前回の記事では、男性向けと女性向けのコンテンツは、恋愛や親密さの描き方に違いがあるという話をしました。
今回は、少し別の角度から見てみます。
それは、
- 男性向けは外部への行動を描きやすい
- 女性向けは内部での選択を描きやすい
という傾向です。
もちろん例外はあります。
しかし実際、かなりの作品に見られる傾向でもあります。
男性向け作品は「何をしたか」を見せる
男性向け作品では、
- 敵を倒した。
- 挑戦した。
- 救出した。
- 告白した。
- 戦った。
- 勝った。
というように、主人公が具体的に行動で何をしたのか、そして、その結果が重要になる場合が多くあります。
物語が進む理由も、主人公の行動によって外部世界が変化するからです。
つまり、行動→結果、という流れが中心になります。
女性向け作品は「何を選んだか」を見せる
一方で女性向け作品では、
- 誰を信じるか。
- どう向き合うか。
- 許すか。
- 待つか。
- 受け入れるか。
- 離れるか。
というように、主人公が何を選ぶのか、が重要になる事が中心にあります。
もちろん行動もします。
しかし焦点は、その行動を生んだ感情や判断に置かれやすいわけです。
つまり、感情の発露→葛藤と選択→関係の変化、という流れになります。
同じ告白シーンでも重心が違う
例えば、何らかの告白シーン。
男性向けでは、「告白する」という行動そのものが、ある意味でクライマックスになりやすい。
- 勇気を出した。
- 挑戦した。
- 結果が出た。
という行動に移す事がメインです。
一方で女性向けでは、
- 「なぜその相手を選んだのか」
- 「そこに至るまで何を感じていたのか」
の方が長く描かれることがあります。
何をしての結果よりも、選択理由にこそ重心があります。
バトル作品にも現れる
この傾向は恋愛だけではありません。
例えば戦闘シーン。
男性向けでは、
- どんな作戦を使ったか。
- どう勝ったか。
- 何を成し遂げたか。
が重視されやすい。
女性向けでは、
- なぜ戦うのか。
- 誰のために戦うのか。
- その決断にどんな葛藤があったのか。
が、より大きな意味を持つことになります。
同じ戦闘でも、誰向けで描いているか、どの登場人物視点で見ているかで、見え方や重要な場所が違うのです。
行動と選択は別物
ここで重要なのは、行動と選択は、似ているようで違うことです。
行動は外から見え、次には世界に影響を及ぼします。
選択は内側で起き、次に影響を受けるのは選択者です。
例えば、
- 剣を振るった。
これは行動です。
しかし、
- 振るうことを決めた。
これは選択です。
創作ではしばしば、男性向けは行動を見せることで感情を伝え、女性向けは選択を見せることで感情を伝える傾向があります。
ぶっちゃけ、些細な差に思えるかもしれません。
ですが、行動で登場人物を示すのと、内面描写で登場人物を示すのでは、見え方、受け取られ方、感じ方は、やっている事が同じでも変わってきます。
ただし近年は、どちらかに偏って作らない限りは、その境界が曖昧な場面も多いです。
男性向けでも心理描写が丁寧な作品はあるし、女性向けでも行動中心の作品はあります。
むしろ人気作品ほど、行動と選択の両方を、適材適所で使い分けています。
作品を見て欲しい人の性別、登場人物の性別を考えれば、使い分けた方が自然な世界を描きやすく、作品に良いリアリティが乗る可能性が高まります。
そして、人間は何をしたかにも、なぜそうしたのかにも、結局の所で興味があるからです。
まとめ
男性向けと女性向けの違いを単純化すると、
- 男性向けは外部世界への働きかけ。
- 女性向けは内面から生まれる選択。
に重心が置かれやすい傾向があると言う事でした。
男性向けは、
- 何を成したか。
- 何を獲得したか。
- 何を変えたか。
女性向けは、
- 何を選んだか。
- 何を受け入れたか。
- 誰を信じたか。
もちろん実際の作品はもっと複雑です。
その作品が描いているのは「行動」なのか、「選択」なのか。
そこに注目すると、男性向け・女性向けの違いが少し見えやすくなるかもしれません。
ちなみに、男性向け、女性向けと言っていますが、男性向け作品に多い傾向、女性向け作品に多い傾向があるだけで、その描写をすれば全ての男性、あるいは女性に受け入れられると言う類の物ではありません。
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