色々な意味で話題になっていたが、実態は?
ディズニープラスにて配信されているマーベルのドラマシリーズ「アイアンハート」のシーズン1を見たので、感想を。
ポリコレに毒されたディズニーやマーベルと言うネガティブなイメージ、嘘か誠か流れて来る制作側のやらかしの噂、激しいネガキャンの嵐、アイアンマンの流れを汲むと言う特殊な立場、日本のパロディAVに先を越されていたと変な方向でも話題になり、配信開始まで時間がかかった上にマイナスの情報ばかりで話題となっていた本作。
実際に見てみて、事前情報通りだったのか、どうか?
アイアンハートとは?
アイアンハートは、ポリコレブームの中で生み出された、黒人女性が主人公のアイアンマンの流れを汲む作品である。
原作の方は追えてないが、今回見たドラマ版の内容を説明する。
中盤までのあらすじ
主人公のリリ・ウィリアムズは天才少女で、飛び級でMITに通っていた。
アイアンマンスーツの制作にとりつかれ、トニーの様な偉大な人間になりたいと焦っていた。
そんな中、大学で実験中に大失敗をし、大学に莫大な損失を出した上に、普段から素行が悪かった事で、退学処分を喰らってしまう。
退学となったリリは、シカゴに戻る事になり、自分の作ったアイアンマンスーツを大学から盗むが、スーツの不具合から家に戻る直前にスーツが壊れてしまう。
スーツの残骸を運び、どうにか家に戻ったリリだが、大学からの援助無しでスーツを完成させる為には、今まで以上の大金が必要だった。
大金策に悩むリリは、抵抗を示しながらも、リリの才能に興味を示した者達に誘われるままに、金持ちばかりを狙う犯罪組織を率いるパーカー・ロビンスの手下となってしまう。
パーカー・ロビンスは、謎の魔法のマントを使うスーパーヴィランであった。
そんな中、修理したスーツの制御AIにリリの脳を読み込ませたら、リリの亡くした親友ナタリーの姿となり、ナタリーを再現したAIは、色々な意味でリリを困惑させる。
さらに、リリは自分の秘密の協力者として、武器を集めていた謎の男エゼキエルを仲間にするが、エゼキエルはアイアンマンのメンターからスーパーヴィランへとなったオバディア・ステインの息子だったと分かる。
その後、当初は、どこか義賊的かと思っていたパーカー達だが、徐々に目的の為なら手段を問わず、殺人さえすると知り、リリはナタリーとエゼキエルと共にパーカー達に協力するフリをしながら密かに対抗手段を探し始める。
ここまでの感想:普通に面白い
大々的なネガキャンは、なんだったのか。
アイアンハートは、ドラマとして普通に面白いし、十分出来が良い。
また、全6話と、短く見やすいのも、ある意味で良かった。
しかし、アイアンマンの後継者としては、現状は全然中も外も伴っていないリリ。
だが、金の無い黒人少女と言うトニー・スタークの真逆の立場で、ヒーロー活動でなく金の為に犯罪にスーツを使っていく上、不完全だがアイアンマンスーツを作れる程度の天才と言う特技のみで、どうにかアイアンマンを目指すと言うのは、ポリコレと言うノイズさえ気にならなければ一定の面白味がある。
幼く、弱く、短絡的で、短気で、反抗的で、リリは、天才だが、同時に普通の子供のメンタルを多分に含んだキャラクターだ。
だから、大人には一人で勝てないし、頼ったり甘えなければならず、至らないキャラクターだからこその間違いも犯すが、周囲の善い大人達はリリをどうにか導く余地があるし、リリの脳を読み込んで再現されたナタリーAIはリリの良心としてリリを守り導こうとし、それらはしっかりとリリの成長に活かされる。
母親に諭され、親友に諭され、親友の弟に諭され、友人に諭され、徐々に最初に目指していたアイアンマンではなく、リリ・ウィリアムズとして在り方が固まっていくのは、子供が主人公ゆえであり、十分見応えがある。
