接種で脳を壊す禁断のジャンル
NTRと言うジャンルをご存じだろうか?
知らないなら、幸せなので回れ右。
一生知らないまま生きる方が良いだろう。
未成年も回れ右。
逆に、既に知っていて、なんなら自分でも書いてみたいぐらいまで脳を破壊されていたり、他人の脳を破壊したいという過激な思想を持っている人は、続きを覗き見ると良い。
NTRとは?
「NTR」とは「寝取られ」の表記形態の一つだ。
Wikipediaでは
マゾヒズムの一種としての、“自分の恋人や妻が他の男と性的関係になることを悦ぶ性的嗜好”
的な説明をされているが、それは一側面に過ぎない。
NTRには、
- 寝取られ(ネトラレ)
- 寝取り
- 寝取らせ
- 寝取らせられ
- 寝取られられ
と、視点や立場が存在し、それに加えて
- 第三者
の視点も含めて、好みが大きく分かれるジャンルである。
NTLやNTRR等と表記してNTRジャンルを分けて表記する事もあるが、この記事では、基本的にNTRで統一して解説する。
NTRとは、端的に言えば、円満なコミュニティの崩壊を描く物だ。
なので、円満なコミュニティの内にいるか、外にいるかによって、読み心地は大きく変わって来る。
NTRの条件
「寝取られ」の場合、物語の転換点までに円満なコミュニティやグループを描写する事になる。
グループ内の人間関係は円満で、メインとなる登場人物は相思相愛状態で始まる。
その際、
- 相思相愛だが付き合っていない
- 既に付き合っている
- 結婚している
等の関係の深さに差はあるが、相思相愛の良好な関係なのは変わらない。
その中で、寝取られるキャラクターが潜在的に性的不満を抱えている事がポイントとなる。
性的な不満を抱えていなくても、大きな満足を実は得ていない状態なのだ。
そこに、寝取られる事になるキャラクターに性的不満を気づかせるキャラクターが接触する事で物語は大きく動き出す。
性的不満を気づかせるキャラクターは、主人公目線で見れば敵である。
ステレオタイプでは、
- 強引なチャラ男
- 醜悪な性欲が強い中年男性
- 性行為に抵抗感の無い女たらしのイケメン
- ヒロインへ真面目に片思いの友人
等々多岐に渡るが、彼らには共通点がある。
それは、物語的な性的優位者で、絶倫や巨根(生殖器が大きい事)やテクニシャンであり、寝取られる側の主人公が同じ土俵では太刀打ち出来ない相手と言う事だ。
更に、寝取られ側と寝取り側には、対照的な差がある。
- 寝取り側:行動力の塊
- 寝取られ側:行動力皆無(傍観者、観測者、語り部)
と言う事だ。
寝取られる側は、行動力が無く、敵と同じ土俵では太刀打ち出来ない。
だから、相思相愛状態のコミュニティを、外敵によって食い荒らされ、全てを失う事が基本となる。
しかも、相思相愛状態のまま、敵の手でコミュニティを壊されるので、寝取られる主人公と寝取られられヒロインの関係は一見良好なまま話が進み、主人公はヒロインによる葛藤の糸が切れる裏切りを醸造熟成された末に、全てを失う。
行動しなかった主人公が悪いのだが、行動しても勝てないと言う、どこまでも胸糞悪い状態を気づかされる事になる。
なので、主人公は基本的に身を引く事や、あるがままを受け入れる事しか出来ず、精神と共に体調にも大きな不調をきたす事も珍しくない。
誰視点か?
