第2回 ゼロから面白い物語の基礎を作る方法 ログラインからクライマックスへ導く3つのステップ

物語の育て方

この記事では、誰でも簡単に物語の種を育てる事が出来る方法の一つを紹介します。

ここでは、例として「このマンガがすごい!」でも話題になった「ダンジョン飯」を想定して、前回に引き続きシミュレーションしていきます。

この記事を読まれる方は、創作者であれば自身の作品に当てはめたり、創作中の物語や、新たな物語を想像しながらお読み頂ければ幸いです。

創作者で無くとも「ダンジョン飯」や、ご自身の好きな作品を思い出しながらお読み頂きたく思います。

※本記事は、あくまでもシミュレーションなので「ダンジョン飯」が実際に作られた工程とは一切関係ありません。

その点は、ご了承ください。

前回のおさらい

前回は、

  • 世界観「ファンタジー世界」で
  • キャラクター「冒険者」が
  • 行動「冒険する」話。

と言うネタ出し段階から、

  • 世界観「ローグライクダンジョンRPG風ファンタジー世界」で
  • キャラクター「パーティを組んでいる冒険者達」が
  • 行動「ダンジョンに潜り、宝を発見する」話。

と言うアイディア段階を踏まえ、

  • 世界観「ローグライクダンジョンRPG風ファンタジー世界」で
  • キャラクター「パーティを組んでいる冒険者達」が
  • 行動「危険なダンジョンに潜り、はぐれた仲間が生きている内に助けに行く中で、道を踏み外していく」話。

と言うコンセプト段階から更に、

  • 世界観「ローグライクダンジョンRPG風ファンタジー世界」で
  • キャラクター「パーティを組んでいる冒険者達」が
  • 行動「危険なダンジョンに潜り、はぐれた仲間が生きている内に助けに行く中で、必要に迫られモンスターを料理して食べていく」話。

と言うハイコンセプトの段階に来て、

  • 「ダンジョンに潜って、はぐれた仲間が生きている内に助けに行く中で、倒したモンスターを料理して食べていく話」

と言うログラインに落とし込みました。

「ネタ出し」「アイディア化」「コンセプト化」「ハイコンセプト化」「ログライン化」と順に物語の種を育てて来た事になります。

現時点で「どこで」「誰が」「何をする」かが想像出来て、どういう物語なのかも想像できます。

物語のコンセプトに必要な3要素、

  • 「普遍性」と「新規性」があるか?
  • 「解決すべき問題」が連想出来るか?
  • 「テーマ」と共に「感情」を表現出来るか?

も満たしていますね。

今回は、この段階から更に、物語を育てたいと思います。

その1:プロット化

前回、ログラインに育てた物語の種をベースに、物語のプロットを作っていきたいと思います。

プロットとは、物語の因果関係を記した設計図に当たる物です。

因果関係とは、「~だから、~だ」と言う原因と結果の関係を指します。

「恋人が死んだ。だから、彼は悲しんだ」と言う風に、物語の上で起きる事の原因と結果を明確にする訳です。

では、ログラインをベースに、何から考え始めればよいでしょうか?

ログラインを使って頭から想像する

まずは、ログラインから物語を想像する方法を試してみましょう。

  • 「ダンジョンに潜って、はぐれた仲間が生きている内に助けに行く中で、倒したモンスターを料理して食べていく話」

と言うログラインを前にして、考えなければならない事があります。

それは「なぜ」です。

  • 「なぜ」ダンジョンに潜ったのか、潜らなければならなかったのか。
  • 「なぜ」はぐれてしまったのか。
  • 「なぜ」倒したモンスターを料理して食べなければならないのか。

このログラインと言う短い文章を読むだけで、これだけの疑問が浮かびました。

それらの疑問に対して、答えを置いていきましょう。

  • Q.ダンジョンに潜っていたのは、なぜ?→A.宝を手に入れる為? 仕事?
  • Q.はぐれてしまったのは、なぜ?→A.事故? 事件? わけあり?
  • Q.モンスターを食べないといけないのは、なぜ?→A.食べ物が無いから? 金が無いから?

