「変わり者」とは?
ここでは「変わり者」をテーマにした物語を解説します。
変わり者というのは、もちろん主人公の事です。
この形式の物語は、構造カテゴリーで別の言い方をするならば「変わり者となって、組織を変える物語」となります。
目次
- 解説
- 必須要素
- 該当作品
解説
変わり者って?
まず、そもそも「変わり者」とは、ここではどんな人を指すのでしょうか?
この記事では「無垢で善良な正直者」として解説していきます。
変わっているのには理由がある
このタイプの物語の主人公は、例外なく変わり者です。
それも皆が皆、正直者なので嘘が下手です。
素直になれない事はあっても、嘘はつけません。
また、極端に純真無垢で、善良な人物なのです。
主人公が変わっているのには、ちゃんとした理由があります。
この主人公は独特な感性を持って生まれたか、そう育てられる事で、その様な存在として今まで生きて来たのです。
映画「フォレストガンプ」では、主人公は脳と足に軽度の障害を持って生まれました。
ですが、主人公は母親によって愛され、まっすぐに育てられます。
それによって、いじめにも負けず周囲にバカにされても気にする事も無く、母親の教えを実直に守って波乱の人生を生きる事になります。
アニメ映画「ウォーリー」では、主人公は汚れた地球を人類に代わり掃除する目的で作られた量産型の掃除ロボットです。
沢山いた仲間も長い年月の中で故障していなくなり、最後の一機になりながらも掃除する目的も知らないまま黙々と掃除をしています。
この様に、この形式の物語の主人公は、生まれや育ってきた環境のおかげで、他の人達とは違う感性を持っているのです。
社会への誘い
主人公はある日、慣れ親しんできた家から、外の世界へと出る事になります。
外に出る理由は様々ですが、外に出る理由には共通する事があります。
それは、主人公が外の世界のルールに従わなければならない事情が出来た時です。
その事情と言うのが例えば……
- 進学なら、学校のルール
- 就職なら、会社のルール
- 旅なら、旅先のルール
という風に、主人公は今までの考え方が通用しない世界へと足を踏み込みます。
アニメ映画「魔女の宅急便」では、魔女の成人の儀式として町での一人暮らしの為に、主人公が実家から旅立ちます。
自分なりにルールに従う
主人公は社会のルールに従います。
ですが、持っている考え方や感性が違うので、全てが自分流です。
周囲の目には時にトンチンカンに映り、怒られたり笑われたりしてしまいます。
アニメ映画「魔女の宅急便」では、街中で箒を使って飛んでいたら危ないと警察官に怒られてしまったり、町の人々にも物珍しい存在として見られてしまいます。
映画「キューティブロンド」では、お堅いハーバードにブランド物で完全武装した主人公が乗り込んでいき、浮いた存在となります。
ですが、主人公が困ったり戸惑ったりしていると、手を貸し、助言をくれる仲間が現れます。
この仲間は、主人公の持つ善良さに気付いていたり、直前で主人公の善良さに助けられた人物だったりします。
主人公は、その性質故に周囲の人間を助け、それによって自分も助けられ、この世界での居場所を手に入れていきます。
アニメ映画「魔女の宅急便」では、パン屋の忘れ物を魔女の力を使って届ける事で、パン屋のおかみさんとの出会いに繋がり、この出会いによって主人公は宅急便を仕事にしようと思いつきます。
主人公の力に本能で気付く者
物語が進んでも主人公は、相変わらず自分流でルールに従います。
この段階では、主人公なりに社会に溶け込もうと必死ですが、自分のやり方は捨てられません。
多くの人々は主人公の奇行を笑いますが、やがて主人公の仲間以外に奇行を笑って見ない者が現れます。
彼または彼女は、主人公を目障りに思い、率先して意地悪をします。
大抵の場合、その社会において優秀な人物なのですが、この人物は主人公の事を外野として笑って見ていられないのです。
意地悪を始める理由自体は様々ですが、この人物に共通する事があります。
それは、実は劇中で最も主人公の力に早くから気付いている事です。
つまり、一見トンチンカンな主人公の事を、優秀な自分を脅かしたり、社会を引っ掻き回す危険因子として気付いているのです。
映画「フォレストガンプ」では、その役割を軍の上官であるダン中尉が担っています。
彼は最初、主人公の事を快く思っていません。
社会の一員になる為
ここまで自分なりにルールに従ってきた主人公は、その社会で一人前とされる為の試練を受ける事になります。
これは主人公を脅威に感じていた人物からすると、漠然と持っていた危機感が現実となる時でもあります。
主人公は、この通過儀礼に参加する事で、主人公を脅威と感じていた人物との争いとなります。
ですが、主人公は、この時に失敗を犯します。
それは社会の一員になる為とは言え、自分なりのルールを捨てる事が出来ない事です。
主人公は、自分流でここまで上手くやってこれたのに、ここにきて自分流のせいで、通過儀礼にも失敗してしまいます。
そして、ここまでマイペースだった主人公は、悪くするとスランプに陥ります。
ですが、主人公はここで諦めません。
ルールに従った通過儀礼には、確かに失敗しました。
ですが、主人公のここまでの頑張りを知る仲間や、その性質を見抜ける者の助言によって、ここにきてようやく気付くのです。
それは、ここまで散々苦しめられてきた社会のルールの持つ無意味さと、自分の持っている強みにです。
フィナーレ
主人公は、全てのルールを自分なりに守ろうとする事をやめます。
その代わり、自分のやり方で、意味のあるルールにだけ従い始めます。
意味のあるルールとは、目的達成に必要なルールです。
本当の自分を解き放った主人公は、周囲に笑われてきた自分流こそが最大の武器である事に気付き、それを使ってもう一度通過儀礼に挑戦します。
その最大の武器とは、無垢さ、善良さ、正直さ等の、主人公が変わり者と見られる性質そのものです。
主人公は自分の武器を使い、通過儀礼を別のやり方で成功させます。
最後に勝つのは、社会のルールを守る者ではありません。
主人公の様に、無垢で善良で正直な、道徳的なルールに従った社会の目からすると変人なのです。
主人公の大勝利によって、社会は本当に大事なモノを思い出し、物語はフィナーレを迎えます。
まとめ
以上、変わり者が勝利する物語とは、変わり者の主人公が、その行動によって社会のルールや常識よりも大切な道徳観を思い出させる物語と言う事でした。
この形式の物語のポイントは、誰の目にも変人や馬鹿に映る主人公が、実は一番正しい言動をしているのに、社会のルールや常識によってチグハグに見える状況の面白さでしょう。
空気を読むなんて言葉もありますが、それが社会のルールだとしても間違いは間違いだと教えてくれる主人公が勝利する姿は、信念をもって行動する大切さを教えてくれます。
この記事が好きな作品探しや、この形式の物語を作る時の参考になればと思います。
必須要素
変わり者
- 図太いメンタルの主人公
- 変化する行動or見た目or名前
- 主人公を脅威に感じる存在
- 変わり者で無ければ解決できない問題
組織を変える
- 変えるべき慣習やルールのある環境
- 慣習やルールの異常性に気付ける主人公
- 慣習やルールに抵抗する主人公
「変わり者が勝利する物語」該当作品
※地道に追加、修正予定。
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