴァ先生、ハーヴェイ先生と、まだ「裏はありそうだけど、根は良い人」って感じの大人達がいたし、ブルームの両親は普通に良い人達だったのに対して、シーズン2では人格的に問題を抱えた状態の人以外は場に残らず、ややギスっている。
特に、ステラの母親でソラリアのルナ女王は一貫して感じが悪く、嫌な奴なのだが現時点では悪者と言う訳ではなく、なんとも微妙な関係だ。
癖の強い仲間は、悪くない、が
高慢な姫、良い子しいのチクリ屋、ウザいお喋り、いつもヘッドホンつけてるコミュニケーション嫌い、ちょい悪と、必ずしも良い印象スタートで無い仲間達が多い物の、大人達と比べると良い部分も出て来て、子供達の方が、まだ魅力的だ。
魅力的なのだが、若者故の至らなさの表現なのか、キャラ付けなのか、好き嫌いが割れそうな欠点を抱えたまま話が長く進み、気に入ったキャラの方が少なく感じた。
物語の大半に流れる「誰が敵で、誰が味方か」は、面白い、のだが
本作は、犯人があらかじめ判明した状態でハラハラ見ながら行くサスペンスパートと、犯人がそもそも分からずに事件が起きていくミステリーパートとあり、面白いと感じたのは、どちらにしても、犯人が分かってようが分かっていなかろうが、そいつが味方なのか敵なのか曖昧な時間が異様に長い。
だから、同級生や先生が人殺しと分かった状態で、平然と日常が継続する為、独特な雰囲気が作品に流れている。
これは、ロザリンドやビアトリクスに明確で強烈な動機が設定されていれば、かなりプラスに働いたかもしれない要素だと感じた。
ステラの尊厳破壊イベントは、正直好き
ソラリアの姫であり、傲慢で危険なルームメイトかと思いきや、実は仲間思いで国宝を初対面の相手に同情から貸しちゃうぐらいの優しさを持っているステラ。
テラに毒舌を吐きつつも、仲良しだったり、親に反抗したり、分かりやすく可愛い部分があるキャラだ。
王女に反発しつつ、認めて貰いたい姫と言う立場のせいか、ルナ女王やロザリンドと公の場で対話での対決をするシーンが何度か用意されているのだが、見ている側としては「絶対負けそう」と言う状況に仲間の為にと用意も不十分に乗り込んでいき、基本的にボロ負けして悔しい思いを重ねていく。
なのだが、この尊厳破壊イベントは、毎回負けている物の、ステラが仲間の為に果敢に強敵に立ち向かう姿勢を示していて、キャラの好感度としては、非常にプラスに働いている。
シスター戦士の教皇が神の雷を喰らうのと状況的には似ていて、見ていて「やめたげてぇ!」と言う気分になるので、とても良い。
ステラは、友人失明事件やスカイとの恋人解消とか、キャラのエピソードにしっかり区切りが付いているし、成長も見えるので、実は相当優遇されている。
恋愛描写は、ティーン向け
劇中の学生達は、やたらと盛っている。
直接的な表現こそないが、やたらとベッドに行ってイチャイチャしているシーンがあり、ホラー映画なら死亡フラグと言う感じ。
なのだが、見ていてドキドキする様な恋愛と言うよりは、恋に友情に悩みの一貫と言う感じで、面白みに繋がるシーンが少ない。
大半は、ベッドインした直後に邪魔が入るか、異変に気付いて行為が止まるかで、その辺も「またか」ってなる。
終わりに
本作は、大きなツッコミどころを複数抱え、設定的には非常に微妙だ。
しかし、解決されないが「どう解決するんだろう」と言うパートのドキドキは一応楽しく、要は、途中までは楽しめるが最後が酷い系の作品と言える。
シーズン3が決まっているので、そこで全部を解決する可能性もあるので、あくまでもシーズン2まで見ての感想である。
正直、非常に微妙な作品と言わざるを得ない部分が多い。
原作ファンでも無いし、視聴層でも無い人の意見だけどね。
だが、癖の強い学生達の友情をメインにして見ると、楽しいパートも結構あるっちゃある。
個人的には、最終的に印象が良かったキャラは、やっぱりステラかなぁ。
シーズン3が来たら見るかもだが、何も解決しなかったら酷評待った無しだと思われる。
ブルームが1000年時間凍結されてたとか、ブルームの母親が1000年前の英雄と言う設定とか、どれぐらい活かした続きが見れるのか、期待は現状してないが、注目しておく所存だ。
追記
打ち切りらしいです。
シーズン2の内容を見ると、まあ、打ち切られるのもやむなし。
総評としては、無理に見る必要無しな作品と言わざるを得ない。
実際、酷かったしね。
“【ネタバレあり感想】「ウィンクス・サーガ:運命 シーズン2」を見ました。” への1件の返信