コラム

夢はいつ諦めるべきなのか? 引き際と続けるべき時を考えてみる

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目標や夢を追っていると、辿り着かない道半ばで、それが長く続くほどに誰もが一度は考えることがあります。

「もう諦めるべきなのだろうか?」

あるいは、

「ここで諦めたら後悔するのではないか?」

この問いに、誰かがスッキリする正解を提示してくれることはありません。

「夢は諦めるな」という人もいれば、「いい加減、現実を見ろ」という人もいます。

しかし、この二つは0か100か、どちらも極論です。

本当に考えるべきなのは、夢を続けることが合理的な状態なのか。

それとも、資源を別の場所へ振り向ける方が合理的なのか。

かもしれない。

今回は、夢の諦め時や引き際、あるいは、まだ進むべき時か否かを整理してみます。


「成功したかどうか」だけで判断してはいけない

夢を続けるかどうかを、成功か失敗かだけで判断してしまう人がいます。

将来○○になると言う夢は叶ったか? なれてない? じゃあ失敗だ、と。

しかし、判断には、本当に見るべき物が、もっと多くあります。

具体的に、詳細に見ないと見えない事があります。

例えば、

  • 今どれだけ成果が出ているのか
  • 去年より成長しているのか
  • 改善する方法は残っているのか
  • 続けることで人生が壊れていないか
  • 仮に辞めても得られるものは残るのか

こうした複数の要素を合わせて判断する必要があります。

それでも、それが正しいかも、間違っているかも、分かりません。

手に入るのは、いずれにしても納得の度合いを濃くする情報です。


判断材料① 現在の成果

まず分かりやすいのが、現在の客観的な成果です。

例えば漫画家なら、

  • どれぐらいの作品数を完成させたか
  • 編集者の評価
  • 新人賞の受賞歴
  • 掲載経験
  • 読者数
  • ファン数
  • SNSの反応

web小説なら、

  • どれぐらい文字数を書き続け、発表し続けているか
  • コンテストの受賞歴
  • PV数
  • 書籍化実績
  • 読者数
  • 各ランキング順位
  • 完結作品数

YouTubeなら、

  • 登録者数
  • 再生数
  • 収益

等々があります。

ここで重要なのは、「自分的には頑張った」と言う主観的な評価ではありません。

市場や第三者から見た、冷徹なまでの定量的な成果です。


判断材料② 成長速度

成果と同じぐらいか、状況次第では更に重要なのが、成長しているかです。

例えば、去年100人だった読者が、今年1000人になったなら、まだ成功していなくても確実に伸びています。

逆に、10年間ずっと横ばいなら、市場との相性を疑う必要があります。

見るべきなのは、現在地ではなく、どちらへ、どのぐらいの早さで向かっているかです。

ティッピングポイントみたいな、後で急に伸びる事もあり得ますが、それを狙えたり、目指せないのであれば、それを根拠に続ける理由にはなりません。


判断材料③ 残された時間

夢によって、時間の価値は違います。

例えば、スポーツ選手やアイドルには、実質的に年齢的な制約があります。

一方、作家や研究者、起業家などは比較的長く挑戦できます。

つまり、夢を掴むまで「あと何年挑戦できるのか」という視点も重要になります。

クリエイター等は何歳になっても始められるし、続けられますが、残された時間だけが味方で夢を追うには、とても大変です。

残り時間は、タイムリミットでしか無く、膨大に時間があっても他が伴わなければ夢には近づけません。


判断材料④ 続けるコスト

夢を追う時、夢だけを見てはいけません。

常に、人生全体を見る必要があります。

例えば、

  • 借金が増え続ける
  • 健康を壊している
  • 家族との関係が悪化している
  • 将来の生活基盤が崩れている

こうした状態なら、夢以外の部分が、限界に近付いているか、立て直す必要があり、無理をすれば破滅が待っている可能性があります。

夢のために人生そのものが壊れてしまえば、本末転倒です。

夢を掴みさえすれば解決するにしても、肝心の夢を掴めていないからこそ引き際を計算しているわけで、夢を追い続けたい場合には、人生その物の問題とも向き合うしかありません。


判断材料⑤ 夢のあとに残るもの

仮に夢を諦めた、そこで引いたとしても、何が残るでしょうか。

例えば、仮に漫画家を目指していた人なら、

  • 構成力
  • デザイン
  • 締切管理能力
  • 編集とのやり取り

小説家なら、

  • 文章力
  • 表現力
  • 読解力
  • 校正力

YouTuberなら、

  • 動画編集
  • マーケティング
  • SNS運営

起業家なら、

  • 営業
  • 会計
  • マネジメント

夢は叶わなくても、身に着けた能力は、何かしら残ります。

この能力が次の仕事や、次の夢につながるなら、挑戦の価値は決してゼロではありません。

そう言う物が何一つ無いとしたら、夢を目指していたのでは無く、夢を追う自分に酔って夢を見ていただけの危険があります。

夢を追うのと、夢を見るのは、行動に差が出てきます。

見るだけで叶う様な夢は、よほどの適正が無ければ、そうそう無いでしょう。


諦めるべき時とは

では、どんな時に諦める判断が合理的になるのでしょうか?