- 寝取られ(ネトラレ)
- 寝取り
- 寝取らせ
- 寝取らせられ
- 寝取られられ
- 第三者
NTRには、これだけの視点が基本としてあり、どの立場に感情移入するか、または登場させるかによって、受ける印象がガラリと変わる。
寝取られくん視点
寝取られる主人公に感情移入する場合は、大事だった日常の崩壊を被害者として味わう事になり、最も脳にダメージを負う。
寝取られ主人公への感情移入とは、大事にしていた所属しているコミュニティの崩壊の疑似体験をする事になるからだ。
片思いの相手、恋人、伴侶、家族が、あなたの個人的な敵の手に落ち、二度と元の関係に戻れなくなる事は、現実で起きれば精神的ダメージの大きさは、リアルに想像するのもはばかられるだろう。
それを疑似体験する事で感じる快感は、あまりにも大きな痛みに対して、脳が脳内麻薬で防御反応を示し、その脳内麻薬に酔っている説があるぐらい脳に悪い。
大事なコミュニティ崩壊の疑似体験による、ランナーズハイの様な脳内麻薬で快感を感じるのであれば、相当に上級者向けのジャンルと言わざるをえまい。
寝取りくん視点
寝取られくんからすると、全部コイツが悪い。
だが一転して、寝取り側の視点となると、物語のジャンルが大きく変化する。
もはや、寝取られる側は存在しなくても成立し、気に入った相手をどうにか手に入れる為に計画を張り巡らせたり努力をする、行動力の塊を描く事になる。
なので、物語として見ると、コイツ視点の方が読み心地は寝取られ視点より、全然マシとなる。
キャラクターをクズではなく、一定の動機や理由付けが出来れば、寝取る側なのに正義にする事も。
寝取らせくん視点
寝取らせとは、まさにWikipediaにあった“自分の恋人や妻が他の男と性的関係になることを悦ぶ性的嗜好”なマゾパターンだ。
これは、円満なコミュニティの中で既に、性的満足を満たす事が出来ない事を認めた寝取られくんによる、ヒロインを意図して別の人物に寝取らせる事で満たされるタイプの物語となる。
このタイプに変化すると、寝取られくんと戦えば勝てた寝取りくんが、勝てなくなる。
円満なコミュニティ内の絆が強固かつ、全てを自覚した状態で寝取らせられ側の性的優位性をレンタルする形の契約となり、コミュニティの崩壊が起きない。
本当に、“自分の恋人や妻が他の男と性的関係になることを悦ぶ性的嗜好”や、女性を肉体的に満足させる事を他人に任せる覚悟や、動機があり、男女共に自覚があるので性的な不満を解消された所で精神的な絆の崩壊に繋がらず、コミュニティはその形で維持される。
何気に、脳に優しいかも。
寝取らせられくん視点
寝取らせ側に依頼されたり誘導され、寝取らせくんの恋人に性的な満足を与える為に利用をされるピエロ的な立場が、これだ。
この視点では、ヒロインに対して本気になっても、既にある円満なコミュニティ内の絆が強固で、身体の関係以上に持っていく事が困難なので、寝取っているのに、精神的に満たされる事は稀だ。
やっている事としては、下半身のレンタルと同義なので、この視点だと仮に本気になってヒロインを求めても自分の物にならない失恋を味わう事になったりする事もある。
ビターだね。
寝取られられさん視点
要は、ヒロイン視点。
精神的には本命の人がいるのに、性的な不満に気付かせられ、葛藤する事になる。
- 初めては大好きな人と
- 彼氏としかそう言うことはしない
- 私には夫が……
- こんな奴に私は負けない
と言う始まりで、愛と快感どっちが大事かで愛が大事と分かっているが、快感に負けて終わるのがお約束。
ちなみに余談だが、ヒロインが円満なコミュニティを持たないが性的な不満に気付かせられるだけの場合は、寝取られではなく快楽堕ちとの戦いとなり、快楽に身を委ねるのが正解な世界観だとハッピーエンドっぽくなる。
