【物語理論】物語で本当に描き伝えたい事は、まず逆の状態を描くべし

一度、逆状態を描くからこそ、真に描きたい事が伝わる?

創作をする際、自分が描きたい事・物・者が分かっているだろうか?

では、分かっている人に聞きたい。

描きたいテーマやモチーフを創作の中で表現する際、どうしているだろうか?

もしかして、描きたい事物の完成された状態を描いてしまって無いだろうか?

絵や彫像で描く・形作るなら、それで良い事もある。

問題は、物語での事だ。

もし、描きたい事物を、そのままストレートに描き出す場合は、それはもしかすると、間違っているかもしれない。

描きたい事物は、理想形だろうか、変化の過程だろうか?

ここで変化の過程を描きたい場合は、大丈夫だろう。

問題となるのは、理想形こそ描きたい場合だ。

理想形とは、完成形であり、物語で言うと変化後の状態だ。

物語が主人公の問題解決行動によって、状態の変化を描き出すと言う普遍性を持っていて、理想形を描きたい事物の大半は、変化後に該当する。

変化後こそ描きたい事物であるなら、当然、変化前が必要になる。

だから、物語の場合は、描きたい事物の、逆の状態をまず考える必要があると言うわけだ。

理想形の逆を探す

もし、あなたが物語の中で描きたい物を、理想形や完成形として認識しているなら、その逆の状態を描く必要がある。

理想形は、それだけだと完全無欠で面白く無い可能性がある。

物語とは、欠けている物が完全な形になっていく過程を描く様な物だ。

最初から完全な物は、どこにも完成していく変化が無く、それでは劇的な変化が起きない。

理想形を描く為には、理想とは程遠い状態で描き始め、それが物語の経過と共に、主人公の行動によって徐々に理想に近づいていく必要がある。

その為には、理想の逆を考える必要がある。

描きたい物の逆の状態を、どうすれば描きたい状態に出来るか、どうすれば描きたい状態にいかせないかを考えるべし、と言う事だ。

  • スポーツが上手いシーンを描きたいなら、下手なシーンを描く
  • 甘々な恋愛を描きたいなら、険悪なシーンを描く
  • 正義を描きたいなら、悪が栄えるシーンを描く
  • 優しい世界を描きたいなら、世知辛いシーンを描く
  • 殺人を描きたいなら、生者を描く
  • 平和の大切さを描きたいなら、戦争を描く
  • 仲間と旅するシーンを描きたいなら、一人のシーンを描く
  • 優秀な人物を描きたいなら、無能な人物を描く
  • 美しい物を描きたいなら、醜いシーンを描く
  • 愚か者を描きたいなら、優秀な人を描く
  • ハーレムを描きたいなら、ハーレムを望まない状況を描く
  • もてもてを描きたいなら、ぼっちを描く
  • カッコイイを描きたいなら、カッコ悪いを描く
  • 救いを描きたいなら、絶望を描く
  • 許しを描きたいなら、罪を描く
  • 奇跡を描きたいなら、科学を描く

逆の持つ方向性や、何が逆なのかには、絶対の正解は無い。

だが、見ていて明らかに逆の状態にあると分かりにくければ、それは機能しない。

理想形に抵抗する仕組みで、不完全を維持する

不可逆な変化を描くと、それは戻す事が出来ず、完成してしまう。

理想形に辿り着くと言う事は、それ以上の変化を望めないと言う事で、それは物語の終わりを意味する。

そこで、その状態を避ける為には、遠い理想に少しずつ近づくと言う手法と、それ以外に、近い理想に近づくが引き戻されると言う手法がある。

前者は、過酷な長旅や登山の様な物で、描き切るには、相応の計画性が必要になる。

場合によってはコストや根性も必要だ。

一方で、後者は、綱引きの様な物で、大きな事をせず、一進一退を描ければ良く、事前の道程プランを練らずとも、一進一退を産み出す、理想形に至る事を抵抗する仕組みを作ってしまえば、その仕組みを利用している限りは、延々と続けることが出来る。

例えば、前者の作品は「ワンピース」や「指輪物語」と言った、壮大な旅を描くのに使われている。

一方で、後者の作品は、記事執筆時に大きな話題となっている「お兄ちゃんはおしまい」と言った作品で使われている。

この、後者の作品で使われる、理想形に抵抗する仕組みを作るには、作者が描きたい理想形に対して、そこに至らない様に、登場人物達が邪魔をする動機をもっていて、綱引き状態が拮抗し続ければ良い。

「おにまい」の場合は、理想的なTS美少女を描く為に、TSによる美少女化に必死に抵抗するお兄ちゃんと言う主人公によって状態の急激な変化に抵抗が加えられ、綱引きが延々と続く事で面白おかしく様々な事件が次々に起きていく。

作者の理想に抵抗する負け確定キャラが物語の中心にいる事で、作者は自分の理想を実現する為の状況を次々と描きつつ、ゴールに辿り着かずに真に描きたい事物を描き続ける事が出来るわけだ。

この、作者の理想形に抵抗する仕組みさえ思いつけば、様々なテーマで、この綱引き状態を作る事が出来る。

その際、重要となるのが、やりたくない事とやりたい事が絡み合った状態でデザインされる事だ。

あたりの記事が、更に深く理解する参考になるだろう。

ちなみに、「おにまい」の場合は、男性や兄と言う旧来のアイデンティティが崩壊すると言うネガティブと、美少女体験と言うポジティブの綱引きで、主人公は基本的に葛藤していく。

終わりに

理想形の逆状態を面白く描く事が大事、と言う話でした。

徐々に理想形に近づくか、理想形と不完全の間を行ったり来たりして理想形を断続的に描くか。

変化の際に起きる化学反応こそが、理想形を輝かせ、本物にします。

最初から理想的な物は、完璧すぎて、そこまで面白くありません。

女性向け作品やネットミームでイケメンがヒロインに「おもしれ―女」と好意を抱くのは、ヒロインが人間的に面白い人柄だからでは無く、大抵の場合は、他の女性と違ってイケメンをイケメンと言うラベルで無く一個人として対等に見る事がイケメン側から分かり、イケメンからする理想の女性への変化に対しての評価です。

イケメンが最初から理由なくヒロインの事が好きとか、見た目で最初から好きとかでは、理想のイケメンは描けません。

理想的イケメンとの恋愛を描くなら、主人公がイケメンが求めてやまない行動を取る事で、イケメンから唯一の恋愛対象だと関係の変化を宣言されると言う、理想形への変化描写が必須なわけです。

これは、新年から阿鼻叫喚を巻き起こした「機動戦士ガンダム水星の魔女」のグエルくんの求婚までの流れも同じで、だから12話で地獄を見るまで、ファン達はグエルくんを熱心に応援しましたし、これから先もグエルくんが理想に辿り着く事を祈って応援し続けるでしょう。

理想の逆です。

まず、理想の逆を描くのです。

ちなみに、そもそも描きたい物が「変化の過程」と言う場合は、理想の逆を描く事は含まれているので、問題無いので、そのままどうぞ。

この記事は、理想的な理想形を描こうと足掻いて来たけど、描いている筈なのに、なぜか描けないと言う、理想直接描写によって物語を紡ごうとしている無謀な人に向けた物です。

物語では理想の逆を描く事で、ようやく理想を描く事が出来ます。

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