おさまる所には、おさまった
待望していたアンブレラアカデミーのシーズン4を見たので感想を。
シーズン1~3までや、キャラのなんとなくは↓の記事を見て!
関連記事:【ネタバレあり感想】『アンブレラ・アカデミー シーズン3』を見ました。
言いたい事は、未視聴の人はネタバレを見ずに早急に見るべしと言う事だ。
メタフィクション演出があるぞ!
シーズン4の内容
シーズン3のラスト、また新たな世界線に飛ばされた面々は、特殊能力を失ったが適応し、それぞれの生活を送っていた。
世界線移動から6年が経ったが平和な日常が流れているかに見えた。
ところが、別世界線の記憶を持つ人々が実は大勢いて、彼らはキーパーズと言う地下組織を結成し、アンブレラエフェクトと名付けられた別世界線の記憶を持つ現象を調べ、元の世界線に戻る為に暗躍していた。
キーパーズを怪しみ潜入していたライラは、CIAとして潜入していたファイブと密かに事件を追いかけ始めるが、ライラのファイブとの密会を見てしまったディエゴは浮気をされたと勘違いしてしまう。
そんな時、アンブレラアカデミーは謎のクリーニング店の男にジェニファーと言う女性を救って欲しいと依頼される。
謎の男は今の世界線に存在しない筈のアンブレラアカデミーを覚えていて、頼って来たと言う話だった。
調べると、ジェニファーの持ち物の中に「マリーゴールド」と言う能力者を作る物質が何故かあった事でアンブレラアカデミーに新しく力が宿り、ジェニファー救出に向かう事になる。
ジェニファー救出に向かった田舎町ニューグランプソンでは、何やら様子がおかしく、またアンブレラアカデミーの面々は世界を救わなければならない事態に巻き込まれていく。

好き嫌いは分かれそうな、ビターな終わり
1話1時間程度で全6話と短めな尺ながら、相変わらず雑な設定はありつつも、本作は綺麗に物語を締め括っている、と言えばそうなる。
相変わらずガバい設定ながら、勢いで飲み込めるし、見ている最中は十分楽しめる。
とは言え、強引さは否めないし、エンディングの「え? これで終わり?」感は、ダメな人はトコトン駄目だろう。
本作は、いわゆる「全部なかった事にするしかないエンド」であり、アンブレラアカデミーは世界を救う為に、アンブレラアカデミー自体を、自分達の消滅覚悟で無かった事にし、正常化し破滅が訪れなくなった平和な世界はアンブレラアカデミーワールドの世界線から移動し、私達が生きている現実の世界に移動してしまう。
そこで、本日中に見た人だけが深く味わえるメタ演出「2024年8月8日12時いつもと変わり映えしない何も起きない普通の一日だった」的な接続があり、ここではアンブレラアカデミーの名残は木の根元に生えたマリーゴールドのみ、と言う演出によって、ある意味でサッパリと、無慈悲に終わってしまう。
みんなの幸せになれる世界線は、無いの?
