【物語】悲しい過去の作り方【キャラクター】

同情を生み出すテクニック

悲しい過去があれば、同情の余地が生まれる。

物語を作る際、登場するキャラクターが悪者でも同情の余地があると罪を大目に見て貰え、場合によっては許してさえ貰える事がある。

これは現実にも当てはまる事だ。

今回は、同情の余地を生み出す、悲しい過去の作り方について説明する。

被害は連鎖する

虐待を受けて育った子供は、親になった時に子供に対して虐待を行う確率が、虐待を受けた事が無い子供に比べると高くなる傾向がある。

もちろん、虐待をしない被虐待者もいる。

だが、日常的に虐待を受けて来た事で、それが日常の一部となり、似た状況に陥った時に親の立場で解決方法が虐待以外に知らなかったら、虐待と言う手段を取ってしまう確率が虐待を受けた事が無い人に比べて高まるのは自然な事だろう。

学校でイジメを受けた子供が、より弱い誰かで鬱憤を晴らす事もある。

弟妹やペット、動物に攻撃性が向くとかだ。

社会に適応出来ず引きこもった人が、家庭内暴力に走る事もある。

家族仲が上手くいっていない人が、幸せそうな人に攻撃的になる事もある。

何が言いたいのかと言うと、被害とは連鎖すると言う事だ。

完全な被害者でも、自業自得でも、人は被害を受けると、その事実をどうにかして自己処理しようとする。

その際、

  • 被害を受け止めきって連鎖を断ち切る人
  • 被害を与えて来た方にカウンターで返す人
  • 被害のマイナスを別の物で補おうとする人
  • 被害を正当化する人

等の、人によって違う反応が起きる。

そう言った差こそあるが、被害は、その衝撃の大きさを殺しきるまで、連鎖を続ける。

そして、連鎖の途中で、何らかの事情から衝撃が大きくなる事もある。

例えば、しつけと称した小さな家庭内暴力を受けて育った子供が、殺人事件を起こしてしまう様な連鎖もあり得るわけだ。

  • 被害の衝撃を、都度発散する人
  • 被害の衝撃を、溜め込んでしまう人
  • 被害を正当化する為に、エスカレートさせる人

等の、反応が起きるまでの差があり、また人によって受け止められる衝撃の大きさにも大きな差がある。

悲劇とは、衝撃の強い被害を受ける状況

悲劇を作るには、まず当事者にとって衝撃の強い被害を受ける必要がある。

被害とは、なんらかのマイナスを被る事だ。

これには種類がある。

  • キャリア:※下記参照
  • パーソナル:変な名前、被差別民、等々
  • メンタル:鬱、パーソナル障害、被害妄想、被害者意識、喪失感、等々
  • フィジカル:欠損、機能障害、失明、醜さ、等々

と、様々な被害が人には起こり得るが、最も注目するべきはキャリアである。

人生の中で事件に見舞われ、メンタルやフィジカルにも影響を及ぼす原因となる事の殆どが、キャリアの中で起きてくる。

生まれつきハンディキャップがあるとしても、実際に被害が起きるのはキャリアの中だ。

なので、種類こそあるが、基本はキャリアの中で何が起きるかを考える事が重要となる。

その際、キャリアの中で、どんな衝撃の強い被害を受けるかが、肝となる。

キャリアにおける出来事も、種類に分けられ、

  • アクシデント(偶発イベント、事故、上手くいかない社会):怪我、左遷、落選、落第、失敗、失格、等々
  • エンカウント(敵対的遭遇、事件、攻撃してくる社会):傷害、殺人、窃盗、詐欺、イジメ、虐待、嘘、等々
  • ヘラルド(非敵対的遭遇、日常、居場所のない社会):嫌なクラスメイト、むかつく先輩、ダメな教師、無能な上司、使えない部下、自分勝手な家族、等々
  • セレモニー(形式イベント、儀式、冷徹な社会):離婚、退学、失恋、死別、カミングアウト、等々

がある。

同情される悲劇は、被害者になる事から始まる

まずは被害者になろう。

被害者は、かなり強力な属性だ。

これを理解している人の中には、あえて被害者を演じる事で、被害者だからこそ得られる特典を得ようとするビジネス被害者も存在する。

ビジネス被害者は、当然だが褒められる物ではない。

ミュンヒハウゼン症候群は、自分が病気や怪我のフリをしたり、家族の病気や怪我を利用して同情や特典を得ようとするのを自分で止められなくなる一種の被害者ポジション中毒となる病気だが、そこまで行かずとも被害者ポジションの旨味は誰しも少なからず知っている為、気を付けなければ同じ様な事を誰しも行ってしまう事がある。

