【物語の作り方】その10:テーマって、どうやって決めれば良いの?

テーマを理解する

前回の記事で、物語の「テーマ」が大事だと言う話をした。

テーマは、物語の背骨で、王様で、物語世界の中心だ。

だが、大事なのは分かっても、何に役立ち、必要なのかが分からないと、大事さの実感が湧かないだろう。

今回は、前回に引き続き「テーマ」について、説明する。

そして、今回の記事を読めば「テーマ」の重要性は腑に落ち、あなたは簡単に「テーマ」を決め、使いこなせるようになるだろう。

テーマの正体

単純に、テーマとは、何か?

テーマとは、前回のテーマカラーの例えで想像すれば、分かりやすいが、

  • 中心に置く「一貫性」や「共通点」

である。

「一貫性」や「共通点」と聞くと、受ける印象が違ってくると思う。

これまでの「王様」と言う例えが、急にマッチしない様に感じるかもしれない。

だが、前回の記事にあった「無関係なテーマソング問題」の問題点は、分かりやすくなっただろう。

本編と関連が一貫していないテーマソングの一般化が、テーマの概念を曖昧化する原因として機能しているという話だ。

じゃあ、物語のテーマは?

前回、結論を出さなかった疑問だ。

「伝えるべき価値がある物事」と関連するが、具体的には?

ここから順を追って、解説しよう。

ストーリーテーマとは、

「主人公の一貫した行動によって表現される、一つの事」を指す。

「主人公の一貫した行動」とは、

「伝えるべき価値がある物事から、デザインされた行動」だ。

その一点の一貫した行動の先に、

「ストーリーのメッセージ性」が生まれる。

つまり、

「伝えるべき価値がある物事」を「伝える為にデザインされた行動」によって「表現される一連の行動」から導き出される「メッセージ」に辿り着く為の、「一貫性や共通点」を持った「複数の形をした、一つの疑問への問いかけ」が「ストーリーテーマ」である。

う~ん、分かりにくい。

混乱した?

正しい。

それが、普通の反応だ。

なので、これを、もう少しだけ分かりやすく、少しでも簡単にしていきたい。

例えば……

伝えるべき価値がある物事として、「挑戦」を選んだとしよう。

挑戦を伝える為に、行動をデザインする必要がある事は、分かるね?

挑戦を表現する為に、「夢に挑戦させる」と言う一連の行動をデザインするとする。

考えやすいように、モチーフとしてアイドルを一時的にだが設定しても良い。

仮に、主人公がアイドルになりたいなら、「歌やダンスの特訓をする」「オーディションを受ける」「グループ内での役割を見つける」「デビューする」みたいな感じかもしれない。

一連の行動は、主人公を通して物語の中で繋がり、主人公が苦労の末にアイドルとしてデビューを果たせば「夢は挑戦すれば叶えられる」みたいなメッセージとなるし、挑戦の結果最高の仲間と出会えた事に価値があれば「夢への挑戦は、過程での態度にこそ意味がある」みたいなメッセージにも出来る。

メッセージとは、結局は、あなたが「伝えるべき価値がある物事」に対して「結局は、これが言いたかった」と言う物である。

演繹法的思考で、ここまで組み立てるわけだ。

すると、メッセージをより分かりやすくする為に、戻って一連の行動をデザインし直す必要が出てくる。

結末を、メッセージを、より輝かせる為に、全ての行動をもう一度、メッセージに沿ってデザインする事で、メッセージを鮮明に出来る訳だ。

その際、メッセージは、一連の行動から導き出される「最終的な答え」である。

答えには「質問」がセットで存在する。

そこで、全ての行動を、メッセージに収束する形になる様に、沢山の疑問と、途中の回答と言う形にしていく。

その沢山の疑問への、一つの問いかけ、それこそが「ストーリーテーマ」である。

つまり、この例の場合は、

「夢への挑戦は過程にこそ意味がある」と言うメッセージを置いた後だが、

「歌やダンスを特訓する」→「ダンスが苦手なライバルを助けるべきか」

「オーディションを受ける」→「不正を働くアイドル候補をどうするべきか」

「グループ内の役割を見つける」→「辞めようとしているアイドルを引き留めるべきか」

「デビューする」→「小さい劇場だったが、全力でやりきるべきか」

等と、様々な見せ方で「過程の大切さ」を改めて表現すれば、最初よりもクライマックスのメッセージが際立つ事になる。

その際、複数の行動に「一貫し」「共通する」一つの疑問として

「夢を叶える為に過程を気にするべきか?」や

「過程を気にしていて、果たして夢は叶えられる物なのか?」等が見える。

こちらは、先ほどとは違って帰納法的思考で組み立てる。

こうして見えてくる「一貫性」や「共通点」がある「疑問」こそが、「ストーリーテーマ」だ。

見つけるのにプロセス多すぎ問題

多くの創作者が、これに辿り着くまでに苦労し、苦しみ悶え、見つけられないまま彷徨い歩く。

これが見つからないと、膨大な数の一貫性のある登場人物の行動のデザインが、とにかく苦労する。

それは、一貫性を持たせる「軸」が見えないからだ。

ストーリーテーマが見えない状態だと「伝えるべき価値がある物事」や「メッセージ」を軸に、そこから感じ取れる「テーマのにおい」を頼りに、行動をデザインしなければならない。

