【フィクションだけど】メタフィクション作品を解説!【フィクションじゃない】

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1 メタフィクションは世界を繋げる

メタフィクションは世界を繋げる

メタフィクションとは、創作物の中にある『フィクションの世界と現実世界の境界を曖昧にする手法』である。

ウェキペディアや他の説明サイトの例を挙げると、

  • 「フィクション内フィクション」
  • 「作者が登場する物語」
  • 「物語を創る・見る人に関する物語」
  • 表題、区切り、プロット、構成、キャラといった「物語の約束事や客観視点からでなければ分からない事柄に触れる物語」
  • 物語の登場人物として「期待される行動と自覚した上で行動をとる登場人物」
  • 自分が「フィクション内にいる自覚を表明する登場人物」
  • 物語に注釈を入れつつ物語を進める「叙述的脚注」
  • 「メタ視点によって通常と異なる順序で楽しむ事ができる非線形の物語」
  • 物語に対する「読者の反応を予想する物語」

等の条件に当てはまる作品がメタフィクション作品となる。

この記事では、例を多分に交えながらメタフィクション作品について分類と簡単な解説をしていく。

尚、記事の性質上一部の例は重大な「ネタバレ」を含む

一応、ネタバレに配慮はするが、嫌なら後で見よう。

また、複数パターンにまたがる物もあるが、複雑になる為、一つずつしか記載しない。

『劇中劇』

劇中劇は、その物語内で現実にある「共通認識のある物語」を想起させたいが権利関係等で使えない時に多用される。

プリキュア系、魔法少女系、仮面ライダー系、変身ヒーロー系、戦隊物系、アメコミヒーロー系、サスペンスドラマ系、等のお約束作品をもじった作品が劇中劇として出てくるのは、初歩的なメタフィクションである。

作品例

 ガーリッシュ ナンバー

  • ピュアパラ(劇中に登場するアニメ)

干物妹!うまるちゃん

  • プリ♡キュラ(劇中に登場するアニメ)

『作者登場』クリエイターが創作物の中に登場

お遊びだったり、それが重大な意味を持ったり、重要度は様々だがフィクションである世界に創作者自身が登場すると言う形でフィクションの境界を曖昧にする手法が『作者登場』だ。

作品例

エクセルサーガ(アニメ版)

  • 原作者とアニメ監督が頻繁に登場

船乗りクプクプの冒険

  • 著者に物語の続きを書かせる事が重要な要素

『物語を創る人』の物語

創作と言う行為自体を考えさせる物語。

作品例

SHIROBAKO

  • アニメーション制作に携わる人達による群像劇
  • えくそだすっ!(劇中に登場するアニメ)第三飛行少女隊(劇中に登場する漫画及びアニメ)を制作

NEW GAME!

  • ゲーム制作に携わる人達による群像劇
  • フェアリーズストーリー3(劇中に登場するゲーム)PECO(劇中に登場するゲーム)等を制作

『物語を見る人』の物語

創作物は、第三者に影響を与えてこそ真の完成と言える。

物語を読む人を題材にした物語は、それだけでメタな一面を持つ。

作品例

果てしない物語、ネバーエンディングストーリー

  • 主人公がネバーエンディングストーリーと言う魔法の本を読む事で物語が進む。

『登場人物が現実世界を匂わせる』物語

人によっては、ここからがメタフィクションと考える一つのライン。

劇中の登場人物、時にはナレーション等が、物語の外側についてポロっと漏らす演出がある。

これも、お遊びの事もあれば、それこそが深いメッセージの時もある。

作品例

黄金勇者ゴルドラン

  • 「先週まで悪役だった」などメタ発言の多用が見られる。

メタルギアソリッドシリーズ

  • 1のボス「サイコ・マンティス」と2の「ロイ・キャンベル大佐」この二人が強烈で有名だが、他にも山ほど仕掛けられている。名作。

『自分が創作物と言う自覚がある』物語

自分が創作物と言う自覚があるとは、どういう感覚か味わってみたい?

