要は使い所
倍速視聴、倍速再生と言った物がメディアを再生するデッキやソフトの機能によって当たり前になって久しい。
一時期、最近の若者はコスパ主義で倍速再生が当たり前なんて話が話題になり、感覚的に理解出来ない人々から、そして密かに浸透していた文化への興味や困惑、そして反発が見られた。
かく言う私も、倍速機能は頻繁に使う。
そんな話題に挙がるよりずっと前から、普通に使っていたので「やっぱり他の人もやってるんだ」ぐらいの感覚だ。
倍速視聴だが、これを目の敵にする人達の言としては、それでは作品を正常に楽しんだり、理解したり、味わい尽くせないと言った物が多い。
絵と時間で見せる手法、意図した「間」であったり、象徴的や情緒的なシーン等は、倍速再生で意味が極端に拾いづらくなったり、気付かぬままサクサクと進んでしまう事も多い。
とは言え、それで倍速視聴を否定するのは、また違うと私は考える。
要は、使い分け、使い所を考えようと言う話であり、使い所が分からない人は常速視聴の方が作品とより正しく向き合える可能性が高いと言うだけの話だ。
電車では景色を楽しむべきだから新幹線はクソ!
もし、こんな事を主張している人がいれば「やべぇ奴だ」と多くの人が思うだろう。
倍速視聴問題も同じ事で、使い所次第でしかない。
倍速視聴のメリットは、なんと言っても時間的な視聴コストを削減出来る事にある。
2時間の映画を見るのに、普通は2時間の時間的拘束が課される。
しかし、これが、
| 1倍速 | 120分 |
| 1.3倍速 | 約90分 |
| 1.5倍速 | 80分 |
| 2倍速 | 60分 |
| 3倍速 | 40分 |
| 4倍速 | 30分 |
と、拘束される時間が短くなる。
映画1本であれば、120分を120分として楽しむ事のコストをそこまで恐れる必要は無いが、これが180分越えの映画や、アニメやドラマ等の連続物の作品になると、話は少しずつ変わってくる。
例えば、ハリーポッターシリーズを一気見する場合、1倍速の場合、1178分、19時間38分かかる。
楽しみ尽くしたいのであれば、1日1~2本に抑えて、数日かけて見るのが正解だ。
だが、大筋を知りたいとか、新作に追いつきたいとか、作品をしゃぶり尽くす的な純粋に楽しむ以外の視聴動機があるなら、倍速視聴は十分選択肢に入って然るべきだ。
ハリーポッターであれば、3倍速まで耳が追いつくとか、字幕も駆使して見れば、約392分、6.5時間で視聴出来て、1日で一気見する事が現実的な射程に入ってくる。
MCUをアイアンマンからエンドゲームまで見たい場合、3547分、実に59時間7分もかかる。
3日無いと時間的に見れないが、3倍速でハリーポッターの乗速再生相当の19時間近くまで圧縮出来、4倍速以上に耐えられるなら15時間程度で一通りは触れる事が出来る。
エンドロールのスキップ等も入れれば、より圧縮する事が出来るだろう。
もっとも、ここまで来ると、楽しむでも、学ぶでも、あまり現実的では無い。
全体に一通り触れる「だけ」となる可能性は、大いにある。
それでも、時間的コストを節約して、見たい知りたい事に断片的にでもアクセスする意味では、有用な手段と言える。
人は、集中力が限られる。
短時間で済む事は、それだけで大助かりなわけだ。
創作者は倍速視聴しない方が良い!