それ以前に「ストーリーテーマ」は愚か「伝えるべき価値がある物事」も「メッセージ」も無い状態で、好き勝手に物語を紡ごうと言う創作者が多すぎる。

当然だが「一貫性」や「共通点」の指針が無い状態で「テーマ不在」のまま創作をすれば、ろくな事にならない。

  • 何を言いたいのか分からない。
  • 一貫性が無い。
  • メッセージが見えない。
  • テーマが無い。

創作慣れしたり、天才的なセンスがある人でもない限りは、勘や経験で「テーマ」や「メッセージ」や「伝えるたい事」を設定して、完成まで創作するなんて、難し過ぎるのだ。

だが、簡単にする為には、上記の様な面倒なプロセスが大なり小なり必要になり、それが大変で、やり方が分かったとしても避ける人さえいる。

だって、演繹法とか帰納法を使えなんて言われて、あなただってウンザリしたでしょ?

しかし、だ。

面倒でも「ストーリーテーマ」を見つける探求を一度でも行えば、後が楽になり、何よりも物語に「一貫性」と「共通点」と言う「王様」を頂く事が出来て、王様の指示通りに行動をデザインすれば、当面の創作は安泰となる。

本当に簡単な事なのだが、とにかく面倒なのだ。

だが、面倒から解放されるには、慣れてしまい、自分の中で思考のショートカットや推測、仮説で組み立てられる「テーマ脳」を作ってしまうのが、実は一番手っ取り早い。

最初は、ハードルが高くて面倒なのは、分かる。

十分わかっている。

だが、結果的に簡単に物語を創作するなら、この「ストーリーテーマ」の概念は、とても重要なので、一回は「一貫性」を見つける思考の旅に出て貰いたい。

演繹法と帰納法を使って、ストーリーテーマを探せるようになれば、慣れれば、以降は仮説を立てて簡単にストーリーテーマを見つけられるようになる。

これだけは、保証しても良い。

おまけ:テーマやメッセージが見えない作品

よく駄作への評価で「何を言いたいのか分からなかった」と言うのがある。

この原因は、上を読んだ人なら、もう分かると思うが、

  • 行動がテーマに沿って一貫していない
  • 一貫した行動がメッセージに合っていない

と言うのが、大きな原因だ。

この視点で駄作を見ると、個々の行動から作者が言いたかった事が複数あり、(もしくは、そこまで深く考えてなくてランダムで)そのせいでテーマやメッセージに混乱を引き起こして駄作になっている事が、良く分かって、それはそれで面白い。

例えるなら、お菓子作りと自転車レースを混ぜて「どっちも楽しい」と、嬉しそうに叫んでいる人を想像して欲しい。

「お菓子作りは楽しい」なら「わかる」

「自転車レース楽しい」でも「わかる」

だが、

「お菓子作りと自転車レースが楽しい」は「わかるけど、何故混ぜた?」

と混乱する。

だが、世の中の駄作は実際、もっと多くの要素を混ぜて見る者を混乱させる。

これが、どこか一点だけでも共通点を見出す事が出来て、テーマ性を持って表現できれば、「お菓子作りと自転車レース」を混ぜても「そういう考え方か、なるほど」となり、混乱は生まれない。

ポイントは「一貫性」と「共通点」だ。

これは、本当に忘れないで貰いたい。

終わりに

今回でストーリーテーマを見つける方法を、あなたはマスターした。

セットでメッセージ性をどこに持ってくるかも、分かった筈だ。

物語で大事なのは「行動」のデザインと言う原則も、ウンザリするほどわかった筈だ。

ここまで連載記事を読んで実践してみたなら、あなたは自分の考える物語を形にする術を、身に着けた筈だ。

もちろん、媒体毎の表記ルールや、地の文、ダイアローグ、細かなテクニックに至るまで、学ぶとレベルアップ出来るテクニック、スキルは数多く残っている。

だが、そんな技術を追い求めるマニアには、まだならないで欲しい。

あなたが「伝えたい物語」があって「伝えたい相手」がいて、思い通りに伝えられない技術的な問題を体感した時、要は、あなたがストーリーテラーとして、困った時にこそ、問題解決の為に必要な技術を求めて欲しい。

そうすれば、あなたは書けば書くほど上達して、伝えたい事を世界中に発信出来る様になる筈だ。

今回で一旦、この初心者向けの連載記事シリーズは終えたいと思うが、もし、「簡単じゃない」と記事を読んでいて思う事があれば、コメントでも良いから知らせて欲しい。

でも、面倒だったり大変かもしれないけど、簡単だったでしょ?

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