良い意味でお金のかかった劇団ひとり劇場
結論から言うと、面白かったです。
作品リンク:https://www.netflix.com/title/81317135
以下、感想をば。
こんな映画
良い意味でお金をかけ細部にこだわった、監督をしている芸人の劇団ひとりさんが演出した意味が光る映画で、映画の端々に劇団ひとりネタでよく見る”やたらドラマティック”な演出がネットリとしていて、その塩梅が良く、作品の肝になっています。
個人的に、モチーフとなっている浅草やお笑い芸人は、詳しくも無ければ、強い興味もありませんし、北野映画のフリークでも無いです。
北野たけしさんのイメージは、テレビ番組の「世界丸見え」や「奇跡体験アンビリバボー」のメインキャラクターぐらい。
それでも、柳楽優弥さん演じるビートたけしと、大泉洋さんが演じるビートたけしの師匠の深見千三郎は、それぞれ魅力あふれる人物で、2時間の映画の中で見る前よりも好きになる事が出来ました。
終始「師弟愛」の物語で、師匠の教えが芸人でもないのに見ていてバシバシ刺さり、カッコいいと思えます。
クオリティの鬼
クライマックスに流れる曲「浅草キッド」はビートたけしさん本人が歌っているらしく、作品の原作もビートたけしさんが1988年に出した自伝で、公式感がかなり強いです。
今回、5回目の映像化です。
その上で、ビートたけしの物真似で有名な松村邦洋さんがビートたけし所作指導と現代の声を映画内で担当しているのですが、これが熱い。
ルパン3世の声優交代で初代の山田康雄さんから、物真似に定評があった栗田貫一さんにバトンが渡った時に近い、物真似が本物になる様な感覚があり、作品のクオリティアップに繋がっている上に、胸熱です。
他に、当時の浅草をCGやセットで再現しているのも、日本映画よりもハリウッド映画で良く聞く手法なので、こだわってるなと感じましたし、現代編のビートたけしメイクは本人とソックリで、結構驚きました。
タップダンスシーンも、凄いです。
圧巻。
下手な時から徐々に上手くなっていくのとか、ダンスを全然知らない人間からすると、ただただ「すげー」となれます。
役者さんは、マジですごい。
中盤にストリップ嬢が歌を披露するシーンがありますが、歌も超うまい。
本作は、そんな感じで、クオリティを高める為には妥協を許さない姿勢を随所に感じられます。
終わりに
劇団ひとり監督の作り出す独自空間に流れる「演者が気持ち良く自分に酔っている芝居」が、良い方向に働いている良い映画化でした。
独白でクサイセリフを言っても臭くならない状況の設定が上手いので、見ていられます。
後半の師弟愛シーンでは、二人の絆の深さが涙を誘うでしょう。
ストリップ劇場が舞台ですが、過激な裸や濡れ場は出て来ない工夫をしていますし、そこまで過激な描写も無いので、割と子供でも見れる作りになっています。
一部、下品なネタは子供には意味が分からないですけどね。
見終わった後は、たけしさんのコスプレ姿の見え方も変わるかも。