創作論

【創作論】「面白い」と「好き」を雑に考えない方が良いと言う話

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

「物語が面白い」と「物語が好ましい(好き)」は、どちらもポジティブな感情や評価を表す言葉として、時に、あるいは人によっては、ひとくくりにされて雑に扱われがちです。

しかし、この二つは明確に異なる要素を持っています。

この違いを構造から紐解いていきます。

面白いと好きの決定的な違い

「面白さ」とは、作品の仕掛けや構造、手触り、あるいは尖った特徴(突起)に触れたときに発生する感覚です。

知的な刺激や、予想を裏切る展開に対する驚き、巧みな構成に対する感嘆などがこれに該当します。

一方、「好き(好ましさ)」は、その対象のどの部分に個人的な好感を持てるかによって決まります。

キャラクターの生き様や価値観、世界観の雰囲気に共感したり、心理的な居心地のよさを感じたりする感情的な結びつきです。

エンタメ作品には、この両方を適量配合する必要があります。

要素の組み合わせと作品の分類

この二つの軸はそれぞれ独立しているため、作品の評価は以下のように綺麗に分かれます。

  • 面白くも好ましい作品:構造の妙とキャラクターへの好感が両立している状態。構成も登場人物描写も良く、総合力が一番高くなる。
  • 面白くないが好ましい作品:仕掛けや展開には難があるものの、登場人物や雰囲気が愛おしいと感じられる状態。地味だが好きみたいな評価をされがち。
  • 面白いが好ましくない作品:巧みな構成やアイデアに唸らされる反面、倫理観や登場人物の行動に拒絶感を覚える等の状態。ミステリーのトリックがめちゃくちゃ凄いが、登場人物も動機も世界観も何もかも好きにはなれない、とかアルアル。
  • 面白くも好ましくない作品:どちらの要素も機能していない状態。これは、絶対避けたい状態。

どんでん返しと登場人物

物語のどの部分にフォーカスするかによって、どちらの要素が重要になるかも変わります。

例えば、緻密な伏線回収やどんでん返しは、基本的に「面白さ」が重要となります。

論理の整合性やサプライズの精度が、そのまま面白さに直結するためです。

対して、登場人物の魅力やドラマは、「好ましさ」が重要となります。

どれだけ行動原理が理にかなっていても、キャラクター自体に好感が持てなければ、読者はその旅路を長く見守りたいとは思わないでしょう。

このように、面白さと好きは発生する源泉が違います。

作品を評価する際や創作する際には、この二つを混同せず、どこが刺激されているのかを分けて考えることが重要です。

物語る工房をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む