創作論

【創作論】なぜ男性向けと女性向けでは恋愛・性的描写が違うのか? コンテンツ設計から考える合理性への考察

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作品を見ていると、気付くことがあります。

男性向け作品と女性向け作品では、何か根本的な差がある、と。

その表出として、中でも、

  • 恋愛描写
  • 親密な関係の描写
  • 性的な緊張感の描写

の作り方は、かなり違います。

もちろん例外はあります。

しかし全体傾向として見ると、男性向けと女性向けでは、何を魅力として受け取るか

に差が見られます。

これはどちらが優れているという話ではありません。

作品が、対象者の、どの欲求を満たそうとしているかの違いです。

男性向け作品は「結果」に価値を置きやすい

男性向け作品では、

  • 恋愛関係が成立する
  • 好意を向けられる
  • 特別な存在として認められる

といった「結果部分」に価値が置かれる傾向があります。

もちろん、過程もあります。

しかし、「どうなったか」が比較的、重視されやすい傾向です。

例えば、

  • 主人公が選ばれる。
  • 主人公が認められる。
  • 主人公が関係を獲得する。

そうした到達点が、一定の満足感に繋がる様に設計されている場合が多いです。

女性向け作品は「過程」に価値を置きやすい

一方で女性向け作品では、

  • 関係がどう変化したか
  • なぜ惹かれ合ったか
  • どのように信頼を築いたか

が長く描かれる傾向があります。

成立そのものより、成立までの「感情の流れ」に重点が置かれます。

  • 恋愛が始まる前。
  • すれ違い。
  • 誤解。
  • 距離感。
  • 心理変化。

こうした部分が大きな比重を占めます。

同じ恋愛でも見ているものが違う

興味深いのは、同じ恋愛作品でも、見ている対象が違う場合があることです。

例えば、男性向けでは、「主人公がどう評価されるか」が中心になりやすい。

対照的に、女性向けでは、「二人の関係がどう変化するか」が中心になりやすい。

もちろん絶対ではありません。

しかし市場全体を見ると、この傾向が見られる部分が多々あります。

なぜこうなるのか

理由はいくつか考えられます。

まず、創作は欲求充足装置だからです。

読者や視聴者が求めるものを供給する。

渇きを癒す、満たす。

そのために、市場で支持される作品は、受け手が満足しやすい構造へ収束していきます。

長い年月をかけて、「こうすると反応が良い」というパターンが積み重なった結果、ジャンルごとの定番が形成されます。

そして、作り手も、読み手だった時は、そう言う作品に惹かれているので、良い意味での再生産、模倣が起きやすくなります。

男性向けは「獲得」がテーマになりやすい

男性向け作品を見ると、

  • 戦いに勝つ。
  • 目標を達成する。
  • 地位を得る。
  • 認められる。

といった構造が多く見られます。

恋愛もその延長線上に配置されることがあります。

つまり、関係そのものより、関係を獲得すること、が報酬として機能しやすい。

または、そう見られるわけです。

女性向けは「関係性」がテーマになりやすい

女性向け作品では、関係の変化そのものが物語になる場合があります。

  • 仲が悪かった二人。
  • 距離のある二人。
  • 立場が違う二人。

そうした関係が変化していく。

ここに大きな価値が生まれます。

なので、成立後より成立前の方が面白い作品も珍しくありません。

なぜ全年齢作品でも差が出るのか

面白いことに、こうした差は、恋愛や性的な要素が薄い全年齢作品でも見られます。

  • 少女漫画。
  • 少年漫画。
  • ニチアサ作品。
  • 子供向け映画。

等、濃密で親密な描写がほとんど無くても、構造そのものは残ります。

つまり重要なのは、男女毎に、どこに感情的な報酬を置きやすいかです。

近年は境界が曖昧になっている

ただし最近は事情が変わっています。

どちらかに偏ったセッティングをしない作品も多いです。

男性向けでも関係性重視作品はあるし、女性向けでも達成感や爽快感を重視する作品があります。

その結果、対象者が明確なジャンル以外では、昔ほど明確に分かれてはいません。

むしろ、より自然な形で混ざり合っています。

その方が、男女共に作品を楽しめる無性別あるいは全性別の作品となる点では、大きな利点でしょう。

創作者が見るべきポイント

創作者として重要なのは、男性向けか女性向けかを機械的に分類することではありません。

その作品は、何を快感として設計しているのか、を理解することです。

  • 達成感なのか。
  • 関係性なのか。
  • 承認なのか。
  • 独占感なのか。
  • 安心感なのか。
  • 憧れなのか。

ここを理解すると、恋愛描写や親密な描写の、意味が見えてきます。

構造が分かれば、自作品に取り込めますし、自分がどちらを描くのが得意か分かれば、得意を伸ばしたり、苦手を補う事も出来ます。

例えば、一部のなろう系(に限りませんが)ヒロインが「トロフィー」とか、物扱いされる傾向にあるジャンルや作品では、対象読者・視聴者の多くは男性で、まさに獲得物としてヒロインを見ていると言う事が言えますが、それはそれで人の好みですが、関係性の変化を取り入れる事が作品に出来ればそこに女性のファン獲得の可能性が生まれる、かもしれません。

まとめ

男性向けと女性向けの恋愛・性的要素の違いは、表面的な描写の違いだけではありません。

裏には、何を魅力として設計しているかの違いがあります。

男性向けでは、

  • 獲得
  • 達成
  • 承認
  • 結果

に重心が置かれやすい。

女性向けでは、

  • 感情変化
  • 関係性
  • 信頼構築
  • 過程

に重心が置かれやすい。

もちろん例外はあります。

しかし市場全体を見ると、こうした傾向は確かに存在します。

創作分析として重要なのは、どちらが正しいかを論じることではありません。

男性向けに突き抜ければ、その傾向を偏らせた方が良い場合もあるし、女性向けに突き抜ければ、その傾向を偏らせた方が良い場合もあるわけです。

作品が読者にどんな感情体験を提供しようとしているのか。

その設計思想を読み解くことです。

恋愛や親密な描写は、そのための手段であって、本質ではありません。

本質は、その先で読者にどんな満足感を与えようとしているかにあります。

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