この「なぜ?」に答える事で、プロットに必要な「結果の原因」が見えてきます。

そもそも「なぜ」ダンジョンにいて「なぜ」はぐれて「なぜ」助けに行かないいけなくなったのか。

これが見えると「なぜ」モンスターを食べないといけない目に遭っているのかも、考えやすくなります。

つまり、ここではログラインを「結果」と考え、そこから物語に必要な「原因」を洗い出す作業と言う訳です。

ログラインをベースとする為、プロットに使える設定はこの時点で、ある程度のベクトルが決められています。

  • ダンジョンに潜るのは仕事だから
  • 仕事中に事故が起き、仲間がはぐれてしまう
  • 仲間が生きている内に助けに行く為には、装備を軽くして現地調達で潜るのが足が速い

この様に仮に、ログラインに記されている「結果」に対して、その結果を得られる「原因」を想像してみました。

これを「だから」で繋いでみます。

  • 冒険者達は、仕事でダンジョンに潜っている。
  • 「だから」ダンジョン内で仕事中に事故が起き、仲間の一人がはぐれてしまった。
  • 「だから」はぐれた仲間が生きている内に助けに行かなければならない。
  • 「だから」食べ物を現地調達でダンジョンに潜るしか手段がない。

これだけで、大まかな流れのイメージが湧くと思います。

ここでは省略しますが、この「なぜ」で出た「だから」という答えに、更に同じ様に「なぜ」を重ねて見て下さい

それも、何度もです。

それが自然と、世界観や登場人物との親和性のある設定になって行きます。

そこから、更に物語を育てます。

ログラインを使って結末からも想像する

プロットは、因果関係を表した物だと説明しました。

つまり、物語のイメージが出来ている場合は、可能なら結末から想像する事が最も効率的となります。

結末とは、数式で言えば答えに当たります。

答えが分かれば、そこに至るまでに必要な式や数字を逆算する事が可能だという事です。

ログラインを見れば、物語を通し一貫した行動が読み取れます。

テーマもコンセプトの段階で決まっています。

「仲間を救う為に、倒したモンスターを料理して食べて良いのか?」

がテーマであれば、

「仲間を救う為に、モンスターを食べる行動をし続ける」

その結果が、辿り着く結末に他なりません。

この段階で物語の結末を想像する事は、十分に可能と言う事です。

勿論、現段階で詳細は何も決まっていません。

ですが、テーマに対する答えが物語に込められたメッセージであり、結末なので

「モンスターを料理して食べて、本当に仲間を救えるのか?」

と言うテーマの示す疑問に対する答えを、創作者は示せれば良い訳です。

例えば、「仲間は救えるが、ゲテモノ食いに自尊心はボロボロ」でも、「どんな被害を出しても救うべき存在がある」でも、そこは創作者の自由です。

これは、創作者が自分で考え、自分が納得出来る答えにするべき事です。

ここで決めるメッセージは、実に重要です。

少なからず創作者の持つ価値観、倫理観、道徳観が絡んでくるからです。

この結末こそが、創作者から作品の受け取り手に伝えたい、大事なメッセージなのです。

物語の経過こそが描きたい物語の流れですが、この結末があやふやだと、物語に芯が無い状態、何の物語か創作者も分からない状態になり、人によっては迷走したり、悪ければ未完になります。

ですが、ここで描きたいラストが決まれば、後は、ログラインにまで因果関係を遡っていけば良いと言う訳です。

手本として参考にしている「ダンジョン飯」は現在も連載中の作品の為、原作者様以外には、誰にも結末は分かりません。

ですが、この結末の決定で大事なポイントがあります。

行動のポジティブとネガティブ、その両方に対して答えを示す事です。

例えば、

  • ポジティブな行動の結末で「努力の甲斐もあって仲間は救えた」
  • ネガティブな行動の結末で「しかし仲間の命には代えられないが、失った物もあまりにも大きかった」

