目次
人体の捉え方と描き方を単純化し、簡潔解説した良書
アーティストのための人体解剖学:ドローイング – フォーム&ポーズ
Tom Fox (著), 3dtotal.com (著), 株式会社スタジオリズ (翻訳)
海外で評判の人体ドローイング本を日本語化!
Tom Fox(トム・フォックス)によるユニークなガイドで、人体を描くための全く新しいアプローチを見つけてください。その指導方法の特徴は、単純化した形状でつくられた革新的なボックスマネキンを使用するもので、遠近法、プロポーション、立体的な形状など、難しい課題に突き当たっても、信じられる結果を得ることができるようになります。骨、筋肉、骨格標本、軟部組織など、人体を構成する一般的特徴すべてを網羅し、あなたの作品に簡単に応用できるよう、わかりやすいスタイルで説明します。
ドローイング インストラクターであり、ストーリーボード アーティスト でもある Tom は、人体解剖学に忠実でダイナミックなポーズで人物を表現する方法を熟知しています。本書では、あらゆるレベルのアーティストに必要な、人物画の中心的な要素とテクニックを詳しく解説します。XYZ軸、骨格の理解、3D空間での考え方、マネキンの作成まで、描く前に知っておくべきことすべてを扱います。そして、胴体、腕、脚、頭、手、足などのパーツをわかりやすく解説。筋肉の付け方や、信憑性あるポーズの取り方を、ステップ・バイ・ステップで詳しく説明します。
エンターテインメント業界の大手クライアントとの長年の仕事、人物の描き方を教えてきた経験(対面およびオンライン)などから得た、洞察力に富んだ、画期的な人体解剖学のヒントを紹介します。このような経験とスキルの組み合わせにより、Tom は、人物を描くあらゆる分野のアーティストにとって必携の書籍の傑出した著者となりました。
※本書は『Anatomy for Artists: Drawing Form & Pose』の日本語版です
著者について
Tom Fox (トム・フォックス) は、英国ブリストル出身のドローイング インストラクター/ストーリーボード アーティスト。ライフドローイングを教えることに情熱を注いでおり、スキルアップと理解のための確固たる基礎を提供している。インスタグラムでは、その人物画の投稿、ストーリー、リール が 16万人以上のフォロワーを集め、ヒントやテクニックによって、多くの人が学び、楽しんでいる。
● 経歴:ユニバーサル・スタジオ、アードマン、Axis Animation、BBC
● インスタグラム: https://www.instagram.com/tomfoxdraws/
3dtotal.com は、別名「CGアーティストのホームページ」とも呼ばれ、インターネット最大のオンラインデジタルアートコミュニティの1つです。1999年の開設以来、CG業界の発展に寄与してきました。CG関連のニュース、チュートリアル、ギャラリー、レポート、リソースは日々更新され、月間150万以上の訪問者を集めています。
● 3dtotal – The cg artists home page (英語)
< http://www.3dtotal.com/ >
● 3dtotal 日本語オフィシャルサイト (日本語)
< https://3dtotal.jp >
- 出版社 : ボーンデジタル
- 発売日 : 2023/6/29
- 単行本(ソフトカバー) : 296ページ
- ISBN-10 : 4862465609
- ISBN-13 : 978-4862465603
- 寸法 : 21.5 x 27.9 x 1.5 cm
目次
- まえがき……4
- 重要なスキル……5
- XYZ空間とフォーム……6
- シルエット、輪郭線、プロポーション……28
- 詳細度……40
- ボックスマネキン……50
- カメラと遠近法……54
- 人体……66
- レッスン1:頭部……68
- レッスン2:上部胴体……120
- レッスン3:腕と手……172
- レッスン4:コア……220
- レッスン5:脚と足……258
- あとがき……292
- 用語集……293
単純化と細分化を、人体解剖学で網羅的、徹底的に!
本書は、美術解剖学を学ぶ事で、より良い人体を描けるように導く専門書である。
【もはや創作者の必読書?】「美術解剖学本」特集!と言うまとめ記事を過去に書いたが、本書は、この様に大量にある美術解剖学本の中でも、ユニークで有用な切り口の一冊と言える。
美術解剖学が複雑に見えて取っ付きにくいと感じたり、一度は美術解剖学を挫折してなあなあにしている人にこそ、チャレンジして欲しい内容となっている。
人体の骨や筋肉と言った構成物や組み合わせを理解し、構造物として人体を頭に叩き込み、機能や可動域、正しいディティール描写やそれっぽく見えるコツを掴んで人体の描画や立体化に活かす美術人体解剖学では、どうしても内容が複雑かつ情報量が多くなりがちであった。
根気強くマスターしたり、自分に必要な物を取捨選択出来る人であれば役に立てられる物の、良く分からず学校の教科的に漠然と勉強しようと言う人の中には、見た目の複雑さや必要情報の取捨選択の難しさから、書籍の最初で挫折したり、知識として活かし切る事が難しい事が、ある意味で当たり前の部分があった。
本書では、そんな挫折率を高める知識的な複雑さを取り払い、徹底的に単純化しつつ、要素も徹底的に細分化し、それを290頁近く使って網羅的かつ視覚的に淡々と積み重ねていく事で美術人体解剖学の強固な土台を獲得する事を目指している。
ちなみに、1項目の説明は1~6頁ぐらいの分量で絵や文字の密度も見本通りなので、目次を見て1チャプターのページ数にビビる人でも、着実に少しずつ読み進める事が出来る。


