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台湾発、4コマ漫画のアニメ化作品が凄い!
ネットフリックス配信アニメ「勇者:TheAnimation」を見たので、感想を。
4コマ漫画原作と言う媒体のイメージや、絵柄で騙されるな!
凄いぞこれ!
勇者系列(勇者シリーズ)とは?
台湾人アーティスト黄色书刊による4コマ漫画で、Facebook上で連載されている作品である。
テレビゲームのファンタジー世界風ながら、社会風刺が強いテイストで、登場するキャラクターは固有名詞では無く称号やあだ名で基本的に呼ばれるのが特徴としてある(日本で言うと、ゴブリンスレイヤー方式をイメージすると良いかも)。
1話目:平和を望んで
<内容>
人間と悪魔の戦いで混乱した世界で、正義のために魔界の王モアワンの打倒を目指す勇者たち。だが悪魔にも公平な人間の国王に、人民は不満を募らせる。
公式引用
本作は、様々な登場人物が主人公となる回の連続で、一つの世界が徐々に浮かび上がる。
1話目では、公平な王と公平な勇者が、悪魔への差別を求める人民に悩まされる所から話が始まる。
悪い悪魔もいるが、良い悪魔もいる世界。
しかし、人の国の人々は、安心の為に全悪魔を殺したいと願っている。
そこで、勇者達は魔王モアワンを倒し、悪い悪魔が生まれない様にしようと考える。
しかし、魔王モアワンは想像していた様な存在では無く、さらに公平な王が勇者の留守中に殺され国は混乱し、事態は最悪な方向へと転がり落ちていく。
1話目を見て、まず感じたのは、古き良きRPGを想起させる独特なBGMの良さと、シンプルな絵柄だからこそ栄えるアクションシーンの気持ち良さ。
SNSで見る事がある、簡素な絵柄で良く動くバトルアニメを誰かが投稿して、物凄く目を引くとか、もっと昔なら棒人間にハイクオリティなアクションシーンを演じさせるGIFアニメ的な、そんな気持ち良さがある。
そして、コメディと言うジャンルで見始めたのに、死者が出まくり、かなりシリアスで、1話目は全体で言う所のプロローグ、過去編であり、その掴みは、かなり強い。
端的に言って、凄く良く出来た序章な1話目だ。
2話目:勇気ある変人たち
<内容>
時は流れ、人民を守るはずの勇者たちは信条を捨てて堕落していた。そんな勇者を倒そうと立ち上がったゴブリンとスライムが、師匠となる存在に出会う。
公式引用
いきなり1話目から時間が(たしか)20年近く経つ。
公平な王の後を継いだ邪悪そうな王は既に死に、新しい商売人な王に人の国は統治されている。
そこでは、勇者は職業になり、勇者と言う肩書を利用して好き勝手し、罪の無い悪魔達は経験値稼ぎの為に惨殺されていた。
そんな状況で、最弱悪魔であるゴブリンとスライムの若者が、勇者を倒せる力を身につけ、仲間を守ろうと立ち上がり、偶然出会ったはぐれエルフ(バニーガール)を師匠に修行を開始する。
シンプルな絵柄かつ、ゲームの様な設定によってグロさは抑えられている物の、勇者側の行動は鬼畜その物。
そんな勇者に立ち向かうアウトロー悪魔達は、人の王に飼い慣らされた一般悪魔達にも拒絶され、なんとも言えない後味。
更に、魔王が魔王城の家賃を人間の王に払う為に、身分を隠して勇者に紛れて仕事をしていたり、トップ勇者が家賃の集金人をしていたり、世界の状況が色々とおかしい。
なのだが、もっと注目すべき事がある。
やたらと性癖を刺激してくるぞ、こいつ
魔王の側近や、バニーガールを見て、すぐに理解した。
アドベンチャータイムみたいなシンプルデザインながら、この作品、性癖への攻撃が、かなり上手い。
「え、好き」ってなっちゃう。
恐ろしい話ですよ。
3話目:これが私の選択
<内容>
人間とドラゴンの衝突が激化し、ドラゴンの母と勇者の父を持つ娘が捕らわれた。人間の国王はこの娘に、攻撃を止める代わりに勇者になれと迫る。
公式引用
美しいドラゴンと、ドラゴンに恋したドラゴンキラーが登場し、そんな二人の娘が3話目の主人公。
もう分かると思うが、ママであるブルードラゴンが一部の層の人達を刺しに来て、人とドラゴンにモードチェンジ出来るドラゴンガールがとどめを刺す。
そう言う話だ。
絶望の勇者も密かに好き。
サイコパス扱いされてるしw
そう言う話なのだが、話も普通に面白く、シック(病気:悪魔の四天王の一人)が良いキャラしている。
4話目:負け犬と言われても
<内容>
一度の間違いですっかり落ちぶれたあの勇者。行きがかりでゴブリンと一緒に火の悪魔の要塞に入り、”凶暴な王のよろい”を探すことになり…。
公式引用
主人公は2話目で敵として登場した勇者と、ゴブリンの二人。
敵同士だった二人がバディを組んで、火の悪魔が支配するダンジョン攻略をする羽目に。
話も当然良いのだが、猫耳クールな剣の勇者が、敵ながら良い。
次は、どんなヒロインで刺してくれるのか。
いや、刺していただけるのでしょうか?