と言う風に、行動の結果を示す事で、そこには納得感が生まれます。

この価値観が何かおかしかったりすると、結末に驚いたり、がっかりする事になります。

  • ポジティブな行動の結末で「努力の甲斐もあって仲間は救えた」
  • ネガティブな行動の結末で「色々あったが、有耶無耶にした」

では、受け取り手は気持ちが悪く感じます。

どんなメッセージだろうと、頭から結末まで貴重な時間をかけて見たり、読んだりした人が「なるほど」と思える納得感が必要と言う事です。

以上を踏まえて、結末から考えて見ると、

  • 「努力の甲斐もあって仲間は救えた。しかし仲間の命には代えられないが、失った物もあまりにも大きかった」

と言う結末、メッセージに辿り着き、

  • 「仲間を救う為に、モンスターを料理して食べて(ゲテモノ食いして)良いか?」

と言うテーマに基づく行動を具体的にすれば良いと分かります。

ここでの一貫した行動は、したくない行動(モンスターを食べる)とセットの、ダンジョン攻略と言う仲間を助ける為の行動です。

結末で「仲間を救える」と決めてしまった為、行動の方向性が見えます。

ここから、結末からのプロット化としては、

  • 「なぜ」仲間を救う事が出来たのか。
  • 「なぜ」モンスターを料理して食べて、大きな被害が出たのか。

と言う結末への「なぜ」に答え、

  • Q.仲間を救う事が出来たのは、なぜ?→A.無事に見つける事が出来た?
  • Q.モンスターを料理して食べて、大きな被害が出たのは、なぜ?→A.絶対に食べたく無かった?

と言う風に、想像できます。

先ほど、頭から想像したプロットでは、ログラインをベースに

  • 冒険者達は、仕事でダンジョンに潜っている。
  • 「だから」ダンジョン内で仕事中に事故が起き、仲間の一人がはぐれてしまった。
  • 「だから」はぐれた仲間が生きている内に助けに行かなければならない。
  • 「だから」食べ物を現地調達でダンジョンに潜るしか手段がない。

と決めました。

決めた行動の結果は、

  • 「その結果」仲間を無事に助ける事が出来た。
  • 「その結果」しかし、絶対に食べたく無かったモンスターを沢山食べる羽目になった。

と一旦ですが、決まりました。

後は、結末に向けて、ログラインから「だから」を連鎖させ、必要ならログラインの前にも「だから」を連鎖させて行かなければなりません。

その為には、どうすれば良いでしょうか?

あまりにも、結末とログラインには間が空いて感じると思います。

結末と言う目的地が決まっても、そこに至る道が曖昧では「だから」を積み重ねても道を外れてしまう可能性があります。

そこで、次に決めるのは、中継地点です。

頭と結末の間を考える

頭が、

  • 冒険者達は、仕事でダンジョンに潜っている。
  • 「だから」ダンジョン内で仕事中に事故が起き、仲間の一人がはぐれてしまった。
  • 「だから」はぐれた仲間が生きている内に助けに行かなければならない。
  • 「だから」食べ物を現地調達でダンジョンに潜るしか手段がない。

