「アイドル×○○」作品
音楽をモチーフにした物語は、市場でもゲームやアニメーションにハイクオリティな楽曲が安定して提供出来る昨今、増え続けています。
ですが、大量に作られれば成功を収める作品もあれば、失敗してしまう作品もあるのが常です。
では、成功と失敗を分けるのは、何なのでしょうか?
アイドルマスター
2005年7月にアーケードから始まったアイマスの歴史。
2002年時点でプロトタイプを製作していたのだから、その歴史は長い。
プレイヤーがプロデューサーになってアイドルを育成すると言うのがゲームの内容だ。
ちなみに、AKBは2005年12月が活動開始である。
最初期の選択可能アイドルの人数は9人(11人から削られ、後に実装)で、年代や人数から見ると、つんく♂プロデュースのモーニング娘が近い存在だった。
プロデューサー体験が出来て、アイドルと仲良くなれるゲーム性は受け、2年後の2007年にXBOX360版が出ると、ニコニコ動画にMAD投稿する職人が大勢現れ、人気が爆発した。
ちなみに私は、今も昔も「真」推しである。
アイマスは2007年以降、毎年新作を出し続け、メディアミックス展開も積極的に行った。
2011年に出した「アイドルマスター2」で選択出来るアイドルを減らし、男性アイドルを出し、ストーリーをほぼ一本道にする事で、ファンからの大不評を買ったりもしたが、建て直しが上手くいった。
具体的には、途中からゲームの方向性を「愛でるゲーム」「リズムゲーム」「育成ゲーム」と分散して住み分け、更にシンデレラガールズとミリオンライブと言うソーシャルでの派生コンテンツを両立させ、住み分ける事にも成功している。
更に、今までの男性向けの女性アイドル育成だけでなく、新たに女性向けの男性アイドル育成ゲームも作り、そちらもアニメ化までしている。
成功の要因は「モー娘。」タイプのアイドルから「AKB」タイプのアイドルにシフトし、時代の波に乗った事。
そして、登場アイドルのキャラクター付けとして「1アイドル・1モチーフ」を徹底している事だ。
モチーフは、キャラクター属性の時もあれば職業や特技等の時もあり、ステレオタイプのキャラ付けをアイドルにする事で新しい物に変える事で、一人一人を個性的にしている。その上、メディア展開が途切れず、新たにシャニマスと言う「新しいのに原点回帰」的作品もリリースしたばかりで、古いのに新しいと言う圧倒的なパワーのあるコンテンツだ。
ラブライブ
2010年より表舞台で始動し、アイドル×部活と言う試みを成功させたスポコン作品。
アイドル=職業と言う常識を崩し、高校生が部活でアイドル活動をし、大会まで開かれている世界が舞台の物語だ。
登場キャラクターを1・2・3年生の3人ずつでユニットにしていて、比較的覚えやすいのも視聴者に優しい。
スマートフォン向けゲーム「スクフェス」のヒットで、スマートフォン向け美少女音楽ゲームの方向性を決めたのは大いに評価したい。
物語の構造は、基本的にスポコンモノなので、他のアイドル作品との住み分けが出来ている上に、部活モノとして楽しめると言う強みまで持っている。
ちなみに、私は「にこ」先輩推しである。
ウェイクアップガールズ
2012年始動と、アイドルアニメの中では後発の部類。
素人発掘企画や、東北応援等の物語の外側の企画の方が目立っていた印象。
正統派アイドル物、なのだが、全体的に地味な上に、サブキャラ達の灰汁が強い。
目新しさもあまり無く「ザ・アイドルアニメ」として始まり、低空飛行していた。
他のアイドルアニメと相対的に見て失敗してしまい、監督も降板されてしまった。
敗因は、世界観・登場人物・行動のどれも「変」「欠点」が足りていなかった事だろう。
どこまでも普通だったのだ。
AKB0048
2012年に放送されたAKB48をモチーフにしたアイドル×バトルアニメ。
面白い部分もあったが、色々な問題を抱えていた。
AKB48とアイドルアニメの両方が好きじゃないと楽しみ切れない設定で、どちらかに興味が無いとあまり刺さらない。
歌で戦う、実質マクロスなのだが、このアニメはマクロスのノリも好きな事も、視聴者には求められる。
つまり、製作側はAKBとマクロスとアイドルアニメの「どれか」が好きなら見ると思っていたが、いざ作ってみたら「全部」が好きじゃないと面白く無いと言う間口の狭さだった訳だ。