最後までのあらすじ
パーカーへの対抗策を探したリリは、アイアンマンスーツに魔法を組み込む事に答えを見出す。
苦労の末パーカーの魔法のマントを一部だけ盗み出すが、パーカーの親友でもある犯罪組織の仲間に勘付かれ、リリは犯罪計画のどさくさに紛れてパーカーの親友を殺し、正当防衛だったと自分に言い聞かせ、パーカーを欺く。
リリがパーカーの親友を殺した際に現場に残した証拠から、エゼキエルが逮捕されてしまい、リリは保身から救おうとせず、エゼキエルとの関係が破綻する。
パーカーは親友を殺したのはリリと勘付き、リリに恨みがあるエゼキエルを釈放してスーパーヴィランにすると、エゼキエルと組織の仲間達にリリの殺害を命令する。
しかし、エゼキエルはリリを痛めつけスーツの破壊こそするが、父親とは違い善良さを完全には失っておらず、死にたく無ければ逃げる様に伝え逃がしてくれる。
リリ暗殺作戦の中で、パーカーがこれまで邪魔になると仲間を殺していた事がパーカーの仲間達にバレて、パーカーは組織で一人となる。
だが、パーカーはエゼキエルをスーパーヴィランにした際に仕込んだウィルスを利用してエゼキエルを操り人形にし、犯罪計画を次の段階に進める。
パーカーの目的は、自分を捨てた大金持ちの父親を超える存在になる事で、パーカーは父親の会社を乗っ取る事に成功する。
ところが、金を手に入れても満たされず、親友も仲間達も失い孤独となり、さらに金と力を求める様になる。
同じ頃、スーツを失ったリリは、咄嗟に持ち出したナタリーAIを持って、家族や仲間達に協力を頼み、新スーツの制作に乗り出す。
このままでは、いずれリリの生存がパーカーにバレて、リリだけでなく家族や仲間が傷付けられるのも時間の問題だったからだ。
リリは父親の遺品の車をスーツの素材にし、母親の知り合いにいた本物の魔法使いの協力から魔法も組み込み、ようやく盗んでもおらず、借りてもいない、自分だけのスーツを手に入れるが、魔法の副作用か、ナタリーAIが機能不全を起こし、消失する。
再び親友を失った悲しみを背負いつつ、リリは操られるエゼキエルを無効化して救い、パーカーに最後の戦いを挑む。
そして、パーカーから魔法のマントを奪う事で無力化に成功する。
戦いを追えて帰ろうとした矢先、いつか、パーカーの前に現れ、パーカーに魔法のマントをプレゼントした男が、リリの前に現れた。
男はメフィストと名乗り、リリに願いを叶える手助けをしたいと提案し、リリが親友を取り戻したい事を知っていた。
リリは誘惑に抗えず、メフィストと契約を結んでしまう。
少し時間が経過すると、リリは生き返って困惑するナタリーとの再会に喜び、同じ頃、パーカーは別の方法で魔法を手に入れ復活しようと画策を始める。
最後までの感想:普通によく出来る
一部では、闇堕ちエンドとか言われていたが、これは闇堕ちでは無いと考えられる。
最後の最後で、リリはメフィストと手を組んだ。
これは、パーカーと手を組んだら碌な事にならなかった事から何も学んでいないが、そこは子供だからこそと納得出来る。
ようは、リリはのび太君的であり、ドラえもんの秘密道具を調子に乗って使うと酷い結果になるのに懲りずに、今度こそ上手くやると、愚かな選択を再度やっているわけだ。
で、悪とか闇に堕ちたのではなく、元々素行が悪く、ラストもしっかり、ある意味で素行不良のまま、悪と手を組んででも親友さえ生き返れば、起きる問題は後回しで良いやと言う、そんなオチだ。
このオチは、リリが正義のスーツを作る金の為なら犯罪もちょっとぐらいOKと言う、スタート時から一貫した、ゆるく自己中心的な倫理観による物の流れがあり、共感が出来るかは別だが、理解は出来る範囲と言えるだろう。