結末が、

  • 「その結果」仲間を無事に助ける事が出来た。
  • 「その結果」しかし、絶対に食べたく無かったモンスターを沢山食べる羽目になった。

と決まりました。

これは、3幕構成で言う1幕の大雑把なプロットと、3幕の結末が決まった状態です。

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つまり、2幕が丸々空っぽの状態な訳です。

では、2幕はどうやって埋めるのが良いでしょう。

それに良い方法は、まずは3幕を埋める事です。

3幕の結末が決まった状態と先に書きました。

結末しか、決まっていません。

ここで決めて欲しいのは、3幕での物語の盛り上がりです。

まだ考え付いてもいない「だから」を積み重ねた結果、物語がクライマックスで盛り上がり、「結末」に至る訳です。

結末が「感動のラスト(別に泣けなくても良いですが、ここでは心動かされるという意味で)」ならば、直前の、言うなれば「最高に盛り上がるラスト」を先に考えます。

「ダンジョン飯」であれば、ダンジョン攻略をモンスターを食べながらしていく果てで、仲間を救助する時に、どうやって物語を盛り上げるかです。

ここまで練り上げた物語の世界を想像して見て下さい。

そして、想像を広げて行ってください。

盛り上げるのに必要な物とは、またまた壁です。

登場人物達が、物語当初では超えられない壁を設定するのです。

これには、いくつもの方法があります。

それでは、いくつか紹介します。

その2:壁の作り方

物語の中で設定する壁は、物語を通して超えるべき物でなければなりません。

一番大きな壁は、ラスト直前、クライマックスで乗り越えるべきです。

それも、一つに見えながらも、同時にいくつもです。

前回の「解決すべき問題」でも軽く触れましたが、物語には大きな壁が必要なのです。

今回の場合で言えば、

  • 冒険者達は、仕事でダンジョンに潜っている。
  • 「だから」ダンジョン内で仕事中に事故が起き、仲間の一人がはぐれてしまった。
  • 「だから」はぐれた仲間が生きている内に助けに行かなければならない。
  • 「だから」食べ物を現地調達でダンジョンに潜るしか手段がない。
  • 「その結果」仲間を無事に助ける事が出来た。
  • 「その結果」しかし、絶対に食べたく無かったモンスターを沢山食べる羽目になった。

この「仲間を助ける」為に、コンセプトでも触れた「解決すべき問題」として絶対に乗り越えなければならない壁である必要があります。

そこから、何を想像出来るでしょうか?

1.敵、障害

一番分かりやすい壁は、敵の存在です。

「ダンジョン飯」では、ドラゴンと言う強敵を倒さないと仲間を助けられない状況に陥ります。

この時点では、単純に敵やモンスターをイメージ出来れば、設定は後で考えられます。

ここで敵を壁に選ぶ場合、この敵と言う存在を物語を通して意識する必要が出てきます。

狙って破る場合以外は、守った方が良い原則をいくつか紹介します。

  • ラストバトルの相手である敵よりも強い敵は、道のりの途中では出て来ない。途中で遭遇する敵は、物語的に考えれば登場人物達がラストバトルで勝つ為の練習相手である。
  • ここで選んだ敵をラストバトルで攻略する事が登場人物達の成長の演出となり、物語の中で登場人物達が経験した事が活かされる場面でもある。
  • 敵は、全力で戦っても正攻法では、ギリギリ勝てない強さに設定する。同じ土俵に誘い出すでも、不意打ちや、相打ち覚悟と言った思いもよらぬ手段でようやく対等になる。
  • 登場人物達の立てる敵への攻略計画は、計画の準備が物語の表に出ている場合は、高確率で失敗する。成功する場合の計画は、計画が匂わされるだけで表からは見えない所で進行し、敵と共に物語の受け取り手をも驚かせる。
  • 最後の強敵を倒す最も良い方法の一つは、敵にとって皮肉な手段を用いる事。敵が破滅する種は、敵自身がまいている。
  • 冒頭で、登場人物達が敵に勝てない根拠を示す。実際に一度負けるでも、勝てない理由を見せるでも構わない。物語を通した行動があったからこそ勝てるように成長した事が重要。

2.行動の制限

制限で最も分かりやすい物は、時間でしょう。

爆弾の解除、体力の限界、スーパーパワーの使用限界、虫の息の仲間を救助する蘇生限界、制限を設けると、物語はそれだけで駆け引きが生まれ面白くなります。

「ダンジョン飯」では、仲間を助ける事に制限時間を始めとした様々な制限が設けられています。

  • 時間による制限。制限を過ぎると何かが失われる。また、時間内に行動する必要が出て来る。制限の基本であり、応用範囲が最も広いです。(時限爆弾、寿命や余命等)
  • 回数による制限。時間の制限と似ているがカウントの取り方が違います。(武器の弾数、エネルギー残量、ランプの魔人が願いを叶えてくれる数等)
  • 関係による制限。仲間が敵になるが倒さなければ……又は、仲間のどちらかしか救えない。究極の選択を迫る物です。(どちらの子を残す「ソフィーの選択」、逆に、好きな二人のどっちと恋人になる等)
  • 肉体による制限。身体が通常の状態では無い状況。(身体の入れ替わり、変身、病気やケガ等)
  • 精神による制限。精神が通常の状態では無い状況。(克服すべきトラウマ、制御が効かない怒り等)
  • ルールによる制限。ルール違反には罰則がある状況。(アパルトヘイトゲットー、魔法の使用可能条件等)

3.謎、嘘、勘違い(情報の制限)