となる。
原因はいつものあの人、黒幕は別のあの人
アンブレラアカデミーシリーズ自体が、別の星から脱出してきたレジナルドが亡き妻を蘇生する為に暗躍していた話だとシーズン3で判明していた。
シーズン4では、やっぱり事態が起きている原因は、レジナルドの世界線移動が原因で、事態をややこしくしているのは元世界線のレジナルドが実は№6ことベンと、今シーズンのキーキャラクターであるジェニファーを危険だからと殺していた過去が明かされ、その行動がレジナルドの陰謀の為には正しいが、新しい世界線のレジナルドからすると身に覚えがない事だ。
だが、レジナルドが頭が良いキャラなので「別の世界線の自分がやりそうな事」を色々と分かっていて、ようやく味方となる点は面白い(一悶着後だったが)。
事件の真相
シーズン4の黒幕は、レジナルドが苦労して蘇生させた妻のアビゲイルである。
アビゲイルは、マリーゴールドと言うレジナルドが作った特殊能力者を作る物質と、セットで生み出してしまった副産物のデュランゴと言うマリーゴールドと接触すると世界を滅ぼす物質が原因で色々な方法で世界滅亡が起きていると考えていて、本来の世界線に戻す為にレジナルドがマリーゴールドもデュランゴも生み出さなかった世界線への回帰「浄化」を起こそうとしていた。
レジナルドが伝えていないだろう内容なので、アビゲイルもまたアンブレラエフェクトで別世界線の情報にアクセスしていて、レジナルドと同じ星の住人だからこそ分かる知識から結論付け、レジナルドの過ちを正して世界を救おうとしていたと言えるだろう。
その為に、クリーニング屋に化けてジェニファーをアンブレラアカデミーにレジナルドによる管理下から解き放ち、ベンとジェニファーを接触させ、ジーン夫婦を利用してキーパーズを乗っ取り浄化にまで漕ぎつけ、最後はレジナルドと和解し怪物と化したベンとジェニファーによって殺される形で退場した。
アビゲイルの計画は終始上手くいき、おさまるところに全てがおさまった。
しかし、なんともモヤモヤが残る結末である。
計画も設定も、やっぱり、ちょい雑
シーズン3との繋がりがどうなるかと思っていたが、スローンは消滅しただけで終わり、アリソンも6年経ったら気まずいぐらいで許す空気に。
新しい平和な世界線に移動した以外は、シーズン3要素は見られずと、アッサリしたもの。
ベンの能力が触手召喚の設定と、新キャラジェニファーが捕まえられた巨大イカの中から生還したと言うイカ繋がり設定も、浄化が発動した際に2人が融合して怪物に変わった時に触手が生えていたぐらいで、一度見たぐらいでは分かりやすい設定は特に見られず。
ファイブとライラが遭難した世界線移動を可能にする謎の地下鉄も、面白いギミックだが謎。
14万回以上もファイブが世界を救おうとして失敗し、あらゆる世界線のファイブが集合している状況は面白かったが、メイン世界線のレジナルドの行いを無かった事にしたら全部が収束すると言う設定は、タイムパラドクスもあってややこしい事この上ない。
全てのマリーゴールドを浄化しないとならないなら、他世界線からの介入が可能な世界で、他世界のマリーゴールドはどうなるのか、メイン世界線が浄化された場合に他世界線はどうなるのか。
アビゲイルが計画の為にマリーゴールドをアンブレラアカデミーに使わせていたが、そもそも使ってくれる確証が無ければ計画として危な過ぎて感じるし、あの誘導でアンブレラアカデミーが計画通りに動く確証を持っていたとしたら、ちょっと無理がある計画に思える。
そもそも世界破滅を止めたいならレジナルドはマリーゴールドを破棄したり、ジェニファーを早々に殺したり隔離した方が良かった気もする。
無限に続く破滅のループを止める為に、原因を取り除いて世界線を移動しているが、そもそも、レジナルドが手を出したマリーゴールドもデュランゴが性質として接触すると浄化が始まると言うのは、レジナルドはどうやって知ったのだろうか?
