創作論

【創作論】「我慢してコツコツ努力」ができない人のための、物語執筆アプローチ

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  • ログラインを見つけ、仕掛けを作り、結末を決め、プロットを整え、計画的に書いていく
  • 毎日少しずつプロットを練り、コツコツ文章を書き、何度も推敲する

等、いわゆる普通だったり、こ慣れていたり、王道とされる創作論や執筆術を聞くたび、「それができれば苦労しない……」と途方に暮れる事は、ありませんか?

定型発達者や、創作に対してモチベーションの持ち方を会得済みの非定型発達者が無意識に行えている「我慢や地道な継続による行動遂行」。

これは、ASD特性が強い脳の仕様においては、莫大なエネルギーを消費する「重労働」になりがちです。

結果として、気力や根性で乗り切ろうとすると、すぐにエネルギーが枯渇し、筆が止まってしまいます。

これは、意志が弱いとか、向いてないと言う話では無く、脳がそのやり方を出来る様に出来ていないと言う、そもそもの話になります。

この記事では、「我慢や根性での努力を一切せず、システムと構造化の力で創作活動のボトルネックを突破する『プラモデルのパチ組的アプローチ』」について解説します。

なぜ「地道な努力」で筆が止まってしまうのか?

ASD特性がより強い場合、脳の報酬系は「未来の漠然とした報酬(いつか完成する、いつか上手くなる)」よりも、「今、目の前で得られる手応えや快感」に強く依存していきます。

  • 時系列順に文章を書く
  • 地道にプロットを1から捻り出す
  • 完成していない状態のモヤモヤに耐えながら書き進める

これらはすべて、モチベーションを高く維持出来ない状態では「先が見えない下積みと言う、ASD脳が耐えられない我慢」を必要とするため、脳が防衛反応を起こして行動をストップさせてしまいます。

疲れたり、すぐに眠くなったり、集中力が続かなかったり、身に覚えはありませんか?

ASD特性が弱い、あるいは定型発達者の場合は、この「我慢」と言うスキルが、ASD特性が強い人に比べて大幅にローコストで可能であり、逆にASD特性が強い人は「我慢」が脳の構造上極端に苦手で、本気でやる気があって覚悟があっても、脳の仕様上の問題によって安定したパフォーマンスでの長続きが物理的に出来ません。

つまり、問題なのは「やる気や能力」ではなく、「我慢で乗り切る仕様になっていない脳の特性」なのです。

(更に、ASD特性が強いと、特定の物事へのこだわりが強くなり、環境構造的に見て「我儘」や「自己中」に見える状態に陥りやすかったりもします。やりたい事しか物理的に出来ず、やりたくない事は表向きやる気を出しても出来ないなんて、やる気を見る事が出来ない他人から見れば、好きな事しかやらない怠け者かつ厄介者に見えても仕方が無いわけです。怖いですね)

小説執筆をハックする「プラモデルのパチ組アプローチ」

プラモデル、知ってますよね?

ここでは、接着剤を使わないタイプの物を想像してください。

プラモデルの、プラスチックをゼロから削り出したり、型を取って成型するのではなく、すでに完成されたパーツを組み上げる「パチ組」の感覚を、執筆体験に持ち込むのが、今回紹介するアプローチです。

1. プロットは「ゼロから作らず、既存の骨組みを流用(パッチワーク)」する

オリジナルの展開を頭の中で一から構築しようとすると、慣れない場合、それだけで負荷がかかります。

  • 王道のプロット構成や、好きな作品のパラダイム(事件の起きる順番)をフレームワークとしてそのままスプレッドシートやシートに配置しましょう。
  • 「このシーンの役割はこれ」と決められた枠に、自分のキャラクターやアイデアを当てはめていきましょう(パーツの置き換え)。

この手法を聞き、テンプレート方式とか、設定スライド方式とか、世間では推奨されない手法では無いかと思った人もいるかもしれません。

ですが、正道の「我慢必須ルート」がいきなり通れない以上は、他の道を一度通って経験値を稼いでから出ないと進めない人がいるのも事実です。

そして、テンプレとか設定の安易なスライドによる、既存作を下敷きにして構造を丸っとパクってやる創作は、嫌がる人も中にはいますが、プロでもやっている人は大勢いて、完成品が別物になってさえいれば問題のある手法では無いと言えます。

問題は、設定をちょっと変えただけの劣化コピー作品を望まず作ってしまったり、そう言う作品しか作れなくなる事であり、そこを避けられれば非常に有用なアプローチなので、安心してやりましょう。

2. 時系列を無視し、「書きたい名シーン」から先につまみ食いする

プロローグから順に書かなければいけないというルールはありません。

作品の頭部分から順番に書く事が当たり前に感じる人もいますが、それがかえって創作を行き詰まらせる事も非常に多いです。

なんなら、多くの作品はラストを決めてから書いた方が書きやすくなるのは有名なテクニックです。

  • 脳が最も興奮する「クライマックスのバトルシーン」や「一番書きたい会話」だけを先に出力する。
  • 書いた最高の結果(パーツ)を先に手に入れ、後からその前後をパズルのように埋めていく。

この、自分の中にある最もモチベーションを持てる部分を最初に見える化する事は、非常に大きな意味があります。

これは、要素の優先順位を決める事にもなりますし、途中や最後を先に決める事で、逆算的に他に必要な要素を半自動的に決める助けにもなるからです。

3. 文章を書くのではなく「シーンと設定の構造化」に没頭する

「美しい文章を紡ごう」とすると手が止まります。

執筆を「完成品の文章の生産」ではなく、最初は「粗削りなパーツの組み立て」に変換します。

だから、プラモデルのパチ組と言う事です。

  • 情景描写を削ぎ落とし、「ここで主人公が怒る」「ここでアイテムを手に入れる」という小単位の事実を箇条書きで並べる。
  • キャラクターのスペック、世界のルール、伏線の配置場所などをデータベースやスプレッドシートで緻密に組み上げて「設定のパズル」自体を、後で使う資料でありつつ創作者が楽しめる娯楽に変換する。

これが出来ると、プロットと世界設定が形になり始めます。

プロットと世界設定が綿密にリンクしていれば、あとは、それらをベースにして、練習的に描きたいシーンから肉付けをして行けば良いでしょう。

我慢を捨てて「システム」で書く

「根性で毎日書く」

「我慢して基礎を固める」

みたいなアプローチを捨て、「面倒でも、我慢しなくても手が動く環境と手順」を、どうにか整えることこそが、ASD特性を持つ人にとって最も確実な執筆の突破口となります。

ここで提案したプラモデルのパチ組的なアプローチは、案の一つでしかなく、ASD特性にも色々あるし、ADHDや他の特性を持っている場合には、全く別のアプローチの方が継続力を持たせられる事もあるでしょう。

今回の場合は、

  • ゼロから文章を書かない(既存作を下敷きにテンプレートの配置から入る)
  • 辛い下積みをバイパスし、美味しいところ(キメ台詞やクライマックス)からつまみ食いする
  • 「物語のパーツ」をパズルで遊ぶ快感に変換する

等にして、大変な所を自力や順番で出来る様になるのは、後で良いと割り切り、気力に頼らず、仕組みで物語を組み上げるアプローチでした。

ご参考になれば幸いです。

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