物語に置いて、謎は非常に強力なツールです。

壁としても機能する事は、ミステリー作品と言う大カテゴリーが存在する事でも明らかです。

ミステリーで無くとも、謎は何にでも使えます。

むしろ、使わないで創作する方が難しいです。

「ダンジョン飯」では、舞台となるダンジョンや料理するモンスターが謎を持っており、謎を解く事が攻略の鍵になる事もあります。

4.目標、夢への狭き門

壁は、何も悪い物ばかりではありません。

夢に近づく為の試練、試験、コンテスト、大会、色々とあります。

大会優勝が夢だったり、優勝しないと廃校、なんて物語も沢山あり、どれも魅力的です。

壁の紹介は、一旦この辺ですが、紹介した以外にも沢山の種類があります。

有名作品で好きな物を想像すれば、必ずクライマックスで壁を乗り越えている筈です。

その作品では、主人公の行動が最後の壁を乗り越える為に必要な物になっていませんか?

その3:壁の超え方

  • 冒険者達は、仕事でダンジョンに潜っている。
  • 「だから」ダンジョン内で仕事中に事故が起き、仲間の一人がはぐれてしまった。
  • 「だから」はぐれた仲間が生きている内に助けに行かなければならない。
  • 「だから」食べ物を現地調達でダンジョンに潜るしか手段がない。
  • 「最後の壁」ダンジョンの奥で、仲間を助ける為に、強力なモンスターを倒した。
  • 「その結果」仲間を無事に助ける事が出来た。
  • 「その結果」しかし、絶対に食べたく無かったモンスターを沢山食べる羽目になった。

「だから」を積み重ねて、「最後の壁」を突破する事で「その結果」を得られるプロットとなっています。

この最後の壁を超える為に、何をしなければならないでしょうか?

最後の壁を考え、見てみる

強力なモンスターと設定した最後の壁ですが、考えやすい様に具体的にしていきます。

ファンタジーで強敵と言えば、やはりドラゴンでしょう。

ここでは「ダンジョン飯」を手本としているので、当然ドラゴンが選ばれますが、本来は様々な案を考える筈です。

魅力的な壁を選ばなければ、最後の戦いが盛り上がりません。

ミステリーなら、魅力的な犯人、動機、トリックが無いと、今までの探偵の頑張りは、一体何だったのだと肩透かしを食らいます。

スーパーヒーロー物なら、ヒーローと同じぐらいヴィランの設定は重要です。

似た存在なのか、同じ力を持っているのか、ヒーローよりも格上の存在なのか、選択肢は多々ありますが、ヒーローに手も足も出ないヴィランでは話になりません。

「最高のラスト」を飾る為の、「最高に盛り上がるクライマックス」に立ちはだかる「物語の壁」を考えましょう。

最後の壁を分解してみる

最後の壁「ドラゴン」の攻略には、何が必要かを考えてみましょう。

これが、後に2幕を形作る要素になります。

ただ、手本にした「ダンジョン飯」では、「ドラゴン」の攻略が最後の壁では無く、中間地点(ミッドポイント)に当たりますが、その点は後述にて軽く説明します。

では、「最後の壁」を超えるには、何が必要でしょうか?

「ドラゴン攻略」なら、すぐに「アイテム」や「仲間」が思いつくでしょう。

人によっては、強力な魔法であったり、想像力がこの上なく働くと思います。

そうと決まれば、ドラゴンを倒すのに必要な強力なアイテム、ドラゴン攻略に必要な能力を持つ仲間を集めなければなりません。

ドラゴンを倒すのに必要なアイテムは、何でしょうか?

ドラゴンを倒すのに必要な能力は、何でしょうか?

最後の壁を超えるのに必要な物は、何でしょう?

ちょっと待ってください。

ここで、このドラゴン攻略だけを考えてしまうと「ドラゴン殺しの剣」や「ドラゴンスレイヤー」等と、ドラゴンに寄って考えてしまいがちです。

それで良い場合もありますが、大抵は、ただそれでは、あまり物語が面白くなりません。

ポイントの一つは、物語の「だから」を積み重ねて手に入れた物や能力を使って攻略する事にあります。

伝説の剣も、強力な魔法も、物語に必要無ければ出番は無いのです。

物語は、コンセプトに従うのが基本と言う事です。

コンセプトにもある物語のテーマは「モンスターを料理して食べて、仲間を救えるか?」でしたよね。

コンセプトに従うのは、どんな物語でも等しくそうあるべきです。

最後の壁の攻略にも、もちろん等しく適応されます。

それを踏まえて、もう一度、考えてみましょう。

改めて、ドラゴンを倒すのに必要なアイテムは、何でしょうか?