5話目:私を君は同じ
<内容>
決して怪物を殺さないトップ勇者。彼がドラゴンの娘を呼び出して伝えたのは、ドラゴンの成り立ちや人間と対立する理由についての悲しい真実だった。
公式引用
はいはい、誰?
このアニメが、性癖破壊博覧会とか言った奴は。
5話目、ドラゴンガールにトップ勇者が伝える世界の秘密が、マジでショッキング。
マジでショッキングっすよ。
絵柄で油断してたら刺される感じは、アドベンチャータイムに通じる物がある。
アドベンチャータイムも大好きだから、ま~、気持ち良く刺されてしまった。
ここのネタバレは、下の方でするわ。
出来れば、予備知識無く見て欲しい。
で、まあ、ね?
5話目も素晴らしいのよ。
悪魔の四天王の一人、欲望の女王ちゃん。
やばっ!
6話目:あの人は今
<内容>
モアワンに戦いを挑むために現れた勇者は、20年前の因縁の相手だった。
ついに勇者が、魔界の王であるモアワンを倒す時が来るのか…⁉
公式引用
来ま~せんっ!
シーズン2に続くエンド!
しんみりしつつも、ちょっと救いがあるのが、とても良い。
続きを早く見たい!
終わりに
何の前知識も無しに見たけど、期待を大きく超えて良かった。
この記事で期待を高め過ぎてから見るのは、やめてね。
でも、一部の人にはぶっ刺さる要素(性癖以外にも)あるから、良い作品なのは間違いないよ。
日本語吹き替え無いけど、30分が6話なので字幕でサクッて見てみてよ!
ちなみに、病気の悪魔と火の悪魔がキャラ的には大好き。
性癖的には、欲望の女王と水妖(魔王の側近)がヤバく(恐らく世間的にも)、トータルで言うと魔王周りのキャラが、みんな良過ぎと言う事だ。
デザイン的には、黒勇者もカッコよくて好きだったり。
もちろん、ゴブリンとスライムのコンビも可愛くて好き。
おススメ。
以下、重要なネタバレ(見る気があるなら先に読むな!)
5話目で明かされる世界の秘密について、どうしても触れたかったので。
本作は、人と悪魔(魔族的な種族)やドラゴンが争っている世界を舞台に、その世界を通して現実を風刺する作風だ。
で、この世界の成り立ちに、大きな秘密がある。
1話目よりも、ずっと昔の話。
人同士で争っていた時代、負けて国を追い出された人達が、行き場を無くし雪山に辿り着く。
その人達は魔法を使えたが、雪山には食べ物が無く、食べ物を魔法で出す事も出来なかった。
仕方が無く、彼らは仲間達を半分に分け、負けた人々の中で更に弱い人々を巨大な身体に改造し、意志を奪い、食料にする事にしてしまう。
人だけで食物連鎖が完結している国を作ったのだ。
しかし、家畜となった人々を憐れむ魔法使いがいつしか現れ、彼らは家畜となった人に意志を取り戻す魔法をかける。
それによって、最初のドラゴンが生まれた。
つまり、この世界のドラゴンは、家畜化の為に魔法で品種改良した人の、慣れの果ての姿なのだ。
この設定は、劇中でしっかり伏線がはられている。
ドラゴンキラーとブルードラゴンの夫婦が、ドラゴンガールを授かっているのが、実は伏線なのだ。
そんなドラゴン族が人と敵対するのは、そもそも国から追い出したという因縁があり、仲間によって家畜に品種改良されて殺されつ続けたという、血生臭い歴史から成り立っている。
この設定を平然とぶっこんでくる姿勢は、ちいかわでモブが死亡したり世界の闇が見える瞬間に似た衝撃があり、「ひえぇ」と言う気持ちになれて、とてもgoodだ。
他にも、現在の人の王が経済を操ってドラゴンも悪魔も絡めとり、ルールメーカーとなってイニシアチブを握る設定は、資本主義風刺が効いてて面白い。
表現的・設定的グロ成分や、独特なノリで人を選ぶ作品だが、個人的には、かなり好きな作品となった。