長期間まったく成長していない

改善を続けても何年も成果が変わらない。

その場合、市場との相性や方向性を見直す時期かもしれません。


改善策が尽きている

失敗すること自体は問題ではありません。

問題なのは、次に試す方法が、打ち手が、手の中になくなっていることです。

仮説も改善案もない状態で続けることは、挑戦ではなく惰性になってしまいます。

根本的に埋めようが無いピースがあって動けないなら、それを埋める手立てを探さなければなりません。

それが無ければどうしようもないなら、別の道を探す時です。

必要だが手に入らないなら、その道はそこまでは進めたとしても、そこから先は行き止まりと言う事もあり得ます。


市場そのものが消えた、変わった

技術革新や社会の変化によって、夢の前提がなくなることもあります。

市場がなくなれば、極端に小さくなれば、努力だけでは覆せない事もあります。

AIの登場で、旧来の手法では新参者が入り辛い業界は実際増えています。


人生を壊し始めた

  • 借金。
  • 健康。
  • 家庭。
  • 人間関係。

夢を追う燃料として、夢以外の大事なものを失い始めたら、続けること自体を見直す必要があります。

夢を追う為の燃料にして、良い物と悪い物を分けて考えましょう。


夢そのものが目的になってしまった

例えば、「人を楽しませたい」という目的だったはずなのに、いつの間にか「インフルエンサー、漫画家、社長、等という肩書きを得たい」だけになっている。

これは、手段と目的が逆転しています。

夢の本質を見失っている状態です。

綺麗ごとではなく、目的を再設定した方が、夢を追いやすくなりますし、それが出来ないなら、能力でカバー出来なければ明らかな引き時でしょう。


引き際は「敗北」ではない

引き際というと、負けを認めることのように感じます。

しかし、本来の事実を見つめての引き際とは、むしろ資源の再配分です。

例えば、

  • 専業から兼業へ。
  • 週7日から週2日へ。
  • 漫画家からシナリオライターへ。
  • 仕事から趣味へ

夢を追う本質は残したまま、戦い方や戦場を変える事だって出来ます。

これも立派な引き際です。


成果が足りなくても、まだ進むべき時

逆に、成果がまだ十分でなくても、続ける価値がある状態も、あります。

例えば、

  • 毎年確実に読者が増えている。
  • お世辞で無く編集者からの評価が良くなっている。
  • コンテストで少しずつ上位へ進めるようになっている。
  • 改善案が次々に思いつく。
  • 生活を維持しながら安定して挑戦できている。

こうした状態なら、まだ成功していなくても、期待値は上がっています。

やめたり引いたら勿体ない状況なら、何かを我慢したり犠牲にしても、続ける事も時には英断となり得ます。


一番危険なのは「希望だけ」で続けること

夢を追う人が陥りやすいのは、根拠のない期待です。

  • 「いつか売れる」
  • 「努力は裏切らない」

もちろん、その可能性はあります。

しかし、

  • 客観的な成長も、
  • 第三者からの評価も、
  • 改善案もない状態なら、

それは、健全な期待ではなく、個人的な希望です。

希望だけで人生を賭けることは、非常に危険です。

わがままを言ってそれを周囲が聞き入れてくれるか、と言う話に近いです。

実家が太く、コネもあり、それが許される立場なら続けても良いでしょうが、そうでないなら現実を見て立ち止まり、進むべきか、引くべきか、決めていく方が人生と言う観点では建設的です。


一番もったいないのは「伸びている途中で辞めること」

逆に、まだ成果が、ほんの小さくても、

  • 編集会議を通過するようになった。
  • リピーターが増えてきた。
  • 企業から声が掛かるようになった。
  • 牛歩であっても確実に進んでいるし問題は無い

こうした変化は、未来の成功を示す先行指標です。

結果だけを見て諦めてしまうと、あと一歩だった可能性もありえます。


「諦める」と「辞める」は違う

夢は、白か黒かではありません。

プロの漫画家になれなくても、イラストレーターにはなれるかもしれませんし、ゲームシナリオを書く道があるかもしれませんし、編集者になる道もありますし、講師として経験を伝えることもできます。

夢の形は変わっても、夢の本質は残せる場合があります。


おわりに

夢には、続ける勇気が必要です。

しかし、引く勇気も同じくらい必要です。

本当に大切なのは、「絶対に諦めないこと」でも、「現実を見てすぐ辞めること」でもありません。

今の自分が、本当に前へ進んでいるのか。

その努力は、未来の成功確率を高めているのか。

仮に夢が叶わなくても、その挑戦は次の人生へつながるのか。

それらを、定期的に見直しながら、自分の時間・お金・能力という限られた資源をどこへ投資するのが最も合理的かを考え続けることこそ、夢を追う人にとって最も重要な技術なのではないでしょうか。

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