と言うのも、AKBとマクロスと言う混ぜる要素の抽象度が低すぎるのだ。
具体的な物が二つもあったら、そりゃ喧嘩するよ。
ちなみに、この時点でのマクロスはFまでしか作られておらず、グループアイドルが存在していない。
これの失敗へのリベンジとしてのマクロスデルタもあったのだろうが、そちらも大ヒットにはならなかった。
ちなみにマクロスは、プラスと7が好き(マジで名作)。
バンドリ
2015年始動の厳密にはアイドルではなく、ガールズバンドをモチーフに据えた作品。
2017年にテレビアニメが始まり、期待が高まるが、アニメの出来がアレだった。
と言うのも、ポッピンパーティを主役に結成からライブ成功までの物語を描いたのだが、主人公である香澄のふわふわした動機や言動のせいで物語の牽引力が弱く、楽曲やキャラクターは良かったが物語としては微妙な物となっていたからであった。
そのまま失速するかに見えたが、間髪入れずに配信開始したスマートフォン向け音ゲー「ガルパ」によって首の皮が繋がり、そこから怒涛の大逆転が始まる。
残るバグ、物足りないイベント、マナーの悪い一部プレイヤーが紛れ込むオンライン協力プレイと、ゲームも危ういかに見えたが、ポピパを含む収録5バンドのキャラクターがゲーム内だと立ちに立ち、キャラクターが魅力的で評価が持ち直したのだ。
その後、減っていくバグ、イベントの充実、マナー違反対策、小まめなアップデートとコンテンツの追加と言う神運営っぷりにプレイヤー達は安心して応援する事が出来る様になって行った。
そしてアニメ2期に追加バンド発表と、手堅くも嬉しいメディア展開が続いて今に至る。
ちなみに私は、「ミッシェル」推しである。
後、ロゼリアのオリジナル曲「陽だまりロードナイト」で泣いちゃう民です。
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ゾンビランドサガ
2018年のアニメだが、企画自体は2014年から動いていたらしい。
着想は、進撃のバハムートのリタと言うゾンビ少女が人気が出て、ゾンビ少女でアイドルを出来ないかと言う発想だったと言う。
「アイドル×ゾンビ」と言うアイディアから止まっていた企画は、サイゲームズの社長の故郷が佐賀で、佐賀から依頼があった事で要約動き出したと言う。
このアニメの上手い所は、ゾンビの欠点をそぎ落とし、利点のみに潔くしている点にある。
リタと言う前例を活かしつつ「ゾンビの欠点=人を食う・感情が無い・感染する」と言うゾンビのアイデンティティをかなぐり捨て「生き返る口実」としてのみゾンビ設定を利用しているのは、素晴らしい決断だ。
登場人物達のキャラクターの立て方も、生前に伝説を作った美少女(と少年)達と極端な設定にし、心地良い「変」なキャラクターを創る事に成功している。
また、ゾンビになった理由を「ゾンビ=生き返る口実」以上の理由が必要の無い1クールでは、「ホラー映画を想像して、大体あんな感じ」と言う様な超適当な回答を用意しつつも、説明する「巽 幸太郎」と言うプロデューサーポジションキャラクターの終始掴みどころのない言動によって、自然にはぐらかされる事で、視聴者は疑問を疑問のまま消化して気持ち良く見れる様な配慮もあり、素晴らしい。
ちなみに一番好きなキャラクターは「巽 幸太郎 」である。
彼の熱い口上では、素直に感動した。
終わりに
これからもアイドル×○○作品は作られるか?
恐らく作られ続けるだろう。
そこから名作は生まれるか?
もちろんイエスだ。
部活、バンド、ゾンビと、アイドルはサメ映画の様な飛躍を遂げた。
ここには書いていないが、ローカルアイドル、ご当地ヒーローと言った様なモチーフから、性転換した極道と言うギャグ作品まである。
バーチャルユーチューバーやボーカロイドと言ったアイドルは、既に現実に活躍しているので、いつそれらをモチーフにした作品が生まれてもおかしくない。
組み合わせは無限なのだ。
創作者は、太字のポイントだけ注意して貰えれば、嬉しく思う。
※「バーチャルさんは見ている」は、バラエティ番組なので、ここで取り上げるべき物語とはカウントしていない。
“「アイドル×○○」作品の成功と失敗で見るコンテンツヒットの秘密” への1件の返信