最終的に快楽を与えてくる相手に普通に愛されたりすると、よりハッピーエンド感が出る。
そっちの方が脳も壊れないし平和だと思うけど、まあ、それだと脳が痺れないしねぇ。
第三者視点
あくまでも他人事として眺めると、脳へのダメージは少ない。
ただ、ジャンル的に、
- 行動力がある性的奔放な男
- 性的不満に気付かされ快楽に負ける女
- 行動力が無く円満なコミュニティが壊されて全てを失う男
とか、基本が地獄みたいなキャラクター達を眺める事になるので、キャラクター造形を良くして不快指数を上に下に調整した方が良いだろう。
NTRを壊す設定
ここまでは、NTRの為の設定を紹介してきた。
ここからは、NTRが発生しない為の設定を紹介する。
円満なコミュニティなど初めから無い
そもそも、寝取り寝取られが起きるのは、相思相愛な奴がいるから悪い。
ボッチなら、NTRは怖くない。
一人最高。
気付ける性的不満が無い
相思相愛でも良い。
円満なコミュニティ内に、性的な不満が無ければ、そこに寝取り野郎が絡む余地は無い。
性に興味が薄いか、相性バッチリで解決だ。
寝取られそうな主人公が行動派
「オレ、あいつに告白するけど良い?」
とか、3人組の幼馴染の一人が戯言を抜かし始めたら、
「いいよ。がんばれよ」
なんて言う奴は、寝取られても仕方が無い。
「オレも、あいつの事が好きだ」
ぐらい言って告白出来れば、NTRは回避できる。
そのシチュエーションの場合、ヒロインは主人公の事を好いている。
好いてないなら、告白してフラれればNTRの危険は消える。
主人公が行動する。
たったこれだけでNTRの何割かを破壊出来る。
性的優位者となる
寝取られくんは、寝取りくんより、性的に劣るから、同じ土俵で勝てない。
もし、性的に勝っていれば?
寝取りがえす事が出来て、寝取りくんは自信喪失するだろう。
より効率的に脳を壊す為に
人は、必ず自身の人生との共通点を探して作品を見る。
脳を壊したいなら、自分が経験した似たシチュエーションや、想像しやすいシチュエーションの作品が良い。
例えば、彼女が一度もいた事が無いなら、もしかしたら彼女と言う設定よりも片想いの好きな人とかの方がシチュエーション的には刺さる。
- ずっと前から自分の方が先に好きだったのに、告白しなかったばかりに他の奴と付き合い始める。
- 好きだった幼馴染に彼氏が出来た。
- 好きな親戚が結婚した。
何かしら浅くても少しでも、辛い経験がある筈だ。
愛妻家なら、人妻が寝取られる作品の方が脳を容易に破壊出来るかもしれない。
彼女に浮気をされ捨てられた経験があるなら、近い状況の作品で脳がグラングランと痺れるだろう。
終わりに
と言う事で、NTRの説明でした。
特殊性癖や、共感性の高いバッドエンドによってトラウマを呼び起こす事で、危険信号から脳が痺れ、快感を感じると言う、危険なジャンルです。
苦手な人は苦手だろうし、このジャンルを嫌う人は、相当多いです。
と言う私も、正直このジャンルは、少し苦手です。
キャラや状況への不快感が先立ち、行動しないで被害者面する主人公にイライラしてしまう事の方が読むと多かったり。
ある種の有害ジャンルなので取り扱い注意ですが、ニッチ故に一部に根強い需要があるのも事実です。
NTRモノを書きたいとか、書かないといけない状況に陥った創作者の、参考になれば幸いです。
余談
好きな創作者さんがNTR専門に転向した時のショックは、NTRにNTRされたかのような衝撃があります。
純愛を描くあなたが好きだったのに、NTRに快楽堕ちして、もう、あの時のあなたはいないんだねって、NTRモノのオチみたいな。
一度NTRのイメージが付くと、純愛を再び描いても、いつNTRが来ると身構えてしまって純粋に楽しめない事もあり、NTRと言うジャンルの扱いの難しさをそんな所でも感じたり。