幽霊より怖いのは人間の業
ネットフリックス配信ドラマ「ロックウッド除霊探偵局」を見たので感想をば。
シーズン1だから謎だらけだけど、割と楽しめたかな。
ロックウッド除霊探偵局とは?
Wikipediaによると、イギリスの小説家ジョナサン・ストラウドによるホラーとミステリーのファンタジー小説との事。
原作小説は、
- 『The Screaming Staircase』(2015年)
- 『The Whispering Skull』(2015年)
- 『The Hollow Boy』(2015年)
- 『The Dagger in the Desk』(2015年)
- 『The Creeping Shadow』(2016年)
- 『The Empty Grave』(2017年)
と6冊ぐらい出てるっぽい。
あらすじ
幽霊が実在し広く認知されている世界。
母親に無理やり除霊探偵局で働く様に仕向けられたルーシー・カーライルだったが、そこで仲間を手に入れた。
しかし、情報不足と監督者の怠慢によって起きた事故により、仲間の4人が死亡し、親友は霊障で廃人となる。
ルーシーは正義と事実を訴えたが、事故は汚い大人達によってただの事故として処理され、大人達にとって邪魔だったルーシーが責任を全て擦り付けられる。
生き地獄に耐えかねたルーシーは、親友との夢を思い出し、ロンドンへと家出をする。
毒親から逃げ、除霊探偵局からも認められない立場となったルーシーには、ロンドンでは働き口が無い。
途方に暮れる中、最後の望みを託す様に訪ねた小さな除霊探偵局。
そこは二人の少年が運営する、大人不在の、かなり変わった除霊探偵局だった。
ロックウッド除霊探偵局のリーダー、ロックウッドに面接され能力を認められたルーシーは、無資格状態のまま雇われる事となる。
しかし、当面の当てが付いたと思った矢先、初仕事で除霊する家を燃やしてしまい、6万ポンドの借金を抱え、ロックウッド除霊探偵局自体が存続の危機に立たされる。
期限は2週間。
それまでに6万ポンドを用意しないと、ルーシー、ロックウッド、ロックウッドの相棒ジョージの3人は無職となってしまう。
3人は事件を解決し、除霊探偵局を存続させる事が出来るのだろうか?
第一の事件
本作は、基本的に霊源と呼ばれる、霊を発生させる物体を見つけ出し、破壊や封印をしたり、霊を救う事で事件の解決に繋がる。
1話から3話までが最初の事件で、ルーシーは焼いた家に隠されていた女の幽霊の魂を救う為に、ロックウッドとジョージは6万ポンドを工面する為、3人は協力して事件に立ち向かっていく。
殺された女性は昔、行方不明になった舞台女優のアナベルと分かり、アナベルの周辺を調査して殺した犯人を捜そうとする中で、次々と事件が起きていく。
金の工面と事件解決を同時に進める中、真実に近付きすぎた事で真犯人の魔の手が3人に迫る。
ここ好き
最初の事件は、半透明の白い女性の幽霊体のアナベルとのイザコザが非常に多く、いかにもな洋画の幽霊と言う感じで、あまり怖くない。
キャスパーとか、ホーンデッドマンション的なゴースト描写だ。
しかし、第一の事件クライマックス「赤い部屋」から「叫びの階段(原作小説1巻の原題が、これ)」以降のホラー演出は、絶体絶命感が良く、BGMも気味が悪くて好み。
あ、詰んだ。
って感じを楽しめる。
第二の事件
4話から8話までは、危険すぎる呪われた鏡、人骨鏡の争奪戦が行われる。
下らない賭けによって先に人骨鏡を手に入れなければロックウッド除霊探偵局は、またまた解散の危機となるが、ライバル除霊探偵局だけでなく、霊源をオークションでマニアに売りさばく密売人のシンジケートの暗躍や、更に裏で動く謎の組織、ジョージが盗んだ頭蓋骨の幽霊、独自に人骨鏡を狙う人骨鏡に操られた存在まで絡み、人死にまで出る事態に。
争奪戦で命の危険と直面しながら、反射面を見ると鏡に取りつかれ最後は死ぬ人骨鏡の暗い由来が調査によって明かされていく。
登場人物達の持ち味
すっかりチームとなったかに見えたルーシー、ロックウッド、ジョージの3人だが、それぞれが問題を抱え、それぞれの悪い所が描かれ、それが事態を一時的に悪くしていく。
中でも、ロックウッドは優秀ゆえに自信家で、孤独ゆえに無謀な動きを繰り返し、ルーシーを始めとした周囲の人々に呆れられる。
なのだが、ロックウッドは傲慢で鼻持ちならない態度を意地で貫き、頼もしい仲間として振る舞う時の方が魅力的で、状況的にも上手くいく事にルーシーが気付き「いつも通り、無鉄砲にやってね」と背中を押す様になっていく変化が絆を感じられて素敵。
ジョージもルーシーを守る為に身体を張ったり、もちろんルーシーもロックウッドやジョージの為に身体を張り、やはりチームの連帯感が良い味を出している。
呪われたアイテム
劇中、霊源を人為的に作る事が言及される。
やっぱ、ホラーと言えばこれだよこれと言う、幽霊よりも人間がヤバイ設定が良い。
気になる終わり
本作はシーズン2に続く終わりとなっている。
フックは強く、気になる引きは、思い切りが良くてシーズン2を期待させる。
シーズン1の終わり方的にも、活躍を認められたロックウッド除霊探偵局や、嫌な奴だと思っていた周囲の人も事件を通して分かり合い、視聴語感自体は非常に良い。
かなり良いシーズン1だったと感じた。
終わりに
人骨鏡事件の際、ロックウッドの無茶で犠牲者が出る辛い展開からの、ロックウッドが敵の手によって救われる仕掛けは、多少の引っ掛かりを覚える物の、ヘイト管理としては非常に上手いと感じた。
ロックウッドの無茶は褒められた物ではないのだが、ロックウッドの無茶のお陰で無駄死にが尊い死に変わったと言う皮肉は、ロックウッドも犠牲者も結果的に救い、ヘイトを全て真の敵に集めている。
シーズン1でキャラクター的に気に入ったのは、ロックウッドとジョージ、それとバーンズ警部かな。
シーズン1で原作の2まで行ってるみたいだから、順調に行けばシーズン3とかで綺麗に終わりそう。
若者向けっぽいが、ホラーに抵抗が無ければ誰でも楽しめそう。
あと、対霊装備としてレイピアがあったり、恐らく夜は霊が出て危険だからかは分からないが外出禁止だったり、独自の設定が活きているのも面白さに貢献しているのも良かった。
と言うか、封印されてる3種ドクロ幽霊、最初てっきり味方にでもなるかと思ったら、なんか酷い目に遭ってたけど、また活躍するのかな?