感動的なシーンは、登場人物だけでなく見る者も救うべき、と言う話

登場人物が助かっても、見る者が救われないと感動は起きない?

感動的なシーンを描こうとして上手くいかない場合、色々な理由が考えられるが、その中でも結構多いのが「見る者が救われる」と言う事を意識出来ていないパターンがある。

見る者にも与えられる、救い

救いとは、何か。

救いとは、窮地から助け出される事だが、これは何も登場人物が襲われる性急な大ピンチからの救助だけでは無い。

継続的に苦しめられるトラウマや、乗り越えられない苦い思い出、過去の忘れられない失敗、人間生きていればそんな物は幾らでも持っている。

そう言った人を苦しめるあらゆる事物から登場人物を救う事で、見る者も同時に救う事が、感動を起こすのには重要だったりする。

赦し、解放、報い、可能性の提示、あらゆる手段を使って、見る人を救う事で、そこに感動が生まれやすくなる。

見る人の「過去の自分」への、疑似的な救済

見る人は、登場人物に対して自分や自分の知る誰かに投影し、少なからず共感する。

共感する際、見る人は登場人物の事を「これは過去の自分と同じだ」とか「これはあの人と同じだ」と感じる。

共感するのは登場人物の見た目や属性だけでなく、置かれた状況や境遇、登場人物に関わるあらゆる物が対象となる。

その際、何かしらの窮地に陥った状態の登場人物と見る人の共感が可能な限り高まった末に、そこに「救いの時」が訪れると、そこで巨大な感動が起きる事になる。

例えば、親に対して孝行できずに、大きな罪悪感を抱えたままの人が、似た境遇の登場人物が似た状況に陥っていくと、そこに共感が生まれる。

そして、登場人物が自分と同じ気持ちになっている時、登場人物の親が「お前が幸せならそれが一番の親孝行だよ」とか登場人物に言って救いを与えたりすれば、それは見る人からすると、そういう可能性が自分にもあったかもしれないと言う、可能性の提示となり、それは疑似的ではあるが過去の自分を救い、今の自分も救う事に繋がっていく。

いじめられっ子が絶望に打ちひしがれている時に、欲しい言葉を投げかけ助けてくれる友が一人いる描写があれば、いじめられっ子に共感し、自身はそんな友人がいなかった人は、欲しい言葉を投げかける友人のキャラクターの事がまぶしく見え、お前みたいな奴が周囲にいればいじめられていた当時の自分もきっと違っただろうと感じる共に、過去の自分への救済で感動してしまうだろう。

この様に、登場人物を救う際は、見る人の過去の自分への救済も同時に行えると、その作品は感動作としやすくなる。

そんな苦しみを味わう人は少ない、と言う高難易度設定

人によっては、キャラクターの設定を凝り過ぎたり、自分にピンポイント過ぎる状況で作ったり、現実的に考えて他人からの共感が難しい設定にしてしまう場合がある。

そうなると、そこには疑似的に救える過去の自分と重なる人の絶対数が大きく減ってしまう。

そうなったら、大衆的な感動作は諦めた方が現実的だ。

感動作を作るなら、大勢が苦しみを共感出来る登場人物を描いた方が、圧倒的に有利だ。

また、完全な共感が出来なくても、気持ちが分かる状況を描く事で見る人は共感しやすくなる。

例えば、大事な人を亡くした苦しみは、大事な人を亡くした人は共感不可避だが、大事な人を亡くした事が無くても亡くしたくないと思う全ての人が共感自体は可能な設定だ。

終わりに

その作品を見る人が、見て救われる仕掛けがありますか?

と言う話。

この共感出来る絶対数を稼ぐために、普遍的で誰にでも当てはまる要素が、感動作では不可欠となる。

自分と同じだと思える共通点が無いと、比較がそれだけ難しい。

そんな感じ。

余談

ピンチのキャラクターを他のキャラクターが救って感動するのは、ピンチのキャラクターに救われて欲しいと何らかの共感を持って感じた場合が殆どかと思われる。

つまり、そこまで抽象的に「救われて欲しい人」と言う概念的な共感でも、機能さえすれば救われた時に、ピンチの自分や大好きな人が救われた様な感動が起きると言うわけ。

登場人物に対して共感とか、どうしようもなく好きになる、と言う仕掛けが、そもそも大事と言う話。

ちなみに、自己犠牲的な属性や行動は、諸々の、こう言う状況と基本的にマッチする。

なので、自己犠牲的なキャラクターを作ると自然と感動を呼び起こしやすくなるとも言える。

切り口を「見る者も救う」としただけで、いつもしつこく書いている事と切り口が違うだけで、ほぼ同じ話だったりする。

しかし、違う切り口からの視点も、人や時によっては大事、とな。

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