コンセプトに従って、もう一度想像力を働かせて見て下さい。

モンスターを料理して、食べながら、ダンジョンを攻略する中で手に入れた物です。

「ダンジョン飯」では、モンスターが擬態する剣、ドラゴンの息にも耐える調理器具の特別な鍋、竜燐も傷つける特別な包丁、水の精霊から作った魔力回復薬(スープ)などが攻略のアイテムになっています。

ドラゴンを倒すのに必要なアイテムが、綺麗に物語を通して手に入れたり、活躍してきたアイテムとなっていますよね。

いきなり、そこまで想像は出来ないと思いますが、工程を重ねる事で、そこまで持っていけるので安心してください。

では、ドラゴンを倒すのに必要な能力は、何でしょうか?

モンスターを料理して、食べながら、ダンジョンを攻略する中で培う能力です。

ここで、上記のアイテムでも同じですが、これらの考え方には2通りあります。

1つは、登場人物の持っていたり手に入れる能力やアイテムを最後の壁の攻略に活かすと言う考え方。

つまり、積み上げて行く方法。

もう1つは、最後の壁の攻略に必要な能力やアイテムを想定して、登場人物達に分け与えたり、集めさせると言う考え方です。

ここでは、ダンジョンに潜る冒険者達の能力を活かすか、能力を振り分けるかを考える事になります。

これは、要素の逆算です。

それぞれ見て行きましょう。

やはりRPGでお約束の職業は「戦士」「盗賊」「魔法使い」「弓使い」あたりでしょう。

それぞれの能力を活かした役割と見せ場を作ると、「戦闘」「囮」「援護」様々な役割と見せ場が、すぐに思いつくと思います。

アイテムも「剣」「ナイフ」「杖」「弓」が瞬時に思い尽くし、キャラクターの設定を育てれば、様々なアイテムや能力を持たせられ、後に手に入れる姿も想像しやすいです。

これが能力を割り振る場合は、イメージしたラストバトルを実現する為に必要な能力を先に考えます。

「剣でとどめを刺したい」「魔法の盾で炎を防ぎたい」「魔法の矢で援護させたい」「魔法による爆発で足止めさせたい」「竜に目つぶしをして死角を作りたい」等々、色々と浮かぶでしょう。

それらを、登場人物達に割り振っていきます。

これは、どちらの手法が正しいと言う事では無く、両方を試してみるべきでしょう。

どちらが始め易いかは、人それぞれです。

ですが、どちらかを仮に決めてしまえば、もう片方を想像しやすくなります。

その積み上げと逆算を何度も繰り返す事で、アイディアとして研ぎ澄ます事が出来ます。

その際、ここで、割り振りが生まれない登場人物がいたら、そのキャラクターは最後の壁の攻略に必要が無いので、削る事を検討した方が良いです。

もしキャラクターの役割をまとめる事が出来れば、その方が良い場合もあります。

この様にして、最後の壁を超えるのに必要なアイテムや能力を試行錯誤を重ねながら探していきます。

「ダンジョン飯」では、こんな感じです。

  • 冒険者達は、仕事でダンジョンに潜っている。
  • 「だから」ダンジョン内で仕事中に事故が起き、仲間の一人がはぐれてしまった。
  • 「だから」はぐれた仲間が生きている内に助けに行かなければならない。
  • 「だから」食べ物を現地調達でダンジョンに潜るしか手段がない。
  • 「最後の壁の攻略に必要」チームワーク、剣と戦士、盾と戦士、目つぶし用の短剣と盗賊、魔法を使う為の回復薬と魔法使い、等々
  • 「最後の壁」ダンジョンの奥で、仲間を助ける為に、強力なモンスターを倒した。
  • 「その結果」仲間を無事に助ける事が出来た。
  • 「その結果」しかし、絶対に食べたく無かったモンスターを沢山食べる羽目になった。