リリは、理由に納得出来ない殺人だったり、仲間に迷惑さえかからなければ、基本的に他人の事はどうでも良く、犯罪にも抵抗感が低く、視野が狭く、自分勝手だ。
手段を問わず、アイアンマンスーツと成功をひたすら求めると言うキャラクター性で、そう一貫したキャラクターとして描かれている。
アイアンマンの場合は、兵器産業で手に入れた金を使い、兵器産業が産んだ歪みを正す為に最初はスーツを作る事になった。
つまり、悪い事をしてでも金を稼ぎスーツを作って、自分の価値観で許せない悪と戦うのと、悪い事と自覚しないで稼いだ金でスーツを作って、既に起きた悪い事を清算していくと言う姿勢でも、あり方や背負う物の対比となっていて、そこも面白い。
リリは、アイアンマンスーツを真似て作っているが、天才である事以外は、人種や性別だけでなく、考えから、戦う理由から、ほとんどアイアンマンの対極にいる存在というわけだ。
そして、天才性も、拉致されて洞窟で既存の兵器からアイアンマンスーツやアークリアクターの小型を作ったトニー・スタークには遠く及ばない点で、かなり微妙と言える。
対極の存在かつ、アイアンマンと言う偉大な存在を継ぐには幼い上に、個人的な繋がりが無く、能力が大きく不足している点、その他にも色々なポイントが積もりに積もり、ネガキャンの嵐が巻き起こっていた事は、見終わり、なんとなく想像出来た。
だが、単体のドラマシリーズとしては、十分面白く、登場するキャラクターはリリも含めて好きになるかは別としてキャラが立ち、魅力的な登場人物は実際非常に多い。
中でも、エゼキエルとメフィストの二人が、シーズン1だと、かなり良い。
味方から敵になり、再び味方に戻るオバディアの息子エゼキエルは、コメディもシリアスも出来る上に、性格も嫌味が無く、オバディアの息子と言う設定も活きまくり、かなり良いキャラクターだった。
そして、ちょい役ながら存在感を放つメフィストだ。
見た目、言動、どれも凄味とインパクトがあり、圧倒的強者感は、一見の価値ありである。
敵対的な行動を取りつつも、あくまでも、より良い手駒を探して人々を惑わし引っ掻き回しているに過ぎず、底が見えない上に、キャラクターに大きな魅力がある。
他に、パーカーを含む犯罪組織の濃いメンバー達も敵ながら魅力があるし、ナタリー、リリのママ・故人の義父、ナタリーの弟、なんだか手伝ってくれる近所の生意気なガキ、魔法店の母娘と、キャラが濃い面子ばかりで、みんな良い味出している。
終わりに
本作は、アイアンマンの流れを汲むシリーズで無ければ出来ない仕掛けの作品であるが、アイアンマンの流れを汲む作品だからこそ大炎上した作品とも言えるだろう。
アイアンマンファンからすると不愉快な要素があり、そこが圧倒的に受け入れられなかったっぽい。
一方で、私の様にアイアンマンが大好きでも、普通に楽しんで見れる程度にはシッカリ作ってあり、原作や本場アメリカでの作品を取り巻く環境がどうなっているかもあるだろうが、ガンダムのジークアクスが一部のファーストファンには受け入れられなかった現象に似た所が多少感じられた。
そのモチーフを使ったりシリーズじゃないと出来ない仕掛けがあるが、だからこそ賛否両論となる系と言う事だ。
まあ、事前の炎上のせいか、原作でもそうなのか、劇中では、まんまアイアンマンと言う要素は少なく、それならオリジナルの黒人少女をヒーローとした作品でも良かった様な気はしないでもない。
しかし、そうなるとオバディアの息子とかアイアンマンネタが使えないので、アイアンマンだからこそ出来た表現は間違いなくあると言えるだろう。
ちなみにだが、私はまだアイアンハートが出ていると言うブラックパンサーの映画を見てないので、認識が間違っている部分があるかもしれない事は断っておく。