宗教に入れば、一発で解決する。

この系統の作品の登場人物達は、自分達が創作物である自覚を持ち、創造主から与えられた役割の範囲内で行動する。

これは、戒律と向き合いながら生きるのと同じである。

つまり、自分が創作物である自覚を持った登場人物が活躍する作品とは、天国や地獄と言った上位世界を信じて生きる人のメタファーにもなり得る作品と言う事だ。

作品例

キルミーベイベー

  • 作品に登場する事が叶わなかった没キャラが、どうにか出演しようと奮闘する

シュガーラッシュシリーズ

  • 登場人物達が、自分達はゲームの登場人物である事を自覚している
  • 2作目のウサちゃんがトラウマだけど可愛い

トイ・ストーリーシリーズ

  • 登場人物達が、自分達は人が作った玩具である事を自覚している

『登場人物が語り掛けてくる』物語

一気にメタフィクション感が強くなるパターンがこれだ。

第4の壁と呼ばれる現実とフィクションを遮る壁を認識し、こちらに語りかけてくる。

登場人物が第4の壁を認識しているが、自分がフィクションと言う認識があるかは別の話で、あくまでも対等な次元の相手として語り掛ける。

手紙、電話、ビデオレター、テレビ電話、ぐらいのメタ感。

作品例

Undertale

  • とあるキャラクターが、主人公がセーブやロードを繰り返している存在だと認識していて、プレイヤーに直接訴えかける演出がある。

SCE_2

  • 通常のゲーム画面と同時に、女の子と会話をする変わり種のフリーゲーム

Hotline Miami

  • ロシアンマフィアを殺しまくる残虐性の高いゲームで、突然「他人を傷つけることが好きか?」と問われる演出がある。

spec ops the line

  • 物語中盤から不穏な空気が色濃くなり、ローディング画面に表示されるTIPSが、明らかにプレイヤーに向けられた物となっていく演出がある。また、オープニングをよく見るとスペシャルゲストにプレイヤー名が表示されていて、これもメタな演出であったと後に気付かされる作品。

シェルノサージュ、アルノサージュ

  • プレイヤーが、7次元先に実在する世界に干渉する事で物語が進行すると言う設定のゲームシリーズ

トリストラム・シャンディ

  • 意識の流れの文章化とでも表現すれば良いのか、未完の奇妙な小説。

真っ黒に塗り潰されたページ、読者の想像のままに描いてほしいと用意された白紙のページ、タイトルだけが記された章、自分の思考を表す marble pages と呼ばれる墨流し絵のようなページ等、読者をからかうがごとき意匠に満ちている。アスタリスクやダッシュの多用、さらに、この作品の話の進行状況を曲線で表す等、まさしく奇抜な形態をほしいままにしている。

Wikipedia

古畑任三郎シリーズ

  • クライマックス直前で突然周囲がブラックアウトし、直後に古畑にスポットライトが当たり、視聴者に語りかける演出が入る。

MOTHER2

  • プレイヤーが重要な役割を果たす場面が出てくる。ふざけたプレイヤー名にすると後悔する。

『自分が創作物である自覚がある事を表明する』物語

「登場人物が語り掛けてくる」から一歩踏み込んだパターン。

「自分が創作物である自覚がある」パターンとの掛け合わせバージョン。

作品例

The Stanley Parable

  • ナレーションの指示に従う、あるいは無視してゲームを進行すると言う変わり種の実験的なゲーム。
  • 劇中でプレイヤーの出来る事を、制作者が網羅的に把握している。超有能なメタ作品。

デッドプール登場作品

  • マーベルのヒーロー「デッドプール」は、第4の壁を認識する能力を持っていて、それゆえに周囲からは狂人と思われている。
  • 映画でBGMを操作したり、スーパースロー中にカメラ目線でツッコミを入れたり、マーベルVSカプコン3と言う格闘ゲームでは体力ゲージに干渉できたり、作者や編集に直談判したりと、やりたい放題感が楽しいキャラクターである。

『実は全部フィクションだった』

そのまま劇中で行うと、それは「夢オチ」となる。

だが、おまけページでやると「楽屋裏ネタ」と言う楽しみに変わる。

作品例

東京大学物語

  • こちらも有名な夢オチ物語
  • 過激な性描写も頻繁に出てくる単行本全34巻にのぼる長い物語が、小学4年生の女の子の妄想でしたってオチはかなりの衝撃

ドラゴンクエストユアストーリー

不思議の国のアリス

  • 有名な夢オチ物語
  • 収拾のつかなくなった悪夢の様な状況が実は夢だったと言う構成
  • オイスターベビーはトラウマ

いばらの王

  • おまけ漫画で楽屋裏ネタが見れる
  • 全6巻

ブラックラグーン

  • おまけで楽屋裏的な漫画が巻末にある

『過去作はフィクションでした』

過去作品がフィクションとして存在する世界を舞台にした話。

作品例

ムカデ人間シリーズ

  • 2では1を見て悪影響を受けた男が主人公で、3では2に悪影響を受けた男が主人公
  • 監督が本人役で登場する
  • トラウマ映画

パロディ系作品

  • 既存の作品を皮肉ったりパロディに使う作品は、このパターンに当てはまる物が多い

リスペクト系作品

  • 既存作品が好きな創作者が作品内に登場させるパターン
  • ユージュアルサスペクツ、シックスセンス、ゲームオブスローンズ、等のどんでん返し系やビッグタイトルは良く出てくる