そう声高に叫ぶ創作者は、非常に多い。
一流のクリエイタ―やアーティストがそう言っていると、多くの人は「きっとそうなのだろう」と思うことだろう。
しかし、これは、作品とどんな姿勢で触れあうかが肝心で、全ての作品に万人が当てはまる話では無い。
例えば、情感タップリに画で、動きで、間で、演技で、魅せるタイプの作品があるとする。
それらを学びたい、知りたい、楽しみたいと言う姿勢の場合は、乗速視聴した方が良いだろう。
しかし、そもそも、それらを学びたいと言う姿勢でない場合は、乗速視聴した所で乗速だからと心に刺さる可能性は、姿勢が出来ている人に比べて低い。
見る人がキャッチするアンテナを張っていなければ、飛んできた情報が遅くても早くても、キャッチのし易さが変わるだけで、キャッチできない。
この情報をキャッチするアンテナの高さ、大きさ、ベクトルは、人によって全然違ってくる。
つまり、倍速視聴をすると情報のキャッチ難易度が跳ね上がる点で倍速視聴を創作者はしない方が1回目の視聴でキャッチ出来る可能性が高まる点で良いが、と言うだけの話なわけだ。
これは裏を返すと、必要と考える情報のキャッチ難易度が自分の手に負えない速度にならなければ、どんな速度で再生しても良いとも言える。
例えば、倍速視聴を反対する人は、1.1倍速再生をどう感じるか?
きっと、気付かない人が多い。
1.3倍になると、早口かなと感じ始め、1.5倍だと明らかに早いと感じ、2倍だと早すぎると感じ、3倍だとついていけないと感じ始める人が増え、4倍だと情報を拾う事がシーンによっては極端に困難になる。
では、1.1~1.2倍速は、早くなっている点で倍速視聴に間違い無いが、クリエイターは絶対使うべきで無いかと言うと、そんな事は無いだろう。
逆に、情報量が多すぎるシーンでは、低倍速、つまり、遅く再生するのが当たり前だ。
トランスフォーマーの変形シーンや板野サーカスの様な過度な情報密度のシーンや、ハイスピードなアクション、複雑なカメラワーク、あるいは早口等のシーンでは、スロー再生を駆使した方が情報を拾いやすい。
アニメのコマをコマ送りで見るのも、オタクには楽しいし勉強にもなる。
つまり、情報を拾うには、スローな再生の方が良いと言う事になるが、常にスロー再生では、時間的コストが跳ね上がってしまう。
通常速度でないと製作者の意図が掴めないシーンであれば常速で再生する必要があるが、そうでないシーンでは関係無いし、そうであるシーンでも時間の早さを変えるから気付ける事がある。
乗速が絶対ではない。
と言って、倍速だけで作品の全てを理解出来る訳でも無い。
そこを理解して、最適な選択をし、必要な情報をキャッチする事が重要なわけだ。
倍速視聴のメリット
倍速再生の良い所は、時間的コストの削減もだが、視聴ハードルを下げてくれる事が、個人的には、かなり大きい。
映画1本を見ると言う場合、正直、昔であれば「89分か。気合入れて見よう」と言う瞬間は、結構あった。
しかし、今では「120分って事は、30分以内で見れるな」と考える事が多い。
この気軽さは、これまでだったら時間的コストを理由に触れさえしなかった作品にも触れる機会になり、プラスの部分は計り知れない。
合わない作品の場合、それがいわゆる出来の悪いクソ作品の場合、倍速視聴で見ればダメージ少なく触れる事が出来るのも良い。
また、好きな作品の中で「こいつは倍速は出来ない」と何らかの理由で思える作品は、本当に大事にしたいとか、敬意を払いたいと感じている指標を得たのも、倍速視聴のメリットの一つと見て良いかも知れない。
倍速視聴もするけれど
倍速視聴反対派の人が勘違いしているのか、見ないふりをしているのか、倍速視聴をする人は、常速視聴もするし、繰り返し視聴も普通にする。
例えば、私は倍速視聴を日常的に使いまくってる側の人間だが、好きな映画に関しては倍速視聴もするし乗速視聴もするし、繰り返し視聴もする。
倍速視聴は、時間的コストを削減する意味と、再生時間を選ぶ選択肢の一つでしかない。
好きな作品、中でも個人的に特別だと感じている作品の場合、時間を作ってゆったりと常速視聴で楽しむ事も日常的だ。
アンテナを敏感にし、見る速度を自分の意思で適宜選べれば、どの速度で見ても何かしらの得るべき物がある物である。
見る作品によって早さを変える事は、十分時代にマッチした作品との触れ合い方と言えるだろう。
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