エイリアン（直球）

ネットフリックス配信アニメ「MAKE MY DAY」を見たので、感想を。

基本は、名作「エイリアン」の採掘惑星バージョンと言った所。

なのだが「モンスターパニック」部分よりも「人の命の価値の差」的なテーマに重きを置いたメッセージ性強めの作品でした。

自我が芽生えるAI好きとしては、その点も悪くない。

あらすじ

舞台は、氷で覆われた資源採掘星の採掘現場。

そこではシグと言う新エネルギーを、囚人を使って採掘していた。

主人公のジムは、絵が得意な事以外に取り柄が無い、新人の看守。

勤め始め早々に採掘現場で事故が起き、救助に向かったジムだったが、採掘現場の悲惨な状況を目の当たりにする。

二次的な事故でジムが採掘現場の奥へと迷い込むと、そこには生き残りの囚人ウォルターが倒れていた。

ウォルターを助け脱出を試みると、何かに警戒するウォルターに「大声を出すな」と言われる。

天井を見ると、そこには巨大な芋虫の様な何かがいた。

ジムの救援に看守達がやってくると、天井の怪物スワームが大声を出してしまった看守達に襲い掛かる。

多大な被害を出しつつも、なんとか採掘現場から脱出したと思ったら、そこら中からスワームが群をなして溢れ出し、機械や人々の住む施設を襲い始めていた。

ジムは、家族であるエドとマーニーを救おうと、スワームから逃げながらも必死に奔走する。

しかし、本当の敵はスワームだけでは無かった。

ジムは愛する人達を救い、地獄と化したホワイトプリズンから、いや、資源採掘星から脱出する事が出来るのだろうか？

基本はエイリアン

もともとスワームの巣だった星で、スワームの食べ物であるシグを人類の使うエネルギーとして大量に採掘する中、スワームにも手を出そうとしたら宇宙船でスワームが大暴れし事件が発生、地上でもシグに引き寄せられるスワームに襲われまくると言うのが、置かれた状況だ。

モンスターパニック物のお約束満載で、その点では、中々に楽しめる。

未知の敵として遭遇するスワームの脅威的な始まりから、徐々に攻略法が編み出され、専門家の助言で対処法が確立していき、最後は効率的に大量排除して脱出を目指すクライマックスが待っている。

坑道や施設での戦闘が多いが、ラストのマスドライバーでの作戦は急にスケールが大きくなって非常に盛り上がる。

テーマの一つは、命の価値の差

本作は、様々な所に線引きがあり、そのラインのどちら側にいるかによって、命の価値を問われ続ける。

囚人と看守、罪人と一般人、一般人と権力者、個人と組織人、利己的人種と利他的人種、裏切り者と一途な者……

そこには、常に暗黙とさえ言えない周知の上下関係があり、スワームの群に襲われる中で一部の権力者は早々に安全地帯へと逃げ、危険地帯には常に下々の者が残される。

しかし、場面や状況が変わると、登場人物に付いてまわる社会的立場とでも言うべき肩書が、思わぬ形で上書きされる。

そんな中で主人公のジムは、悩み苦しみ、時にもがきながらも、命の価値を等しく、人々を可能な限り救おうと動いていく。

殺人犯や、少し前に自分の事を裏切ったり、殺そうとしたり、そう言った非道を働いた人達にさえ救いの手を差し伸べ続け、それが結果的に脱出への道へと繋がっていく。

このジムの成長だが、最初は自信が無く、情けなく、漏らし、吐いて、弱々しい人物の部分を前面に描かれるが、割とすぐに腹を括ってからは、ある意味で「ハクソーリッジ」的な、頑固なまでの正しさを貫く強さを示し、良いキャラであった。

救い生き残った全員が結果的に善人か更生出来るオチは、少々都合良く感じもしたが、まあ、視聴後感は悪くなのは良い。

個人的には「アルマゲドン」のスティーブ・ブシェミ演じるロックハウンドみたいな、憎めないがどうしようもない奴が一人ぐらいいても面白かった気もするが。

エイリアンのデザイン

エイリアンが、幼虫と言うか、芋虫と言うか、ナマコと言うか、そんなのが無数に空を飛んで襲ってくる。

他にも、サンドワームみたいなのも登場するが、基本は金の芋虫とのバトル。

分厚いゼリーなのか寒天なのか分からないが半透明の表層で銃弾を受け止めて襲い掛かってくる様は怖いが、カッコイイと言うよりは気持ち悪いが先に来るデザインで、個人的に、そこまで魅力的でない。

エイリアンとかプレデターとかスターシップトゥルーパーズとか、ああ言うゴツゴツ、骨々、殻々、タイプが好みと言う話。

ナマコとか芋虫に熱い物を感じる人には、刺さると思う。

なんといっても自我AI

本作は、AI好きが見れば、初見でロボットのキャスパーが自我る事が秒で分かる。

対スワームじゃかった事は意外だったが、まあ、キャスパーはデザインも良いし、可愛いくて良し。

自我AI好きSFファンを狙い打って来てる。

お約束過ぎて、ちょっと安直感もある。

終わりに

ビームやパワードスーツと言ったSFアイテムも手堅く良かったし、設定的に派手さ控え目のSFだが、面白かった。

興奮でおかしくなるスワーム博士のボイドとか、それを見て引くウォルターとか、キャラも良かった。

好きになったキャラは、キャスパーとウォルターとボイドかな。

これ系では珍しいぐらい死亡フラグをスルーしていくハワードも、ちょっと面白い。

ああ、あと、アニメのCGの質感は安っぽく無くて、個人的には良かった。

リアル系で無く、漫画的なデザインを立体で動かす感じだ。

余談だけど、無理やり日本要素を入れる感じは、個人的には無理せんでもと思っちゃった。