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【レビュー】デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則:ビフォー&アフター【書評】

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クリティカルシンキング(批判的思考)で作品をレベルアップ!

人が技術的に上達するには、どうすれば良いか?

新しい技術の獲得とか、技能の習熟とか、色々ある。

だが、最も基本的に事は、過去の自分を具体的に超える事だ。

では、過去の自分を具体的に超えるには、どうすれば良いか?

それは、過去の自分が出来なかった事が出来る様になれば良い。

そこで、ようやく新しい技術や技能のレベルアップと言う話になる。

では、過去の自分が出来なかった事を、具体的に出来る様にする為には、どうすれば良いだろうか?

デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則:ビフォー&アフター

3DTotal.com (著), 株式会社スタジオリズ (翻訳)

ここを変えると こんなに変わる! 15名のアーティストによるセルフリメイク

プロのイラストレーター・コンセプトアーティストたちが、自分の過去作を例にして、どのように間違っていたのか、そして、その改善点を見つける方法を明らかにします。

自分の作品を評価するのはむずかしいことです。本書は、ベストセラーとなった『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』に続く1冊であり、自分の作品を批評し改善するために必要な知識、枠組み、解決策を提供します。

『デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則』では、色、光、遠近法、奥行き、構図、解剖学などを取り上げました。本書「ビフォー&アフター」では、自分がどれだけ、それらの「アートの原則」を実践できているかを評価し、問題を特定し、解決できるようします。

15名の専門家、プロのイラストレーター・コンセプトアーティストたちが、自分の過去作を例にして、どのように間違っていたのか、そして、その改善点を見つける方法を明らかにします。そして、その方法を説明するだけでなく、実際に「アートの原則」を基に改良した、リメイク版を披露します。

作品を次のレベルに引き上げるために、感情やムード、ナラティブ(物語性)を持たせるといったテーマが探求されています。本書は、絵を描くときに常に傍らに置き、批評し、修正し、技術を向上させ、作品をレベルアップさせる1冊です。

※本書は『Art Fundamentals: Theory in Practice』の日本語版です

著者について

3dtotal.com は、別名「CGアーティストのホームページ」とも呼ばれ、インターネット最大のオンラインデジタルアートコミュニティの1つです。1999年の開設以来、CG業界の発展に寄与してきました。CG関連のニュース、チュートリアル、ギャラリー、レポート、リソースは日々更新され、月間150万以上の訪問者を集めています。

  • 出版社 ‏ : ‎ ボーンデジタル
  • 発売日 ‏ : ‎ 2023/4/28
  • 単行本(ソフトカバー) ‏ : ‎ 280ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4862465544
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4862465542
  • 寸法 ‏ : ‎ 21.5 x 27.9 x 1.5 cm

目次

  • まえがき……6
  • はじめに……8

■ アートの基礎……10

  • なぜ基礎を学ぶのか?……12
  • 光……14
  • 色……18
  • 構図……22
  • 遠近法……26
  • 解剖学……30
  • ナラティブ……34

■ クリティカル シンキング……38

■ チュートリアル……52

  • The Temple of Edfuu – エドフ神殿……54
  • Starcatcher – スターキャッチャー……76
  • The Journey of Hearts – 心の旅……100
  • The Wrestler – レスラー……122
  • The Eyeless Dragons – 目のないドラゴン……144
  • Apollyon – アポリオン……166
  • Wonders Down Below – 水面下の神秘……186
  • Mystery in the Forest – 森の中の秘密……208
  • The Spider’s Cave – クモの洞窟……228

■ ギャラリー……250

  • 2:47 A.M. – 午前2時47分……252
  • Cosmos – コスモス……256
  • Forest Dwelling – 森の住まい……260
  • The Dream World – 夢の世界……264
  • Treachery – 裏切り……268
  • Cabin in the Swamp – 沼の小屋……272
  • アーティスト……276
  • 用語集……279

成長の壁を超える為に

本書は、アートの基礎知識、クリティカルシンキングの基礎知識、15人のアーティストによるアートへのクリティカルシンキングの実践による過去の自作品への評価と改善の具体例と理論的なハウツーの紹介、等で主に構成されている。

本書の伝える一貫したメッセージは「他人に具体的な説明が出来るレベルまで問題を理解して改善する事が、成長の壁を超える大きな助けになる」と言う事だ。

問題を見つけ、問題を理解し、問題を解決する打ち手を考え、問題を実際に解決する。

こう書かれてしまうと当たり前の事の様に思えるかもしれないが、果たして、それが出来ている人は、どれほどいるだろうか?