入りから良い意味で丁寧
本書は、65頁目まで使って、重要なスキルとして、「XYZ空間とフォーム」「シルエット、輪郭線、プロポーション」「詳細度」「ボックスマネキン」「カメラと遠近法」と言う項目を作って、本編のレッスンで必要な前提を丁寧に解説してくれる。
初見だと単純化と詳細化の良し悪しから、何の役に立つのか、あるいはどう使えば良いか分かりにくいスキルも登場するが、この重要創作スキルの解説ページだけで本書はかなりの価値があると言える。
これらスキルは、本編であるレッスンを円滑に学ぶ上で必須の当たり前や、基礎知識であり、それらが言語化されて解説されているのは、そこを感覚でやったり疎かにして失敗している人からすると、これを知るだけでレベルが上がる可能性すらある内容である。
コンセプトが近い他の本
最近の書籍で例えると、本書は、
の様な、モチーフの単純化。

の様な、部位毎の詳細な分割解説。

の様な、ディティールアップ。

等々の、これらの要素をバランスよく取り入れた美術人体解剖学本といった仕上がりになっている。
美術解剖学本なのにボックスマネキンや最低限のディティールでの図による説明に終始し、単純化しているが部位毎の詳細な解説によって美術解剖学を学ぶ事で目指す人体描画には必要十分な情報があり、単純化してなお正しい表現とする為にディティール面にも深く触れられ、それらが論理的にどうすれば描けるか、どう考えて設計するのかが明かされている。

美術人体解剖学を単純に説明する為に、要素を作者の方でプロ目線から適切に取捨選択し、部位を分割しつつ頭から足先まで網羅した内容は、ロレンツォのドローイングチュートリアルにある人体パートだけを体系的に並べ、美術解剖学の知識を軸に芯を通した様な感じである。
モチーフを単純化して捉える本は過去にあり、美術解剖学の本も過去にあった。
だが、美術解剖学を単純化して習得させてくれる本は、その組み合わせは、珍しいく、非常に良いコンセプトに感じた。
そして何より、解剖学と言う一見複雑な物を単純化して整理して解説する事に成功している点で、本書は大きな価値がある。
本としての評価は?
本体価格5,000円、定価5,500円と、これまた大型書籍の専門書って感じのお値段だ。
しかし、内容の有用さと大量の図版、何よりも初心者に向けて書かれた網羅的な作りを考えれば、十分値段相応の本と言える。
各自で立ち読みしたりして、内容が気に入れば学びが大いに捗るだろうし、自分の作品に上手く取り入れれば、かなり幸せになれるだろう。
創作初心者や挫折を経験した中級者が美術人体解剖学を必要十分に習得し、人によっては更に深く理解する為の強固な土台を作る為の本と考えると、誰が読むと幸せになるかは分かりやすいだろう。
このレビューが、本書の購入する際の参考になれば嬉しい限りである。
本書発行元リンク:株式会社ボーンデジタル



