刺激的な、洋ファンタジーワールド!
Amazonprime配信アニメ「ヴォクス・マキナの伝説」の現状配信分を見終えたので、感想を。
はじめはどんな物かと不安もあったけど、軌道に乗ってからは面白い作品でした。
ヴォクス・マキナの伝説とは?
原作は、最も有名なTRPGである「ダンジョンズ&ドラゴンズ」の流れをくむ「Critical Role」と言う作品。
それを、アメリカの声優達が本気で役になりきり、ロールプレイすると言う人気の企画を、アニメーションとして映像化した作品との事。
日本でもTRPGのリプレイ本とかあるし、あのノリ、かな?
物語の主な筋としては、ヴォクス・マキナと言う実力は、まあまあある物の冴えない金無し傭兵の寄せ集めチームが、賞金目当てに王国の守護者に志願した事でドラゴン退治に巻き込まれ、ドラゴンに殺されていく人々を前に金だけでは無く人々の為にドラゴン退治に乗り出す所から物語が始まる。
簡単に例えるなら、D&D版、七人の侍である。
丁度、メインキャラクターも7人だしね。
シーズン1あらすじ
物語冒頭、タル・ドレイ王国エモンの酒場で喧嘩の末に出禁となったヴォクス・マキナの面々。
- 復讐に燃えるガンナーのパーシー。
- 双子のハーフエルフ、ヴァクス(男)とヴェクス(女)。
- 植物を操るのが得意なハーフエルフのケイレス。
- 脳筋な大男の戦士グロッグと、ノームの神官パイク。
- 女好きなノームの吟遊詩人スキャンラン。
7人は金が無く困っていると、スキャンランが張り紙に王国の守護者の募集を見つける。
志は高く無いが金は欲しい7人は、王城に行くと、誰にも期待されていない事が分かるが、ウリエル国王のノリで任務を与えられる事に。
近隣の村が襲われ畑が焼かれている調査に出かけると、ドラゴンと遭遇。
なんとか難を逃れる物の、村は壊滅してしまう。
ドラゴンを野放しに出来ないとバラバラなりに一致団結した7人がドラゴンの調査をすると、思わぬ人物がドラゴンと関係がある事が判明。
犯人を追い詰めようとした矢先、ドラゴンの巣に入り込んだ7人は、逃げられない状況でドラゴンと再戦する羽目に遭うが、事前の調査と準備、そして息が合い連携が成立していく7人によって、なんとかドラゴンの討伐に成功する。
名実共に英雄となった7人だったが、それは、王国を守る為の戦いの始まりに過ぎなかった。
本番は、吸血鬼編から
2話まででドラゴン討伐をするが、3話から12話の10話に渡って展開する、吸血鬼であるサイラス・ブライアウッド卿と、魔術使いのデライラ夫人との戦いが、シーズン1のメインとなる。
ドラゴンに比べて弱そうに感じるかもしれないが、戦う物が違う。
ドラゴンが単体の強力なボスであるのに対して、だ。
ブライアウッド卿とデライア夫人の二人は悪魔召喚を目論み、その為には王国の領地を乗っ取り、私兵を雇い、ゾンビを操り、死霊や使い魔を送り込んでくる上に、ブライアウッド卿の単体の戦闘力はまあまあ高いし、人質も取ってくるし、罠も仕掛けてくると、領主が使えるリソースを全力で使って7人を潰しに来るので、かなり厄介な敵なのだ。
七人の侍から一転、復讐劇に
ドラゴン討伐までは七人の侍的だ。
しかし、メインである吸血鬼編は、ヴォクス・マキナのメンバーの一人、パーシーの復讐劇が中心で話が進む。
実は、パーシーがブライアウッド卿が乗っ取った領地ホワイトストーンを治めていた元の領主の息子で、ブライアウッド卿と協力者達がかたきと言う事が途中で明かされる。
パーシーは敵討ちの為に悪魔と契約している事も分かり、敵討ちに力を貸す代わりに敵討ちが終わると肉体が乗っ取られると言う話が、結果的に敵討ちを一筋縄では進まなくさせる。
そんなパーシーを支える様に、仲間達も試練を乗り越え活躍していく。
中でも、対吸血鬼の切り札として神官のパイクが力を取り戻す為に別行動で修行をする事になるのだが、仲間のピンチに駆けつける際の盛り上がり方は、最高である。
シーズン2前半あらすじ
ブライアウッド卿からホワイトストーンを取り戻す事に成功したヴォクス・マキナ。
エモン宮殿に凱旋すると、勝利の余韻に浸る間もなく、四体の古代のドラゴンが王国に襲いかかる。
古代のドラゴン達は、元々王国を狙っていて、ヴォクス・マキナが最初に倒した一体の仲間で、倒した奴が四天王で最弱と言う事実を痛いほど刻み付けられる。
王は死に、王国は崩壊。
邪悪なドラゴン達への対抗手段を求めヴォクス・マキナは再び冒険の旅に出る。
シーズン2は、伝説の武具探し
灰の王、クロマ・コンクラーベと言うエンシェントドラゴンの群に襲われた王国は、成す術も無く崩壊してしまう。
目を設置して遠くから監視出来るドラゴン、何でも凍らす息を吐くドラゴン、周囲に毒の雨と霧を振りまくドラゴン、火炎放射の火力をプラズマになるまで上げて山に穴をあけるドラゴン(シンゴジラの放射線を想像するとイメージしやすい)と、現状どう考えても対抗手段が無い。