まえがきを書いているキャラクターアーティストでビジュアルデベロップメントアーティストのシモンさんは、Patreonでフォロワーにアートの基礎知識を分かりやすく教える活動を始めてから、これを自然と出来る様になったと語っています。

シモンさんの場合は、他人に絵を改善する方法を教える為に、例となる絵を分析し、その中から改善した方が良いポイントを一つ決めたら、そこが具体的にどうして悪く、どうすれば改善出来るかを綺麗に言語化して、その改善方法を聞いた人が誰でも同じように出来るまで理解した上で説明する事が求められる事で、自然とクリティカルシンキングに辿り着きました。

この、批判的思考(クリティカルシンキング)をしなくても、作品をフィーリングで改善を試みたりする事は出来ますが、その場合直せたとしても、どこが悪かったのかの問題を綺麗に特定せずに、気に入らない部分を気に入る様になるまで闇雲に直す事になりがちです。

本書では、その成長の壁となる「闇雲に気分や感覚で直す事」だけでなく「過去の自分のダメな所と恐れず向き合って、批判的思考を持って直すべき箇所をロジカルに一つ決め、それを同じようにロジカルにどう改善すれば良いか計画を立て、実際に直し」と、そんな事を繰り返す事で作品が抱えていた問題が気にならなくなるレベルまでやっていく事で、作品の質を大きく向上させる事が出来るように、導いてくれます。

本書内では、数年前の実力的に大きく過去の物となった自作品を各アーティストにクリティカルシンキングで大幅に直してもらう事で、分かりやすいビフォー&アフターを実現しています。

ですが、本書からクリティカルシンキングを学んだアーティストは、今現在の自作をクリティカルシンキングする事で、現在の実力を出し切った作品に対しても、更に磨きをかける事が出来る様になります。

具体的な改善例の豊富さ

本書のコアな部分はクリティカルシンキングと言う、創作に取り込める姿勢にありますが、作品のどこが悪いかを特定しても、そこを直せるかどうかは、実力や技量次第です。

ですが、本書は15人のアーティストによって、1作につき基本3つの改善を実例を示して丁寧に描き、同じ問題を抱えたアーティストであれば、ハウツー部分もとても有用になっています。

デジタルだけの話でない(いつもの事)

この本のシリーズで毎回の事だが、デジタルアーティストに向けて書かれている物の、書かれている内容の大半はアナログでも同じ事が言えたりする。

過去の自分を超える為にクリティカルシンキングと言う、自己啓発本みたいな言い方こそしているが、中身は問題の分析や解決を具体的に出来れば問題を解決出来なかった頃より確実に進歩するよね、と言うシンプルな物で、デジタル層にアピールする理由は内容的には無いに等しい。

とは言え、集めたアーティストがデジタル環境でやっているので、デジタルアーティストとまとめる事自体が書籍として間違いとも言えない。

しかし、それでもやはり、デジタルアーティストにだけ向けた様なタイトルによって、非デジタルな人が手に取らないのは勿体無いと感じてしまう。

それぐらい、クリティカルシンキングと言うコンセプトは良い本と言えます。

本としての評価は?

本書は定価4200円、税込み4620円である。

クリティカルシンキング部分がアートハウツー系の書籍コンセプトとして新しい部分ではあり、そこを具体的に掘り下げて15人が解説している点では、贅沢で面白い本と言えるだろう。

自作が既にあって、その作品より良い作品を作りたいが、そのやり方が今一つ分からないとか、例に出ている様なビフォー&アフターに興味があると言う人は、特に役立つ筈です。

本書の購入を検討する参考になれば、嬉しい限りだ。

関連本レビュー:デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版 -色、光、構図、解剖学、遠近法、奥行き-

本書発行元リンク:株式会社ボーンデジタル

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