創作論

【レビュー】ゲームの衣装デザイン:歴史・文化から物語をつくる【書評】

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

すごくちゃんとした衣装デザインの教科書

ゲームの衣装デザイン:歴史・文化から物語をつくる

Sandy Appleoff Lyons (著), 高木 了 (編集), 株式会社スタジオリズ (翻訳)

コスチュームによってキャラクターに物語を与える方法とは?

『ゲームの衣装デザイン』では、時代を超えて、ファッションの豊かで多彩な歴史を紹介します。象徴的な時代の衣装とその社会的意義については、後半の章で詳しく説明します。現実と空想の世界を基に、プロット・シナリオ・ビジョンに関連する衣装/キャラクター開発に焦点を当て、シルエットや各時代の美学について見ていきます。衣装デザインの調査では、歴史的、幻想的、未来的な影響を探ります。

本書では、各時代のスタイルシートを紹介するだけでなく、衣装デザインの創造的な問題解決や、デザインの原則にも触れています。それはプロジェクトを通じて行われ、リサーチスキルを身につけながら真のデザインを構築・実践していくユニークな内容です。

【主なポイント】 ・既存の再現だけでなく、デザインの原理を理解して、衣装に応用する方法を学ぶ
・歴史、ファッション、コスチューム、文化的影響を総合的に理解、物語のあるキャラクターをつくるコツを知る
・クリエイティブな問題解決方法を学び、オリジナルの衣装を作れる力を養う
・キーワードやスタイルシートを用いたトレーニング、歴史的事例の引用、強力なビジュアルで読者をサポート

【対象読者】
ゲーム制作関係者、デザイナー、コンセプトアーティスト、3Dアーティスト

※本書は『Costume Design for Video Games』の日本語版です

著者について

Sandy Appleoff Lyons(サンディ・アップルオフ・ライアンズ)は、ラグーナ・カレッジ・オブ・アート&デザインのゲームアート専攻の創設者であり、前学科長です。現在はArt of Game Design MFA(美術学修士課程)を創設し、学科長を務めています。衣装に物語をつくり、どんな分野にも適用できる強みを生み出すため、プロセスを組み合わせたユニークなアプローチを実践しています。

  • 出版社 ‏ : ‎ ボーンデジタル
  • 発売日 ‏ : ‎ 2022/2/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 大型本 ‏ : ‎ 152ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 486246520X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4862465207
  • 寸法 ‏ : ‎ 25.7 x 18.2 x 1.1 cm

ゲームに限らない、作品内で使う具体的な衣装デザインのやり方についての良書

まず、本書の目次だが、

  • 謝辞……vi
  • はじめに……vii
  • 著者、寄稿者……xii
  • 01. ゲームの衣装のパイプライン……1
  • 02. スタイルシート……5
  • 03. キャラクターデザインを考える……21
  • 04. デザイン……23
  • 05. 不死者の創作プロセス……31
  • 06. ひだの描き方……43
  • 07. リサーチ……53
  • 08. 3D に変換する……57
  • 09. エジプト(紀元前3000 – 紀元前600年)……63
  • 10. ミノアとギリシャ(紀元前2900 – 紀元前300年)……73
  • 11. エトルリアとローマ(紀元前800 – 西暦400年)……85
  • 12. ビザンチン/中世前期(西暦300 – 1300年)……95
  • 13. 中世後期(西暦1300 – 1500年)……103
  • 14. イタリア ルネサンス(西暦1400 – 1600年)……113
  • 15. 北方ルネサンス(西暦1500 – 1600年)……123
  • 索引……135

と言うラインナップだ。

1章のパイプラインとは、制作工程全体を指す。

つまり、どの様に何から考え始め、何から手を付け、どの様に形にしていけば良いのかの、一般例簡単に紹介している。

2章ではスタイルシート/スタイルバイブル/スタイルガイドの作成。

ゲーム、に限らないが設定資料集や制作現場の写真の見た事があれば、何となく見た事があるだろう。

リサーチしたり想像した設定を整理し、作品のテイストに一貫性を持たせつつ、クオリティを維持させ、更には個人用の資料からクリエイター間での密接な連携を可能にする為の、設定資料の作り方を紹介している。

3章と4章では、いよいよキャラクターのデザインについて。

5章では、時代の制約を受けない不死者(イモータル)と言うモチーフを使っての、具体的なキャラクターデザイン例を。

6章では、服や布状の物を描く為の、ひだの具体的な描き方。

7章では、リアリティレベルをアップさせるためのリサーチの仕方。

8章では、本当に簡単にだが、3D作品で作る時に、どの様に3D化するかについて。

9章から15章では、レイとチェイニーと言うキャラクターが突然登場し、彼らの旅を通しながら、テーマとなった時代や文明を意識したデザインにする為には、どうすれば良いか、一風変わった紹介がされている。

【good】創作物の衣装デザイン(主に西洋のファンタジーや過去)を勉強したいなら、相当役立つ

本書は海外の書籍の翻訳版なので、西洋的なデザインにのみ特化している。

その中で、章分けされた中で作業の全体、各作業の見本、各作業をより上手くやる為のコツを紹介していて、本書を読む事で読者に対していずれ出来る様にしたい事が明確だ。

絵の描き方ではなく、あくまでも歴史や文化を下敷きにゲーム等の作品で物語を彩る衣装デザインをするやり方を説明するのに終始している。

本書内では西洋デザインだけだが、同じ手法を他の歴史や文化に使えば、和風とかオリエンタル風とか、いくらでも技術を転用出来るのも良い。

【good】設定資料の作り方紹介本は、珍しい

ハウツー本は、何らかの成果物を目標として書かれる。

ゲームの場合は、実際に遊べるゲームが最終目標であり、設定資料は副産物でしかなく、その書き方は簡単に紹介されるか、見よう見まねが多い。

その点、本書では創作現場で通用し、活躍する事が出来る設定資料の考え方や作り方をピンポイントで紹介している

この工程が苦手な人、より精度を上げたい人からすると、待望の本かもしれない。

【Hmm】対象読者3Dアーティストは確かにそうなのだけど……

3D化に言及するページ数が少ない。

少ないページ内にギッシリと役立つ事も書いてあるし、ゲーム制作の1工程解説本としては仕上げとして触れない訳にはいかないのも分かるが、本書が3Dアーティスト向けかと言うと、微妙な引っ掛かりが残る。

対象読者の、ゲーム制作関係者は分かる。

デザイナーも分かる。

コンセプトアーティストも分かる。

3Dアーティストは、確かにそうなのだが……

まあ、これは本書の欠点とかではないので、気にする事ではないだろう。

個人的に少し気になっただけだ。

本としての評価は?

定価3,520円、本体価格3,200円と、値段は一見少し高く見えるかもしれないが、全然そんな事はないと感じた。

オールカラーで図版が多いだけでなく、各ページごとに文字の情報量も多い。

だが、見づらいレイアウトと言う事も無く、本としての満足度は高めだ。

ただ教科書的で退屈と言う事も無く、9章からは物語仕立てと、謎に凝っている。

衣装デザインをしたいとか、一回しっかりスタイルシートやパイプラインを把握したり勉強したい人におススメの1冊だ。

これは、良い本。

設定資料を見たり作るのが好きなタイプの人からすると、特に面白いかも。

このレビューが、本書の購入を検討する参考にでもなれば幸いです。

本書発行元リンク:株式会社ボーンデジタル

物語る工房をもっと見る

今すぐ購読し、続きを読んで、すべてのアーカイブにアクセスしましょう。

続きを読む