創作を始めたばかりの人ほど、「これは自分だけのオリジナルアイディアなんだ」という気持ちを強く持つ傾向があります。
そして、そのアイディアを誰にも見せず、大事に抱え込みます。
- 「盗まれたらどうしよう」
- 「もっと完成度を上げてから公開しよう」
- 「一発で、一撃で、最初から、最高の作品にしよう」
そうして何年も考え続け、結局何も完成しない。
仮に完成しても、思った結果にならず燃え尽きてしまう。
これは創作初心者が陥りやすい典型的なマズいパターンです。
目次
一筆入魂は、初心者ほど危険
「一作に全てを懸ける」
言葉だけ聞けば、非常に格好良く聞こえます。
しかし初心者にとっては、むしろ危険な考え方です。
なぜなら、一作品に人生を懸けるほど、
- 修正できない
- 捨てられない
- 失敗を受け入れられない
等々という状態に、同時になってしまうからです。
すると、
- 「もっと良くできるはず」
- 「まだ公開する段階じゃない」
- 「ここも気になる」
- 「なんだか上手く出来て無い気がする」
と永遠に完成しません。
あるいは、完成したとしても、
- 「こんなはずじゃなかった」
と燃え尽きてしまいます。
それが、その時点での全力ですが、思い描いた理想とのギャップに驚いてしまい、それを受け入れるには時間も覚悟も必要で、受け入れずに創作活動と言う物ごと捨てた方が楽にさえ思えてしまう。
一作品に期待を詰め込みすぎると、その作品が自分自身の価値と結び付いてしまう事もある。
どれもこれも、危険です。
形になっていないアイディアには価値がない
事実を話します。
頭の中だけにあるアイディアには、まだ価値はありません。
これは「良いアイディアではない」という意味ではありません。
料理のレシピを思い付いても、作らなければ誰も食べられません。
ゲームを思い付いても、作らなければ誰も遊べません。
物語を思い付いても、書かなければ誰も感動できません。
誰も利用できないものには、価値が発生していないという意味です。
そして、完成していない作品には、相応の価値しかありません。
ですが、創作者は理想的完成予定の作品から、価値を感じてしまいます。
この認識のバグが、形になっていないアイディアに価値があると錯覚を持たせます。
アイディアは形になって初めて、人に影響を与えられるようになり、価値が発生します。
「オリジナル」であることは価値ではない
初心者ほど、「誰も考えたことがない」ということを、ついつい無条件に重視します。
しかし、本当に重要なのは、そこではありません。
例えば、「靴に特徴的な飾り羽をつける」これはオリジナルかもしれません。
ですが、それが何の問題も解決しなければ、そこに価値は、ほとんどありません。
実際には、デザインとして好む人は出てくるでしょうが、それだって羽を使ったデザインの靴が欲しいという問題の解決になっていての価値です。
一方で、既にある普通の靴でも、
- 軽い
- 滑りにくい
- 疲れにくい
等なら、多くの人に価値があります。
価値を生むのは、「何でも良いから新しいこと」ではなく、「前からある物より役に立つ点で新しいこと」である必要があります。
アイディアは問題を解決して初めて価値が生まれる
創作でも、ビジネスでも、他の物でも同じです。
良いアイディアとは、誰かが抱えている問題を解決するものです。
創作なら、
- 感情の上下を体感出来る
- 他人の人生を疑似体験出来る
- 登場人物に共感しながら人生のヒントを得られる
といった事で、受け取り手側の問題を解決しています。
退屈時間を楽しい時間に変えたり、停滞していた心に情熱を与えたり、そう言う力が創作物には宿せます。
ビジネスなら、
- 安い
- 早い
- 楽
- 安全
などで、現実の問題を解決するでしょう。
つまり、価値とは、「問題をより良い状態へ変える力」の部分と言えます。
オリジナルであることは、それを効率的に満たす為の要素の一つに過ぎません。
客観性が価値を生む
自分だけが「これは面白い」と思っている段階では、まだ、本当の価値は分かりません。
本当に価値があるかどうかは、
- 他人が使って、
- 他人が読んで、
- 他人が評価して、
そこで、初めて分かります。
だからこそ、アイディアは他者を通す事で磨かれていきます。
「自分が価値を感じるから」だけから、「他人も価値を感じたから」が両立した時にこそ、それが実現すれば価値は大きくなります。
一番価値があるのは「最初に形にした人」
「このアイディア、誰かに盗まれるかも」
そう心配する人は、多くいます。
それ自体は、正しいかも知れません。
ですが現実には、アイディアだけで成功することは、ほぼありません。
評価されるのは、常に「最速で基準を満たす形にした人」です。
最速で形にした人では、ありません。
誰よりも早く形にして、認められる場所へ届けた人が、生み出した価値を享受出来ます。
- 企画書でも、
- 試作品でも、
- 漫画でも、
- 小説でも、
- ゲームでも、
- 完成品でも、
形になって、形になった物として初めて、他人は評価できます。
評価されて初めて、価値が社会の中で認識されます。
アイディアを抱え込むほど価値は眠ったままになる
金塊が地中に埋まったままでは、経済的な価値を発揮できません。
- 採掘し、
- 加工し、
- 流通して、
初めて社会の中で価値を持ちます。
アイディアも同じです。
頭の中にあるだけでは、誰の役にも立ちません。
- 形にし、
- 公開し、
- 評価され、
それらを経て初めて、価値は現実のものになります。
初心者に必要なのは「次の一作」
初心者がまず目指すべきなのは、初手、処女作での人生最高傑作ではありません。
そもそも、そんな事が出来る人は、極稀でしょう。
まずは、完成です。
一本完成させる。
駄作に見えても良い。
実力相応の作品を駄作でも完成させる事です。
そして、公開し、感想をもらい、改善し、また作るのです。
この繰り返しが、アイディアを見る目も、形にする技術も、問題を解決する力も、育てていきます。
一作で全てを決めようとすると、失敗が怖くなりますし、それが逆に失敗を引き寄せる事さえあります。
しかし最初から沢山作るつもりなら、一作の失敗は単なる経験になります。
最後に
初心者は「オリジナルなアイディア」に価値があると思いがちです。
確かに、自分が思いついた自分だけの自分が自由に出来る世界は、凄い物に見えるでしょう。
ですが、本当に価値が生まれるのは、そのずっと、ずっと、ずう~~~~~っと、後です。
アイディアは、頭の中にあるだけでは価値になりません。
形になっても、それだけでは、まだまだ十分ではありません。
誰かの問題を解決する仕掛けを持ち、その価値を客観的に認められ、社会に届いたとき、初めて完成度分だけ価値として成立します。
だからこそ、創作で本当に大切なのは、最高のアイディアを抱え込むことでは、ありません。
アイディアを形にし、改善し、世に送り出すことです。
価値は、思い付いた瞬間ではなく、現実の中で誰かに変化を与えた瞬間に生まれます。
そして、その経験を積み重ねた人ほど、次のアイディアを、より価値のあるものへ育てられるようになるのです。
おまけ:「アイディアには、価値が無い」という意味
「永久機関」と言うアイディアがあります。
SF作品では、凄く魅力的で、価値もあります。
では、現実では?
そうです。
「永久機関」は、現在の技術では実現不能とされています。
つまり、凄く良いアイディアではあっても、それは価値を生んでいません。
頭の中のアイディアとは、これと似たような状態です。
それが実現可能なアイディアでも、客観的に問題を解決する様に実現して、他人に評価可能な形に出来なければ、頭の中のアイディアで感じた時にあった価値は、現実には現れません。
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