『上位世界に干渉されている下位世界』物語

上位世界とは、フィクションを創作した神が存在する世界の事だ。

下位世界とは、フィクション世界そのものを指す。

上位世界からの干渉を受けている下位世界の物語とは、一種の劇中劇と気付かずにいるが、世界を救うには創造主と接触する必要がある等のパターンの物語である。

作品例

インセプション

  • 他人の夢の中に入り、情報を盗んだり深層意識に働きかける物語
  • 超名作であり、夢の中の描写は一見の価値がある

うる星やつら2ビューティフルドリーマー

  • 日本アニメ史に輝く名作
  • タイトルの通り、とある人の望む夢の出来事

スターオーシャン3

  • 実はラスボスの持つコンピューターの中にある仮想現実世界のシミュレーションだったと言うオチ
  • シリーズファンを中心に大炎上

スマガ

  • 人生リベンジ能力を手に入れた主人公がハッピーエンドを目指す物語
  • R18のPCゲームなので注意

すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ

ビッグ・オー

  • サンライズ制作の名作ロボットアニメ
  • 実は、謎の存在によって作られた世界が舞台って感じ

moon

『FAKE MOON』を遊び、もうすぐでラスボスのドラゴンを倒せそうだった主人公。しかし、母の「ゲームなんかやめて、早く寝なさい!」という一喝で中断されてしまう。しかし、消したはずのテレビの電源が勝手に点き、砂嵐の中、主人公はテレビの中に吸い込まれてしまう。

辿り着いたのは、少し前まで自分が遊んでいた『FAKE MOON』の世界そのものだった。何故か住民達には姿が見えないようだが、町の外に住む老婆だけは、自分のことを孫だと思い、認識してくれた。彼女の家で眠りについた主人公は、謎の女性から助言を受ける。主人公の使命は、この世界「ムーンワールド」に存在する「ラブ」を集め、光の扉を開くことだ、と。こうして主人公は、世界中の「ラブ」を集める旅に出ることになった。

Wikipedia引用
  • 1997年にアスキーから発売された「アンチRPG」をテーマの一つとしたプレイステーション用の名作ゲーム。
  • 長らく中古市場ではプレミア価格だったが、現在はバーチャルコンソール版や、2020年発売のswitch版がありプレイしやすくなった。

『現実世界に干渉されているフィクション世界』

上位世界から干渉を受けている下位世界の物語と基本は同じだが、上位世界が現実と言う点が最大のポイント。

現実と言いつつも現実と言う体裁の上位世界なのだが、それでもフィクションとの境界線の曖昧化が強まる分、インパクトは絶大。

作品例

高機動幻想ガンパレードマーチ

  • PS用ゲームの名作。
  • ある人物がプレイヤーに話しかけてきたりするのだが、メタ設定が実は重要設定だったりする

勇者特急マイトガイン

最大の敵ブラック・ノワールが自らの正体をフィクション世界を支配する三次元人であると明かし、テレビアニメ世界に住む二次元人である舞人らと対決するという展開が描かれた。

極めつけはエンドロールで、ラストシーンはセル画が悲哀溢れる音楽と共に映し出されるという内容。

Wikipedia

レゴ(R)ムービーシリーズ

  • レゴの世界を舞台とした作品ならではの仕掛けとして、上の世界としてレゴで遊ぶ創造主たる実写の人が登場
  • 1では、レゴワールドで起きているレゴ目線でのマニュアル派とクリエイティブ派による争いと言う出来事と、レゴをジオラマとして楽しむ父親と玩具として遊ぶ子供による争いがリンクしている仕掛けは見事

『フィクション作品に対して実在性を与える』物語

架空作品や存在に対する現実的書評や序文、MAD、PV、手紙、漫画等の作品化と言うアクロバティックなメタフィクション。

SNSで時々見る「好きな作品をアニメの1シーン風イラストにした」や「存在しないゲームのPV作った」等は、このパターン。

作品例

完全な真空、挑発

  • 存在しない本の書評集
  • 作者が形にしなかった作品がもし作品の形になって書評を書かれたら、という体裁の作品

虚数

  • 存在しない本の序文集

レターズ

  • 作者の過去の作品の主人公たちが再登場し、彼らが交わす88通の手紙で構成された作品

『上位世界に下位世界が飛び出す』物語

世界の上下関係によって干渉出来る度合いは、本来予め決まっている。

下位世界は上位世界に対して決められた情報以上の干渉は出来ない。

だが、その原則が、もしも崩壊したら?

