目次
見た目より印象を捉えて描く!第二弾!
第一弾のレビューは、こちら。
はじめてのジェスチャードローイング 着衣とビッグシェイプ
砂糖 ふくろう (著), 平谷 早苗 (編集)
短時間で描く、シンプルな線画で、こんなにも伝えられることがあります!
人の全身を簡略化した状態で無理なく描けるようになったら、服を着せましょう。
そして、もっと伝わりやすくするためのツールを手に入れましょう!「印象を受け取ること」そして「受け取った印象を絵として出力すること」
この2つは、同じように大切です。その間を結ぶリンク少しずつ強く、太く、短くしていくことが「伝わる絵」へのステップです。豊富な作例で、考え方と描き方の両面から、実践方法を解説していきます。
主な内容:
Part 1:肉付け
Part 2:服を描く
服は大きなかたまり
単純なカタチを見つける
ビッグシェイプ
服のしわを描こうとしない
Part 3:伝わる・伝える便利なツール
シンプル vs コンプレックス
プッシュとチェンジ
ラインクオリティーと線の表現力モデル写真から描いたドローイングを多数掲載。本書を読めば、
-写真リファレンス(資料)から「らしさ」をとらえる方法
-好きなキャラクターにスキな服を着せて、スキなポーズをとらせる方法
が分かります。好きだったはずの絵を描くことがちょっぴり嫌になってきてしまった方にもお勧めの1冊です!
著者について
砂糖ふくろう:京都芸術大学 客員教授。オンライン・オフラインで数多くの講座に登壇。学生からプロからまで広い層にジェスチャードローイングを教える。 出身校は、茨城工業高等専門学校。総務事務、工場勤務、IT 関連の営業、アンティーク家具の倉庫管理などたくさんの職業を経て、2010 年からイラストレーター兼漫画家として独立。2010 年、本格的に絵を描き始める。
- 出版社 : ボーンデジタル
- 発売日 : 2023/5/30
- 大型本 : 168ページ
- ISBN-10 : 4862465471
- ISBN-13 : 978-4862465474
- 寸法 : 20 x 22 x 2 cm
はじドロno2ツー!!!

前の巻に続き、単純化=記号化して印象と捉えて人物を描く技術が記されている本書。
前回は1冊使って丁寧に「人の素体」を描く際の考え方と方法が解説されたが、今回は素体と言う裸やピッチリした服の状態だけでなく、服を含めた単純化の仕方が丁寧に解説されている。
part1までは、LoA(ラインオブアクション)、簡略化した素体、球と円柱、オーバーラップ、リズムとフロー、とジェスチャードローイングによる基本的な素体の描き方で、44ページに圧縮された前回のおさらいだ。

45ページからようやくpart2、新要素である着衣とビッグシェイプの話になり、単純化して服を着た状態の人を、どうとらえ、どう描くかの説明が始まる。
とにかく、いかにして単純な形を一見複雑なリアルの中に見つけ、そこを切り口に絵に落とし込むシンプルな形を捉えるか、その有用性と重要性が本書の肝だ。
表題の着衣とビッグシェイプは、意外にも80ページまでで一段落してしまう。

そこから先にはpart3が始まり、シンプルとコンプレックス、プッシュとチェンジ、ラインクオリティとそこまでで学んだ単純化したシンプルな絵を、より伝わる絵に記号的に強化する為の手法が紹介され、121ページからラストまでドローイング例が紹介されて本書は締め括られる。
単純化・記号化のハウツーと言うコンセプトは良いが……
本書は、基本コンセプトとしては、良い本だ。
前の巻でLoAと言う考え方の提示によって、同系統の書籍と同様にアクションを捉える方法を提示したり、徹底して単純化・記号化したシンプルな描き方による反復練習を推奨して描画ツールとして読者がジェスチャードローイングを使える様に導こうとしたり。
特に、絵との距離が開きそうな絵描きに対して優しく、絵を描く楽しさを思い出させようとしてくれる。
その魂は本書でも引き継がれ、単純化・記号化によって世界を捉える方法が記され、着衣状態の人を描けるように導いてくれている。
更に、記号化の方向に要素を強め、伝わりやすい表現にする為の方法まで掲載している。
書かれている知識やハウツー自体は、どれも有用だ。
なのだが、一つ気になる点があるとすると、タイトルである。
「はじめてのジェスチャードローイング 着衣とビッグシェイプ」とあるが、はじドロシリーズと言う事で、2冊目ではじめてでないのにはじめてと言う点は、目をつむろう。
気になるのは、いかにもメインと言う雰囲気を出している着衣とビッグシェイプだ。
168ページの実用書で35ページ程度しか表題部分が無く、短編小説集の良く出来た一作がメインタイトルになっている作品の様な、そんな感覚で名付けられているわけだが、正直、ハウツー本でこの名付けは微妙に違和感を感じてしまった。
まだ、「はじめてのジェスチャードローイング2」とか「はじめてのジェスチャードローイング2 もっと伝わる絵の描き方」とか、本全体をどうにか表したタイトルにするか、着衣とビッグシェイプに全振りした内容にして欲しかった。
温かみと視認性のトレードオフ
これは前の巻から漠然と感じていた事だが、本シリーズは大量の描きおろしのラフな作画資料や漫画的な表現、スケッチブックやノートのメモ書きの様な手書き文字等の温かみを感じる手作り感のある要素を多分に用いて構成されている。
これらが最大の持ち味で、魅力でもあるし、お茶目なモデルさん達のポーズや表情も楽しい。
なのだが、ページによってスケッチブック的な配置の構成や、ゴチャついた手書き文字が読む順番を①②③ABCとまで記されて尚、邪魔される部分があり、教科書的な観点で見ると、賑やかで楽しいが1読目がとにかく読みにくい。
このトレードオフは、人によっては魅力を上回る読みにくさへの苦痛があるかもしれず、買う前に中身の確認が必要に感じた。
漫画を一度も読んだ事が無い人がコマの時系列を把握できずに戸惑う様に、視線が画面いっぱいの情報に散ってしまい、ルートを見つけるまでに判断を要する点は、単純に読んでいて変な疲れを感じてしまった。
本としての評価は?
定価2860円、本来2600円。
ちょっと気になる部分も挙げたが、本としては決して悪くない。
前の巻に続き、作者によるイラストやジェスチャードローイング図が、ほぼ全頁に展開し、そのリファレンス(資料)も、非常に量も種類も豊富だ。
良い意味でおどけた内容での、どこまでも優しい168ページを再びと言う感じである。
現実を単純化や記号化したり、より絵を伝わる様に描くにはどうすれば良いか悩んでいる人には、値段相応から、安いとさえ感じられる良書と言える筈だ。
前の巻とは違い、「ロン・ハズバンドが教えるクイックスケッチ」や「リズムとフォース 躍動感あるドローイングの描き方 (フォースドローイング) 」等と系統が変わってきた内容なので、人のアクションを捉える絵の描き方をメインで知りたいと言う人は少し注意が必要だ。
このレビューが本書を購入する検討材料や参考になれば嬉しい限りです。
本書発行元リンク:株式会社ボーンデジタル



