定義

【ネタバレあり感想】『アドレセンス シーズン1』を見ました。

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話題だったので見たけど、本当に凄かった

ネットフリックスのリミテッドシリーズ、オリジナルドラマ「アドレセンス」を見たので感想を。

テーマから見る人こそ選ぶが、凄く良かったです。

見てない人は、ネタバレなんて読まずに見て!

全4話でサックリ見れるから!

どんな話?

「アドレセンス」は、全4話、各1時間構成。

1話毎に、とある1日の1時間を区切りなくカメラが回りっぱなしで物語が展開していく、変わった形式の作品だ。

冒頭、民家に警察が突入し、13歳の少年が殺人容疑で逮捕される所から物語が始まる。

その後は、リアルタイムで事件のリアルな処理が描かれながら、事件の全貌が群像劇で徐々に明らかになっていく。

事件の1日目、3日目、7カ月目、13カ月目の節目となる4日間が生々しく描かれていくのだ。

逮捕されたジェイミーは、本当に殺人を犯したのか?

もしやったのであれば動機は?

そして、家族が事件の容疑者となってしまった、残された家族はどうなってしまうのか?

主役はジェイミー少年、主人公は向き合う大人達

本作は群像劇だが、1話、2話では主な主人公をバスコム警部、3話では臨床心理士のブリオニー・アリストン、4話ではジェイミーの父親のエディの視点で、ジェイミーの事件が描かれる。

本作でデビューを飾ったオーウェン・クーパー演じるジェイミー少年は主役ではあるが、主人公ではない。

扱い的には、ジョーズやゴジラ、あるいはエイリアンに近い。

そして、実際ジェイミーが怪物である事が徐々に明かされるのが本作の大きな見所の一つである。

証拠が無ければ犯人とは思えない、態度と言動で狡猾に正体を隠す怪物。

その、化けの皮が徐々に剥がれていくのだが、それでいて相反する「どこにでもいる少年」と言う難しい役を恐ろしいリアリティを持って演じているオーウェン・クーパーの怪演にして快演は、見て行くとゾクゾク出来る。

中でも、ジェイミーと臨床心理士のブリオニーの、ある種の対決が描かれる3話は本作の大きな山場と言えよう。

謎解きとしても面白かった

本作はリアリティを追求した部分があり、事件の全貌も、謎解きのギミックも、現代的で、どこか「現実はスッキリしない部分がある」をあえて入れ込まれ、そこも含めてドラマ的部分と現実的部分が混ざり合い良い方向に働いて面白い。

事件の全貌は判明してしまえば単純で、計画性も薄く、衝動的な部分も多い。

仕掛けとして、若者達が日常的に使う絵文字や組み合わせに全て意味がある事を大人達が知らずに文面まま読み取って捜査が混乱すると言う展開があったが、現実でも十分あり得そうというか、起こり得る事態は面白かった。

私は完全に大人達の立場で見てしまい、絵文字が隠語となって子供達の間で使われ、それを使い大人には見えないイジメが行われていると言う仕掛けは現代的で「現実にもあったんだろうな」と感心してしまった。

とは言え、エンタメではマイナスに働く可能性にさえなる物語上の仕掛けともなり得る重要な部分となる事件の全貌だが、そこの複雑さやどんでん返しに重きを置いておらず、ジェイミーの本性や他の部分にこそテーマがある事で作品としての見所が別にしっかり用意されている。

そのお陰で重要なのが事件の仕掛けでは無く、事件を起こした犯人の正体にあり、それがリアリティを持って描かれる事で、シンプルな事件の全貌が明かされる仕掛けも犯人の正体判明に繋がる様になっていて、謎解きパートも面白く仕上がっている。

本当にジェイミーが犯人なのかで始まる1話目から、どうしてジェイミーはそんな凶行に及んだのかの捜査が始まり、被害者である殺された少女ケイティこそ加害者でジェイミーは虐めの被害者だったのではないかと言う疑念が生まれる中、徐々にジェイミーの本性が露になり、視聴者は劇中の大人達と同じく度肝を抜かれる。

考えさせられる加害者家族の立場

大きな見所はジェイミーの事件の表だが、最終の4話目で描かれるのは事件の裏にある加害者家族だ。

家族から人殺しが出てしまい、周囲から「人殺しを出した家」と認識され、家族が嫌がらせを受け、精神的に追い込まれながらも、その状況をどうにか受け入れ前を向こうと必死に生きようとする1時間が描かれる。

3話目までの流れで、ジェイミーと言う怪物を育てたのは、父親のエディによる悪影響が原因ではと示唆される。

1話目から「父親からの虐待は?」等と、少年事件のお約束を誰もが気にする。

しかし、4話目では、物語はまたひっくり返る。

確かにエディは癇癪持ちで、短気で、全く問題が無い父親では無い。

だが、どこにでもいる普通の家族を愛し守ろうと必死な良き父親であろうとし続けてきた善良な男である事が分かり、暴力を振るわず、ジェイミーを愛情を持って育て、殺人を犯した怪物となった後でさえも息子として愛している事が分かってくる。

世間一般的に普通の範囲で育てた筈なのに、知らぬ間に怪物に育ってしまっていて、気付ける余地も現実的に見れば無かった。

怪物であるジェイミーも父親や、母親や姉を普通に愛していて、普通の少年である部分と、少女を自分勝手な理由で殺す怪物である部分が矛盾無く同居しているのだ。

そして、その人格形成を劇中では、父方の遺伝や性格の影響と、子供達の間で広がる価値観やネットの情報等の環境から与えられる影響等の相乗効果から、密かに育まれた物と示唆される。

それに対しエディは、密かに怪物に育っていく事を止められなかった無力な自分を責めて一人泣き崩れ、息子の部屋から、裁判を待ち施設に閉じ込められたジェイミーに対し謝罪して物語は幕を閉じる。

家族に落ち度が無いと言えるラインの状態でも、加害者家族は家から殺人者を出した咎を加害者に背負わされる形で背負い、肩身狭く生き続けなければならないと言う、出口の無い地獄が描かれ、これがまた地味で静かなのだが、かなりハードだ。

終わりに

考えさせられるドラマであった。

朝6時に警察が突入してきて、突然家族が犯罪者になると言うのもきついし、信じていた子供が実は怪物に育っていて平然と嘘をつき人を殺していたなんて目に遭えば、世の親は自分事なら耐えられないだろう。

それを疑似体験出来る点で、本作はテーマとして恐ろしく鋭利な部分を持って見る者の心を抉って来る。

思春期ぐらいの愛する子供を持った親や保護者の立場の人が見ると「うちの子は大丈夫か」と、色々な所がキリキリ出来る事だろう。

表現、演技、構成、等々どれをとっても素晴らしいドラマだったので、未視聴でこの記事を読んでしまった人でも、是非見て欲しい。

後、何気に音楽も良かった。

超おススメ。

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