【連載第5回】けっこう真面目な魔法の歴史。現実で魔法がどのように生まれ、どう変わっていったのか?

魔法の歴史のお話

この記事では、魔法の歴史について多分に推測を含んで考察していきたいと思います。

神話や宗教にも触れますが、それらを否定も肯定もする意図はないので、悪しからず。

紀元前500年

釈迦がインドで悟りを開いている時代、ギリシャでは紀元前490年にヘロドトスと言う人物が生まれた。

ヘロドトスは、後の歴史で「歴史」を作ったとされる人物である。

何をしたのかと言うと、今風の言い方をすれば「取材」をして、事実ベースに出来事を広く知らしめた。

つまり「ジャーナリスト」的な側面のある人物だったわけだ。

それ以前の歴史は、過去の出来事の伝聞が基本であり、伝承や寓話、民話、神話、噂話が全てと言ってよかった。

過去からの伝言ゲームによって、どうしても歪められ、脚色された昔話にヘロドトスは、事実を調べ、伝えると言う行動によって一石を投じた訳だ。

その「歴史」の生みの親ヘロドトスの生きた時代は、神話に支配されていたと言って良い。

神霊に働きかける「神働術」や「カルデア信託」、「マゲイア」と呼ばれる占星術、「ゴエーティア」と呼ばれる口寄せ術、毒と薬を扱う「ファルマケイア」、加害魔術と呼ばれる「マレフィキウム」等が、日常の延長線上にあった。

紀元前469年に生まれたソクラテスが哲学を発展させ「無知を知る」事の大切さを説いていたのと同じ時代に、政治も文化も「神話」や「魔法」によって支配されていたのだ。

紀元前753年に建国したローマ帝国が勢力を広げ、紀元前356年に生まれた「フェイト/ゼロ」でもお馴染みのイスカンダルが遠征によって英雄となり、32歳で短い生涯に幕を閉じた時代である。

激動の時代の様だが、戦争は頻発こそしているが、文明の発展と言う見方では牛歩の様な時代だった。

新たに生まれた神

古代ギリシャは、勢いを失い、古代ローマが中心となる時代。

いつしか古代ローマでは、古き自然を象徴する神々よりも、正しさを象徴する新しい神が信仰されていた。

「差別」によって生まれた「正しさを象徴する神」を信じる人々は、皮肉にも1200年を超える時間の流れの中で「自分たちが正しく、逆らう者は間違っている」と、本来は「正しさを目的」としていた宗教を、「正しさの手段」に変え、内部分裂していった。

「差別」に抗った結果生まれたグループの中で、凄惨な「差別」が生まれてしまったのだ。

そして、紀元30年頃、イエスと言う若者が、異を唱え、磔刑に処された。

イエスは、1200年の間に、使う者によって歪められた「正しさを象徴する神の教え」を「最先端の正しさ」へとアップデートした時代の先駆者だった。

イエスは命がけで人々に奇跡を示した。

その後、釈迦と同じように弟子達によって広められたのが、キリスト教のベースとなる宗教であった。

当時の最先端で、当時の価値観で最も正しい神話であるキリスト教の信者達は、キリスト教以前にあった古い神話を文明から拭い去り、世界をより「正しい」方向へとアップデートしたい欲に駆られた。

そして、イエスの弟子や、弟子の弟子、そのまた弟子達は、4世紀頃には「新約聖書」をまとめ、全ての「魔法」を「悪」として禁止し、キリスト教の布教に全力を注いだ。

それが、その時代の「正しさを象徴する神話」として、最先端であったため、その教えは瞬く間に世界に広がりを見せた。

3世紀~

一方で、キリスト教の聖地エルサレムや大帝国だったローマ、文明の先駆けギリシャから遠く離れた地では、多神教が未だに愛されていた。

北欧では、北欧神話の世界観がまとまり、「センズ魔術」と呼ばれるトランスを利用した降霊術、「ガンド魔術」と呼ばれる幽体離脱魔術と言った、昔ながらの魔法は生き残り続けていたし、アイルランド地方ではドルイドと呼ばれるシャーマンが生き続けていた。

ちなみに、キリスト教の聖人ゲオルギウスが竜退治をしたのも、この頃だ。

5世紀になると「フェイト/ステイナイト」でお馴染み、アーサー・ペンドラゴンや円卓の騎士達が活躍し始める。

610年には、ムハンマドが天使ジブリールによってアッラーの信託を受け、ここからイスラム教が始まる事になる。

時代は、4大文明が表舞台から姿を消し、舞台の中心はヨーロッパへと移る事になる。

ちなみに、日本で最初の元号「大化」が使われたのが645年の事である。

次回予告

次回、中世ヨーロッパ編。

錬金術の復活と、生まれる悪魔。

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