と言うアイディアで作られた作品が、このパターンである。

作品例

朝のガスパール

  • 劇中に出てくるオンラインゲーム「まぼろしの遊撃隊」と、劇中の投書や投稿をベースに小説を書いていた主人公。ところが、オンラインゲームが影響を受けて変化し、オンラインゲームの影響で現実まで変化する事態になると言う物語
  • この作品の凄い所は、作者の筒井康隆自身が主人公と同じ手法で執筆している事。つまり「読者」→「作者」→『実小説「オンラインゲーム、投稿」→「主人公」→「劇中小説」』と言う5段構えの構造になっていて、それぞれが影響を与え合う実験的な試みが行われている点にある

今夜、ロマンス劇場で

  • 映画のスクリーンからお姫様が出てきてしまう物語

ゼルダの伝説夢を見る島

  • 島に漂着したリンクが、島から出る為に島の神を目覚めさせる物語

ドラゴンクエストⅥ幻の大地

  • 夢の世界と現実世界を行き来しながら、魔王から世界を救う物語

Forest

  • 新宿が森に侵食され、英国児童文学をモチーフとした場所や事件に5人の登場人物が立ち向かう物語
  • R18のPCゲームなので注意

ファイナルファンタジーX

  • 実は一部の登場人物が、ラスボスの見る夢の登場人物と言う設定の物語

マウスオブマッドネス

  • ジョン・カーペンター監督が、H.P.ラヴクラフトの「クトゥルー神話」をモチーフに現実と虚構の混ざった混沌とした世界を描いたホラー作品

猜疑心の強い保険調査員のジョン・トレント(サム・ニール)は、出版社のジャクソン・ハーグロウ(チャールトン・ヘストン)に、
失踪したベストセラー作家サター・ケイン(ユルゲン・プロノフ)の行方を捜して『マウス・オブ・マッドネス』の原稿受け取るよう依頼される。
そしてケイン担当の編集者のリンダ・スタイルズ(ジュリー・カーメン)とともに捜索するうちに、ケインの小説に出てくる架空の町ホブス・エンドにたどり着く。
そこで二人は現実を自由に変え、人類を滅ぼそうとするケインの野望を知るのだった…。

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魔法にかけられて

  • おとぎの国からお姫様が現代ニューヨークに来てしまう物語
  • ディズニーによるセルフパロディ

ラストアクションヒーロー

  • 魔法のチケットによって映画のスクリーンからキャラクターが飛び出してきてしまう

Re:CREATORS

  • 様々な創作物の登場人物が固有の能力を持って現実世界に飛び出してバトルを繰り広げるアニメ作品

『現実世界にフィクション世界が飛び出す』物語

「上位世界に下位世界が飛び出す」物語の掘り下げパターン。

上手く行けば興奮間違い無しだが、失敗すると茶番になるリスク高め。

前情報無しで出会えれば、かなり幸せ。

ネタバレ無しで楽しめればラッキー。

作品例

OneShot

  • プレイヤーとして主人公のニコを導いて塔を目指すゲーム
  • ニコが可愛い
  • ゲームのヒントがプレイヤーがゲームをしているパソコンのドキュメントに現れたりと言った演出があり、メタ度が高い。

EVER17

  • 大どんでん返しの秀逸さで有名な恋愛要素のあるアドベンチャーゲーム

君と彼女と彼女の恋

  • 二人のヒロインを攻略する恋愛シミュレーションゲームに見せかけた、仕掛け満載のメタフィクションゲーム
  • R18のPCゲームなので注意

Doki Doki Literature Club

  • 四人のヒロインを攻略する恋愛シミュレーションゲームに見せかけたホラーゲーム。

ブレイブリーデフォルトFLYINGFAIRY

  • 副題のFLYINGFAIRYにまで仕掛けを仕込む手の込みようが素敵

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“【フィクションだけど】メタフィクション作品を解説!【フィクションじゃない】” への5件の返信

  1. moonもメタな作品で有名ですよ。ゲーム世界に閉じ込められた少年が主人公、この世界が作られたモノ、ゲームだと考えてるキャラが数人いる等。去年switchで復活してます。
    アンダーテール作者も影響を受けたらしいです。

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