大元のレジナルドもアンブレラエフェクトなりで知っていたとかでないと、浄化をそもそも止めようと言う事にならない気がする。
色々な整合性を考えて考察すると、6話では全てを語り尽くせていない気がしてならない。
でもフェニックスアカデミーとか、チョイネタは好き。
でも、面白い
ルーサーのストリッパーネタ、焦り空回るディエゴ、ライラとファイブのロマンス、クラウスとアリソンの微妙な兄弟関係、ようやくレジナルドと向き合うヴィクター、孤独から愛に目覚めたと思ったのに悲劇に見舞われるベン、個別の描写を見て行くと、面白いシーンはしっかり面白い。
中でも、ファイブ推しで見て来たので、まさかのライラとのロマンス発生は、シーズン3までだと意外な展開だし、切ない終わりも良かった。
しかし、コメディパートとしては、個人的にはレジナルドのズレ方がシーズン4では特にお気に入りだ。
「この装置痛いの?」「私が作ったんだぞ、当たり前だ!」とか「私ならやりそうだな」とか、諸悪の根源なのに並行世界で他人事な為、今回は終始憎めないキャラなのも良い。
ジーンとジーン夫妻のキャラ立ちも、得体の知れなさが存分に描かれていて、シーズン4の中では独特の存在感があって良かった。
終わりに

賛否が分かれそうなファイナルシーズンであったが、トータルでは面白かった風に思う。
特に、ファイブのキャラは最初から最後までお気に入りだったので、ファイブと出会えただけでも本作を見た価値は十分あったと感じている。
しかし、やはり、尺が許すなら現実世界でアンブレラアカデミーの皆が何をしているかぐらいはエピローグで触れて欲しい気持ちはあった。
アンブレラアカデミーの存在そのものが破滅を呼んでしまうループを生み出していると言う設定は、やはり切ない。
そう言えば、原作では、どうやって終わってるんだろうか?
まあ、色々言いたい事はある物の、やはり個人的には面白かったのが総評だろう。
切ない終わりからの、メタ演出は一瞬痺れたしね。
2024年8月8日配信で、配信日にアンブレラアカデミーが消滅と言うメタさは、時間が経つほどメタ演出の驚きが薄れるので、ネタバレを見ずにパッと見た人は運が良いと言えるだろう。
追記
この記事のアクセスも一気に伸び、世間でも感想が見られる様になった。
やっぱ、予想通り賛否両論で、ファイブのロマンスが蛇足とか、毎度10話やってたのに6話に短縮した上にオールリセットエンドで辛すぎとか、否の意見の方が目立って見える。
そりゃ、設定や脚本はお世辞にも丁寧では無いし、気持ちは分かる。
ファイブには中身60近い捻くれたおっさんのお茶目さを持ったまま家族を愛して欲しかったし、ベンが残ってスローンが消失したのは納得いかないし、そもそもマリーゴールドなんて設定S1~3でそんな出てたっけ(S3振り返りでレジナルドが言っているが、すっかり忘れてた)だし、S3でのアリソンのやらかしは正直許して良いのか怪しい。
しかし、ファイブ推しとして見ていると、世界を救う装置状態だったファイブがライラが相手とは言え初めて他人を愛して、世界を救うかライラとの平和な日々を破滅覚悟で選ぶか葛藤したり、その上で世界を救う為に出来る事を選んだ結末は、世界を救うと言う使命感を最後まで一貫させたファイブらしい選択でありつつ、ライラにもファミリーにも受け入れられ小さすぎるが報いがあり、良い所は間違い無く良かった。
それに、私はシーズン4を見終わり、ドラマ版世界線は私達の生きる現実に接続され消滅する結末を迎えたが、これはあくまでも1世界線の結末でしかないと考える事にし、勝手に納得する事にした。
ファイブが14万回以上も世界を救おうとして失敗している事が分かっていて、描写が違うならば原作コミック版はその中の1つか、そこにカウントされていない世界で、今回ネットフリックス版実写ドラマシリーズも1つの世界線を描写したものでしか無く、別世界線のファイブは浄化ではなく、きっとネットフリックス側の事情に振り回されない正解の道を探している筈と思える”余地”が本作には、ある様に思える。
ネットフリックスからお出しされたラストは、多くのファンが望む結末に辿り着けなかった、いわばビターエンドルートでしかなく、最終話の大勢のファイブ達はバッドエンドを経験したが、きっとどこかにはグッドエンドやトゥルーエンドがある、そう思いたくてならない。
スピンオフでも良い、ネットフリックスが今回のエンディングを大がかりな引っかけに使って後に真ファイナルシーズンや最終話が登場する事を、私達が生きる世界線であるかは分からないが、どこかの世界線では実現して救われるアンブレラアカデミーファンがいる世界がある事を信じたい。