対処法を求めていると、伝説の武具ヴェスティッジ・オブ・ディヴァージェンスがどこかに隠されていて、それを手に入れれば対抗出来るかもと言う話になる。
ヴァクスがカラスの女王と呼ばれる高位存在との契約によってヴェスティッジ・オブ・ディヴァージェンスの一つである鎧を手に入れる事に成功する物の、脱ぐ事が出来なくなり、命を差し出す契約も結ばされ、凄い力がある反面、完全に呪われた武具状態。
スキャンランが2つ目の武具、剣を手に入れるが、それを狙い古代のドラゴンが襲来してしまう。
その辺で一山あり、シーズン2の前半は終わる。
ドラゴン達が「これ本当に勝てるの?」ってレベル
クロマ・コンクラーベのエンシェントドラゴンが、良い感じにレベルが違く強い。
灰の王とか、出る作品間違ってるぐらいに火力があり、絶望感も凄いし、物凄く盛り上がる。
シーズン2の1話だけでも、いきなり見て欲しいぐらい、ここの描写は好き。
シーズン2での七人の仲間達
パーシーはシーズン1で妹のカサンドラも救う事に成功し、ある意味メインを終えたばかりなので、呪われた銃も失って火力も下がり、活躍は少し大人しめ。
しかし、復讐の相手であるアナ・リプリー博士が暗躍しているので、まだまだ出番は終わって無さそう。
シーズン1では良い所が少なかった双子のハーフエルフ、ヴァクス(男)とヴェクス(女)が掘り下げられ、伝説の武具も最初にゲットするし、重要な役どころに。
ハーフエルフのケイレスは、シーズン1から張っていた伏線によって、少しパワーアップ。
ノームの神官パイクは、パーシーと共にシーズン1で大活躍だった事で、少し出番は少ない印象。
その代わり、パイクの相棒であるグロッグは、シーズン1に続き大活躍で、シーズン1で倒したブライアウッド卿の呪われた血の剣をちゃっかり拾った事で人知れず呪われた状態で見ていてヒヤヒヤ。
吟遊詩人のスキャンランは、シーズン1でも大活躍だったが、シーズン2でも安定して活躍を見せ、コミックリリーフとしてもシリアスな中に笑いをもたらす重要な役割を果たしている。
洋RPGの空気が良い
D&Dの系譜なので、JRPGとはテイストが全然違う。
ドラクエやFFを知ってて、ディアブロやエルダースクロール等々の洋RPGが好きな人なら、空気が違うのは分かると思う。
あの、洋ファンタジー独特の感じをアニメーションで摂取出来るのは、洋ゲーとかTRPGが好きな人からすると、面白い。
バトルの見応え抜群
本作は、登場人物達がギリギリまで追い詰められる戦闘描写が多く、それも、日本の作品の様に大技の打ち合いや殺陣、技の掛け合い的な物では無く、泥臭いと言うか、生々しさが表現にこもる類の物となっている。
中にはスタイリッシュなアクションや、大技による必殺もあるが、基本やたらと生傷が絶えず、ボロボロになりながら、なんとか生還すると言う状況に何度も遭遇する。
そう言った戦闘表現が好きな人なら、戦闘描写を見ているだけでも、かなり楽しめる作りだ。
エログロも、まあまあ
エロ成分と言うよりは、下品成分が強い。
まあ、その大半はスキャンランのせいで。
あと、シーズン1の1話では、ゲロとかスキャンランが酒場の女将の娘とベッドインとか、そう言う表現もあり、その辺で見るのをやめた人もいるかもだが、1話だけで、以降は見なくなる。
スキャンランが下品なのと、時々汚いネタは出てくるけど。
グロは、1話冒頭の冒険者たちの全滅プロローグを見ればレベルが分かるが、他には頭が潰されたり、酸で溶かされたりで、内臓や筋肉が「コンニチハ!」する事こそあるが、ゴア度はそこまで高くない。
いずれにしても、1話で作品のテイストや方向性を伝えている作品なのに、1話で判断出来ない作りとなっていて、最低でも2~3話見て判断する必要がある。
終わりに
現状配信されているシーズン2の途中までしか見てないが、トータルでは、面白い作品である。
条件としてD&Dや洋ゲー、洋ファンタジーが好きなら、かなり受け入れやすい。
キャラクターも1話時点だと好きになるキャラクターがいるか不安になる人もいるかもだが、見ていく内に応援出来るキャラクターの一人ぐらいは出来ると思う。
シーズン2前半ラストまで見れば、スキャンランが株をかなり上げているし、グロッグはバカながらパイクや仲間達には思いやりがあり、自己犠牲的な行動もいとわないので、割と愛せる。
他のキャラクターも、チームとして絆が芽生えてくると魅力的に感じる筈なので、まずは2話だけ見て、自分に合うか合わないか判断して欲しい。
個人的には、シーズン2に出てきたスフィンクスのカマルジオリとか、結構好き。
スフィンクスのオシーサに想いを寄せている設定とか、切ないし可愛い。