必要な物を仮に置いてみました。

最後の壁を超えられるか試してみる

まだ何が最後の壁を超えるのに必要か、どうにも決めかねる場合も、安心してください。

最後の壁を超える場面を現時点で想定しきれない事は、普通の事です。

最後の壁を分解して、超えるのに必要なアイテムや能力のアイディア出しをしましたが、それがどう働くのか、まだ明確ではない筈です。

他にも、良いアイディアが絞り切れず、または、悪いアイディアが多すぎて、選べない事もあります。

その場合は、必要そうな要素を、自分で分かる様に整理して、一旦、一通り見てみて下さい。

その中で、選ぶべき物には優先順位があります。

好きな物を選びたいでしょうか、守った方が賢明な優先順位があるのです。

アイディアの優先順位

優先順位で最優先にされるべき物は、コンセプトです。

コンセプトに適応出来る形に直せないか探り、どうしてもコンセプトに当てはまらない場合は、使うのは止めましょう。

次に優先されるべき物は、魅力と面白さです。

その最後の壁の攻略は、魅力的で面白い物ですか?

魅力も面白さもない場合、魅力を見いだせず面白く出来ないアイディアならば、それも使うのは止めるべきです。

次に見たいのは、連続性とシナジーです。

つまり、要素が高め合うか、または働きが連鎖するか否かです。

「ダンジョン飯」ではドラゴンに対して「目つぶし(盗賊)」で作った死角に「爆発魔法(魔法使い)」と「鍋の盾(戦士2の持ち物)」を利用して一気に近づき「剣のモンスター(戦士1の持ち物)」で弱点を攻めると言う「チームワーク」によって攻略しようとします。

ルーブ・ゴールドバーグ・マシン、日本で有名なのはピタゴラスイッチ的な連鎖によって、攻略の糸口を掴む訳です。

コンセプトに従い、魅力的で面白いアイディアに、連続性とシナジーが加われば、その最後の壁を乗り越えるクライマックスは、素晴らしい形に出来るでしょう。

どこに何を配置するか、そこはセンスが問われます。

クライマックスをイメージし、何度も今のうちにシミュレーションしてみましょう。

まずは、創作している自分が最高に盛り上がる展開を想像し、想像しようとしている物語にも、それをこれから創る事にもワクワク出来ないならば、手直しが必要です。

終わりに

今回は、前回のネタ→アイディア→コンセプト→ハイコンセプト→ログラインと物語の種を育てて出来た物を、更にプロット化→壁の設定と育てて見ました。

プロット化は、まだ途中(2幕が空っぽ)ですが、この段階でも物語を0から1に、1を2にと、育てられた実感があると思います。

今回も物語創作の一手法でしたが、いかがだったでしょうか?

前回に続き、行き当たりばったりでなく、計画的に新しい物語を創作する手法の一つとなりますので、工程を細かく分けての説明でした。

「最後の壁を分解してみる」の頭で触れた「ダンジョン飯」ではドラゴン攻略は最後の壁では無く中間地点である事に関してですが、物語の作り方としては現時点では大きな違いが無いので、そのまま進めています。

最後の壁と途中の壁の大きな違いは、幾つかあります。

最後の壁では、問題がすべて解決し、メッセージが浮き彫りになります。

ですが、途中の壁では、乗り越えても問題が全て解決する事は無く、コンセプトやテーマに沿った行動が継続する事になります。

また、ここでは余談となりますが、壁の設置の仕方にも幾つかの種類があります。

連続して小さな問題を毎話解決するタイプの物語(ドラえもん等)では、問題が毎話ちゃんと解決しますが、次の問題が舞い込みます。

世界観、登場人物、行動は一貫していますが、問題自体に強い繋がりはありません。

そう言うタイプの物語でも、解決したフリをして背後で大きな問題がずっと並走する物語(攻殻機動隊SAC等)と言う構成も可能です。

その場合、一見関係無い小さな問題が、実は大きな問題の一部だったと言う、一種の仕掛けを作る必要があります。

そこら辺についても、その内触れたいと思います。

以上、物語の種を更に育てる方法の紹介でした。

次は、ここまで育てた物語をベースに、物語を更に成長させる方法を紹介したいと思います。

※この記事は、加筆や修正をする可能性があります。

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