子供が学校を病欠したら、看病してくれる親が普段より優しかったりすると、ズル休みに繋がったりするアレも、似た様な物だろう。

ビジネス被害者は時に、被害者ビジネスも行う。

病気を利用して寄付を求めたり、存在しない恵まれない人への募金を街頭で行ったり、恐ろしい物になると、自ら家族を殺して被害者を装う殺人者なんて物も、歴史を見れば何人も存在する。

で、話を戻すと、真に同情される被害者になるには、天然物の被害に遭う必要がある。

そして、被害者の非は、比率として小さい程に良い。

つまり、酷い環境や、事件や事故に巻き込まれ、非が限りなく無い状態での被害者になる事が出来れば、純度の高い同情を得る事が出来る。

仮に、被害者でも非の比率が大きいと、同情を得られない。

例えば、高速道路で煽り運転していたら自損事故を起こして半身不随になったとしても、自業自得と思われる確率の方が遥かに高くなる。

非は、計算高さ、愚かさ、加害者部分、等の度合いが低ければ低い程に、無くなっていく。

つまり、普通から善人ぐらいの人が、不可抗力で被害に遭う事で、同情される被害者となれる。

受けた被害が大きすぎると、大抵の事は同情される

受けた被害があまりにも大きいと、何をしても同情される様な状態になる。

どんなに酷い加害者になろうとも、受けた被害の方が大きい状態だと同情を得られてしまう。

ただし、与える加害が、受けた被害と同属性である事が求められる。

例えば、暴力を与える加害者の場合は、受けた被害は暴力である方が好ましい。

あまりにも酷い暴力被害を受けたからこそ、暴力を与える側に回る事でしか身を守れなかった様な、被害と加害の関係性が見えやすい事が重要だ。

大事な物を奪われた過去があるならば、他人から大事な物を奪っても、受けて来た被害があまりにも大きければ同情して貰える余地がある。

同情される被害者は、被害連鎖のベクトルを変える立ち位置にいる

同情されるには、被害を受けた人の時点で、どうにか悪い連鎖をさせない様にする事が肝となる。

例えば、親に虐待されて育った人が、子供に虐待をしたら、虐待しか子育て方法を知らないと言う立場には同情の余地が生まれるかもしれないが、それでも加害者となってしまい同情が弱くなる。

最強の被害者は、連鎖のベクトルを悪い方向から良い方向に変える。

親から虐待されて育っても、子供には虐待以外の子育てをしようとする事で、その親が虐待を受けて育ってきた事が判明した際に得られる同情は、虐待を連鎖した時に判明した時よりも良い物となる。

交通事故や危険運転による事件の被害者は、大抵が二度と同じ事件が起きない様にと裁判で加害者と争う事になったり、法律改正に動く。

だからこそ理解と同情を得られる。

まとめ

悲しい過去は、

  • 不可抗力で、非が少なく、加害者要素が少ない事
  • 被害を連鎖させるキャラなら、連鎖させる同属性被害を負う事
  • 被害は大きければ大きいほど良く、様々な要素があれば、より強力な被害者となれる事
  • 被害の連鎖を止める立場だと、応援して貰える事

これらを意識して悲劇に見舞われると、良い悲しい過去を作れて、同時に良い同情を作る事が出来る。

一応言っておくと、現実ではビジネス被害者は必ずバレるし、バレた時に加害者となってしまうので、やめておいた方が良い。

学校をズル休みして、悪い事をしたジレンマに苦しみつつも親に甘えるぐらいなら、可愛い。

だが、エスカレートすると、嘘をついての生活保護受給、警察への被害届提出、障碍者資格の取得、SNSでの被害者ムーブ等、歯止めが効かなくなる。

ボロが出た時には、得の相殺では済まない大変な目に遭う事になるのは確実だ。

1回だったらバレない事もあるだろう。

だが、1回でもやると、以降の人生の選択肢にビジネス被害者ムーブが登場する様になるので、絶対にやめておく事をおススメする。

一線を超えるのは、後の人生に影を落とす事に確実に繋がるからだ。

言ってしまえば、ビジネス被害者は、受け止められる被害を利用しての被害者面をした詐欺師に過ぎない。

本当の被害者は、被害の扱いに苦慮した結果、様々な形で衝撃を吸収したり、連鎖させて被害を起こす。

現実では、被害者に誰もなりたくないのが当然だが、誰しも少なからず被害に遭って生きている。

誰もが悲劇を背負って生きているからこそ、悲劇は普遍的な同情に繋がる。

と言う事で、今回は悲劇の作り方について解説した。

悲しい過去を背負ったキャラクターを作る参考になれば幸いだ。

関連記事:【創作】重い過去の種類について【よくあるやつ】

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