創作論

【創作論】「バカ」にも種類がある ― 創作で使えるバカの類型集

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創作で、意図せず失敗するパターンの一つに、バカキャラを描こうとしたら「みんな似たバカになる」というものがある。

手癖やイメージで作者が描くバカキャラが、みんな

  • 考えなし
  • 勢い任せ
  • 知識が無い

だけになったりだ。

それで良い場合もあるが、バリエーションが必要なパターンも往々にしてある。

好きだから、でのワンパターンと、引き出しが少ないだけのワンパターンでは、意味が違う。

現実には、バカには沢山の種類がある。

そして厄介な事に、一見バカに見えづらい、

  • 高学歴のバカ
  • 人格者のバカ
  • 善人のバカ
  • 天才のバカ

なんてものも存在する。

創作でバカな人間を描くなら、描こうとしている必要なバカを、知らなければ描けない。

第一類型 知識欠損型

無知のバカ。

単純に知らない、あるいは知ろうとしない。

  • 法律を知らない
  • 常識を知らない
  • 歴史を知らない
  • 専門的な知識を知らない
  • 勉強をしない、出来ない

最も分かりやすい。

だが実は改善しやすい。

勉強さえすれば、ある程度は解決するからだ。

経験不足のバカ

知識は、ある。

だが体験していない。

例えば、恋愛漫画だけ読んで恋愛を語る。

戦争映画だけ見て戦争を語る。

こういうタイプだ。

知識ばかり先行し、実態が伴うべき時に、伴っていない状態も、時と場合ではバカとなる。

第二類型 認識欠損型

無智のバカ

これは、知識の有無ではない。

考える能力そのものを、ある意味で放棄している。

  • 疑問を持たない
  • 検証しない
  • 比較しない
  • 思い込みで決める

与えられた情報をそのまま飲み込む。

カルト信者や扇動される群衆によくいるタイプだ。

思考停止型

面倒になると考える事をやめる。

  • 皆が言ってるから
  • 昔からだから
  • 偉い人が言ったから

が口癖だったり、思ってたり。

第三類型 自己認識欠損型

身の程知らず

能力評価が狂っている場合、行動や言動が実力に伴わない事になる。

  • 実力1なのに100だと思い込み行動する
  • 経験1年目なのに達人を名乗ってみる

現実にいれば、典型的な悲劇製造機と化す。

過小評価型

過大評価の逆方向のバカ。

能力があるのに、「自分なんて」しか言わない、思わない事で、チャンスを逃す。

こちらも状況判断を誤るため、別種のバカと言える。

自己正当化型

失敗の原因を常に外へ求める。

  • 上司が悪い
  • 部下が悪い
  • 時代が悪い

自己改善に繋がる反省をしない、出来ない、よって成長もしない。

結果として停滞しながら、成功だけを追い求める事になっていく。

第四類型 感情暴走型

短気のバカ

怒り等の感情に支配される事で、バカをやる。

後先を考えない、考えられない、気が付けば手が出ている、悲劇を生み出した後に我に返る。

恋愛のバカ

恋をすると知性が消える。

普段有能な人物でも発生し、幸せでもあるが、幸せが続くかは相手次第。

復讐のバカ

より大きな目的より、個人の怒りが主になってしまう。

創作では、非常に使いやすい。

ある意味のバカではあるが、復讐内容によっては共感も呼ぶ。

許せない事、許してはいけない事が、誰しもある。

嫉妬のバカ

損得計算が崩壊するパターン。

時に、自分の利益よりも、他人の不利益を優先する事もある。

他者と言う評価軸に踊らされる類型の一つ。

第五類型 臆病型

極端な臆病者

失敗回避が目的化している。

結果として、何も得ない所か、時に全てを失う事も。

一か八かでも挑戦しなければならない場面は、誰しもある。

先送りのバカ

決断しない。

判断しない。

時に、問題を育てる。

臆病とは別の動機で、行動をしない。

責任回避型

権限だけ欲しく、義務や責任は、可能な限り取りたくない。

組織物に出しやすい。

第六類型 倫理欠損型

無恥のバカ

恥の概念が薄い。

ルールより利益優先で、大事な物を失っていく事に気付かないか、その瞬間は覚悟が決まっているが意味に気付けていない。

厚顔無恥型

悪事を悪事と思わない。

道徳を欠いたタイプ。

利己主義型

極端な短期利益しか見えない、追えない。

結果として長期利益や、短期利益の為に犠牲にした様々な物を失っていく。

第七類型 知性暴走型

頭が良すぎるバカ

理屈を優先し過ぎるタイプ。

人間心理を見落とし、理論が当てはまらない生ものによって痛い目を見る。

感情や、一般的感覚など。

分析中毒

考えるだけで行動しないタイプ。

なんの為のデータ集めなのかで、主従逆転している。

完璧主義者

不要な100点を求めて、結果的に0点に近付いていく。

100点以外求められないなんて場面は、極稀で、実際は70点でも30点でも良いから行動した方が正解に近付く。

第八類型 信念暴走型

正義のバカ

正しい事をしているつもりで破滅を招く。

自分が正しいと思い込んでいる人ほど、別の立場の人にとっては邪悪な存在となり得る。

理想主義のバカ

現実コストを計算しない、し損ねる。

現在を理想の状態に変える為には、相応のコストがかかる事は当然であり、それを考えずに理想だけを求め、どうやって実現するかを実行可能な形で考えない。

原理主義者

特定の物以外の例外を認めない。

決まった正解以外は、全部間違いに近い思想。

そう言う類の性質を持った物も中には存在するが、大抵の物は、現実との擦り合わせによって時代や文化に合わせて変化して存在していて、原理主義者の考えは時代錯誤となる事の方が遥かに多い。

第九類型 集団依存型

権威依存型

肩書きを信じる。

上で、下で、肩書きに判断を左右され、ある種の思考停止状態となる。

肩書きが上の人が誤ったり、下の人が合っていたりすると、その人は誤った判断を支持してしまう危険がある。

多数派依存型

人数で判断する。

少数派が正解と言う場面で、痛い目を見る。

空気依存型

周囲の反応で意見が変わる。

同調圧力に弱い。

第十類型 欲望暴走型

強欲のバカ

もう十分持っているのに止まれない。

世の中の人の大半は、金銭的にこの状態に近い。

実際は、必要以上と言うキャパがある筈だが、それが分からないから、いくらでも欲しい、必要と思い込んでしまう。

欲望バカ

快楽優先。

酒、薬、セックス、ゲーム、何でも中毒となる。

承認欲求のバカ

注目のためなら何でもする。

ギャンブルバカ

確率よりも、運試しや、大穴の夢を見る。

創作でバカを描くコツ

バカには、他にも種類は沢山あるだろう。

共通しているのは、「何が欠けているか」を決めると、バカは描きやすいと言う事だ。

人間は通常、全方向にバカではない。

むしろ、ある一点だけ、みたいに、どこかが極端に欠けている。

だからバカになる余地が生まれ、そこから魅力も生まれる。

例えば、

  • 戦術の天才だが恋愛のバカ。
  • 善人だが身の程知らず。
  • 知識人だが臆病。
  • 勇敢だが無知。

こういった、いろいろな組み合わせを作れて、その強みと、抜けている部分の相乗効果で、魅力的な立ち回りを作れたりもする。

そして物語とは、その人物の欠損が引き起こす問題と解決をシミュレーションする物でもある。

読者が見ているのは、設定された能力ではない。

どの種類のバカが、どのように世界と衝突し、どう乗り越えようとするのか。

そこにこそ、人間ドラマが生まれる余地がある。

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