創作論

【創作論】「物語とは、概念に形と意味を与え共有可能にする物」であると仮定した場合、必要になる条件とは何か

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ここまでの記事の流れ通り、この記事の内容もまた「物語」の絶対的な定義ではない。

今回は仮に、

物語とは、特定の概念に形と意味を与え、共有可能な形にするもの

と定義した場合、そのために必要になる条件は何か、それを考察していく。

つまりここで扱うのは、

  • 小説技法
  • 三幕構成
  • 起承転結

ではなく、なぜ人は概念を物語化するのかという話になる。


なぜ「概念」はそのままでは共有しづらいのか

人間は抽象的な概念を、そのまま扱うのが苦手だ。

いや、もっと正確に言えば、それを共有する事が、そもそも難しい。

例えば、

  • 正義
  • 国家
  • 自由
  • 孤独

これらは言葉として存在するが、

  • 人によって意味が違う
  • 実体が無い
  • 境界が曖昧

等といった問題がある。

つまり、概念単体では脳内同期が、非常に起きにくい。

共有するには、共有可能な条件を満たす必要があり、それには、何らかの具体化が必須となる。

条件的に一つの事しか指さない状況を作るか、コミュニケーションを重ねて範囲を狭めていくか。


そこで発生するのが「物語化」

人は抽象概念を具体的な「何か」へと変換する。

例えば、

  • 人物
  • 行動
  • 因果
  • 象徴

等を決め、概念を表す取っ掛かりを、具体的にしていく事が出来る。

  • 正義 → スーパーヒーロー
  • 愛 → ヒロイン
  • 恐怖 → オバケ

みたいに。

つまり物語とは、概念を具体化する事で、共有観測可能な形へ変換する行為が含まれている、とも言える。


では、そのために必要な条件は何か

ここからが今回の本題だ。


条件①:概念の境界化

「何の話か」が分かる必要がある

概念は曖昧だ。

そのためまず必要なのは、具体化には輪郭が必要である。

輪郭とは、内と外との線引きとも言い換えられる。

境界線を引く事が必要なのだ。

例えば、

  • 正義とは何か
  • 愛とは何か
  • 復讐とは何か

をある程度限定する必要がある。


境界化の方法

・対立を作る

  • 正義 vs 悪
  • 自由 vs 支配

・象徴を与える

  • 王冠
  • 制服

・役割を与える

  • 勇者
  • 裏切り者
  • 母親

すると、それぞれに線の内と外が決まってくる。


条件②:観測可能性

抽象概念は見えない

例えば「孤独」は、そのままでは見えない。

これを共有するには、孤独を見える形にする必要がある。

だから物語では、

  • 一人で食事する
  • 誰からも返信が来ない
  • 雨の中を一人歩く
  • 周囲に人が大勢いるのに関係性がある人が皆無

など、行動や状況へ変換する事で、これぞ「孤独」を表し、観測可能な形にする。


重要なのは、言葉での説明ではなく、いかに観測可能か

「彼は孤独だった」よりも「電話帳に誰の名前も無い」とか「アドレス帳を開いてもかけられる相手は一人もいなかった」の方が共有されやすい。


条件③:因果の接続

出来事が繋がる必要

断片だけでは概念の共有は難しい。

例えば、

  • 泣いている
  • 戦っている
  • 笑っている

だけでは意味が、まだまだ不安定だ。

いわゆる5W1Hが欠けている。

なのでそこに、

  • なぜ
  • どうして
  • だから
  • しかし

みたいな具体化が加わることで、意味が強固に固定される。


条件④:変化

変化しないと概念が見えない

物語は差分によって、具体的な概念を認識させる。

必要なのは変化で、変化を分かりやすくするのはギャップだ。

例えば、

  • 臆病 → 勇気
  • 無知 → 理解
  • 憎悪 → 許し

変化前と変化後があることで、概念が、より具体的かつ分かりやすく輪郭化される。


条件⑤:感情との接続

感情が無いと共有されにくい

多くの人間は論理だけでは、共有する気が起きず、なかなか同期しない。

そのため、

  • 共感
  • 恐怖
  • 憧れ
  • 怒り

などを経由し、具体化して、共有された概念を心でも理解する。

頭で知識としてだと弱いが、心に届くと記憶に残る。

つまり、感情は、強力な概念共有プロトコルである。


条件⑥:圧縮可能性

長すぎると共有されない

共有される物語は、

  • 要約
  • 記号化
  • ミーム化

できると良い。

例えば、

  • 桃太郎
  • シンデレラ
  • ダークヒーロー

など、一場面、概念中の一要素でも抜き出せる。

つまり、再伝達が容易に可能であった方が有利となる。


条件⑦:解釈余地

固定されすぎると死ぬ

意味を固定しすぎると、

  • 考察
  • 共感
  • 再解釈

が発生しない。

逆に曖昧すぎても崩壊する。

必要なのは、適度な半固定状態だ。

余地があるが、ほぼ決まっている程度が基本は良いだろう。


条件⑧:社会との接続

個人だけで完結しない

物語は、

  • 文化
  • 常識
  • ジャンル
  • 神話

と接続されることで共有される。

例えば、

  • 勇者
  • 学園
  • 家族
  • 革命

などには既存イメージがある。

つまり、何かしらの既存認識を利用する必要がある。


条件⑨:時間性

物語は時間を必要とする

概念だけなら静止画でも良い。

しかし物語になるには、

が必要。

つまり、状態遷移が必要になる。


条件⑩:選択

選択によって意味が発生する

ただ流されるだけでは意味が弱い。

物語では、

  • 誰を救うか
  • 何を捨てるか
  • どちらを選ぶか

が重要。

つまり、概念は選択によって、明確に可視化される。


おわりに

物語とは、単なる出来事列ではない。

もし定義するなら、概念を、人間が共有可能な形へ変換するための装置として見ることも出来るだろう。

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