昔話を分析・解説
今回のテーマは「田舎のネズミと町のネズミ」と、昔話では無いが自己啓発等でも有名な「メキシコの漁師とビジネスマンの小話」。
田舎のネズミと町のネズミ
引用:Wikipedia
著者:イソップ(アイソーポス)
切欠の時
田舎に住んでいる一匹のネズミが、御馳走を振る舞おうと仲の良い町のネズミを招待した。
二匹は土くれだった畑へ行き、麦やトウモロコシ、大根を引っこ抜いて食べていたのだが、町のネズミがこう言った。
「君はこんな退屈な生活によく暮らせるな。ねえ、僕のところへ来ない?そうすれば珍しいものが腹一杯食べられるよ。」
悩みの時、決意の時
田舎のネズミは二つ返事で承知すると連れだって町へと向かった。
試練の時
ある建物に着くと町のネズミは、パンやチーズ、肉といった見た事も無い御馳走を田舎のネズミに見せた。
めくるめく御馳走を前に田舎のネズミはお礼を述べ、食べようとした。
危機の時
その時、何者かが扉を開けてきた。
二匹は潜りこめる狭い穴をみつけると一目散に逃げ込んだ。
そして、彼らが食事を再開しようとすると、また別の誰かが入って来た。
すると田舎のネズミは、急いで帰り支度を整えてこう言った。
解決の時
「こんなに素晴らしい御馳走を用意してもらってすまないんだけど、こんなに危険が多いのは御免だね。僕には土くれだった畑で食べている方が性に合ってる。あそこならば、安全で怖いこともなく暮らせるからね。」
メキシコの漁師とビジネスマンの小話
引用元URL:https://peylisting.com/2018/09/07/fisherman-mba/
プロローグ
とても魚釣りが好きな漁師がいました。
日常の時
漁師は好きな時間に起きて、釣りをして、子供や友達と遊んで楽しく過ごしていました。
切欠の時、決意の時
ある日、あるビジネスマンがその漁師のそばにやってきて言いました。
男:「やあ、すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの?」
漁師:「そんなに長い時間じゃないよ」
男:「へぇ、君は魚釣りが得意なようだね。せっかくならもっと働いてみたらどうだい?」
漁師:「自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だよ」
切欠の時
男:「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの?」
漁師:「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」
男:「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。部下を雇ってもっと売り上げがでたらボートも買おう。そうしたら仲介人に魚を売るのはやめて自前の水産品加工工場を建てて、ビジネスを大きくする。その頃には村を出てロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ。そうすれば老後もお金ができるよ」
悩みの時
漁師:「なるほど、そうなるまでにどれくらいかかるのかね?」
男:「20年、いやおそらく25年でそこまでいくね」
漁師:「へぇ、それからどうなるの?」
決意の時
男:「そしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て、 日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。どうだい?すばらしいだろう」
解説
「田舎のネズミと町のネズミ」も「メキシコの漁師とビジネスマンの小話」も、二つの価値観がぶつかり合う類の物語だ。
どちらが正しいかは人によるが、多くの物語で文法的には田舎者が正しいと言う風に描かれる事が多い。
話として面白みが多いのは、ネズミよりもジョークになっている漁師の小話の方だろう。
漁師は、ビジネスマンが25年働いて手に入れようとしている物を既に持っているのに、それを売り込む言葉に使ってしまうと言う無能っぷりを披露している所が笑い処だ。
どちらの物語も、話として膨らませるならば、試練の時で都会人の言う成功を一通り苦労して味わった上で、最終的に田舎の良さに気付く様な形が王道の流れとなる。
どちらの物語も、主人公が正解に気付くのが早すぎるので物語として盛り上がりに欠ける部分があるが、賢者に説教をしに来た愚かな都会人が賢者に感化される様な構成でも面白くなる筈だ。



